清水庁舎移転計画について

◯内田隆典
 通告に従いまして、質問します。
清水庁舎の移転計画についてであります。
 市長のこの問題についての説明責任について伺いたいと思いますけれども、9月議会で庁舎建設に関する債務負担行為の予算と庁舎の位置を変更する議案が可決されました。市長は、議会の決定は重いものがあるとコメントしています。しかし、9月議会を見ても、市長は、議会でも議論を深めると言いながら、市民が心配する指摘に対し、真正面から向き合って議論してきたとは思えません。むしろ、議論から逃げ回っているように市民には映っています。市長は、丁寧に説明を繰り返し、理解は広がっていると発言していますが、3月の市長選挙での出口調査、その後の静岡朝日テレビの調査結果を見ると、この問題を市民が知れば知るほど、不安と反対の声が広がっているというのが現状であります。市長の現状認識と、今後、どのように説明責任を果たしていこうとしているのか、まず、伺っておきたいと思います。
 2点目は、庁舎整備に関連する財源について伺いたいと思います。
 計画では、清水駅東口に新たな庁舎を建設すると、約94億円の財源が必要とされています。この財源の内訳は、国庫負担金、補助金がありませんから、全額静岡市の負担ということのようであります。こうした大規模な事業を計画する場合、当然、国庫補助が受けられるのかどうか、該当するメニューがないか、当局は常に検討していると思います。
 国においては、東日本大震災及び平成28年の熊本地震を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災・減災のための事業として、緊急防災・減災事業債というのをつくりました。事業内容を見ていきますと、津波浸水想定区域移転事業というのがありまして、津波浸水想定区域にあり、地域防災上、津波対策の観点から移転が必要と位置づけられた公共施設及び公用施設の移転を対象としております。大規模地震が発生した場合に、甚大な被害を受けると想定され、災害応急対策上、不可欠となる防災対策の拠点施設及び災害時に特に配慮が必要となるものとなっています。この事業に該当しますと、地方交付税が70%措置され、断然有利であります。当局は、この緊急防災・減災事業債について、どのような議論をしてきたのか。また、建設検討委員会においても、この事業債について、市当局から提案し、建設検討委員会等で議論すべきではなかったかと思いますけれども、当局の認識について伺いたいと思います。
 3点目は、清水庁舎解体に関して2点伺いたいと思います。
 最初に、庁舎解体費用についてでありますけれども、当初は解体費用は7億2,000万円と言われておりましたが、11月8日付の中日新聞の報道によりますと、これまでの額の4倍規模、最大32億円と試算したと報道されました。大きな開きがあるわけでありますが、最初の見積もり、そして、4倍に膨れ上がった根拠、誰が、どのような試算をしたのか、伺いたいと思います。
 次に、解体費用が4倍にも膨れ上がったということでありますが、普通はこんな大事な問題が起こった場合、公表するのが当たり前だと考えます。9月議会では、建設関連予算の債務負担行為の予算と区役所移転の条例が提案されていますが、3月の費用増加分がはっきりしたわけですから、当然、9月前に議会に報告する案件だと考えますけれども、公表しなかった理由について伺いたいと思います。

◯公共資産統括監(吉井博昭君) 市長の説明責任についてですが、本年9月定例会において、新清水庁舎整備に係る事業予算及び静岡市区の設置等に関する条例等の一部改正について、議決という市議会の重い判断をいただいた以降も、市長ミーティング室を活用し、市長みずからが、清水区の自治会連合会や経済団体などと清水のまちづくりについて対話を重ねております。また、担当職員も清水区の自治会に順次出向いて事業説明をするほか、当該事業に関心を持たれている市民の皆さんと面談を重ねるなど、事業の内容に対して理解を求める説明を続けてきております。
 引き続き、より多くの市民の皆さんに御理解いただけるよう、丁寧できめ細かな説明に努めてまいります。
 次に、緊急防災・減災事業債の活用についてですが、緊急防災・減災事業債については、財源確保の観点から活用の可否について検討いたしました。しかし、当該事業債が令和2年度までの時限立法であり、事業スケジュール上、新清水庁舎整備事業は対象となりません。そのため、新清水庁舎建設検討委員会へは提案しておりません。
 次に、現清水庁舎解体の見積もりについてですが、現庁舎解体後の土地の利活用に際し、参考とするため、仮に基礎ぐいの全てを撤去する場合の工法で見積もりを徴取しました。見積もり結果につきましては、平成31年3月に委託業者から報告を受け、見積額は税抜き29億円でした。
 最後に、解体費用の説明についてですが、基礎ぐいを全て撤去する工法は、現清水庁舎解体後の土地の利活用方法が具体的に決定していない中、基礎ぐいの扱いなどについて不確定要素が多いため、市のホームページ等では公表しておりません。現在のところ、現清水庁舎の解体費用につきましては、建物基礎から地上部分の躯体までの解体を基本とする税抜き約7億2,000万円のみをもって説明してきております。
 
