高齢者の実態調査と支援策について、共立蒲原総合病院について質問

92◯17番(内田隆典君) それでは、通告に従いまして、高齢者の実態調査と支援策について、共立蒲原総合病院についてという2項目について伺いたいと思います。

最初に、高齢者の実態調査と支援策について伺いたいと思います。

ことしは、皆さんから語られているように、30年に一度と言われるぐらいの猛暑日が続いております。9月というのに35度を超えるような猛暑日が続き、熱中症で亡くなられる人が後を断たないという、このような報道もされております。学校での集団での熱中症の問題、こういう事故や、また、この多くが50%近くは65歳以上の高齢者だとも言われております。所在を確認できない高齢者の問題など、高齢者を抱える社会問題が一気に表面化した年でもありました。

こうした背景には、高齢者の貧困問題があると言われております。1980年代以降、一貫して高齢者の医療や福祉の見直し、改悪が行われてきました。特に、ひとり暮らしの女性の半数は、年収150万円以下で生活していると言われているのであります。

こういう状況の中、クーラーがありながら、その電気のスイッチが入れられないという問題、そして亡くなるという事故が相次ぎました。死亡後数日経過して発見されるという、いわゆる孤独死の問題も大きな問題になり、社会問題化しました。

90年代までは、福祉事務所職員が高齢者を訪ね、健康状態や暮らしぶりなど個別援助台帳をつくるよう、当時の厚生省が指針を出していましたから、こういう状況はそうはなかったと思われますが、しかし、2000年以降、介護保険制度が導入され、自治体の多くは福祉サービスを民間事業者などに任せ、高齢者の実態を十分把握できないという状況が続いております。

こうした状況を踏まえ、静岡市として高齢者に対する実態調査と支援策がどのように行われているのか、伺いたいと思います。

最初に、熱中症での救急搬送状況についてであります。

子供たちが学校で集団で熱中症にかかるというニュースも聞かれましたが、圧倒的には高齢者が被害に遭ったのではないかと思われます。熱中症での救急搬送、その中でも65歳以上の高齢者がどのくらいいたのか、伺っておきたいと思います。

2点目は、熱中症対策についてであります。

ことしは異常な暑さ、30年に一度とも言われておりますから、こういった暑さの中で、高齢者が個人で対応するというのはなかなか難しい問題があると言われております。こうした状況の中で、静岡市として熱中症対策として、どのような対策がこの間とられてきたのか、伺っておきたいと思います。

3点目は、高齢者の所在不明についてであります。

ことしは、この問題が全国的に大きな問題となりました。生存していれば百十数歳、こういう例がいろんなところで指摘をされておりました。調査をしてみれば生存が確認できないというケースが全国的な問題となり、当然、静岡市としましても、こうした問題は調査し、確認作業が行われていると思いますから、現状と対策について伺っておきたいと思います。

4点目は、高齢者の安否確認についてであります。

静岡市は、今後、災害時や地震時における高齢者の独居の人たちに対する対策として、自治会や民生委員等の協力を得て、高齢者の実態調査を行おうとしております。こうした調査は、プライバシーの問題もあり、この間、十分なことが行われていなかった。しかし、こうした中で、在宅福祉の中でも十分でないという思いもありますが、これからもこうした対応がされると思いますが、現在の市として、こうした在宅福祉対策でとられている施策について伺っておきたいと思います。

次は、共立蒲原総合病院についてであります。

共立蒲原総合病院について、蒲原病院は、昭和30年10月に開設され、以来、旧庵原3町、芝川町、富士市岳南地域を主とした医療圏として地域住民に医療の提供を行ってきました。しかし、近年は診療報酬の減額改定や医師不足等によって、病院を取り巻く医療環境は大変厳しい状況が続いております。

蒲原病院は、ここ数年、医師不足により診療科の閉鎖、外来・入院ともに患者数が激減し、経営状況が悪化していると言われております。医師数を見ましても、この10年でも3分の1、18名になっているという状況であります。この背景には、医療制度、診療報酬制度の改悪、公立病院の統廃合、民間譲渡を推進する公立病院改革など、国による誤まった施策の問題があろうかと思います。

こうした中、今後の蒲原病院のあり方を考える病院運営検討委員会が昨年の7月につくられました。この間、6回の審議を行いまして、ことしの6月、答申を提出しました。

答申内容は、病床数を現在の320床から175床、145床の削減、175床のうち80から90床を急性期病床、残り85から95床を回復期リハビリテーションや療養などの病床として運営すると。運営形態は、地方独立行政法人、いわゆる非公務員化ということを打ち出しました。

運宮検討委員会は、今後の運営形態について、公営企業会計全部適用化、地方独立行政法人化(公務員型)、地方独立行政法人化(非公務員型)の3つの候補で検討してきたわけですけれども、結論的には非公務員型を提言してきました。

