正規職員の増員で行き届いた教育を

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鈴木11月◯25番(鈴木節子君) 通告に従い、3つのテーマで質問します。
 まず、第1のテーマ、国保についてです。これまでも国保料引き下げを求め、繰り返し質問してきましたが、今回は加入世帯の多くを占める低所得世帯の負担軽減策について、提案型の質問をしていきます。
 第1に、資格証明書についてです。
 これは納付する能力があるにもかかわらず、国保料を長期滞納している場合に限って交付されるものです。しかし、本市は督促状送付や臨戸訪問しても実態が把握できないだけで交付しています。資格証明書になると受診時は医療費を一旦10割払わなければなりません。困窮世帯は現金がないため、病気になって入院や手術が必要でも、医療を受けることができません。病気が悪化、深刻化する事態が続いています。
 質問の1点目に、資格証明書の交付方針と交付件数の推移を伺います。
 2点目に、資格証明書になると、ぐあいが悪くとも受診できず、医療を受ける権利が奪われていますが、資格証明書を持つ方と国保加入者全体のそれぞれの受診率はどういう数字か。また、資格証明書を持つ方の受診率は全体の受診率の何分の1なのか、伺います。
 3点目に、国・県からの資格証明書交付に関する通達についてです。
 県は資格証明書交付済み世帯には、病気になっているが医療費の支払いに困窮し、受診を控えていることはないか、特別な事情の有無を確認するよう求めています。
 また、倒産や失業で収入が途絶えた世帯、病気で高額な治療を受けた世帯、高齢者のいる世帯は、福祉部門とも連携し、特別な事情の有無を判断するよう、再三通達を出しています。保険証の取り上げは命にかかわる重大な人権侵害です。保険料を払えないだけで悪質とみなしてはならないと厳重に戒め、生活実態を把握するよう求めています。
 市は交付世帯に対して特別な事情をどのように把握しているのか、伺います。
 第2に、国保料の減額・免除申請についてです。
 本市の減免適用は就学援助のほか、災害、疾病、倒産、失業などにより、著しく所得が減った、所得1,000万円以下世帯が対象です。所得減少割合が20%未満は対象とはならず、対象はごく限られています。
 もともと低所得世帯や年金暮らしでも減免対象とはならず、例えば所得が300万円の4人世帯では保険料が約50万円と、所得の約2割を占め、家計を圧迫しています。もともと低所得世帯で、どう頑張っても払えない世帯に、もっと光を当て、払える額にすることを正面から真剣に検討すべきです。
 平成24年度から、市は1割軽減制度を独自で開始をし、年間6,300件ほどの世帯が軽減されていますが、まだ負担は重過ぎます。
 質問の1点目に、平成26年度の申請減免件数と減免額をお聞きします。
 2点目に、本市の国保加入者の特徴として、低所得、高齢世帯が多く、所得300万円未満が8割を占めています。暮らしが厳しいという特徴がありますが、暮らしを支えるためにも減額・免除制度をさらに拡充させることについてどう考えるのか、伺います。
 以上、1回目の質問です。

◯保健福祉局長(村岡弘康君) 国保の資格証明書と申請減免の拡充についての5点の質問について、お答えいたします。
 初めに、資格証明書の交付方針と交付推移についてですが、資格証明書は、事業の休廃止や病気などの特別な事情がないにもかかわらず、長期にわたり保険料を滞納している世帯に対して交付するもので、納付相談の機会を確保することを方針としております。
 交付を受けた人は、医療機関等の窓口で一旦、医療費の10割を負担し、後日申請することで自己負担分を除く医療費が支給されます。
 交付の推移についてですが、平成20年度は2,674世帯、23年度は2,178世帯、26年度は1,832世帯と、減少傾向にあります。
 次に、1カ月の診療報酬明細書数を被保険者数で除した、いわゆる受診率についてですが、平成26年度における資格証明書を持つ人の月平均受診率は0.8%、国保加入者全体の受診率は130%で、資格証明書を持つ人の受診率は国保加入者全体の約160分の1でございます。
 次に、資格証明書交付世帯に対する特別な事情の有無の確認についてですが、資格証明書交付後も電話催告を初め、休日や夜間に実施する特別納付相談など、折衝機会を設け、病気や災害、失業などによる生活状況や経済状況の変化が生じていないか確認するよう努めております。
 また、再三の呼びかけに対し、何の連絡もない方もおりますので、資格証明書を発送する際、災害、その他特別な事情が生じた場合には、必ず各区保険年金課へ連絡する旨の通知文を同封し、周知を図っております。
 次に、平成26年度の申請減免適用件数と金額についてですが、申請減免とは、就学援助の受給世帯や、病気、災害等で所得、資産が著しく減少し、保険料の納付が困難な世帯などに対して、申請に基づき内容を審査し、保険料を減額、または免除する制度であります。
 平成26年度の減免件数は681件、減免金額は4,331万円余となっております。
 最後に、低所得世帯に対する減免拡充についてですが、国民健康保険の加入者が負担する保険料は、制度を安定運営する上で大きな要素であることや、国民健康保険加入者間の負担の公平性の確保という観点からも、低所得者世帯への減免拡充につきましては、慎重な議論が必要であると考えております。
  〔25番鈴木節子君登壇〕