◯内田隆典
 移転計画ですけれども、市長は、説明責任を果たすために自治会や経済団体等々に出かけているという答弁でした。確かに、そういう形でとられていますけれども、私に言わせれば、市長は理解を得られそうなところにだけ出かけていくんじゃないかという感じがしてならないんです。住民投票も拒否するし、自信がないんじゃないかということを感じております。そういう点では、私はもっといろんなところに出かける必要があると思いますが、時間の関係でこれくらいにしておきます。
 緊急防災・減災事業債ですけれども、確かに、来年度、2020年度までの時限立法であることは承知しております。しかし、この事業は南海トラフ巨大地震も含めて、大変なことになるんじゃないかと思っています。そういう点で、愛知県や三重県など、11府県と名古屋市など、5政令市が、経済団体も含めて11月14日に緊急の防災対策促進大会をやっているんですね。3カ年の国土強靭化事業を含めて、地方への財政支援強化を求める決議文を採択しました。そして、難波静岡県副知事が、大会に出席していた国土交通大臣政務官に手渡したとなっています。神戸市は緊防債事業について、独自の要求をしているということも報道されております。
 この事業債は、確かに、来年度までの時限立法ではありますけれども、オリンピックが開かれて、いろんな事業に支障を来している。静岡市だって、こども園の建設事業にもいろいろと事業債を期待している。そういう点では、東北地方もまだまだ東日本大震災からの復興という点では、おくれていると言われておりますから、こういう関係市、県が国に対して、この事業債を要望しているということであれば、これは、もう時限立法でぱたっと切れるということはないと思いますし、私は、財政上の問題を含めて、これは静岡市が慎重に検討する必要があったんじゃないかと思っています。
 それで、質問ですけれども、私は、この緊防債を含めて、市長の推進している移転計画は、一旦白紙に戻すべきじゃないかと思っているんです。確かに、債務負担行為と位置条例は、9月議会で決まりました。しかし、その後も、今議会でも問題になった解体費用が4倍にも膨れ上がっていると。これは、本来であれば議会で議論し、その上で判断させるということですけれども、それをやっていない。そういう点では、大変不自然な事業だと思っています。
 それから、市長はいろんな形で説明責任は果たしていると、説明にも回っていると言いながら、いまだに、新たに住民投票を含めて市民の意向を聞こうとしてませんから、わかりませんけれども、私は、今の時点でも市民の皆さんのこの事業に対する意向というのは、やっぱり半分以上の方々が、うまくないんじゃないかと危惧していると考えております。
 それから、毎回言っているんですけれども、静岡市自治基本条例です。前にもここで話をさせていただきました。市長が憲法と位置づけている条例ですよ。御案内のとおり、この条例は、市長だけではなくて幹部の皆さんだけで決めるなと言っているわけです。幹部の皆さんって、あなた方ですよ。それで、市民の意見をよく聞いた上で、聞くだけではなくて、その意見を条例に反映させなさいとなっているわけです。一つ一つ考えてみてくださいよ。私は、あなた方がつくったこの憲法と位置づける条例にも反しているような行政運営をしていると、だから、声高らかに、何回も何回もこれを考えたらどうですかと言っているんです。
 それから、緊急防災・減災事業債についても、私は検討が不十分だと思っています。仮に、これが受けられるとすれば70%の交付税措置ですよ、50億円とか60億円という単位で、もしかしたら該当するかもしれない。あわせて、これは、津波浸水想定区域外に移すんですから、安全・安心な場所に移るんですよ。そういう点で、私は慎重にやるべきじゃなかったのかと思います。そういう点では、私は、今の計画は一度白紙に戻して、検討をやり直すべきということを質問して2回目とします。

25◯公共資産統括監(吉井博昭君) 庁舎移転計画の見直しについてですが、新清水庁舎の整備に関しては、有識者や市民委員で組織する新清水庁舎建設検討委員会においての議論、さまざまな手法で繰り返し行った市民意見の聴取を経て、基本構想、基本計画を策定し、事業を推進してきております。そして、本年9月定例会においては、新清水庁舎整備に係る事業予算及び静岡市区の設置等に関する条例等の一部改正について議決されたところです。このようなことから、庁舎移転計画の見直しの予定はございません。

◯内田隆典 
 市長、一度決めたからってね、問題があれば真っすぐ突っ走らなくてもいいんですよ。私は、そう思いますよ。今、答弁がありましたけれども、建設検討委員会、パブリックコメント、いろんな意見を聴取したからいいんだと言っていますけれども、あなた方は、いろんな意見を取り入れようとしていないじゃないですか。聞きっ放し。