「財源は充分ある」国保料引き下げの決意を!

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DSC_0538◯25番(鈴木節子君) では、通告に従い国民健康保険について質問します。
 今年度、市民の切実な要求であった国保料引き下げが、ようやく実現しました。今年度引き下げをした政令市は、ほかに横浜市、京都市、堺市、北九州市ですが、本市もようやくこの仲間入りをすることができました。これは、これまで毎年引き下げを求めてきた市民運動や、国保運営協議会の皆さんの議論の成果です。
 我が党も、国保条例改正案提案、予算組み替え提案を繰り返し行ってきましたが、引き下げに転じたことを前進と評価しています。
 しかし、市民の反応は、そう言われてみれば多少安くなったような気がするとか、まだまだ高く、やりくりが厳しい。もっと安くなれば実感がわき、うれしいという声が聞かれます。
 質問の1点目に、予算審議の時点では、引き下げ額は1人当たり5,381円、1世帯当たり7,793円という説明でしたが、今年度の加入者数や保険料の確定に伴い、賦課状況が確定しましたので、実際の引き下げ額を確認します。
 2点目に、決算と基金残高推移についてです。
 平成26年度決算は、また40億円の黒字です。24年度の大幅値上げ以降、たび重なる引き上げによって、本市の国保料は政令市の中では常に上位で、決算繰越金は毎年数十億の黒字、基金残高は毎年20数億円を積み増し、巨額の単位に積み上がってきました。
 平成24年度以降の決算残高と基金残高の推移をお答えください。
 増大する医療費に備えるためと言いわけをし、毎年値上げを繰り返して重い負担を市民に押しつけた結果、あり余る黒字と基金積み立てを生み出しました。これは明らかな見通しの誤りではないのか。懸命に払い続けてきた市民の暮らし目線で分析する必要があります。
 国からの交付金が予算以上に多額であったなどと、原因をほかに責任転嫁せず、市の財政運営に責任を持つ立場で分析をお願いします。
 3点目に、決算繰越金40億円の確定に伴い、補正で基金の取り崩しをやめてもとに戻し、基金残高は61億円となり、その上予備費に18億円も計上しました。基金に積み立てるとかえって目立つからか、予備費はこれで24億円です。
 昨年度の議論で、国保料の引き下げの財源を基金活用と決定し、今後は基金を最大限活用し、健全な運営が出来る見通しであると諮問で述べています。しかし、黒字が40億円もあれば、当然基金取り崩しは必要なくなります。
 要は、基金を取り崩さなくとも、国保の安定的運営は十分可能であり、かつ保険料引き下げの財源は十分あることの証明です。
 補正で基金取り崩しをやめた理由と、どのような検討経過なのかを御説明ください。
 次に、国保の都道府県単位化について質問します。
 ことし5月、医療保険制度の改定法案が可決され、国保の都道府県単位化という大改編が平成30年度から実施されます。これにより、県と市町村が共同で国保を運営し、県が国保運営と医療提供体制の両者を担うことになります。既に今年度から全ての医療費が都道府県の国保連合会の基金から給付されるようになり、保険料の賦課徴収など、基本的実務は市町村が担う枠組みを維持しながら、給付財政は都道府県単位と、着々と枠組みが先行してつくられています。
 では、質問します。都道府県単位化とはどういう内容か、また、県、市の役割はそれぞれどうなるのか、また、保険者、市民にとってのメリット・デメリットは何か、お答えください。
 以上、1回目の質問です。

