上下水道事業について

◯寺尾 昭
 上下水道事業について、2つのテーマでお伺いいたします。
 最初に、水道料金、下水道使用料についてであります。
 市は今後、段階的に値上げを進め、15年後、厳密にいうともう13年後ということになるようですが、水道料金、そしてまた下水道使用料ともに、実質的には現在の2倍にするというグラフをこの間私は見たわけでございます。
 本市は主に安倍川の伏流水を水源とする豊富な水資源に恵まれ、水質も全国的には上位を占め、おいしい水として有名です。渇水期には、清水区で苦労していた取水も、北部ルート、南部ルートなどの開通でほぼ解決しております。給水に係る費用である給水原価も、全国と比較して安価であると、要するに仕入れ値は安いということでありますが、質問です。
 大都市の中で、給水原価の順位は高いほうからどのくらいになっているのか、お聞きします。
 次に、水道の有収率についてであります。
 静岡市はこれが80%程度で、給水している全体量の約2割の水が漏水、無駄になっている、消えているということであります。これは、政令市など類似団体と比べ、平均値でいいますと10%ぐらい低い、下回っているという状況であります。
 質問であります。
 水道の有収率が類似団体の平均値を10%程度下回っているその理由と、それに対してこれまでどのような取組を行ってきたのか、伺います。
 次に、水道事業の耐震化の点でありますが、能登半島の大地震の教訓からも改めて重要視されております。
 料金の値上げは耐震化も理由の1つだと言われております。老朽化と耐震対策を進めるために、今後の収支を算出した結果、不足額を料金値上げで補おうとするものであります。
 災害対策は、本来、国の責任で行うべきものであります。災害対策基本法はその第3条で、国は国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、組織及び機能の全てを上げて防災に関し万全の措置を講ずる役割があるということを言っております。水道、下水道事業に係る災害対策である耐震対策についても同様であるべきです。
 耐震化の実施に当たって、不足分を料金値上げで賄うのではなくて、まず国の事業として行われるようにすべきではないでしょうか。
 質問です。
 水道事業における耐震化の実施に当たって、国のどのような補助制度を活用していくのか、伺います。
 賃金の引上げが今、多少あったわけでありますが、諸物価の大幅高騰で実質賃金はマイナスという状況が続いております。
 値上げ案は、段階的とはいえ、実質、13年後に約2倍というもので、市民にとっては大変過酷なものと言えます。めじろ押しとも言える大型公共事業、昨日からの議論もあるわけでありますが、それを後回しにしてでも市民の生活を優先すべきだという声も強まってくることも予測されます。
 また、値上げを少しでも縮小するとか回避しようとする工夫や努力はあまり見られません。このままでは、市民から大きな反発の声が上がることは必至ではないでしょうか。今後、市としてどのような対応策を講じるのか、市民の関心が高まらざるを得ない状況にあります。
 4つ目の質問ですが、料金改定について、上下水道事業経営協議会での協議の状況と、値上げについてどのように今後、市民の理解を得ていくのか伺いまして、1回目といたします。

◯上下水道局長(大石一誠)
 水道料金、下水道使用料についての4点の質問にお答えします。
 まず、大都市の中で給水原価の順位は高いほうから何位かについてですが、給水原価は水道料金収入の対象となった水量である有収水量1立方メートル当たりについて、どれだけの費用がかかっているかを表す指標です。
 総務省で公表されている最新の2023年度決算経営比較分析では、静岡市の給水原価は130.44円で、政令指定都市の中で県営水道を主体としている千葉市と相模原市を除く18都市中18位です。
 次に、水道の有収率が類似団体平均値を下回っている理由とこれまでどのような取組を行ってきたかについてです。
 初めに、有収率が類似団体平均を下回っている理由についてですが、類似団体間で行った調査結果によると、静岡市は他都市と比べ管路の更新が進んでおらず、老朽化等による漏水が多いことが理由であると考えています。
