平成22年度静岡市一般会計予算を初め12議案に反対の立場で討論

80◯17番(内田隆典君) 私は、日本共産党を代表して、提案されております議案第31号平成22年度静岡市一般会計予算を初め、37号、46号、49号、50号、54号、56号、57号、61号、66号、74号、84号の12議案に反対の立場で討論を行います。

昨年8月に行われた衆議院選挙は、主権者国民が自民・公明政権への退場の審判を下すという歴史の新しいページを開くという画期的な出来事でありました。新しくできた政権は、国民要求に沿った政策の実行とともに、後期高齢者医療制度の先延ばし、労働者派遣法の問題等、公約に反する問題があります。

また、事業仕分けの名のもとに、医療や文化、スポーツ等の予算が削減され、関係者の中からは疑問の声が出されているところであります。

日本共産党は、今日の深刻な経済危機を打開するためには、ルールある経済社会を築くことが、日本経済の健全な発展の道と考えているところであります。

静岡市の予算についてでありますが、一般会計予算案は1,667億円となっております。市税収入を見てみますと、2009年度から世界的な経済危機の影響を受けて、2009年度と2010年度で100億円の減少となっております。このように、市税の減少は、世界的な金融危機と外需に依存した日本経済の脆弱性があらわれたものです。

今回の経済危機から教訓を考えれば、外需に依存しない経済、内需主役の経済に変革していくことが必要であります。こうした点からいえば、静岡市は、地域経済の活性化に向け、地域経済振興条例などをつくり、市政の中心課題としていく努力と同時に、市民の暮らし、福祉を応援する財政、民生費の拡大、公共事業の地域振興を柱とした改革をしていくことが必要であります。そのことが市税確保に結びつくと考えるわけであります。

2010年予算は、民生費が97億4,000万円ふえ、土木費が64億7,000万円減り、歳出に占める割合は民生費が27.6%、土木費は21.5%となり、初めて民生費が土木費を上回りました。

当市議団は、今年度、民生費737億円と土木費570億円が執行された場合の経済波及効果を、静岡市産業連関表を用いて試算をいたしました。その結果は、生産効果では民生費が1,279億円、土木費が890億円と、民生費が土木費の1.43倍の効果。雇用効果では民生費が2万4,841人、土木費が1万6,964人で、民生費が1.46倍の効果。粗付加価値は民生費が874億円、土木費が480億円と、民生費が1.82倍の効果が試算されました。3つの項目すべて民生費の経済効果が大きくなっておりました。今回初めて民生費が土木費を上回っておりますが、他の政令市と比較しますと、まだまだ静岡市の予算は土木費に偏っていると言わざるを得ません。

それでは、反対理由の1点目であります。国民所得はここ10年来下がり続けております。こうした中、毎年のように公共料金の値上げがされております。合併時の市民に対する最大の公約は、行政水準は高いほうに合わせ、市民負担は極力避けるということでありました。しかし、合併するや次年度から、国保料金が4年連続の値上げであります。こうした中、22年度の予算でも、またも値上げ案が提案をされております。市民の皆さんからは、今議会にも値上げではなく、せめて一世帯当たり1万円の値下げを求める2万名を超す請願署名が提出をされております。請願が議論された厚生委員会の中でも、提出者からは、合併時、滞納世帯は8世帯に1世帯だったのが、現在は4世帯に1世帯が滞納せざるを得ないという実態。年所得300万円、3人家族で国保料金を含めた公共料金を支払うと、生活保護を下回る生活を余儀なくされるということも指摘をされておりました。値上げではなく、値下げを求めるものであります。

2点目は、後期高齢者医療制度であります。値上げ案とともに、国のほうでは、加入年齢75歳の年齢を65歳まで引き下げる検討に入っているとの報道であります。医療差別をさらに広げるものであり、認めるわけにはいきません。

3点目は、支出の必要のない経費、徴収すべきでない経費についてであります。県の管理港でありながら、いまだに3億円を超す清水港整備事業県負担金、国直轄道路事業負担金であります。下水道受益者負担金は、都市計画税の二重取りであります。また、今回新たに負担も入っています。やめるべきであります。

4点目は、平和の問題であります。核兵器廃絶が世界的な課題になっているさなかであります。国内においては、アメリカの核密約問題が社会問題となっているところであります。こうした現状の中、海外派兵を強める自衛隊の自衛官募集委託、国民保護計画の推進はやめるべきであります。

5点目は、日本平整備についてであります。今後15年間かけて、総事業費100億円余をかけて、山頂を中心とした整備計画が立てられております。日本平整備は、予算の縮小と地域の自然環境を生かした計画推進を求めたいと思います。

6点目は、地方自治体の役割と責任についてであります。安上がりの行政運営、コスト削減のもとにPFI方式や指定管理者の導入など、民営化が強行されております。今回も、清水文化施設のPFI、学校給食におけるPFI、城東子育て支援センターの指定管理者等、公共の責任が求められる分野であります。

あわせて、民営化に伴う城東保育園の廃園、保育料の値上げ、保育園の民営化等、市民ニーズに逆行した施策はやめるべきであります。

7点目は、地域審議会委員の定数削減についてであります。市町村合併で、市民の皆さんがいろんな意味で心配されている中での委員削減はやめるべきであります。

8点目は、職員給与の削減についてであります。この間、何度となく削減が行われてきました。公務員の給与削減はこれまでもしてきましたが、民間給与の相場にも大きく影響を及ぼし、今日の景気低迷が消費の落ち込みに最大の原因があることからすれば、給与削減は避けるべきであります。

9点目は、市職員の定数条例の改正、一般職の任期付職員の採用についてであります。この間、定員管理に基づく職員一律5%削減が行われてまいりました。当局は、効率的で生産性の高い行政運営を行い、行政のスリム化を図ると言ってきました。結果、毎年のように正規職員は減り、非正規職員の増加となっております。保育の現場では逆転現象が起こっております。そのため、待機児童対策で臨時保育士の募集を行っても、思うように職員が確保できないという、このような事態が生まれているわけであります。現在、労働者派遣法や派遣切りは、大きな社会問題になっております。こうしたときこそ、行政は、民間企業と同じようにコストや生産性に重点を置くのではなく、正規職員の採用、市民サービスと景気・雇用対策にイニシアチブを発揮すべきではないでしょうか。

このことを求めて討論といたします。