国保財政は黒字41億円 基金61億円 高すぎる国保料は引き下げを!

カテゴリー:

鈴木1202◯25番(鈴木節子君) では、通告に従い、初めに、国民健康保険について質問いたします。
 24年度国保料の大幅な値上げから3年目に入りました。市民の暮らしは苦しい閉塞感が広がっているにもかかわらず、値上げ以降の国保会計は毎年十数億円の繰越金が積み増しされています。国保基金残高も20億円単位で毎年積み上がっています。この実態から国保財政を分析し、大幅な引き上げは妥当であったのかを検証し、徴収し過ぎた国保料は引き下げできるという立場で質問いたします。
 質問の1点目に、国保財政の分析について。
 値上げ以降、決算は、平成24年度26億4,000万円、25年度41億8,000万円の多額な繰越金が発生しています。基金残高は、値上げ前の23年度2億円に対し、平成24年度は24億円、平成25年度は41億円、そして、現在は61億円にまで積み上がっています。
 3年前の議論は、医療費が毎年3%から4%ずつ増加し、保険料を改定しなければ、平成30年度には407億円の赤字というとてつもない当局の試算が示されました。その結果、平均で17%、そして、低所得世帯には3割もの値上げを強行しました。当時の資料では、平成24年度15%引き上げをし、その後、毎年5%引き上げをしても、平成26年度、ことしには約36億円の不足が出ると赤字を強調しました。
 しかし、どうでしょうか。現在、赤字どころか、繰越金は41億円、基金残高は61億円と、政令市中最高額に積もり続けています。
 今、やるべきことは、国保財政を分析し、値上げの議論、試算は正しかったのか、検証が必要です。
 値上げ以降の繰越金基金残高増額の要因をどのように分析をするのか、伺います。
 2点目に、政令市との比較で伺います。
 皆様にお配りした資料をごらんください。
 1人当たり保険料は、25年度10万9,888円、26年度は10万6,927円と、政令市中2位、3位とトップクラスです。一方、1人当たり医療費は31万4,659円、政令市中13位です。また、一般会計からの繰入金20億円を1人当たりで比較すると1万622円、12番目と繰入額は平均より低い額です。
 しかし、基金残高はどうでしょうか。25年度末は41億円、政令市中1位、そして、現在はさらに20億円積み増しをして61億円です。1人当たり3万2,000円を超え、断トツに高額です。この状況をどのように受けとめるのか、見解を伺います。
 次に、国保の滞納対策についてです。
 国保料が高くて、払いたくても払えない、滞納せざるを得ない世帯にとって、差し押さえは深刻です。払える資力があっても払わない人への対応は必要ですが、収入も財力も乏しく困窮している世帯への強権的な差し押さえは、生活をますます困窮に陥れるだけです。
 国保料の収入未済額は54億円、市税、水道料、介護保険料など、滞納総額130億円の4割を占めるほど深刻な事態です。この滞納に対し、差し押さえが急増し、平成20年の22件、差し押さえ金額1,500万円に対し、24年度には792件、3億8,700万円にまで、件数も差し押さえ額も急増しています。このように、差し押さえが急増している背景をまず伺います。
 次に、介護保険制度改正への対応について質問します。
 安倍政権は、自立・自助の名のもとで公的給付の削減と介護の自己責任化を徹底し、多くの高齢者を介護保険サービスの枠外に切り離す社会保障解体を行おうとしています。本市も、来年度から3年間の第6期介護保険事業計画にこの内容を反映させようとしています。
 新総合事業ガイドライン案の問題点をそれぞれお聞きしていきます。
 1点目に、安上がりサービスへの誘導について。
 これからは、要支援と認定された方の8割が利用しているホームヘルプサービス、デイサービスは保険給付から外され、市町村が実施する地域支援事業に移されます。となると、専門的サービスとボランティアなど非専門職による多様なサービスに分かれます。新規利用者には多様なサービスを割り振り、現在サービスを受けている人も一定期間後には多様なサービスに転換されます。
 市の説明では、自分に合ったサービスが選択できると言っておりますけれども、ボランティアなど非専門職による安上がりサービスへの流し込みは、要支援者の状況悪化を招くだけとの批判が相次いでいます。どのように受けとめているのか、伺います。
 2点目に、要介護認定を省略し、認定に至らない高齢者を増加させることです。
 窓口の担当者が要支援相当と判断し、認定を省略した人は、制度上の要支援者とは呼ばず減らしていくのが目的です。国は、迅速なサービスが可能だと説明しますが、要支援者を介護保険の枠外に出して、適切なサービスを受ける権利が阻害され、状況悪化を招くのではないか。
 3点目に、自立の促進を名目に、サービスの卒業、終了を強いることです。
 お年寄りがかがめるようになる、1人で買い物に行けるようになるという目標を持たせ、目標達成とみなすと、安いサービスへの転換やサービス終了を説得するというものです。先行実施している自治体では、介護認定を更新させない、ボランティアに切りかえるよう説得する、サービスを卒業し助ける側になれと圧力をかけるなど、横行しています。これは強引なサービス打ち切りではないのか。
 このように、国は個人に見合ったサービスが提供できると説明していますが、自立・自助の名で住民相互の助け合いに参加をさせ、高齢者みずから支え手になるよう求めています。まさに、公的支えをなくし、国民を自助に追い込むのが今回の要支援切りではないのか。見解を伺います。
 以上、1回目です。

