実態に即した生活困窮者の支援を 高齢者運転の安全対策でも提案

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 私は、高齢者の運転による重大事故が相次いでいることから、きょうは高齢者運転の安全確保という観点から質問をさせていただきます。
 私も実は70代になっておりまして、ことしの初め、今度免許証の更新があると警察からはがきが来ました。更新に当たっては、その前に高齢者の講習を受けてくるようにというはがきでした。私は早速、その講習を受けるということで自動車学校へ連絡をしましたら、講習の順番がとれないんです。これは大変だということで、どうしたらいいかと聞きましたら、翌月の一日から受け付けをするから、一日になったらすぐ連絡をしなさいという話でした。
 いろいろ用務がありまして、2~3日過ぎてから電話をしましたら、もう翌月はいっぱいですと言われてしまいました。これでは免許証の更新ができないということになりますから、その翌月は受け付け時間の9時の時報が鳴ったときにすぐ電話をしました。そうしたら、今度はやっと講習の順番がとれたんです。ですから、70歳を過ぎますとこの講習が必要だということになりますので、免許証の更新も大変になってきます。この更新事務は、警察の権限ということになるわけですが、市民生活の安全ということからすれば、当然市の行政にも属することであります。
 そこで、まず最初の質問は、この安全確保のための高齢者講習の機会をどのようにつくっていくのか、この点について、お伺いをいたします。
 次に、3年前に警察庁が運転免許証の自主返納に関するアンケート調査をやっております。この調査の結果、自主返納をしようと思ったときはいつかという問いに対して、家族に勧められたときという方が一番多く約33%ですから3分の1ということであります。そのほかは運転する必要がなくなったように思ったとき、あるいは、自信が持てなくなったときというような内容が、その後に続いております。結局、この自主返納者であっても、3分の1の人は車がないと生活が不便になってしまう。これはある面では当然といえば当然でありますけれども、同時にこの自主返納においては家族の協力が欠かせないということも明らかになっているわけです。
 そこで、家族の協力をどういうふうに進めていくのかという点で、当局でお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
 次に、自主返納者に対するサポート事業が県内の自治体でも多く行われておりますが、本市でやられているでしょうか。実はやられておりません。例えば、沼津市ではバス・タクシー利用券5,000円分を支給。三島市ではバス・タクシー・伊豆箱根鉄道利用助成券1万円分を支給をしている。富士宮市では市営バスや市営デマンド型乗合タクシー、これも5,000円分を支給ということで、自治体が自主返納者に対するさまざまなサポート事業をやっております。また、企業等でも、県のタクシー協会は、1割引きというようなことをやっておりますし、バスや電車等々、シルバーワイドフリー定期券や半額サービスなどもやっているということです。ぜひ、これは後で要望したいと思いますが、静岡市も、やっぱりサポート事業をやるべきではないかと私は考えます。ぜひ検討をお願いしたいと思うんです。
 警察だけに今、交通安全というのを任せておくわけにはいかない。地域や学校や企業など、さまざまなところで交通安全が叫ばれているわけです。そこで、質問ですが、市と警察ではどんな協議を進めてきているのか、お伺いします。
 次に、2つ目のテーマであります生活困窮者支援。生活困窮者自立支援法が2015年4月1日に施行されまして、満3年たったんですね。憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっており、2項では、国が生活向上のために、国といえば自治体も入ってくるわけですが、努力していく責任をうたっている。いつまでも最低限度ということではなくて、しっかり生活向上のためにやっていくべきだという趣旨だと思います。
 この生活困窮者自立支援法は、生活保護の状態になる前にしっかりとサポートしていこうという趣旨であります。そして、この厚労省通知でも、この制度の施行に当たっては、自治体において福祉関係だけではなくて、商工労働関係、住宅関係、教育関係部局、税や保険の部局などとの連携をしっかりしていきなさいという通知も出ているわけです。さまざまなメニューがあるわけです。そこで、質問ですが、今の生活困窮者への支援状況、これがどのようになっているのか、お伺いします。
 さらに、今、ワーキングプアなどが増大しているという状況があります。生活保護基準に満たない生活を強いられているという実態もあるわけですが、こういう方々の支援をどう進めていくかが重要だと思います。生活困窮者への支援における課題とその対策は今どのようになっているのか伺います。
 以上、1回目です。

◯市民局長(豊後知里君) 高齢者運転の安全確保について。
