清水庁舎建設場所の再検討を

 それでは、通告しています新清水庁舎の移転計画について質問させていただきます。
 田辺市長は、新清水庁舎計画について、パブリックコメントの実施後においても、建設場所について反対の意見が多数寄せられたとしても、一度決めた建設場所の変更はあり得ないと豪語してきました。そうした中、2月13日から1カ月間のパブリックコメントが実施されました。応募者数は421人、意見数は828件となっています。意見の内訳を見てみますと、庁舎に必要な機能270件、建設場所238件、清水のまちづくり123件となっています。短期間の中で、また、清水庁舎の移転計画が余り市民に徹底されていない中で数多くの意見が寄せられたと私は感じております。当局はパブリックコメントで市民から提出されたさまざまな貴重な意見に対し、どのように受けとめているのか、まず伺います。
 2点目は、パブリックコメントで提案されている貴重な意見に対する対応についてであります。意見の反映状況を見ていきますと、基本構想に反映した意見は44件、基本計画の中で検討する意見345件、清水港臨海部グランドデザインの中で検討する意見82件となっています。残る意見はどこにも反映されないのか不思議であります。また、建設場所についても、津波浸水区域であることから立地場所を変更するべきだとする意見は134件、42%もありました。清水区民からの応募も316人あり、市民に対し十分な説明をという意見も多数寄せられています。こうした貴重な市民意見に対して、市の考え方に沿わないものと決めつけ、一切無視する考えなのか、当局の考え方について伺います。
 3点目は、パブリックコメントの実施に当たり、市の対応について伺います。
 市長は、パブリックコメントに当たり早朝から清水駅前に出かけ、パブリックコメントが始まったと宣伝を行いました。このこと自体は私も理解しますが、不可解なのはパブリックコメントの実施に当たり駅前銀座商店街に市職員が訪問し、意見応募用紙を配布したことです。清水区民にはパブリックコメントが始まりますといった資料は全戸に配布されましたが、意見応募用紙はついておりませんでした。なぜ駅前銀座商店街だけに市職員が訪問し、このような対応をしたのか、配布先と目的は何か、また、パブリックコメントの実施に当たり、意見応募用紙を配布した例は過去にあるのかどうか、伺います。

◯公共資産統括監(川崎 豊君) パブリックコメントに関する3点の質問にお答えいたします。
 まず、寄せられたさまざまな意見に対して市はどのように受けとめているかについてでございますが、このたび実施したパブリックコメントには、さまざまな視点で828件もの御意見をいただき、心より感謝申し上げるとともに、改めて市民の皆さんの関心が高いことを認識いたしました。これらの御意見の中には、庁舎移転を契機にまちの再生に期待を寄せた御意見や、災害に強い庁舎建設を望む声なども多数いただいており、大変心強く感じております。しかし、清水庁舎を津波浸水想定区域内へ移転することに対する不安や懸念などの御意見もあったことから、今後も引き続き積極的な情報発信と丁寧な説明に努めてまいります。
 次に、基本構想、基本計画、グランドデザインのいずれでも検討されない意見についてどのように考えているかについてですが、基本構想案に対していただいた全ての市民意見については、十分な検討を行いました。そのうち、基本構想案をよりよいものとする御意見については積極的に反映し、施設の詳細な計画や清水のまちづくりに対する御意見については、今後、基本計画やグランドデザインの中で検討してまいります。なお、建設場所等の基本構想の根幹に係る方針を大きく変更するような御意見については、多くの市民の意見をもとに、検討委員会で十分に議論を重ねてきた経緯もあるため、施策の参考とはするものの、反映しないことといたしました。
 また、市民説明の方法に関することなど、清水庁舎の基本計画やグランドデザインの内容にかかわらない意見については、貴重な御意見として賜り、今後の市政に生かしていきたいと考えております。
 最後に、職員みずからが意見応募用紙を配布した配布先と目的、また、過去の実施事例についてでございますが、このパブリックコメントの実施に当たっては、広く市民の皆さんに知ってもらい、多くの御意見をいただくため、募集期日初日に市長、副市長がJR清水駅前において直接乗降客にリーフレットと意見応募用紙を配布いたしました。職員による駅前銀座商店街での周知活動もその一環であり、特に建設予定地の近くで商売を営んでいる方々から、将来を見据えた清水のまちづくりの観点で御意見をいただきたく実施したものでございます。
 また、パブリックコメントの内容について、施策をよりよいものとしていく目的で、関係の深い団体などに意見応募用紙を配布した事例はございます。
  〔37番内田隆典君登壇〕

