避難勧告は的確なものに 実効ある要援護者の避難体制整備を

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寺尾1203-2◯2番(寺尾 昭君) 去る10月に台風18号、19号が相次いで来襲しまして、静岡市地域防災計画に定められております避難救出計画が今回の台風災害にどう生かされたのか、その教訓について、全体的な課題、そして、特に要援護者支援にかかわる質問をいたします。  静岡市地域防災計画では、「市長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、住民の生命又は身体を災害から保護するため必要があるときは、必要と認める地域の住民に対して、避難のための準備情報の提供や立退きの勧告又は指示を行う。特に、高齢者や障害のある人等、避難行動に時間を要する災害時要援護者が迅速に避難できるよう、避難に関する情報の伝達を行うなど、マニュアル・計画に沿った避難支援を行うよう努める」と記されております。  市長の勧告指示は、災害対策基本法第60条を根拠としていると思います。法律には、急を要すると認めるときは、避難のための立ち退きを指示することができると書かれております。そして、静岡市地域防災計画には、特に高齢者や障害のある人等、避難行動に時間を要する災害時要援護者が迅速に避難できるよう、避難に関する情報の伝達を行うなど云々と書かれております。  しかし、この急を要すると認めるときは、指示をすることができると規定されておりますけれども、この記載されている中身では、勧告と指示の違い、ここがどう違うのかということは必ずしも明確ではないわけです。今回の台風来襲時に、特に19号では、ほぼ市内全域に避難勧告が出されたわけですけれども、市民は、自分の住んでいる区域にどのような災害が迫っていて避難しなければならないのか、どういう被害が及んでいるのか等々について、よくわからなかったのではなかったでしょうか。いずれにしても、市民はわからないままに状況の推移を自分で判断したのではなかったかと思います。  そこで質問ですが、まず、台風18号及び19号で避難勧告までの発令となったわけですけれども、避難勧告と指示の違いについて明らかにしてほしいと思います。  そして、実際に避難をした人は少なかったわけであります。人数も、先日来の答弁の中で出ているわけですけれども、改めて避難場所が実際何カ所あったのか、そして、実際に避難した人数についても、改めてお聞きします。  避難場所に指定されているのは学校の体育館などがほとんどで、避難はしたものの、そこにはテレビだとかパソコンだとかはほとんどないわけですよね。家庭にいる場合は情報の収集手段はそれなりにあるわけですけれども、避難した場所にはそれがないということです。したがって、避難した方々が災害情報を収集する手段が実際にあったのかどうなのか、その辺についてもお聞きいたします。  次は、要援護者の避難への対策です。災害時要援護者とは、地域防災計画によりますと、みずからの意思や力で情報を受信すること、あるいは必要な行動を起こすことが困難な人ということで、具体的にはひとり暮らしや寝たきりの高齢者、心身に障害のある人、乳幼児、妊産婦や傷病者、日本語がわからない外国人、その他情報の伝達や避難等に他の人の支援を必要とする人と、例示をしております。とは言っても、これらの人が置かれている環境や程度はそれぞれ異なっているわけであります。それだけに、この人たちの支援に特別の手だてが必要になってくるわけです。  そして、災害時要援護者支援体制の整備を図るということで、市の役割を定め、地域では自主防災組織の役割も定めております。平成22年11月に作成された静岡市災害時要援護者避難支援プランがあるわけですけれども、このプランでは、この要援護者の対象者として65歳以上の高齢者のみの世帯、またはひとり暮らしの高齢者、要介護認定を受けている方等々が挙げられているんですけれども、先ほど言いました地域防災計画に掲げられております対象者とは、例示の中身が異なっているわけです。その辺は整合をしっかり図っていくべきではないかと思います。  そこで質問です。まず、要援護者の方々は、目、耳が不自由な方々、言葉がわからない方々もいて、情報が伝わりにくいわけです。その情報伝達手段ということで、何があるのか、どうするのか、その辺についてもお聞きしておきます。  そして、市の災害時要援護者避難支援プランでは、対象者の中で支援を希望する者は、申請主義なんですね、申請により要援護者名簿に登録をすることになっています。この名簿は、地域の自主防災組織と民生委員児童委員協議会に提供され、活用されることになっております。  