 まず、高齢者講習の機会と家族の協力をどう進めるかについてですが、静岡県警察が運転免許更新時に行う認知機能検査のほか、本市では初の取り組みとして、官民連携により損害保険会社と協働して、高齢者運転の危険防止のための安全確保講習会を、本年度各区において開催いたします。この講習会を通して、まず高齢者に身体的機能や認知機能の低下による運転の危険性を認識してもらい、安全運転への意識の向上を図るとともに、講習会には御家族にも参加を呼びかけ、高齢者運転の特性を本人と御家族の双方に理解していただきます。これにより、家族の間で安全運転や運転免許自主返納などについて話し合う契機としていただくことを考えております。
 次に、市と警察との協議についてですが、市内3警察署及び交通安全協会と、季節ごとに行われる年4回の交通安全運動にあわせた関係機関連絡会議を開催しているほか、交通安全協会と年2回程度意見交換会を開催し、高齢者の交通事故対策を含めた交通安全に関する協議と情報共有を行っております。
 今後も各警察署等とは継続的に協議の場を設け情報共有を行うとともに、交通安全事業の実施について連携を図り、高齢者運転の安全確保に取り組んでまいります。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 私からは、生活困窮者自立支援制度に関する2点の御質問にお答えいたします。
 まず、生活困窮者への支援状況についてですが、本市では平成27年度から各区に「静岡市暮らし・しごと相談支援センター」を設置し、継続した支援が必要な場合は、困窮者の状況に応じた自立支援プランを作成し、ハローワークや企業へ同行するなど、伴走型の支援を実施しています。新規相談受け付け件数は、平成27年度が1,756件、28年度が1,343件、29年度が1,320件となっており、自立支援プラン作成件数は、27年度が104件、28年度が151件、29年度が182件となっております。このうち一般就労に至った件数は、27年度が31件、28年度が31件、29年度が38件となっております。
 次に、生活困窮者への支援における課題と対策についてですが、生活困窮者の自立に向けた支援についてはさまざまな課題があり、特に就労支援では就労を阻害する要因を特定するまでに時間を要することが課題となっております。そのため、自立支援プランを検討する支援調整会議に専門的知識を有する関係機関を加えたり、きめ細やかな就労支援に対応できるよう支援員の増員を図っています。
 また、相談支援センターへの相談につながった人のほかにも生活困窮者は少なからずいると考えられ、高齢者単身世帯、ひとり親世帯や親族、地域から孤立しているなど、みずから支援を求めることが難しい人を適切に自立支援につなげていくことも課題と考えております。このため、地域包括支援センター、介護事業者や民生委員等の会議において、自立支援制度を周知し認知度を高めるとともに、各関係機関と連携を図りながら生活困窮者を早期に相談支援センターにつなげ、対象者に応じた効果的な支援を実施してまいります。
  〔12番寺尾 昭君登壇〕

◯12番(寺尾 昭君) 2回目です。
 高齢者運転の安全確保について、お伺いします。
 先ほどの警察庁のアンケート調査の結果、75歳以上で運転を継続をしている方の中で、自主返納をしようと思ったことがある人がどのくらいいるかと言いますと、3分の1ぐらいだということです。3分の2は75歳以上になっても自主返納をしようと思ったことがないという結果が出ております。ためらう理由の第一位は、車がなくなったら生活が不便になる。そういう点では、この自主返納のための支援がどうしても必要になってくるということです。
 何が必要かという問いに対しては、電車やバスの発達、乗り合いタクシー、コミュニティバス、タクシーの割引きなど、交通手段の充実が必要だという方が7割を超え、大変大きな割合を占めているわけです。いずれにしても返納した場合の後の交通手段、ここが自主返納をためらう最大の理由であります。
 そこで、免許証返納者の不安をどう解決していくのかが大きな課題でありますが、この点についてどうお考えなのか、お聞かせください。
 次に、生活困窮者の問題です。
 生活保護に頼らざるを得なくなったという方々が当然いるわけであります。ケースワーカーなどの窓口対応が、最近では改善をされてきたと私も思います。その点は評価をしていきたいと思いますが、問題はケースワーカーの皆さんの扱う件数が、実はまだ多いということなんです。80件という1つの基準があるわけですが、実際上はこれが守られていないことがあります。ケースワーカーの増員ということもこれまでやられているわけですが、さらに増員を図っていくことが必要だということを、これも改めて要望しておきたいと思います。
 そこで、今、ケースワーカーの担当件数を改めてお伺いします。どんなふうになっているのか、お聞かせください。