◯25番(鈴木節子君) 今、お答えいただきましたけれども、まず国保の資格証明書について、特別の事情がないにもかかわらず納付していない世帯に発行しているということで、その前に特別の事情の把握がないまま資格証明書を発行しているから私は問題だと言っているのであって、大分この辺の議論が乖離しています。市は滞納世帯の生活実態は把握していません。折衝の機会をつくるため、一律機械的に交付しているのではないかという問題意識があります。
 国が平成21年に病気、失業などにより保険料を納付することができないと認められるときは資格証明書を交付しないという基本方針を出しています。
 また、滞納の初期段階から分割納付や徴収猶予など、現実的な納付対策で所得の少ない方には原則として資格証明書交付に至らないようにと通知しています。
 しかし、徐々に減ってはいますが、滞納世帯を悪質と見ているようで、本市は年間2,000件から少しは減っていますが、1,800件の世帯から正規証を取り上げています。
 交付後の世帯に具体的な対応をしていないのではないかと危惧していますので、このような無慈悲なやり方はやめるべきだと指摘しておきます。
 質問に入ります。
 申請減免ですが、年間681件、金額は4,331万円。これは政令市の中で比較すると下のほうではないかと思います。本市は国保基金に61億円も積み上げて、なお予備費に18億円を計上し、財源は十分過ぎるほどあります。市の構図は極端に基金があり、61億円というのは市民1人当たり3万3,000円で、政令市中、飛び抜けて高い、基金があり過ぎる状態です。その反面、極端に減免適用が少ないという構図です。保険料を徴収し、基金に積み上げるだけが行政の仕事ではありません。
 平成30年の都道府県単位化の前に減免制度を拡充させ、せめて所得の低い世帯の負担軽減の道をつくっておく視点に立つべきです。
 例えば、法定減免が適用されない、もともと低所得世帯で、ずっと低所得のままの世帯は、なかなか軽減されていないのが実態です。事業休廃止により所得が赤字となる世帯のほか、障害者世帯、ひとり親世帯、就学援助を受けていた方が高校に進学した世帯など、目を向けるべき世帯はたくさんあります。
 今やるべきは減免制度を拡充させることです。そのお考えを、再度伺います。
 第3の項目、一部負担金減免と国保料の徴収猶予についてです。
 これは国保法に定められた制度で、困窮世帯のために窓口の医療費減額・免除と、国保料の支払いを一定期間猶予する制度です。しかし、この制度の適用は毎年ゼロ、ないしせいぜい1件か2件です。市民の皆さんが知らなければ活用できません。名ばかりの制度です。相談に来た方に窓口で制度を紹介するためにも、職員がまず熟知しなければ命を守れませんが、市に相談に行っても、職員の方が慌てて調べるというありさまです。
 病院や医院などの医療機関の窓口で、困窮している方には積極的に説明し、制度紹介のポスター掲示など、広報を積極的に行うべきです。方針を伺います。
 次に、2つ目のテーマの子ども医療費助成制度について、伺います。
 ことし3月に、政府は医療保険制度の改悪を決め、入院時の食事代の自己負担額を平成28年と30年の2回に分けて引き上げ、現在の1食260円から460円へ値上げとなります。1カ月2万3,400円から4万1,400円へと大幅な値上げです。しかし、高額療養費の適用はされません。
 本市の子ども医療費助成制度は、市長の熱い信念のもと、前進しましたが、残念なことに子どもの入院時の食事療養費は対象外です。
 入院医療費は中3まで全額補助により医療費の心配はなくなりましたが、入院は出費もかさみます。応援施策が求められます。経済的不安なく、安心して子供に医療を受けさせ、子育て世帯の負担を軽減させるのが子ども医療費助成制度の本来の趣旨です。
 入院時の食事は治療の一環ですので、入院時の食事療養費の自己負担額を子ども医療費助成制度の対象とすべきです。これは県の保険医協会からも要望が出ています。
 政令市では千葉市、堺市が実践しています。本市も市長のリーダーシップで、ぜひ実行していただきたいと思います。お考えをお聞きします。
 次に、3つ目のテーマの県費負担教職員の給与費権限移譲についてです。
 学校現場では、いじめや不登校、子供の貧困など、現在の社会情勢を反映した問題を抱え、教職員の不断の努力により支えられています。非常勤講師、臨時教員など、非正規教員がふえていますが、教職員の多忙、長時間労働は解消されず、ますます深刻化しています。
 また、静岡式35人学級は職員を増員しないで進めたため、教員の多忙化に拍車をかけ、ゆとりある教育環境とは言えない状況です。
 平成29年を目途に県費負担の教職員の給与、教職員定数の決定、学級編制基準決定など、包括的権限が政令指定都市に移譲されます。市の裁量で教育環境整備が可能となり、本市の教育はどのように前進できるのかが焦点です。
 今回はそこに集中して質問します。
 1点目に、平成29年4月の権限移譲に向け、教育の水準を維持するため、所要額全額を確保する必要があります。財政措置として、道府県から指定都市に個人住民税所得割2%の税源を移譲しても不足が生じることから、交付税措置がなされますが、それで不足はないのか。試算ではどのようになるのか、額を伺います。
 2点目に、国への要望について、現在、市が実施している教育水準を今後も維持し、なおかつ財政運営に支障がないよう適切な方策を決めておく必要があります。市は国に対してどのような要望をし、どこまで到達したのか、伺います。
 以上、2回目です。