 漏水は、地上漏水と地下漏水に分類されます。地上漏水は、水道水が道路上などに噴き出し、発見しやすいため、早期に修繕が可能です。一方、道路上などに噴き出さない地下漏水は、漏水を直接、目視で確認することができないため、多くの場合、発見が遅れ、地下での漏水が長期にわたり、多くの水を失うことになります。
 静岡市は地下水位が高い箇所が多く、地下水位より下に埋設してある管から漏水しても発見しにくいため、地下漏水による漏水が他都市と比べて多いと推定しています。
 次に、これまでの取組についてですが、市内全域を対象に路面音聴による漏水調査を実施し、漏水を発見した箇所は修繕し、頻繁に漏水する区間は新しい管に交換してきました。
 2024年度からはAI解析を取り入れ、漏水リスクの高い区域の絞り込みを行い、その結果を基に重点的に調査し、地下漏水の発見精度の向上に努めています。
 続きまして、水道事業における耐震化の実施に当たって、国のどのような補助制度を活用していくかについてですが、2024年の能登半島地震を受けて、2025年度に水道の耐震化事業に係る国庫補助金に、災害拠点病院などの重要施設に係る上下水道管路の一体的な耐震化や浄水場などの急所施設の耐震化に対する制度が創設されました。
 このことにより、施設の管の耐震化を目的とした整備事業が補助の対象となりました。これを受け、2025年度の補正予算からこの補助制度を積極的に活用していきます。
 最後に、料金改定について、上下水道事業経営協議会での協議の状況と、どのように市民の理解を得ていくかについてです。
 まず、協議の状況についてですが、水道料金等の改定に係る協議は、現在、学識経験者や公募市民などで構成される上下水道事業経営協議会で行っており、現在までに3回実施しました。
 協議会では2040年までの15年間で耐震化等に必要となる事業費と財源を示し、1度の改定で必要額を賄う場合、水道料金は約50%、下水道使用料は約40%の増額になることを説明した上で、改定の必要性、改定周期と改定率、料金体系、料金設定等について協議を行っています。
 まず、老朽化対策に加え、災害時においても安定した給排水を確保できるよう耐震化を加速することの必要性を御理解いただき、そのための財源として改定が必要であるとの判断をいただきました。
 その上で、改定周期は3年ごと段階的に行うことで今回の改定率を平均約15%に抑えること、料金体系は基本料金と従量料金からなる現行の体系を維持すること、料金設定は他政令市との比較から、少量利用者の改定率を15%より低く設定し、中量・大量利用者に負担を求めること等の方向性が示されている状況です。
 今後、12月に協議会から提出される意見書を踏まえ、最終的な料金改定案を作成し、令和8年2月定例会にて料金改定に係る条例改正議案を御審議いただく予定です。
 次に、どのように市民理解を得ていくかについてですが、改定の主な理由である、災害時においても災害拠点病院や避難所などの重要施設で給排水が確保できるように耐震化を進めることや、老朽化対策を実施し、道路陥没などの事故を未然に防ぐことが市民の皆様の安全・安心の確保につながるものであることを説明いたします。
 あわせて、今回の改定は、デジタル技術の活用等によるコスト縮減に取組、料金以外の財源として国庫補助金等を積極的に活用した上で、なお必要になるものであることを丁寧に説明し、市民の皆様の理解を得ていきたいと考えています。
  

◯寺尾 昭
 次に、管・施設の整備とウォーターPPPについてお伺いします。
 能登半島地震や埼玉県八潮市での下水道管損壊事故もあって、水道管、下水道管の老朽化対策や耐震化対策が急がれております。
 確かにその必要性は認めますが、管や施設が設置されたのはいつなのか、その耐久性はいつまでなのかなどは既に分かっていたはずではないでしょうか。高度経済成長期に集中して設置されたことで、維持管理に手いっぱいだったというのでしょうか。
 しかし、今日のような状況が来ることは既に予測できていたはずです。これまで計画的に進めてこられなかったのはどうしてか、お伺いいたします。これまで上下水道一体となった耐震化ができていないのはなぜかということであります。
 次に、ウオーターPPPについてであります。
 PPPというのは、パブリック・プライベート・パートナーシップの略でありますが、日本語で言うと官民連携と訳されているようです。
