議案第124号静岡市アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の制定について 反対の討論

◯内田隆典
 日本共産党議員団を代表して、ただいま議題となっています議案第124号静岡市アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の制定について、反対の討論を行います。
 この条例は、静岡市がJR東静岡駅前に300億円をかけ、8,000席規模のアリーナ建設を計画しているものです。この施設は、運営権を民間に移譲するという特殊なケースであります。こうした事業を進める場合、実施方針に関する法令、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法であります。この第18条で、公共施設等の管理者等は条例の定めるところにより、実施方針を定めるものとするとなっており、市議会の同意が必要となり、議案が提案されているものと承知しております。提案されている条例案が可決されますと、いよいよ事業者の選定に入っていきます。本年8月には入札公告、入札説明書等の公表・交付、10月には参加証明書の受付、参加資格の確認、2026年1月には事業提案書の締切り、3月には落札者の決定及び公表、4月には事業者との特定事業契約の仮契約の締結と進んでいく計画が示されています。
 アリーナ建設計画については、さきの2月議会で、建設に係る債務負担行為300億円、33年間が可決され、動き始めています。
 我が議員団は、この計画で気になる点が2つあります。1つ目は、経済波及効果、所得誘発額についてであります。産業連関表により試算した33年間の経済波及効果5,286億円、所得誘発額は1,455億円とされております。しかし、産業連関表に投入した与件データとその設定根拠は記載がありません。この件で、我が党の質問に対し、当局は、今後の入札に際し、業者からよりよい内容を提出させるために明らかにできない。明らかにすると、業者の提示内容の水準が低くなるという回答です。一般的には、これらの情報が市民も含めて公開された上での入札が公平公正な入札であり、競争原理も働くと考えますが、市当局は契約が終わるまでは明らかにしない方針であり、理解できない部分です。同種の案件で、豊橋市や岡山市では、産業連関表に投入した与件データやその根拠が明示されています。なおさら、静岡市の対応については疑問に感じざるを得ません。市長は、アリーナは単なる箱物ではなく、まちづくりの中に位置づけられる計画であり、市長が最重要視する人口減少対策にも資すると強調しています。
 2つ目の問題であります。住民の理解が十分得られているのかという問題です。市長は、関係する地域に3度ほど出かけ、アリーナの必要性について説明し、理解が得られたとしています。私たちも、市民の貴重な税金を300億円も投じる計画ですから、昨年秋、独自のアンケート調査を実施いたしました。回答を得た約1,000件を分析しました。結果は、建設賛成30%、反対30%、分からない30%という結果でした。地元地域では、騒音、固定資産税の値上がり、交通渋滞など、日常生活への影響に対する心配の声が出されています。私は、アリーナ建設は現在、市民の合意が得られているとは思いません。物価高騰で市民生活が困窮しているときに、300億円をかけた大型プロジェクトは慎重に対応すべきことを指摘し、討論とします。