 

◯保健福祉局長(松本泰典君) 国民健康保険に関する3点の御質問にお答えします。
 まず、基金残高増加の要因についてですが、静岡市国民健康保険診療報酬支払準備基金の残高は、現在、おっしゃったとおり、61億円余となっております。これは、歳入においては、平成24年度及び25年度の保険料収納率がともに予定収納率を3%強も上回ったこと、前期高齢者交付金が両年度ともに増額されたことなどが主な要因となります。また、歳出においては、後期高齢者医療制度への移行及び新規加入者の減などの理由で被保険者数が減ったことにより、全体の給付費が見込みを下回ったことが大きな要因でございます。
 次に、国保料における政令市比較についてですが、平成25年度の1人当たり医療費は政令市20市中13番目で、これに対し、1人当たり保険料は26年度の当初賦課時において3番目となっております。
 これにつきましては、前期高齢者交付金や国庫負担金の交付額及び各市の被保険者の所得水準などにより、必ずしも順位が比例するものではありません。鈴木議員が提出された資料にもあるとおり、政令市の保険料につきましては、東日本で高く、西日本が低い傾向でありますが、これは、所得水準の低い西日本の政令市に調整交付金が多く支払われていることによります。
 本市の交付額は、政令市平均の約半分、1人当たり1万893円となっており、順位は14番目で、本市よりも交付額の低い政令市は全て医療費の順位よりも保険料の順位が高くなっております。このように、医療費水準のみで保険料額が決定されるわけではないため、順位については逆転の現象が起こる場合がございます。
 次に、保険料滞納者に対する差し押さえについてですが、保険料の滞納対策は医療保険制度を運営する上で重要な業務であります。資力があるにもかかわらず、特別な理由もないのに保険料を納付しない滞納者に対し、差し押さえなどの滞納処分を執行することは、被保険者間の公平性を保つために必要であると考えております。
 差し押さえ件数及び額が急増している理由については、平成23年度、福祉総務課内に福祉債権管理係が新設され、今まで以上に個々の状況に応じたきめ細やかな対応が可能となったことから、差し押さえ件数等も増加しております。
 続きまして、介護保険の制度改正に伴う新しい総合事業の3点の御質問に一括してお答えします。
 介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援者等の多様なニーズに応え、その人の能力を最大限生かしつつ多様なサービスを提供する仕組みになっており、介護予防の推進と自立支援に向けたサービスの推進等を基本に実施されるものであります。具体的には、ごみ出しのような簡易なサービスで生活が維持できる方には、ボランティア等によるサービス提供が行われ、身体介護のような専門的なサービスを必要とする方には訪問介護員によるサービス提供が今までどおり行われることになります。
 このようなニーズに合った多様なサービスの提供が可能となることから、要支援者の状態悪化を招くことにはならないと認識しております。
 また、ホームヘルプサービスやデイサービスに代表される訪問型や通所型サービスのみを希望される方は、窓口での基本チェックリストにより対象者か否かの判断ができ、要介護認定に係る一連の手続が不要となるため、迅速なサービス利用が可能となります。一方、より専門性が高い訪問看護などの介護予防給付を必要とする方は、これまでどおり、要介護認定を受けサービスの受給ができます。
 以上のように、何らかの支援が必要な人には、従来どおり地域包括支援センターがかかわり、必要なサービス等が適切に提供できるようケアマネジメントが行われますので、サービスは引き続き提供されることになります。
 今後は、対象者にとって必要なサービスが提供できるよう、ガイドラインに沿って制度設計していきたいと考えております。