しかし、適正管理のため鍵のある保管場所へ保管するなど、その名簿は適正な管理が求められている。ある意味では当然といえば当然なんですが、そこで質問です。災害時要援護者避難支援制度への、現在の登録の状況と、実際に必要な方々と登録をされている人たちの状況はどうなっているのかということです。  そして、災害時要援護者も当然のことながら、今回の台風では避難の対象になったわけですけれども、今回の避難にかかわって、この名簿の活用は実際に行われたのかどうなのか、実態はどうであったのか、その辺についてもお聞きしておきます。  1回目です。 ◯危機管理統括監(中野達也君) 避難勧告と指示の違いのほか、合わせて4点の御質問にお答えいたします。  まず、避難勧告と避難指示の違いについてであります。避難勧告・避難指示とも、災害が発生し、または発生するおそれがある場合に、市民の生命、身体を災害から保護するため必要があるときに発令するものであります。  なお、避難指示は、被害の危険が目の前に切迫している場合に発令することとしております。  次に、開設した避難場所の数と避難者数についてですが、台風18号の際は75カ所、94人、また、台風19号の際は152カ所、605人でありました。  次に、避難した方々が災害情報を収集する手段はあったのかについてでありますが、本市が開設しました避難場所は、一時的に安全を確保する場所であり、テレビ、ラジオ等の用意はいたしませんでした。  最後に、災害時要援護者の方々への情報伝達手段についての御質問にお答えいたします。  災害時要援護者の方々を対象としました伝達手段としましては、事前に送信先を登録いただいた聴覚障害者へ直接ファクス送信するiファクスがありますが、これにより情報を入手される方には限りがあります。本市は、災害時に同報無線、防災メール、緊急情報防災ラジオ、広報車などの手段で緊急情報を広く伝達しますが、これらにより情報を確認することが難しい災害時要援護者の方々に対しましては、情報を入手されました御家族や御近所の皆さんが直接情報を伝えていただくよう、市政出前講座や防災訓練などの機会にお願いしております。 ◯保健福祉局長(松本泰典君) 2点の御質問にお答えします。  災害時要援護者避難支援制度への登録状況についてですが、平成26年9月現在、要援護者12万5,683人に対し、登録者は5万8,912人で、その割合は約47%となっております。一方、支援が必要ないなど登録が不要とした人は5万7,560人で、その割合は約46%となっております。  また、災害時要援護者名簿の活用についてですが、平成24年度に、先進的な取り組みを行っている地区の事例や名簿の活用方法等を掲載したマニュアルを作成・配布し、地域に即した取り組みを推進していただくよう働きかけてまいりました。  本年度は、制度施行から3年が経過しまして、福祉施設やケアマネジャーと協働した防災訓練の実施や個別の支援計画の作成を開始した地区があるほか、災害時要援護者登録マップや地域の災害時対応マニュアルの作成を開始した地区があるなど、地域の特色ある活動が広がりつつあるところでございます。 ◯2番(寺尾 昭君) 2回目です。避難勧告について、多くの市民が戸惑ったということがあったわけです。つまり避難勧告の的確性が問われ、検証すべき点が多々あったと考えられます。  暗くなる前とか風雨が激しくなる前だとか、水害が出てからというのでは、なかなか避難するに避難できないということでありますから、早目の避難勧告が必要です。空振りになっても、安全確保を優先するということもマスコミで大分言われていたところです。  ただ、避難勧告又は指示が市民に理解される、あるいは納得を得られることも、また必要です。それが、より大きな効果を発揮することになるわけです。したがって、この教訓を今後に生かしていくことがどうしても必要だと思います。  質問ですけれども、今回の避難に関して、私どものところに、皆さん方もそうだと思うんですけれども、たくさんの声が寄せられております。市にはどのような声が寄せられているのか、また市の当局としては、その声をどのように受けとめているのか、お聞かせください。  そして、特に今回の教訓をどのように考えているのかについても、お聞かせ願いたいと思います。  次に、要援護者の関係です。今、お話がありましたように、要援護者の名簿の作成は必要な方の半分以下だというお話もあったわけです。要援護者名簿の活用の問題について、地域の自主防災組織によっても大分差があるようです。個人情報の保護という問題がありますので、実際は、先ほど言いましたように、鍵のかかった保管庫に入れられたままで、いざ災害になっても、その名簿が出てこないということも少なくないという例があります。