巴川の治水対策を 補聴器購入助成早期の実現を

◯寺尾 昭
 大項目2つのテーマで質問をいたします。
 まず、巴川流域の治水対策ということで伺います。
 巴川は、竜爪山─文殊岳、これをまず遡ると、来ているんだということだそうですね。それから、才光寺沢川というのがその下に流れておりまして、その接点を起点として麻機遊水地の水を主流とし、駿河湾─折戸湾といいましょうか、までの全長17.98キロメートルの県管理の二級河川ということになっております。流域面積の多くが標高10メートル以下の低地であり、河床縦断勾配は何と250分の1から3,500分の1ということで、極めて緩やかなために水はけが悪く、内水氾濫が起こりやすい地形をなしております。巴川に合流する支流には、長尾川、山原川、塩田川、吉田川、草薙川など、20前後の主要中小河川がありまして、改めて地図を確認してみますと、賤機山で囲まれた葵区の市街地、庵原川以西の清水区、有度山系の河川は巴川の支流ということになっております。
 これら支流との合流部の水位上昇が、これまで洪水、あるいは水害の原因になっているわけであります。巴川の氾濫が静岡市内の中小河川の災害に直結しているということが分かるわけであります。下流部の清水市街地では、浸水被害が常態化している。豪雨による巴川の水位上昇と高潮が重なる場合には、必ずと言ってよいほど、このような事態に直面するという状況であります。
 明治、大正以後、洪水・氾濫などを防ぐため、河道の直線化などの改修工事が行われてきました。しかし、1974年の七夕豪雨や昨年の台風15号による豪雨など、その後も災害は続いております。豪雨によって氾濫が起こっても、巴川周辺が田んぼや畑などの農地であった時代、そこが遊水地として機能して、直接人家などへの被害はかなり軽減されていたということがありました。住宅地への開発が進んだ今日では、これが大きな災害になるということになっております。
 七夕豪雨による大災害後に始められ、完成した大谷川放水路は、駿河区においてはその効果が大きいと私は言えると思います。
 私もこの東豊田地域に住んでおりますが、東豊田、西豊田、大谷、高松など、放水路の沿岸での水害は起きておりません。しかし、この放水路も縦断勾配はほとんどなく、流れは緩やか。排水機能は実は高くないということも言えるわけです。巴川の水位を下げるために大谷川放水路への放水量を増やす必要があるという議論もあるわけでありますが、これもそう簡単ではない。やはり慎重を期すべきだというふうに思います。
 麻機遊水地は4つの工区で整備が進められており、今日3つの工区が完成。残るは第2工区のみとなっております。全工区における完成が待たれます。
 このように巴川は上流部、中流部、そしてまた、下流部においてそれぞれのケースに応じた対策が必要だというふうに言えると思います。
 そこで、質問をいたしますが、巴川流域のそれぞれの地域における治水対策の内容は、どのようになっているのか、まずお伺いします。
 高橋雨水ポンプ場というのができました。完成までには様々な問題がありました。既に完成し、稼働しております。多額の費用をかけた高橋ポンプ場であります。豪雨時にどれだけの効果を発揮したのか、とりわけ昨年の台風15号や本年6月の豪雨の際には初期の目的を十分に果たしたのか、必ずしも明らかにされておりません。
 そこで、質問をいたしますが、高橋雨水ポンプ場の稼働状況は、どのようになっているのかお伺いします。
 若干角度が変わりますが、麻機遊水地における自然環境の保全と活用について伺います。
 遊水地には、季節ごとに多くの種類の鳥も飛来する。多種多様な淡水魚、絶滅危惧種と言われる植物も生息する動植物の宝庫とも言ってもいい自然環境が整っております。伝統の柴揚げ漁も復活し、最近では毎年行われているという報道も聞いております。沼のばあさんの伝説も少しずつ知れ渡るようになりました。環境省は、2001年、麻機遊水地をウエットランド─日本の重要湿地500のうちの1つに指定しているということもあります。
 静岡市の中心街からも近く、七夕豪雨も経験した静岡市民ですから、この麻機遊水地があるということは知っておりますが、自然の宝庫であるということを、知っている市民は案外少ないんではないかというふうにも思われます。身近に自然に親しむことができることをもっとPRしていくことが必要ではないかというふうに思います。これらの保全と活用は、ボランティア団体がこれを支えているということがあります。子供たちを含む多くの市民の方々が、様々な機会に保全と活用の活動に献身されていることに感謝を申し上げるわけであります。
 麻機遊水地は、治水対策が本来の目的であることは認識しておりますが、今、述べたように環境保全と活用についても考えていくことが必要だというふうに思います。第1工区においては、あさはた緑地交流広場の整備が完了するなど、子供から高齢者まで、様々な方が集い、にぎわいが生まれております。
 一方で、絶滅危惧種など、貴重な湿地環境の保全や活用を通して、市民の方に広く親しまれる場所となるように期待をしたいと思うんですが、そこで、質問いたします。
 麻機遊水地における自然環境の保全と活用の取組の状況は、どのようになっているのか、伺って1回目といたします。