 

◯25番(鈴木節子君) それでは、2回目の質問をいたします。
 まず、国民健康保険ですが、基金積み上げを繰り返すことについて、当局はこれまで、国保財政の安定的運営のために基金は重要な基盤だと説明してきました。昨年の9月議会の答弁でも、医療給付費の予想外の伸びなど不測の事態に対応し、国保財政の安定した運営のために必要である。また、国からの通知で、保険給付費の5%に当たる額を積み立てることとされていると答弁しています。
 しかし、現在は、保険財政共同安定化事業によって県全体で負担を調整する仕組みがあります。来年度からは、全ての医療費が都道府県単位で調整されることになっています。また、国の通知は過去十数年前のことで、現在、そのような理由を使う自治体はありません。基金残高を積み増しし続けることについて、突発的な医療費の増額に備えた基金保持が必要という説明は、今では成立をいたしません。見解を伺います。
 次に、滞納対策についてです。
 福祉債権ではこれまで、児童手当、児童扶養手当など、差し押さえが禁止されていても、一たび口座に振り込まれれば一般財産だから差し押さえできると、差し押さえを強行していました。しかし、児童手当そのものが振り込まれた口座の差し押さえについて、平成25年3月の鳥取地裁、同年11月27日の広島高裁判決は、手当自体を受ける権利を差し押さえたのと同じであり違法だと断じました。この判決後の国会答弁で、厚労省の保険局長は、公的手当が入る口座を狙い撃ちする差し押さえは禁止されると答弁しています。
 これに倣い、本市は公的手当が大部分を占める口座の差し押さえは行わないと方針を示すべきです。見解を確認します。
 次に、介護保険についてです。
 介護保険の解約によって必要なサービスが受けられない事態を防ぐために、地域包括支援センターの役割がより重要となります。市も、次期介護保険事業計画で、複合的に機能強化を図ることが重要であるから、基幹型地域包括支援センターの設置について検討するとしています。しかし、それだけで解決になるのでしょうか。
 本市は、高齢者のひとり暮らし、夫婦のみ世帯は4世帯に1世帯と、高齢化が進んでいます。高齢者虐待、精神障害、認知症、経済的困窮、孤立など、処遇困難の高齢者は多く存在しています。こうした方に対して、実情に即したきめ細かな支援が必要です。
 そのためには、地域包括支援センターの職員配置は、現在は1号被保険者の人口割になっています。それだけではなくて、地域の独居率や高齢化率に対応した配置で増員し、行政や関係機関との連携を強化し、太いパイプで連携できる体制整備が必要ではないか。方針を伺います。
 以上、2回目の質問です。

 

◯保健福祉局長(松本泰典君) まず、基金の必要性についてですが、今までは、安定運営の財源として、医療給付費の1カ月分、40億円強の積み立てが必要であるとしてきました。
 一方、平成25年12月に、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律、いわゆるプログラム法が制定され、29年度末を目途に、国民健康保険の保険者が都道府県に移行されることになりました。
 今後、広域化への国、県等の動向を見据えながら、基金の運用も含め、運営方針を静岡市国民健康保険運営協議会に諮り、協議をお願いしてまいります。
 次に、公的手当が大部分を占める口座の差し押さえの見解についてですが、平成10年2月10日の最高裁判所の判決により、児童手当や児童扶養手当の差し押さえ禁止債権であっても、一旦金融機関の口座に振り込まれた段階で一般財産となるため、その預金債権を差し押さえることは原則違法ではないと解釈しております。しかしながら、先ほど御指摘のとおり、平成25年11月27日の広島高裁の判決では、児童手当が預金口座に入金されることを認識した上で、振り込まれた直後にその児童手当が大部分を占める預金債権を差し押さえすることは、差し押さえ禁止債権である児童手当と同様と考えられることから、最高裁の判決の例外として不当であるということでございました。
 本市といたしましては、広島高裁の判決を真摯に受けとめ、同様な事例については本市においては差し押さえは行っておりません。
 最後に、介護保険のうち、地域包括支援センターの職員配置と連携強化についてでございますが、まず、職員配置は、地域包括支援センターが担当する日常生活圏域の高齢者数に応じて決定しております。高齢者数が6,000人未満の圏域においては、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員の3職種を1名ずつ配置しております。さらに、6,000人を超える圏域においては、2,000人増加するごとに職員を1名増員しており、現在、23の地域包括支援センターに111名の職員を配置しております。
 今後は、介護保険制度の改正により、在宅医療・介護連携推進事業、認知症施策の推進等の新たな業務が加わることから、それらに応じた職員体制を強化する必要があると認識しております。
 次に、関係機関との連携強化については、現在も地域ケア会議を開催するなど、ケアマネジャー、介護事業者、医師、歯科医師、警察署等の多職種の協働によるケアマネジメント支援を行い、ネットワークの構築に努めておりますが、今後も、地域包括ケアシステムの構築に向けて、さらなる連携強化を図ってまいりたいと考えております。