◯保健福祉局長(村岡弘康君) 国保料と国保の都道府県単位化の4点の御質問にお答えいたします。
 1点目の平成27年度の保険料の引き下げ額についてですが、当初賦課時点では、前年度と比較して、1世帯当たりの保険料で1万2,596円の減額、1人当たりの保険料で6,067円の減額となります。
 また、標準的な所得と加入人数の世帯をモデルケースとしまして、保険料を計算しますと、所得100万円、60歳夫婦の2人世帯で8,900円の減額、所得200万円、40歳夫婦と子供1人の3人世帯で1万8,000円の減額となります。
 2点目の平成24年度の保険料引き下げ以降の決算繰越金及び基金残高の推移についてでございます。
 決算繰越金は、24年度は26億4,000万円余、25年度は41億8,000万円余、26年度は40億3,000万円余でございます。また、年度末の基金残高は、24年度は24億円余、25年度は41億円余、26年度は61億円余でございます。
 これは、歳入において、保険料収納率が向上したことや前期高齢者交付金が各年度増額されたこと、また、歳出において、後期高齢者医療制度への移行及び新規加入者の減などの理由で被保険者数が減ったことなどにより、全体の給付費が見込みを下回ったことが主な要因と考えております。
 3点目の平成26年度決算に伴う基金繰入金減額の理由と検討経過についてでございます。
 基金については、国保の安定運営の財源として、保険給付費の1カ月分、約40億円の残高を必要としてまいりましたが、国保の都道府県単位化が決定されましたので、保険者としての残りの期間の保険給付費及び都道府県単位化における必要額等を精査し、国保の安定運営のために必要な基金水準を確保しております。
 こうした中、平成26年度決算に基づく繰越金の確定により、27年度国保事業会計における安定運営の見通しがつきましたので、基金の取り崩しによる国保事業会計への繰り入れを回避することといたしました。
 最後に、4点目の国保の都道府県単位化についてでございます。
 市町村が運営している国民健康保険について、平成30年度から都道府県が市町村とともに国保の運営を行います。
 県、市の役割分担についてですが、県は県内の統一的な国保の運営方針を策定した上で、財政運営の責任主体として、市町村ごとの納付金や標準保険料率を決定し、給付に必要な費用は全て県が市町村に支払うなど、国保運営の中心的な役割を担うこととなります。
 また、市町村は、資格管理や徴収業務、保険事業等、地域のきめ細かい事業を、引き続き担うこととなります。
 次に、メリット・デメリットについてでございますが、県が設置し運営する財政安定化基金により、感染症などの予期しない給付増への対応ができるなど、国保制度の安定化が図られます。
 また、国が構築する標準システムの活用などにより、経費の削減等が可能になると考えられます。
 一方、都道府県単位化後に県に支払う納付金の決定に当たり、市町村ごとの所得水準や医療費水準をもとに機械的に算出されますと、多くの被保険者を有しております本市の負担が大きくなる可能性があり、今後、制度の詳細について、国の動向を注視してまいります。
  〔25番鈴木節子君登壇〕