◯保健福祉局長(村岡弘康君) 国保の申請減免の拡充と一部負担金等についての2点の御質問にお答えいたします。
 最初に、申請減免の拡充についてですが、国民健康保険料の減免は、世帯の構成人数及び世帯ごとに定められた額に対する7割、5割、2割の法律に基づく軽減に加え、本市独自の1割軽減などを収入金額に応じ実施してまいりました。
 この1割軽減については、平成26年度までの暫定措置と考えておりましたが、30年度から国保事業が都道府県単位化することになり、それまでの間延長したことから、さらなる拡充は現時点では考えておりおません。
 次に、一部負担金の減免と、国保料徴収猶予の周知についてでございますが、まず一部負担金とは、受診の際、窓口で支払う自己負担金のことでございます。その減免や国保料徴収猶予は病気やけがで多額の医療費負担が見込まれる場合や、倒産、失業等により一時的に収入が著しく減少する場合など、その認定に当たり個々の状況が勘案されます。
 このように、減免等は個別、具体的な状況により判断される例外的なケースであるため、各区保険年金課窓口での詳細な説明が必要であり、医療機関の窓口での説明などの周知は難しいものと考えております。
 しかしながら、一時的に生活状況などが困窮した世帯にとっては必要な制度であるため、引き続きホームページや各区保険年金課、3支所及び6カ所の市民サービスコーナーで配布する国保のしおりにより、周知に努めてまいります。

◯子ども未来局長(平松以津子君) 入院時食事療養費の自己負担額助成についてお答えします。
 入院期間中の食事の費用は、健康保険から支給される入院時食事療養費と、入院患者の自己負担額で賄われています。従来、この自己負担額は日常生活でも必要な経費として平均的な家計における食事を勘案し、食材費から算定していましたが、国は入院と在宅療養の公平等を図る観点から、調理費も自己負担額に含まれるよう段階的な引き上げを決定しました。
 これにより、入院患者の負担は増加しますが、現時点では、基本的にこの自己負担額は日常生活の必要経費であるとの従来からの視点に基づき、子ども医療費の助成対象とすることは考えておりません。

