台風18号被害は

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西谷1201◯13番(西谷博子君) 台風18号の被害について質問します。  台風18号の北上に伴い、10月6日の未明から暴風域に入った県内は、各地で大きな被害を受けました。静岡市でも巴川流域の被害が大きく、清水区では40年前の七夕豪雨以来の浸水被害を受けた地域が続出しました。テレビで映し出された映像に、40年前を思い起こしたという人も少なくなかったようです。巴川本流は氾濫しなかったものの、本流周辺の支流が氾濫したため、一瞬の間に泥水につかる被害をもたらしました。被災された皆さんに改めてお見舞い申し上げます。  温暖化が進む中、巨大化する台風被害や集中豪雨の被害が今後も起こり得る状況の中、今回の台風被害から教訓をくみ取り、防災対策に生かし、市民の安心・安全のまちづくりを進めることを願い、幾つかの質問を行います。  初めに、台風18号の被害状況について伺います。  各区ごとの家屋被害、道路被害、河川被害、山・崖崩れなど土砂災害の件数を含めた状況について伺います。また、復旧の進捗状況についてもあわせて伺います。  次に、被災者支援について伺います。  今回、台風18号、19号の災害復旧対策に30億8,000万円余りの補正予算が組まれ、広範囲にわたって被害箇所の復旧に取り組むことになっていますが、被災者に対する支援制度はどのようになっているのか。以下の項目について伺います。  まず、市税、介護保険料、国民健康保険料、水道料などの減免制度。事業用の車、機械などの被害に対する融資制度。また、災害見舞金などについて伺います。  次に、巴川などの支流や水路から泥水があふれ、床上や床下の浸水被害を受けた家では、片づけに追われ、中には油が混じった水が家に入り、拭いても取り除けないとため息をつく人や、床や床下がなかなか乾かず、畳を入れることができないなど、被害後の対策に苦労していることが訴えられています。今回、浸水被害を受けた家屋や地域に対する消毒などの衛生対策はどのような対応を行ったのか、伺います。  次に巴川治水対策についてです。  七夕豪雨以来の大きな被害をもたらした台風18号では、七夕豪雨災害と重なった地域で、2度も同じような被害を受けた家もありました。今回は巴川の本流の氾濫はなかったとはいえ、支流が氾濫する内水氾濫が各地で起こりました。市長は被災地を視察した際、治水対策はまだ半ばと言われたようですが、マスコミも巴川排水に限界、放水路、遊水地の能力を上回ると報じています。七夕豪雨被害を契機として進められてきた、巴川流域総合治水対策の整備はどこまで進んでいるのか、伺います。  1回目は以上です。

 

◯危機管理統括監(中野達也君) 台風18号の区ごとの被害状況についてお答えいたします。  まず、住宅の被害ですが、全壊は、葵区で1棟、清水区で1棟。半壊は清水区で7棟。一部損壊は、葵区で5棟、清水区で8棟。床上浸水は、葵区で124棟、駿河区で4棟、清水区で414棟。床下浸水は、葵区で153棟、駿河区で19棟、清水区で703棟でした。  次に、道路被害です。葵区90路線149カ所、駿河区28路線29カ所、清水区171路線296カ所。河川被害は、葵区130河川140カ所、駿河区30河川40カ所、清水区90河川120カ所。山・崖崩れは、葵区4カ所、駿河区4カ所、清水区7カ所でした。  そのほかの被害としましては、林道被害は、葵区32路線75カ所、駿河区2路線2カ所、清水区19路線66カ所。農道被害は、葵区86カ所、駿河区22カ所、清水区84カ所でありました。最後に、水道施設の被害ですが、清水区で11カ所でした。

 

◯財政局長(河野太郎君) 被災者に対する支援制度のうち、市税の減免制度についてお答えいたします。  静岡市税条例の規定により、まず、個人市民税につきましては、災害により生活に必要な資産について損失を生じた方、また、所得の著しい減少や異常な出費をしたと認められる方、次に、固定資産税、都市計画税につきましては、災害により所有する固定資産の価値が著しく減少した方や固定資産を失った方、最後に、事業所税につきましては、災害により事業所用家屋に被害を受け、その損失が著しい方に対し市税を減免することができるものとされております。  今般の台風18号に係る被害による市税の減免についての対応状況ですが、災害直後から制度の周知を図ったところ、本年11月末現在、計46件の相談が窓口に寄せられ、そのうち34件に関して減免の手続を進めているところであります。  今後とも対象となる被災者の方につきましては、速やかに市税の減免を行ってまいります。