◯副市長(本田武志)
 巴川流域のそれぞれの地域における治水対策の内容についてお答えいたします。
 巴川流域では、関係者の連携の下、主な治水対策の取組として排水能力を向上させる河川改修、雨水幹線や雨水ポンプ場の整備、河川への流出を抑制する雨水貯留施設、遊水地の整備を進めております。
 葵区東部など、上流域では河川の流出を抑制するため、県により麻機遊水地を整備しており、202ヘクタールのうち109ヘクタールが完成し、現在は第2工区、93ヘクタールの整備を進めております。
 清水区西部など中流域では市が排水能力を向上させるため高橋雨水ポンプ場を、河川への流出を抑制するため押切や能島などに雨水貯留施設を、県が大内遊水地をそれぞれ整備しております。現在は、市が大内新田や清水飯田東小学校などで雨水貯留施設の整備を進めております。
 巴川河口など下流域では、巴川の流下能力を向上させるため、県が巴川本川の河道掘削や支障となる橋梁の架け替えを、市が排水能力を向上させるため、大沢雨水1号幹線の整備を進めております。
 また、本市の新たな取組として、巴川流域等の脆弱性を分析し、既設の貯留施設等で運用見直しを図るなど、効果的な治水対策を講じてまいります。
 さらに、巴川の水位上昇や氾濫を予測し、市民の方々に事前の避難行動につながる情報を提供するシステムの構築にも着手しており、その中で有識者や気象庁、県などを含めた研究会を立ち上げ、私が座長を務め、進めてまいります。
 今後も引き続き、関係機関と連携し、巴川流域全体の治水安全度の向上に努めてまいります。

◯上下水道局長(渡辺裕一)
 高橋雨水ポンプ場の稼働状況についてですが、本ポンプ場は清水区高橋二・三丁目、飯田町地区の浸水被害の軽減を図るため、時間雨量67ミリメートルまでの降雨に対応する施設として、当該地区を流れる雨水幹線の雨水を巴川支流の二級河川山原川へ強制排水することを目的に整備したものでございます。
 排水能力は毎秒27立方メートルで、小学校の25メートルプールを約14秒で空にする能力を有しております。この施設は、令和4年7月末に供用を開始し、本日までに6回の降雨時に稼働しております。このうち令和4年の台風15号では、近隣に設置されている静岡県の能島観測所で時間最大雨量93ミリメートルを記録するなど、本ポンプ場の能力を大きく超える降雨であったことから、周辺で浸水被害が発生いたしました。
 しかし、それ以外では本年6月の台風2号の豪雨を含め、本ポンプ場の整備対象地区では床上・床下浸水の被害報告はなく、一定の効果を発揮しているものと考えております。

◯都市局長(安本弘樹)
 麻機遊水地における自然環境の保全と活用の取組状況についてですが、麻機遊水地では県や市、環境団体、周辺自治会などで構成する麻機遊水地保全活用推進協議会などにおいて、自然環境の保全と活用に取り組んでおります。
 保全に関する取組としては、絶滅のおそれがあるミズアオイやオニバスなどの移植による保護や発芽を促す土壌の攪乱、セイタカアワダチソウやアメリカザリガニなど外来種の駆除、火入れによる多様な植物の保護などを行ってございます。
 活用に関する取組としては、サクラタデなど希少植物の観察会、遊水地の価値・魅力をPRする麻機遊水地フェスタなどのイベントを実施しております。
 また、周辺の病院や就労支援施設等と連携し、遊水地内の農園を自立支援、職業訓練の場としても活用してございます。特に、あさはた緑地交流広場では、センターハウス、多目的広場、体験農園を整備し、指定管理者による遊水地固有の自然を活用した環境学習や農業体験を実施するなど、市民の皆さんに利用されております。
 今後も、協議会などの活動を通じて自然環境の保全と活用の取組を進めてまいります。