◯37番(内田隆典君) 答弁いただきましたけれども、丁寧に説明するということですから、後ほどこの点については質問をさせていただきますので、本当に丁寧にやってください。それから、根幹にかかわることであっても、重要な問題については、私は変更してもいいと思っているんです。一度決めたから、根幹はもう変更しないというのは、市長として僕は問題があると思っていますから、後ほどこれについても質問するのでお答えください。
 6月初めに建設検討委員会が始まりました。ここでは基本構想の段階で、市の職員が960人、それを600人から650人程度に削減しようという提案がされておりました。報道もされておりましたが、まだまだ削減しようとしているのか、1点目に伺いたい。
 2点目は、国や県の施設、民間施設との複合化についての考え方です。静岡市は、清水地域が港を中心として発展してきた。だから、今回の庁舎も国際海洋文化都市の名のもとに、市有地があるからそこに庁舎を建てるということですが、津波浸水域にあるということで問題になりました。しかし、その周辺に国や県の施設も一緒に入れ、民間施設との複合化もという発想がありますけれど、現時点でこの可能性がどこまであるのか、伺いたいと思います。
 3点目は、静岡県において津波警報等が発表された場合の対応です。現在の清水庁舎は、災害対策本部が置かれることになっておりますが、対応できない場合には、大曲にあります清水消防署に災害対策本部を置くということになっております。私は、本当にここで本部が機能を果たせるのかどうか疑問を持っていますし、この地域は七夕豪雨でも相当な浸水域となりました。4次想定では確かに清水消防署は本部機能を果たせるということでありますが東日本大震災の教訓からすれば、私は対応を慎重にするべきだと思っています。
 宮城県の南三陸町の防災対策庁舎は、いろいろ報道されましたけれども、地上から12メートルの3階建てでした。しかし、3階の屋上を2メートルも超えるという津波が押し寄せ、これは誰も予想をしていませんでした。4次被害想定では、清水消防署は津波に対して大丈夫だということでありますが、学者の中では地震の際の海底地すべりを引き起こす可能性も指摘されていますので、当局としていろんな角度から検討、研究しながら、本当にここで災害本部としての役割を果たせるのかどうか、他の場所に設置することを含めて検討していくほうがいいのではないかと考えますが、お考えについて伺います。
 4点目は、基本構想策定時における検討で建設候補地はいずれも、津波浸水想定区域の4カ所を検討委員会で議論してきました。だから、津波浸水想定区域以外の答えを出すという案がないわけです。しかし、私が指摘したいのは、4月26日、東日本大震災で津波に襲われた宮城県石巻市立大川小学校で犠牲になられた児童の遺族の皆さんが裁判を起こしました。二審の仙台地裁の判決内容は、一審より厳しい判決が出ました。一審の決定を変更し、津波浸水想定区域外であったけれども、学校への津波襲来の危険性は予見可能だったという判断をしました。そういう点で、教育委員会にも指導を怠った責任ということで厳しい判断が示されました。
 この清水庁舎問題は、パブリックコメントの中でも数多く指摘された場所であります。私もこの市議会の中で何回となく建設場所には適さないのではないかということを指摘しました。しかし、市長は一旦決めたんだから、もうこの場所で進めるんだと。提案している行政の長である市長に責任があるのか、それとも、そこの場所だと決めた検討委員会に責任は出てくるのか、最終結論を出そうとしている議会にあるのか、私は責任はとれないと思うんです。そういう点について、最終判断を出したところの、どういう形の責任がとれるのか、どう考えているのか、私は市長の言葉でこの問題について答えていただきたいと思います。

◯公共資産統括監(川崎 豊君) 新清水庁舎移転に関する4点の質問についてお答えいたします。
 まず、新庁舎の規模の考え方について、現時点でどこまで検討、計画されているのかについてですが、平成29年度に策定した新清水庁舎建設基本構想において、利用者の利便性やまちの活性化などの観点から、新庁舎の規模の考え方を示しました。現在策定を進めている新清水庁舎基本計画においては、基本構想で掲げた3つの基本方針である行政サービスの拠点、防災の拠点、まちづくりの拠点となるための機能を具体化した上で、新庁舎の規模をさらに詳細に計画していくこととしております。
 次に、国や県の施設や民間施設との複合化について、現時点で可能性はあるのかについてでございますが、国や県とは引き続き協議を行っており、また、民間施設については、より具体的な進出意欲を確認するために、現在、地元企業を中心としたヒアリング調査を行う準備を進めております。
 これらの結果を踏まえ、国や県、民間施設との複合化の可能性については、現在策定を進めている基本計画の中で明らかにしていきたいと考えております。
 最後に、浸水被害が想定される場所を選定した市の責任はどう考えるか。津波警報等が発表された場合の清水区災害対策本部の設置場所を他の場所にする考えはないのかについてでございますが、市民の安心・安全の確保は、市の使命であり、庁舎はその活動の拠点となる施設で、災害発生時にも市の業務を継続するとともに、市民やまちを守ることが市の責務であると考えております。このため、新清水庁舎は想定される最大規模の津波に耐える構造とし、防災拠点としての機能を発揮する耐震性能を確保してまいります。
 なお、勤務時間外に津波警報等が発表された場合には、清水区災害対策本部職員は、津波浸水想定区域内に立ち入れないため、清水区東大曲の清水防災センターに参集し、津波のおそれがなくなるまで、そこを区の災害対策本部として対応することとしております。清水防災センターは、科学的知見に基づいた津波の浸水想定区域の外にあるため、災害対策本部を他の場所へ変更することは考えておりません。
  〔37番内田隆典君登壇〕