 

◯25番(鈴木節子君) では、3回目の質問をします。
 国保料についてですが、国保運営協議会は、来年度の保険料引き下げがどの程度可能かを議論することになりました。ここで肝心なのは、当局の引き下げに向けた主体的な姿勢を示すことです。繰越金は41億円、そして、基金は61億円と余り続けています。今では安定的な国保財政の運営が十分できるこの事態を分析をして、国保料引き下げにかじを切ると言明すべき、これが当局の責任ではないでしょうか。
 昨日、市長は来年春の市長選に出馬するとの意向をお示しになりました。
 国保料が大変高過ぎると、市民からの切実な願いは、引き下げしてほしいのです。これについて、直接市長からめり張りのきいた方針をお示しをしていただきたい。ぜひとも市長みずから答弁をお願いしたい。これは、せっかくこういう市民の切実な願いに応える場を私は提供しておりますので、市長、ぜひお願いしたいと思います。
 2点目に、一般会計からの繰り入れについて。
 国保運営協議会で、保険料引き下げとセットで繰り入れの減額も検討することが委員から提案されています。しかし、セットで議論するのは国保制度の存続にかかわり、乱暴な議論です。市町村国保の共通した問題は、加入世帯の年齢構成が高く、医療水準も高い、そして、所得水準も低いため、保険料の負担が重いという構造的問題です。そのために、一般会計からの繰り入れは必要不可欠です。厚労省で協議中の国保広域化の議論には、一般会計からの繰り入れのない保険料負担を明らかにして、県内の保険料を平準化する狙いがあります。しかし、そうなると保険料が増加するおそれもあり、広域化には多くの問題があります。その議論が定まらないうちに、一般会計からの繰り入れの減額など、まだ結論を出すべきではありません。時期尚早です。減額は行わないと方針を明確にすべきです。見解を伺います。
 続いて、滞納対策についてです。
 誠実に国保料を払うことは当然ですが、払えないほど困窮している世帯があることも事実です。滞納整理、債権回収だけを目的としたら、適切な徴収から踏み外すおそれがあります。本来徴収してはならない人や財産から徴収したら違法となることを自覚し、生活再建、滞納者の権利擁護の立場で、一律機械的差し押さえは行わないと、また改めてこの場ではっきり方針を示していただきたいと思います。その見解を伺います。
 そして、意見・要望ですが、地域包括支援センターについては、今後はもっと重厚な制度が必要です。あわせて、高齢者福祉については措置制度をもう一度復活をさせると、そうしたことに意見・要望をして質問を終わります。

 

◯保健福祉局長(松本泰典君) 国民健康保険料に係る2点の質問に一括してお答えします。
 国民健康保険事業は、被保険者の保険料を主として、国庫負担金とその他の収入で賄うことが原則となっています。
 保険料の算定は、医療費推計、被保険者の増減及び1世帯当たりの所得金額などをもとに行っておりますので、保険料については、各項目を精査し、静岡市国民健康保険運営協議会において協議をお願いしてまいります。また、法定外繰り入れにつきましても、保険料と同様に、国民健康保険の運営に関する事項でございますので、あわせて運営協議会に諮ってまいります。
 次に、国民健康保険の収納対策についてですが、差し押さえについては、まず、滞納者の実情を把握するために納付相談を行います。この納付相談では、家族構成、家庭の収入状況、通院の状況など、滞納者の生活実態を細かく聴取した上で適切な納付計画を作成し、納付に導いておりますので、機械的かつ一律に滞納処分することはありません。
 しかしながら、資力があるにもかかわらず、特別な理由もないのに保険料を納付しない滞納者に対しては、公平性の観点から厳正に対応しなければならないと考えております。