 この方式について、国土交通省は大きく複数年度、複数業務により区別し、これまでの3年から5年の短期契約である民間委託、レベル1から3というものと、10年から20年の長期契約であるコンセッション方式、レベル4ということになりますが、さらにこの中間的な方式として、原則10年とする長期契約である管理・更新一体マネジメント方式、レベル3.5、何かよく分かりませんけれども、これを新設して大別しております。
 国は、ウオーターPPP導入へ期限をつけて誘導策を講じ、国費の支援を行うというようなことも言っております。
 現在、我が国でのレベル4の導入状況は、水道事業で1件、下水道事業では3件、あるいは工業用水道で2件というところにとどまっている状況であります。
 とりわけ、コンセッション方式導入の先進国と言われたイギリスやフランスでは、大幅な料金値上げになっており、果たしてウオーターPPPは市民にとってメリットがあるのか、こういうことも言われております。見直しが進んで、直営の事業、公営の方向に戻すというようなことが既にイギリスとフランスなどでは行われているわけであります。
 そこでお伺いしますが、ウオーターPPP導入によりどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。
 今年の上下水道資料6月25日更新版というのがあるわけですが、これによりますと、本市では7つの浄化センターのうち4つの浄化センターで包括的民間委託、管路約2,500キロメートルについて直営管理しておりますが、今後、一部の処理区でウオーターPPPの導入を検討するというふうに書かれております。
 この一部の下水道処理区における今後の導入に向けた検討状況や方向性、特に職員の技術継承はどのように考えているのか、お伺いいたします。
 2018年11月定例会において、松谷議員の質問に対して当時の大石公営企業管理者は、水道、下水道事業では直営方式を守る、コンセッション方式は導入しないということを明確に述べております。
 前の質問で指摘しましたように、市は今後、一部の処理区でウオーターPPPの導入を検討するというのは、このときの答弁と矛盾しないだろうか。コンセッションはウオーターPPPの1つの方式であることは国交省も言っているとおりです。改めて、認識を問うものです。
 そこで質問ですが、2018年11月定例会におけるコンセッション方式は導入しない旨の答弁について、今日時点での認識はどのようになっているのかお伺いして、2回目です。

◯上下水道局長(大石一誠)
 初めに、これまで上下水道一体となった耐震化ができていないのはなぜかについてですが、これまでは水道、下水道がそれぞれ個別に耐震化の取組を進めてきたからです。
 まず、水道の耐震化についてですが、厚生労働省の水道ビジョンなどを考慮し、老朽化対策と併せて取り組んできました。
 主な取組としては、断水が発生すると市民生活への影響が大きい管と施設を対象に、供給水量や復旧に要する日数などを踏まえて箇所を選定し、耐震化を進めてきました。
 一方、下水道の耐震化については、国土交通省の下水道の耐震化対策指針などを考慮し、取り組んできました。
 主な取組としては、まず管を優先し、地震時の液状化によるマンホールの浮上に伴う交通障害を防ぐため、緊急輸送道路に埋設されている管の耐震化や、災害時に重要となる災害拠点病院などの排水を担う管の耐震化を進めてきました。
 このように、水道、下水道がそれぞれ個別に耐震化の取組を進めてきたことから、部分的に耐震化が図られているものの、災害時において重要施設の給排水を確保するための上下水道一体となった耐震化ができていない状態でした。
 続いて、ウオーターPPPに関する3点の御質問について、一括でお答えします。
 まず最初に、ウオーターPPPについてですが、議員の説明と重複するところもありますが、これは上下水道事業を維持していく上で、老朽化した施設の増加や事業収益の減少、職員の確保といった全国的な課題に対応するための官民連携手法の1つです。
 料金の設定や徴収を含む運営権を事業者に対して設定する従来からあったコンセッション方式に加えて、2023年6月に内閣府より管理・更新一体マネジメント方式が新たに示されました。
 管理・更新一体マネジメント方式は、包括的民間委託の範囲を管と処理場やポンプ場の維持管理だけではなく、更新計画案の作成や大規模修繕、更新工事等に拡大したものであります。これらの総称がウオーターPPPとなります。