 

◯保健福祉局長(松本泰典君) 被災者支援に関する2点の御質問にお答えします。  まず、介護保険料及び国民健康保険料の減免制度についてですが、それぞれの条例及び施行規則で定めており、災害により住宅、家財、その他の財産について著しい損害を受けたとき、その損害の割合に応じて、いずれの保険料についても減免することができるとなっております。  また、保険料の減免についての対応状況ですが、災害直後から他の制度とあわせてホームページにより周知を図りましたが、現在のところ両保険料ともに、台風18号の被災に伴う減免の申請はございません。  次に、浸水被害を受けた地域等の衛生対策についてですが、今回の浸水被害に速やかに対応するため、住民の健康被害の発生を防ぐことを目的として、災害対策本部において区本部と連携を図り、情報収集に努めました。その上で保健所内に緊急調査班を編成し、道路冠水及び浸水被害のあった地域を対象に、職員が現地確認及び地域住民への聞き取り調査を行いました。  その結果、くみ取り便所など衛生上対策が必要と判断した地域では、薬剤散布について十分な説明を行うとともに、消毒剤の配布を行いました。一方、特に感染症の蔓延の心配がないと判断した地域では、現地において家屋等の消毒方法の説明及びチラシを配布し、住民の皆さんの御理解を得るよう努めました。  また、山間地等の飲料水供給施設が、土砂災害等により生活用水の確保が困難になった場合については、施設整備のため緊急に補助金の交付決定を行っております。

 

◯上下水道局次長(大石清仁君) 水道料金の減免制度の現状についてですが、災害等を原因とする水道使用者の宅内漏水については、使用者が実際に水道水を使用したものではないことから減免の対象としております。しかし、今回のように宅内漏水が発生していない場合は、例えば清掃用として水道水を使用したとしても使用水量のいかんを問わず、水道料金の減免は行っておりません。

 

◯経済局長(斎藤 誠君) 台風などにより発生した事業用車両や機械などの被害に対する支援制度についてですが、本市では、市中小企業融資制度を利用して事業者が金融機関より借り入れする場合に、利子の一部を補助しています。融資制度のうち、中小企業者の運転資金及び設備資金の借り入れを広く融資対象としている産業振興資金及び小口資金では、事業用の車両や機械設備などが災害による被害を受けた場合にも利用することができます。  また、平成23年の東日本大震災では、震災により直接・間接被害を受けた市内事業者を対象とした災害対策資金を創設し、1,260件に対して利子補給を実施したほか、被災企業に対する事務所賃借料を補助するなどして支援に当たりました。  今後は融資の申し込み窓口である金融機関との連携をより一層強化し、災害時においても利用可能な融資制度及び経営相談を日ごろより広くPRすることで、被災した事業者が速やかに復旧できる安心な環境づくりに努めたいと考えております。

 

◯生活文化局長(安本 睦君) 被災者支援制度のうち災害見舞金についてですが、災害見舞金交付要綱の規定により、常時居住していた住居が、全壊した場合は10万円、半壊した場合は5万円、床上浸水した場合は2万円を、また、住居の便槽が浸水し、臨時にくみ取りを行った場合は2,000円を上限に、世帯主に対して交付することとしております。  今回の台風18号被害への対応状況ですが、本年11月末現在、被災された方のうち、全壊が2件、半壊が6件、床上浸水が520件、便槽浸水が56件、延べ584世帯へ見舞金を交付したところでございます。

 

◯建設局長(寺田 薫君) 巴川総合治水対策事業の整備状況についてですが、昭和49年の七夕豪雨を契機に、巴川は昭和53年に総合治水対策特定河川に指定され、流域整備計画を昭和57年に策定いたしました。  この計画に基づき、巴川狭窄部の改修、大谷川放水路の建設、麻機遊水地第3、第4工区の整備などを行い、おおむね5年に1度起こり得る大雨に対して浸水被害を発生させない整備は、平成16年に完了しております。  現在は平成11年に策定された新流域整備計画を踏襲した流域水害対策計画に基づき、おおむね10年に1度起こり得る大雨に対して浸水被害を発生させないように、静岡県と本市が連携し事業を進めております。これまでに麻機遊水地第1工区、大内遊水地、能島遊水地の整備が完了しております。現在、県が麻機遊水地第2工区の整備、大谷川放水路の流下能力向上を図るための河床整備を進めております。  一方、本市においては押切南雨水貯留施設の機能拡大や、清水桜が丘高校のグラウンドを利用した雨水貯留など、流出抑制対策を進めております。