◯25番(鈴木節子君) 2回目です。
 今、保険料の減額の額をお聞きいたしましたけれども、まだまだこれでは実感がないのが現状だと思います。
 国保の財政についてですが、本市は総額880億円と規模が大きく、国との精算は年度をまたぐことから、歳入歳出の額をぴったり帳じり合わせすることが困難なことは理解できます。しかし、本市の国保料負担はトップクラスなのに対して、毎年数十億円単位の黒字と基金残高が断トツに多額で、法定外繰り入れは中位以下と、非常にいびつな構造です。
 まず、法定外繰入金の意義の再認識をいたしますと、国保加入世帯は、年金生活である高齢者の割合が多く、1人当たりの医療費が高い。そして、所得に対する保険料負担が重いという特徴があります。所得が低い世帯で構成される国保だからこそ、一般会計からの法定外繰り入れは、皆保険制度を支えるための補完、そして、代替的役割を担い、必要不可欠です。
 今年度の繰り入れは、国保料引き下げとセットで8億円ほど減額されましたが、崩壊寸前の国保を支える公的責任の後退につながります。
 政令市比較で、それぞれ金額を質問します。参考に、お手元に配布した資料をごらんください。
 1点目に、今年度、国保料が引き下げられましたが、1人当たりの保険料は幾らか。
 2点目に、一般会計からの繰入金減額後の額は、国保加入者1人当たり幾らか。
 3点目に、基金残高は現在61億円です。1人当たりの額は幾らか。それぞれ政令市の中でどのような順位か、あわせてお答えください。
 次に、都道府県単位化のメリット・デメリットについて、ある一定の認識を承知されていると私も受けとめております。
 そして、国保は加入者の貧困化と国庫負担削減による国保料高騰で、滞納の激増、そして、財政難、国保料引き上げ、滞納という悪循環を繰り返してきました。保険証取り上げという、強権的な差し押さえの制裁強化策をとっても、収納率は9割台に落ち込んだまま。生活困窮や健康破壊は進むばかりです。
 こういう状況の中で、政府が進めようとしているのが国保の都道府県単位化です。国保財政の流れは、都道府県が国保事業に必要な費用を市町村に納付金として割り振り、市町村が住民に賦課徴収し県に納付する。県は納付に必要な財源を市に交付するというものです。市は納付金の100%全額完納が義務づけられ、収納率90%でも、100%全額集め切るように割り増しして賦課することとなれば、当然国保料は高くなり、収納率向上への強烈な圧力となります。
 さらに重大なのは、県が市の加入者数や医療費水準に応じて標準収納率と標準保険料率を示し、賦課徴収を指導します。先ほど局長がお答えになったデメリットはこの部分です。
 そして、保険料負担を下げたければ、医療供給体制を見直し、給付を抑制せよ。もしくは給付費を下げなければ、高い保険料になるという誘導とおどしで、今後の医療費削減に向けた圧力となります。まさに県が管理統制をより徹底する仕組みとなっています。
 2014年に成立した医療介護総合法で、都道府県に病床削減と給付費の総額管理という権限を持たせ、医療費抑制の推進役と同時に、国保財政の監督権限という3つの権限を県に持たせることで、結局は医療給付の抑制、削減が都道府県単位化の最大のねらいと言えます。
 このように、都道府県単位化のデメリットは、都道府県の管理統制が強まり、給付費抑制、収納率を上げるための徴収強化、そして、住民負担増につながるのではないか、大いに危惧しています。市はどのようにとらえているのかを伺います。
 以上、2回目です。

◯保健福祉局長(村岡弘康君) 国保料と国保の都道府県単位化の4点の御質問についてお答えいたします。
 まず、国保料等の3点についてお答えいたします。
 1点目、加入者1人当たりの国保料の政令市比較ですが、平成27年度の当初賦課時点では10万860円で、政令市20市の中で5番目でございます。
 2点目、加入者1人当たりの法廷外繰入金額ですが、平成27年度当初予算では6,766円で、政令市の中で12番目です。
 3点目、加入者1人当たりの基金残高ですが、保険料引き下げ前の平成25年度決算時点では2万1,427円で、政令市の中で最も高くなっております。
 なお、各政令市で保険給付費の状況や保険料の収納率、所得の水準及び財政状況などが異なるため、単純比較はできないものと考えております。
 次に、国保の都道府県単位化の本市としての考え方についてでございますが、国民健康保険制度の構造的な課題として、被保険者の年齢構成が高いことや低所得者層が多いこと、医療費水準が高いこと、小規模保険者が多いことなどから、現在の市町村国保においては、法廷外繰り入れに頼るなど、その財政基盤は脆弱な状況にあります。
 このような状況において、安定的で持続可能な医療保険制度を再構築することを前提とし、国の権限と責任のもと、国保の構造的な問題の解決に必要な財政措置を講じた上で、都道府県が財政運営の責任主体として、市町村とともに安定的な財政運営や効率的な事業の確保を行おうとするものであり、都道府県単位化は必要であると考えております。
  〔25番鈴木節子君登壇〕