◯財政局長(河野太郎君) 県費負担教職員給与費の権限移譲についての2点の御質問にお答えいたします。
 まず、権限移譲に伴う財政への影響についてでございますが、県費負担教職員に係る給与や共済組合負担金等の経費の総額は、県から提供された平成25年度決算数値によれば、約285億円となっております。これらの経費に対する財源は、平成25年11月の関係道府県と指定都市の合意によれば、道府県から指定都市に税源移譲される個人住民税所得割2%のほか、国庫負担金、地方交付税で措置されることとなっております。
 現時点で、平成25年度決算額をベースに財源を仮に試算いたしましたところ、これらの財源を充当してもなお生じる財源措置不足額は約34億円になると推計しております。
 次に、必要な財政措置に対する国への要望についてでございますが、既に指定都市市長会、議長会において国へ要望しているほか、本年11月の本市単独による国への要望においても、財源措置不足額全額を基準財政需要額で解消するとともに、システム構築など、権限移譲に伴って生じる事務関係経費についても所要額全額を適切かつ確実に措置するよう、国に対し強く要望しているところでございます。
  〔25番鈴木節子君登壇〕

◯25番(鈴木節子君) それでは、教育問題ですけれども、今、マイナスの額が34億円というお答えでした。これはしっかり国に対して、私たちもあわせて要望していきたいと思いますので、御努力をお願いします。
 教職員の置かれている状況ですが、大変長時間の時間外勤務労働に追われています。教師は、児童や生徒に豊かな学力をつける本来の業務以外に、今では不登校やいじめ、子供の貧困対応など、それぞれの子供の実態に寄り添った対応が求められています。貧困家庭には学習を保障する環境を整えたり、不登校の子には手厚い補習など、教師の仕事に際限はありません。子供が30人いたら30人の個性があり、一人一人の個に応じた能力を伸ばすには、教職員の十分な体制整備が必要です。
 静岡式35人学級によって、小1から中3まで少人数学級が進みましたが、一方で級外教員が減り、授業の応援や突発事故発生時など、機敏に対応することもできていません。授業中、職員室には職員が誰もいないという驚くべき事態が進行しています。
 このさなか、国は少子化を理由に、今後9年間で教職員定数を約3万7,000人削減する方針を示しました。これに対して、先ほど市長の答弁で、教育現場を全く知らず、受け入れできないという主張がありました。これについては私も同感ですので、しっかりと国に要請していきたいと思います。
 権限移譲により、市は独自に教職員定数や学級編成、教職員の配当基準を定めることが可能となります。

◯議長(繁田和三君) あと1分で終了してください。

◯25番(鈴木節子君)(続) 少人数学級をさらに進め、特別支援学級の増設、教職員の加配など、どの子にも行き届いた教育の確保が切望されています。
 市長や教育長が、今の子供が置かれている環境や教育現場の課題をどう捉えているのかが問題です。捉え方が違えば方向性も変わってきますので、課題をどう捉えて、どのように解決しようとしているのか、問題意識の観点と打開、解決の方針を伺います。特に教職員の間では大変な人手不足です。正規職員が減り、非常勤職員、臨時雇用がふえて、今支えられております。正規の教職員の確保、そして非常勤職員はなくして、全て正規職員で確保するという態度を求めて、質問を終わります。

◯教育局長(池谷眞樹君) 学校教育の質の向上や、ゆとりある教育の実現への取り組みについてですが、第2期静岡市教育振興基本計画における教育施策の方向性の1つである「知・徳・体のバランスがとれ、社会の変化にも対応できる力を持った子どもたちを育てる」ことを念頭に置き、学校教育の質の向上やゆとりある教育の実現に取り組むことが重要であると考えております。
 そのために、静岡式35人学級などの少人数学級編制のよさを今後も引き継ぐなど、教員が一人一人の子供と向き合うことができる環境を整えていくことが必要です。
 平成29年度以降に向けて、教職員定数の決定権など、移譲される権限を生かしながら、各学校の実情に応じた教員の適正配置に努め、きめ細やかな指導体制の充実が図れるよう検討してまいります。