 

◯13番(西谷博子君) 各被害状況についての報告を受けました。  被災者支援についての2回目の質問です。  水道料の減免について、最初に質問します。  水道料の減免については行っていないということですが、今回、浸水被害を受けた家屋や地域は、まず泥水のかき出しを行い、水道水で洗浄するため、大量の水道水を使用しています。現地を視察する中で、被災された方から真っ先に出された要望は、水道料を減免してほしいでした。七夕豪雨のときは、旧清水市では水道料の減免を行っています。被災者支援の立場から、今回の浸水被害を受けた家屋には、水道料の減免を行うべきと考えますが、改めて当局の考えを伺います。  市税、保険料など、被害に対する減免制度の内容、使用状況についての答弁がありました。市税については相談が46件、申請が34件。ところが、介護保険、国保については申請はゼロだという答弁でしたが、現在の制度を見てみますと、大変わかりにくく、市民には理解や使用しにくい内容になっていると思います。被災者を支援する立場で、支援の内容の充実と、わかりやすい制度になるよう検討すべきです。  また、事業所における被害に対しても、状況によっては従業員の生活にも影響を及ぼしかねない被害を受けているところもあります。実態に合った支援制度の検討を要望します。  次に、災害見舞金についてです。  床上浸水された家は見舞金が支給されていますが、床下浸水の家には見舞金の支給はありません。しかし、床下浸水のお宅でも、今回の被害で大変な御苦労をされているわけです。そうした被災された方の御苦労をねぎらい、励ましの意を込めて、災害見舞金は床下浸水まで対象を広げるべきではないかと考えますが、当局の考えを伺います。  次に、被災現場の衛生対策についてです。  住宅の7割から8割が浸水被害に遭った高部地区の自治会から、市の災害窓口に地域の消毒を希望したが、市の対応は全くそっけなく、これでいいのかと疑問を感じたという声や、消毒の相談をどこにしたらいいのかわからないという声が届いています。今回の災害では、衛生対策の広報がわかりにくく不十分であったと思いますが、改善についてどのように考えているのか、伺います。  次に、今後の課題についてですが、巴川の治水対策についてです。  台風18号の清水区での雨量は、月平均の2倍にあたる428ミリだったと報道されています。平成24年の巴川・大沢川洪水ハザードマップでは、巴川の降雨確率規模は50年に1回の目安が326ミリになっていますが、今回はそれをはるかに超える雨量でした。あと1時間降り続いたら、40年前と同じくらいの被害になったのではないかという声も多く上がっています。今回の台風被害を受け、巴川の総合治水対策を急ぐべきだという声は大きく、市の積極的な対応が求められています。遊水地や支流対策も含め、今後どのように取り組むのか、伺います。  また、台風18号では、避難勧告のおくれが問題になるとともに、職員の配置についても実態とかみ合っていなかったことが問題視されました。台風18号と19号では、配備された職員の数に大きな違いがあったようですが、災害時の職員の配備で課題となっていることはどのようなことか、伺います。  以上、2回目といたします。

 

◯上下水道局次長(大石清仁君) 今後の水道料金の減免制度についてですが、災害時に被災者が使用した分の水道料金の軽減措置につきましては、ほかの支援制度との整合性を考慮するとともに、他都市の状況等も参考に、今後研究してまいりたいと考えております。

 

◯生活文化局長(安本 睦君) 災害見舞金を床下浸水にまで対象を広げるべきということについてですが、災害見舞金については、全壊、半壊、床上浸水等に対し交付しており、政令市や県内他都市の状況におきましても床下浸水を交付対象としている事例はなく、現在、床下浸水まで交付対象を広げることは考えておりません。

 