非公務員型を選択した最大の理由は、人件費の問題です。しかし、この形態ですと、病院で働く職員の皆さんの労働条件、当然人件費の問題、賃金等の引き下がり、病院経営で問題になっている赤字問題とともに、医師確保を一層困難な状況をつくり出すのではないかと考えられます。

そこで、3点について伺いたいと思います。

1点目は、運営検討委員会が地方独立行政法人化を打ち出しましたが、この検討委員会の結果を、静岡市としてどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。

2点目は、今後の病院運営に対して、住民に対し十分な説明と、その声を聞くことが大事だと考えます。病院の管理者は、鈴木富士市長でありますが、市議会の中で、富士の市長は、市内全域から均等に割り出した100人を対象にしたモニターアンケートを実施し、結果は現実対応可能な規模に縮小するということに賛成した人が54.1%という、このような答え方をしております。しかし、実際に病院を多く利用してきたのは旧庵原郡の住民ではなかろうかと思います。旧富士市民との思いは違ってくると思います。改めて関係する住民に対し、十分な説明と声を聞くべきだと考えますが、当局の考え方を伺いたいと思います。

3点目は、6月に運営検討委員会の答申書が出されましたが、答申を受けた後、今後どのようなスケジュールが考えられるのか、伺っておきたいと思います。

 

 

◯消防局長(寺尾達夫君) 熱中症での救急搬送状況についてお答えします。

ことしの市内におけます熱中症による救急搬送は、5月22日から始まりまして、9月22日現在183人です。そのうち65歳以上の高齢者の方は61人、率で33%、そういう状況でございます。

なお、昨年の熱中症による救急搬送は5月12日から始まりまして8月30日、これが昨年は最終日でございます。8月30日まで39人、そのうち65歳以上の方は14人で率で36%ということであります。

なお、ことしの搬送者の数は、昨年と比較しますと全体で4.7倍、それから、65歳以上の方につきましては4.4倍と、そういった状況になっております。

以上でございます。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 最初に、高齢者の実態調査と支援についての3点の御質問にお答えします。

高齢者の熱中症対策でございますけれども、各保健福祉センターの保健師が、各地域で行われるS型、B型デイサービスの中で、熱中症に関する説明やその対策を指導し、注意喚起に努めているほか、窓口相談においても、個別に熱中症の予防方法等を指導しております。

次に、高齢者の所在不明についての市の現状と対策についてということでございますが、本年度末までに100歳以上を迎えます長寿者は312名の見込みでございます。現在のところ本市の100歳以上の長寿者に所在不明者はおりません。本市におきましては、敬老事業として100歳到達者記念の肖像画を贈呈しておりますけれども、従来より事前に職員が家庭訪問し、本人または家族に現況確認を行っております。

また、101歳以上の方への記念品贈呈につきましては、各自治会の協力をいただき、敬老事業対象者リストにて毎年本人または家族の所在確認を行っております。確認できない長寿者につきましては、直接、職員による訪問や介護医療サービスの利用状況を参考にして安否確認を行っているところでございます。

次に、在宅福祉サービスの中で、安否確認を行っている施策ということでございますが、本市では、食生活に不安があるひとり暮らし高齢者等が、健康で自立した生活を送ることができるよう、食事サービス事業を実施しておりますが、配達時に利用者の安否の確認をあわせて行っております。

なお、直接の安否確認の事業ではございませんが、ひとり暮らし高齢者等の安全確保のため、緊急時に対応する緊急通報システム事業を実施しております。

次に、蒲原総合病院についての3点の御質問でございますが、地方独立行政法人化に対する市の考え方でございますけれども、本年6月に病院の運営検討委員会から、病院経営の大きな足かせとなっている人件費の削減を円滑に実施するため、経営形態としては、地方独立行政法人化(非公務員型)が最適であるという答申が提出されました。現在、病院組合に対しまして、答申を尊重しながら経営改善計画を平成23年3月までに策定するよう構成市から要請をしたところでありまして、この計画を踏まえまして、最も適した経営形態を構成3市で判断していきたいと考えております。

次に、住民に十分な説明をし、声を聞き、病院の運営に反映させるべきということでございますが、病院の運営につきまして、地域住民の声を聞くことは重要なことであり、病院組合が十分な説明を行うとともに、アンケートの実施など、住民の意向把握に努め、運営に反映していくよう構成3市で病院組合に要請しているところでございます。

次に、答申後のスケジュールでございますが、病院組合におきまして、来年3月までに経営改善計画を作成し、同年6月をめどに構成3市で計画の実施に最も適した経営形態を判断していきたいと考えております。