 導入のメリットについてですが、一般的に期待されるものとして、これまで個別に発注していた大規模修繕や更新工事などを維持管理と一体的な契約にすることにより、不具合が発生した際に迅速な対応が可能となります。また、既に静岡市の一部処理場でも導入済みの包括的民間委託では3年から5年程度であった契約期間を原則10年以上の長期契約とすることによる投資効果の発現や人材の確保、新技術の導入促進などが官民双方のメリットとして上げられています。
 次に、静岡市の下水道における現在の検討状況についてですが、料金設定を含む運営権を保持したまま、静岡市においても老朽化施設の増加や将来の職員確保といった各種課題に対応し、効果的に運営を行っていくため、管理・更新一体マネジメント方式を念頭に、具体的な導入効果の検証や委託対象とする施設の範囲を検討しています。
 一方、日常の履行確認や災害時対応の観点からも、職員の技術継承は重要と考えており、従来どおり、職員が修繕などの維持管理や更新工事、水質管理等を実施する処理区を残すことで、職員の育成や技術継承の場をしっかりと確保した上で、一部の処理区での導入を検討しています。
 最後に、2018年11月定例会におけるコンセッション方式を導入しない旨の答弁について、今日時点での認識はどうかについてですが、上下水道事業を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、当時、コンセッション方式を導入しない理由として述べている、安全・安心な市民生活を第一優先に考え、経営の効率化に一層努めるという認識に変わりはありません。
 その上で、現在、ウオーターPPPの導入について検討を行っており、年度内に方針を決定する予定です。
  

◯寺尾 昭
 3回目でありますが、水道あるいは下水道事業の本来の在り方について考えてみますと、水は私たち人間だけではなく、この地球上に生きている全てのものが生きていく上で、なくてはならない、まさに命の水ということになるわけであります。
 水道法は、その第2条の2で国、都道府県、市町村、水道事業者等の責務をうたっております。とりわけ、国が水道の基盤の強化と技術的、財政的な援助をするということを明らかにしているわけであります。
 また、災害対策についても、先ほど述べましたように、国の責務を明確にしております。つまり、第一義的には国にその責務があることを言っているわけであります。
 次に述べるように、事業を進めるに当たって財源不足が生じるからといって、直ちに市民に負担を課すというのはいかがなものかと私は考えるわけです。法の趣旨からいっても、受入れ難いと言うべきではないでしょうか。
 そして、今、答弁にもありましたように、今後、料金、使用料の大幅な値上げということで、段階的に上げていくと、そして、水道約5割、下水道約4割という話がありましたけれども、ちょっと話が長くなるから省略しますけれども、金額的には13年後には2倍になる、こういう金額が出ているんですね。そういう点では、もっともっと検討する余地があると思います。
 先ほどありましたように、給水原価は18市中一番安い、つまり仕入れ原価が一番安いということでありますから、仕入れは安いのに高く売るというのは、これはあくどい商売になるわけであります。
 あるいは、有収率、これはよくない。つまり、無駄にしているところが多い。こういうところもまだまだ改善していく必要があるのではないかと思います。
 そしてまた、今後、めじろ押しの公共事業も議論されておりますが、これらもやっぱり批判の的になることも考えられます。
 いずれにしても、値上げ案について、今のままということにはならないのではないか、いろいろまだ手だてを取っていく そういう方法があるのではないかということを改めて申し上げたいと思います。
 ウオーターPPPについてであります。
 2018年11月議会の答弁との整合性は、さっきの局長の答弁では、果たして整合性があるのかと非常に疑問に感じます。
 さらに、技術の継承という点でも、大変心配されるわけであります。
 コンセッションで大幅に値上げがあったヨーロッパの例なども報告されております。また、国の誘導策、期限を決めて国費の支援というような誘導策なども言われて、ニンジンをぶら下げられているという気がしないでもありません。
 慎重な検討を求めて、質問を終わります。