◯保健福祉局長(松本泰典君) 衛生対策の広報等についてお答えします。  台風等により被災した現場に保健所職員が赴き、質問にお答えするとともに、衛生対策について十分な説明を心がけましたが、一定期間のうちに広範な地域で説明を行っていく必要がありましたので、説明が十分に御理解いただけなかった地域もあったかと思われます。  今回のケースを踏まえ、被災直後の慌ただしい状況の中で、どのようにして速やかにわかりやすい情報をお届けできるのかということを考えますと、被災現場での情報伝達のみでは十分に行き届かないことが懸念されます。  このため、まずは自治会や自主防災会等の御協力を得ながら、あらかじめ消毒や防疫に関する周知を図るとともに、さらに、被災現場においては、一目で御理解いただけるようなチラシ配布等により周知を図っていくことが必要と考えております。  このようなことから、被災された方々が一日も早く安心して現場復帰に専念できるように、情報提供のあり方について、今後検討してまいりたいと考えております。

 

◯建設局長(寺田 薫君) 今後、本市としてどのように巴川流域総合治水対策に取り組んでいくのかについてですが、今回の台風では現在の巴川の施設能力以上の降雨があり、巴川の水位が上昇し、支流から本川へ流入することができず、地盤の低い地域を中心に浸水被害が発生したことから、先月11日に県と本市が組織する巴川流域総合治水対策協議会を開催し、降雨や水位の状況、浸水地域などから原因の考察を行いました。今後、本年度末を目途に、詳細な原因分析、現計画の効果検証、対策の検討を行っていくこととしております。  巴川に流入する支流対策についても、今後検討される対策を進めるとともに、平時においても流下能力の確保に努めるよう、河川パトロールや地元自治会から寄せられる情報などにより、適正な維持管理に取り組んでまいります。  また、本市独自の取り組みとして、浸水被害の多い地区を対象に、河川部局と下水道部局で平成18年に策定した静岡市浸水対策推進プランに基づき、光福寺沢の改修整備を初めとした事業を、より一層推進してまいります。  なお、巴川流域総合治水対策事業の基幹事業が県事業であることから、8月20日に、市長を会長とする巴川改修促進期成同盟会が県に対して事業促進の要望を実施しております。さらに、台風直後の10月23日には、国土交通省を訪れ、巴川流域の被害状況を報告し、治水対策事業の促進について要望活動を実施したところでございます。

 

◯危機管理統括監(中野達也君) 災害時の職員配備についての御質問にお答えいたします。  台風18号では、地域防災計画に定める配備基準によらず、気象台からの台風情報に基づき40人の増員体制を早目に整え、その後、大雨洪水警報や土砂災害警戒情報の発表を受け、配備を増強いたしました。  一方、台風19号では、台風18号から間もない中、台風が接近すればより危険性が高まると判断したこと、あわせて気象台から台風情報を得ていたことから、台風の接近が予想されていた前日には避難所を開設するなど、790人の体制を整えました。現在、台風18、19号の対応を検証していますが、どのタイミングでどれぐらいの職員を配置するかが課題となると考えているところでございます。

 

◯13番(西谷博子君) 答弁を受けましたけれども、まず、水道料の減免についてですが、今考えていないけれども、他都市の例を参考にしながら検討していくと言っていますが、現に40年前には、旧清水市ですが、実施されていますから、今回も時間をとらずに、ぜひ実施に移していただきたいと思います。  衛生対策についてですが、これは予防にも係ることですけれども、今回被災された方たちも含め、高齢者が非常に多くなっている社会状況を踏まえて、この衛生対策について、わかりやすく速やかに実施してほしい、そのように思います。  また、巴川の治水対策についてですが、これまで進めてきたそのテンポでいいのかということが改めて問われているわけです。これまで40年近く進めてきて、今回大きな被害をもたらしたわけです。大谷川の放水路が完成しましたが、課題はたくさん残っていると。そうしますと、このテンポを引き上げることが非常に大事になってきていると思います。  市長は被災現場を視察された際、災害時の安心・安全確保が行政の最優先課題なので対策を進めたいと述べたとされていますが、現在策定中の3次総へ、優先課題として巴川の流域総合治水対策や、土砂災害危険地域への早期対応を盛り込むべきだと考えます。巴川流域総合治水対策は、国、県を巻き込まなければ進められない、管理は県だということですけれども、実際、そこに住んでいるのは静岡市民であります。そうした事業だからこそ、3次総の優先課題として取り組むべきではないかと思います。  また、被災者の相談窓口を一本化して対応できるワンストップ体制を設け、市民に周知すること、これは今回の災害時でも多く出されている要望でもあります。そうした体制を速やかに整えることを要望して、私の質問を終わります。