以上でございます。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) 最初に、高齢者の実態調査についてでありますけれども、前年より4倍近い救急搬送の実態が今、説明されたわけなんですけれども、私が感じるのは、熱中症に対する対策についても、市としては説明や注意喚起をしているということでありますけど、それはそれとして大事なことだと思うんですけども、1回目で質問したように、ひとり暮らしの高齢者、中でも女性の方というのは低所得者の方がかなりいるという中で、クーラーを買いたくても、なかなか買えないと。扇風機があれば、まだいいんでしょうけれども、クーラーがあっても、電気代を心配してかけ切れないとかいう実態があるわけで、そういう点では、私はそういう低所得者の人たちに何らかの、本来なら自治体というより、国がこういう高齢者に対する施策を十分やればいいんですけども、そうなっていない場合は、それまでは地方自治体で何らかの支援策を検討できないかということを考えているわけで、何らかの機会に、市としての支援策についても検討していただきたいなと考えております。

それから、当面、そういう支援策の検討とともに、私は、高齢者の皆さんが、先ほどの質問の中でも、自治会や自治会館の問題が議論になっていたわけですけども、公共施設の中で暑いときの一時待機所といいますか、そういうことで高齢者に対する支援策ができないのかなということを考えています。そういう点で、公共施設一時待機所みたいな形で支援策ができないか、検討できないか、お答え願いたいと思います。

それから、独居の高齢者の安否確認についてでありますけども、これもいろいろ高齢者に対する安否確認が、食事のサービスにおいてだとか、緊急通報の施策をやっているとか話が出ましたけども、この間、この独居の問題では、かなり全国的にも問題になっておりました。

先日のテレビの中では、北海道の旭川市、あそこは75歳以上のお年寄りの皆さんに対し、市の職員が直接訪問して安否確認をするという報道がされておりました。

それで、東京の目黒区では、牛乳屋さんやそば屋さん、弁当屋さんといった12種の業者の人たちと直接協定を結んで安否確認をするとかいうことが報道されていました。

県内では、焼津市がこの10月から、ひとり暮らしの高齢者の世帯に対する見回りということで、「高齢者あんしんサポート事業」ということを始めるようであります。事業内容は、これも新聞販売店6社と協定を結んで、市内の郵便事業者とも、これから協定を結んでやっていくということでありますけれども、静岡市としても、今やっている事業、これにあわせてこういう関連の業者の皆さんと協定を結びながら、安心して高齢者の皆さんが生活できるということで、施策として検討できないかどうか、この点、1点伺いたいと思います。

それから、蒲原病院の問題でありますけども、検討委員会の結果のことで、独立行政法人の非公務員化を打ち出したことに対して、3市でこれから検討をしていきたいということですけども、ぜひ医療水準が下がらないような検討を進めるよう静岡市がリードしていっていただきたいと思います。

それで、もう一点、質問ですけども、医師確保の問題について伺いたいと思いますけども、昨日も、厚労省の調査結果がありまして、医師数が16万7,000人に対し、医療機関はさらに2万4,000人を必要としてるということでありました。静岡県では861人が医師不足ということでありました。10年前と比較すると蒲原病院、18人という現状でありますから、これは蒲原病院一つに任せるのではなくて、56%という財政支出をしているわけで……

 

 

◯議長(安竹信男君) 残時間1分です。

 

 

◯17番(内田隆典君)(続) 静岡市が大きな役割を果たしていくべきではないかと思いますから、考え方について伺いたいと思います。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 最初に、熱中症対策についての2点の御質問で、クーラーの設置の補助ですとか、公共施設の一時待機所としての活用についてでございますけれども、現在のところ、クーラーの設置等の補助及び公共施設の一時待機所としての活用は考えておりませんけれども、今後、熱中症予防対策として、何らかの対策を検討する必要があると考えております。

次に、独居高齢者の安否確認で、新聞配達ですとか郵便配達、そういったものとの連携についての考え方でございますが、安否確認の方法としましては、食事サービス事業だけでございますので、今後、他の方法についても検討が必要だと考えております。

次に、蒲原総合病院の医師確保の考え方でございますけれども、医師不足につきましては、共立蒲原総合病院を含む全国的な課題であり、国や都道府県の政策に頼るところが大きく、市町村では簡単に解決できるものではないと考えております。

本市としましては、病院の経営形態等に関する答申の内容を踏まえまして、策定されます改善計画に沿って、医師、看護師等の必要な人数及びその確保について、他の構成市と協議しながら進めてまいります。

以上でございます。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) 最初に、高齢者の問題ですけれども、今、局長から話されたように、避難所の問題、それから、安否確認についても何らかの方法で検討していきたいということでありますから、前向きに検討して、もう涼しくなりましたけど、来年に向けてきちんとした対応をお願いしたいと思います。

それから、共立蒲原総合病院についてでありますけども、本当に医師不足というのは大変で、あの富士保健医療圏域では、県の資料を見ましても、大変全国的にも県平均に対しても、あの圏域は医療水準といいますか、医師数、病床数が少ないという状況がはっきりしておりますから、特段の配慮をもって静岡市が医師確保に全力を挙げていただきたいということを要請して質問を終わりたいと思います。