◯37番(内田隆典君) 大丈夫ですかね。国、県施設の問題、民間施設の複合化について引き続き検討していくという答弁がされましたが、私の記憶では、この問題が2月の議会、委員会でも議論になったんですけれども、確かに区役所がそこにつくられるということは国や県の担当者は承知しているし、国、県の施設もという話は聞いていて確かにいい案だとは思いますが、建設時期の問題等々なかなか難しいという判断もしたと、私は認識しているんです。民間の施設はこれからヒアリングの準備などをやりながら、これから進めていくということでありますが、そのことによって、何でもかんでも持ってきて、まちづくりを大きくして活性化しようという発想になっているみたいですね。市民に正確な情報を与えない、本当にこの難しい問題も何かできるかのように市民に言っておいて、この庁舎をつくることによっての清水地域の活性化を正確に伝えてないような気がするんです。その辺を私は慎重にやっていく必要があると思っています。
 それから、災害対策本部の機能の問題で、清水消防署の問題を今、答弁いただきました。私も幾つか見てきましたが、静岡県の津波浸水想定の公表の中で留意事項というのが何点かあります。津波の遡上等により実際には水位が変化することがありますと書かれているんです。それと、もう1点は、県の第4次地震被害想定の資料を見ますと、現在の科学的知見をもとに大きな津波の発生する可能性がないというものではありませんという書き方をしておりますし、本資料で浸水しないとされている地域においても、津波の危険性が全くないということではありませんと指摘されているんです。
 それからしますと、東日本大震災のときには40キロ以上遡上しているということもありましたし、清水地域の巴川がそうなるかどうかは、地形等の関係で一概には言えないと思いますが、私は慎重な対応をしていく必要があると思うんです。今の第4次地震被害想定では大丈夫だから、もう大丈夫ですという言い方は、ちょっと危機管理上、答弁としては問題があると感じます。
 それから、新庁舎を建設し、事故が起こった場合の責任はとりようがない。市長は、千年に一度来るかどうかの地震より、今を大事にしたいみたいな発言をしております。しかし、こうした中、今月6日に土木学会が南海トラフ地震が起きた場合は、20年間に及ぶ経済的被害が1,410兆円と公表しました。今後の30年間に起こる南海トラフ地震の確率も、静岡市では70%という数字が出ています。先月の大阪府北部地震は震源域の近くに有馬-高槻断層帯というのがあり、1596年の慶長伏見地震で豊臣秀吉が築いた伏見城が倒壊しています。政府の地震調査委員会は、30年以内に発生する確率は0.1%という低い数字であったにもかかわらず、大阪府北部地震は起こったということです。
 そういう点では、時の指導者である市長は歴史の教訓を学ぶべきだと思うんです。豊臣秀吉は伏見城を地盤のよい近くの山に移転したと言われておりますし、7年前の3.11の地震の教訓は、これから公共施設や福祉施設等を津波浸水区域外につくるというのが、全国の常識になっているわけです。多くの市民の皆さんは、生命や財産の全てを市長に丸投げしているわけじゃないんです。指摘されている事項についてはきちんと対応し、頑としてはねのけるようなやり方はやめてもらいたい。
 質問です。パブリックコメントでは、建設場所について厳しい意見が出されていることを受けて、私は、建設場所について再検討をするべきだと思います。基本計画においても、市民への説明会を開催するべきだと考えておりますが、市長にはこうした貴重で慎重な意見を真正面から受けとめて、行政を運営していただきたいということを申しておきます。

◯公共資産統括監(川崎 豊君) パブリックコメントの厳しい意見を受けて建設場所を再検討しないのか、また、市民への説明会は開催しないのかについてですが、庁舎の移転先については有識者や市民の方々で構成される検討委員会で十分に議論を尽くし、現計画地が妥当であると判断したため、再度検討する必要はないと考えております。
 また、基本計画策定時における市民説明会等の開催は、現在のところ予定していませんが、より利用しやすい庁舎としていくため、子育て支援団体や障害者団体等へのヒアリングを通じ、幅広く御意見を伺ってまいります。加えて、検討会での議論をまとめたニュースレターを清水区の各自治会で回覧していただくほか、市のホームページや市政情報コーナーの活用など、さまざまな手段を用いて積極的な情報発信と丁寧な説明に努めてまいります。