◯25番(鈴木節子君) 今、基金残高の決算で政令市比較をお答えいただきましたけども、1人当たり2万7,000円というのは、政令市の中で断トツ1位と高いのです。2位のところを見ますと、1人当たり1万6,000円ですので、1人当たり1万1,000円も差があるのです。ですので、基金残高61億円というのがどれだけ高い数字かが皆さんもおわかりになったと思います。
 このように、静岡市の国保運営は、安定的財政運営と言いながら、値上げを繰り返し、決算はどんどん積み増しして、現在、40億円です。基金残高が61億円という数字ですが、これはさかのぼってみますと、昨年度、ちょうどこの時期に国保運協の議論が始まりました。そのときの議論も、決算41億円、基金61億円という数字です。そのときの議論が、これだけゆとりがあるのなら、国保料を引き下げすべきだと。そして、最大限可能な限り引き下げできる数字を試算すべしという国保運営協議会全員の議論によって、引き下げが実現しています。
 平成26年度決算は、黒字も基金残高も25年度と同額です。その上、予備費に18億円も追加し、引き下げに踏み切った状況以上に余裕があり、来年度はさらに引き下げを増額できる条件はあります。例えば、予備費に計上した18億円は、1人1万円引き下げに匹敵する金額です。
 また、基金は恒常的に積み上げ、活用するものではありません。医療費の急増には保険財政共同化事業で対応可能ですので、61億円も積み上げておく必要も根拠も見当たりません。都道府県単位化まで国保財政は安定的に運営できる見通しは十分にあります。国保料滞納と滞納制裁の悪循環から抜け出すには、国保料を引き下げて、払える額にすることです。
 国保料を審議するのは国保運営協議会です。しかし、当局が率先して引き下げの姿勢を示し、希望の持てる国保行政を市民とともにつくり出していく姿勢を示すことが今、求められています。方針を伺います。
 そして、これから策定される都道府県国保運営方針は、運営協議会と市町村長の了解によって知事が決定し、したがって、市町村の意思は重要視されません。自治の形骸化につながります。
 制度改革について、首長、自治体当局からも不信や不満の声、突き上げがあります。国は今回、子ども医療費助成に対する各市町村へのペナルティーを是正する姿勢を示しました。自治体の正当な要求を認めざるを得ない状況をつくり出しています。
 住民福祉と地方自治を守る立場で、国や県が市町村を監視するのでなく……

◯副議長(遠藤裕孝君) あと1分で終了してください。

◯25番(鈴木節子君)(続) 給付費抑制や住民負担増とならないよう、自治体の責任で主張しなければ、矛盾は深まるばかりです。当局の姿勢を伺います。
 そして、財源についても、毎年総額3,400億円の公費投入が決まりました。しかし、全国知事会は1兆円を要求しています。財源は消費税と公的医療保険制度の間で負担を分かち合って捻出するのではなくて、国庫負担割合を引き上げ、財政構造を抜本的に変えるしかありません。国の財政支援を確実に実行させる体制が必要です。
 もともと国からの国庫補助を減らし続けてきたところに問題があります。こうした抜本的な要請を国に対してする方針と覚悟を伺います。
 今必要なのは、都道府県単位化に対し、住民を守る防波堤として、自負心を持って臨んでいただきたいことを申し上げて、質問を終わります。

◯保健福祉局長(村岡弘康君) 国保料と国保の都道府県単位化の2点の御質問についてお答えいたします。
 まず、1点目の国保料引き下げの実施についてです。
 保険料率の引き下げ等を諮問しました、平成26年度の国民健康保険運営協議会の答申の中で、保険者期間及び広域化後においても市民の負担増にならないように努めること、との要望をいただいております。
 このため、収納率の向上や医療費の抑制などにより保険財政の健全化を進めるとともに、給付費の推移や国等の動向を踏まえて国保財政の推計を行い、次年度の保険料率等を運営協議会に諮ってまいります。
 2点目の都道府県国保運営方針についてでございますが、まず、厚生労働省は地方と協議しつつ、国保運営方針のガイドラインを作成し、都道府県に示すことになっております。
 次に、都道府県は、国保運営方針の策定に当たり、あらかじめ市町村の意見を聞いた上で、都道府県に設置する国保運営協議会での議論を経て、地域の実情に応じた国保運営方針を定めることになっております。
 こうしたことから、本市としましては、都道府県と市町村による国保の運営を安定的、効率的に行うためには、国の権限と責任のもと、標準システムの開発や十分な財源措置など具体的な取り組みを早期に示して、地方と十分に協議し、制度の詳細をつくり上げていくよう、指定都市市長会等を通じて国に要望してまいります。