 それと、窓口対応について、改善をされてきていても、やっぱり苦情も聞かれるんです。ちょっと強制に当たるようなことがあったというような声もあったり、できないことも、やんなきゃいけないというようなことでしつこく言われたということもあると。生活保護を申請する方については、まだまだ役所の敷居は高いわけなんです。ですから、ここはきめ細かなと言いましょうか、情の通った、そういう対応が必要だと思うんです。今、若い方々がケースワーカーとしてやっているところが多いわけですが、今後の研修などについて、どんな形で行っているのか、ケースワーカーに対する研修の内容についてお伺いします。
 次に、生活保護からの自立への道というのは何といっても、先ほど局長からも話がありましたように、やっぱり就労だと思うんです。就労支援ということが1つのポイントになるわけです。さまざまな施策がとられているということは言えるわけですが、しかし、これまで結局生活保護に頼らざるを得なくなったという中で、さまざまな経緯を抱えているという難しいケースも少なくない。押しつけや強制ということになってはいけないと思いますし、その方に合った支援をどう進めていくか、ここが鍵だと思うんです。生活保護受給者への就労支援を、どのように行っているのかということをお伺いします。
 時間がなくなりましたが、意見、要望についても若干申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、免許証の自主返納者に対するサポート事業をぜひ検討していただきたいと思います。さらに、免許証の更新時に限らず、安全運転の確保のための更新の機会、先ほどもお話がありましたが、これもふやしていっていただきたいと思います。
 ケースワーカーの増員についても、ぜひ進めていっていただきたいと思います。さらには、ケースワーカーの研修の機会もしっかり充実をさせていただきたいということも要望しておきます。
 以上でございます。

◯市民局長(豊後知里君) 運転免許の自主返納に対する不安解消についてですが、現在、静岡県警察により運転免許自主返納者サポート事業が進められております。この事業は、御質問の中でも紹介がございましたが、タクシー運賃の割引きやバス及び電車における高齢者専用の全線フリー乗車券の60歳からの早期販売など、民間企業と連携した運転免許自主返納者への支援事業です。
 本市といたしましては、この事業を市民の皆さんに広く周知するとともに、このサポート事業の新規協力事業者の掘り起こしを静岡県警察と連携して行い、運転免許自主返納の促進に向けて、不安感の解消に取り組んでまいります。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 生活保護に関する3点の御質問にお答えいたします。
 まず、ケースワーカーの担当件数についてですが、過去3年間における4月1日時点の1人当たりの平均担当件数は、葵福祉事務所生活支援課においては、平成28年に94.9件、29年に92.3件、30年に95.1件、駿河区では、それぞれ89.7件、94.4件、96.4件、清水区では、それぞれ80.4件、83.5件、93.5件となっており、ケースワーカーの標準数の算出に用いられる80件を上回っております。各福祉事務所には、生活保護受給者によりよい支援を実施していくため、専任の面接相談員や就労支援員等を配置し、ケースワーカーの負担軽減を図るとともに、体制の整備に努めているところです。
 次に、ケースワーカーへの研修等の実施についてですが、毎年3区の新任ケースワーカーを対象とした生活保護制度の研修会において、厚生労働省が作成した研修用ビデオを用い面談時の対応能力向上を図っているほか、国が実施する社会福祉主事資格認定通信課程や業務経験に応じた全国研修会、さらに県が実施する新任職員研修会等を受講することで、ケースワーカーの資質向上を図っております。また、新任ケースワーカーが初めて生活保護受給者の居宅を訪問する際は前任者とともに訪問し、対応が難しいケースについては組織的な対応方針を検討した上で、ケースワーカーの上司である指導員が同行して訪問を実施するなどの対応をしております。
 最後に、生活保護受給者への就労支援についてですが、生活保護法第4条第1項に、保護は、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを活用することを要件とすると規定されていることから、就労可能な場合は支援内容を説明し、本人の同意を得た上で就労に向けた支援を実施しております。離職後間もないなど就労能力に支障のない場合は、早期の就労に向け就労支援員と各区役所に設置されているハローワークのジョブサポートコーナーの職員と連携し、支援を実施しております。また、就労経験が少ない、就労への自信がない、または生活リズムが乱れているなどの就労阻害要因がある場合は、生活保護受給者等就労体験・職業訓練事業における工場での就労体験やコミュニケーション研修、健康管理支援などを通じ、就労への意欲や自信の向上及び生活リズムの改善を図るなどの支援を実施しております。