市は、通常の避難場所では、避難生活が困難な要支援者のための避難所である福祉避難所の確保に努めることになっております。しかし、災害時だけ受け入れてくれる福祉避難所があるのか、また、設備はどうなっているのかという点も、この要援護者にとっては心配の種であります。  そこで、福祉避難所の受け入れの対象となる要援護者はどのような人を対象にしているのか、お聞かせ願いたいと思います。  さらに、静岡市地域防災計画と災害時要援護者避難支援プランがあるわけです。計画はしっかり、文字上はできていると言えるわけですけれども、災害時に、実際に生かせるかどうかが一番の課題であると思います。  そこで伺いますけれども、この災害時要援護者避難支援制度をより実効性のあるものにしていく必要があると思います。その辺をどのように考えていらっしゃるのか、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。  時間がなくなりましたので、意見・要望もあわせて申し上げたいと思います。  この要援護者の方からも、私のところへも大分御意見をいただきました。いろいろ問い合わせはしてみたけれども、なかなか的確な回答が得られなかったということもありました。  災害時要援護者避難支援プランでは、災害時の市の役割として、早い段階で要援護者に対する避難支援体制を整えるとともに、避難が必要な段階において要援護者が避難支援を受けられない場合や、避難支援者が避難支援を行えない場合に備え、要援護者避難支援窓口を設置すると書かれております。窓口を設置して、避難支援要請等に対応するということですね。今回、そういう窓口が実際にあったのかどうなのか。該当者からは、問い合わせに対して的確な回答が得られなかったという声もありました。

ぜひこの辺もしっかり整備をしておいてほしい。  そしてまた、要援護者が避難した後の避難場所の設備、先ほど一時的なところだから実際にはないということであったわけですけれども、例えば車椅子が通行できるような状況になっているのか、居住空間は確保できるのか、障害者用トイレはあるのか、電気の設備などもあるのか等々、非常に大変ですけれども、そういう設備が必要になってくるわけです。一時的な避難場所とはいえ、地震災害などを考えると一定の長期になることも考えられますので、今後の課題として、ぜひ検討をしてほしいということを申し上げまして、質問といたします。 ◯危機管理統括監(中野達也君) 避難に関して市民から寄せられた声など、2点の御質問にお答えいたします。  市民の皆さんからは、市民の声や電話などでさまざまな御意見をいただきました。主なものでありますが、台風19号の際、避難勧告を早く防災メールで知らせることはよい、また、避難情報をエリアメールで周知したことはよかったといった意見もありました。しかし一方で、携帯電話に何度も避難情報が送信されたが、単身赴任で小学校に縁がなく、学区で案内されても自分が該当するのかどうか全くわからなかった、避難勧告が出たがどうしたらよいかわからなかった、静岡市のホームページ上に避難場所や避難勧告が発令された範囲を町名であらわすなど、詳細な情報が少なくて困ったなど、わからなかった、困ったという御意見もありました。  台風18号、19号で得られた教訓についての御質問であります。現在、2つの台風における本市の対応について検証しているところでありますが、全体としましては、備えあれば憂いなしと再認識をしたところでございます。その上で、市民目線での避難勧告の発令がいかに大切か、避難行動についての日ごろの啓発の重要性、それから、初動体制の早期確立の必要性などが課題であると認識しているところでございます。 ◯保健福祉局長(松本泰典君) 福祉避難所に受け入れる要援護者についてですが、避難所において特別な配慮やプライバシーの確保が必要と判断された方が対象となります。  また、災害時要援護者避難支援制度についてですが、制度の実効性を高めるため、自主防災組織と民生委員に対してアンケート調査を実施し、その結果をもとに先進的な事例を追加するなど、マニュアルの充実を図り、地域に即した取り組みを支援していきます。  さらに、静岡市障害者協会の協力のもと、自主防災組織を対象として、避難所における要援護者の支援の方法や留意点などに関する研修会を開催するほか、要援護者を交えた防災訓練の実施についての働きかけを行うなど、地域の防災力の向上を図ってまいります。  そのほか、災害時要援護者避難支援制度登録の御案内に対して、未回答である方が約9,000人おりますので、再度、意向の確認等を行い、制度の実効性を高めてまいります。