◯寺尾 昭
 2回目ですが、次は、難聴高齢者への補聴器購入助成についてであります。
 このテーマについては、これまで我が党の市川、杉本の両議員が質問しております。しかし、今回、市長が難波市長に代わりましたので、改めて見解を伺いたいということで準備いたしました。今回、公明党の大石議員の代表質問でも取上げられております。
 本年2月の市川議員の聴覚障がいの補正による認知機能低下の予防効果について、当時の保健福祉長寿局長は、その可能性が示唆されていることや難聴と認知症機能低下には強い関連があると、国立長寿医療研究センターの研究の成果報告を例にして答弁をしております。
 また、本市での補聴器購入助成等、難聴高齢者の対応についてどのようなことができるか、他の自治体の取組も参考にしながら検討していくということで答弁をしております。以前の研究から検討ということでありますので、微妙な変化はあるわけでありますが、ぜひ今後に期待したいと思います。
 従来から一歩前に出た答弁を期待したいと思いましたが、今議会においては大石議員への答弁にもあったところであります。
 本市が他の自治体の取組も参考にしているうちに、他の自治体では次々と補聴器助成が進んでおります。本市でも遅れを取ることのないように早期の実現を図っていただくように要望して、質問をいたします。
 補聴器購入助成制度について、静岡市が把握している他の自治体の取組がどのようなっているのか、まずお聞きしておきます。

◯保健福祉長寿局長(吉永幸生)
 補聴器購入助成制度について、静岡市が把握している他自治体の取組はどのようなものかについてですが、現時点で把握しているところでは、県内で6市1町が補聴器購入助成を行っています。そのうち掛川市では、令和5年6月から補聴器購入費の一部助成制度を新設しています。満40歳から64歳までは上限2万円、満65歳以上で上限5万円の購入助成に加え、購入後の利用状況アンケートを年に1回実施して、生活改善の効果検証も行う取組です。
 また、政令指定都市においては、新潟市と相模原市の2市で補聴器購入助成を行っています。新潟市では、50歳以上74歳以下を対象に、上限2万5,000円の購入助成と併せ、聞こえや使用状況に関するアンケートを購入前と1年後に実施しています。相模原市では、介護予防事業等に参加できる65歳以上の人を対象に、上限2万円の購入助成と複数回の生活状況アンケートを実施し、補助事業の効果を高めるよう取り組んでいます。
 そのほか補聴器購入助成だけでなく、普及啓発、早期発見などの要素もパッケージ化された山形市聴こえくっきり事業などの取組もあり、それらを参考に、現在、高齢者の難聴支援策について検討を進めているところです。


〇寺尾 昭
 今、答弁がありました。
 実は今の答弁は、まだ、全容ではないと思うんです。私どもも調べました。全国でも多くの自治体が、実施を既にしております。東京の港区では、何と最大13万7,000円の補助をしているというような情報もあります。他の自治体に負けないように、ぜひ早くやってもらいたいと思いますが、市長、ひとつよろしくお願いします。
 あと、巴川の関係でありますけれども、国交省が2023年4月、巴川・大沢川の治水対策を浸水対策重点地域緊急事業に採択して、事業費97億円ということで採択しております。県と協議が必要だと思いますけれども、具体化を図ってほしいというふうに思います。
 9月11日に開催されました県知事政令市長会議で、市長が本当に注目すべき発言をしたということが報道されております。二級河川は県が管理するから何でもお任せというわけにはいかない。河川の脆弱性分析を行っているので、結果や対策を県に伝えたいということで報道されております。この市長の発言をぜひ進めていっていただきたいと思います。
 どうしても、いわば公務員の縦割りというようなことがあって、これは市の権限ではないというような話がよく出てくるわけです。市役所の内部でも、これはうちの課の仕事ではないと、こういう話にもつながっていくわけでありますけれども、ぜひ、これは安倍川、藁科川という今度は国の管理、一級河川の話にもつながっていくというふうに思います。ぜひ同様な態度で市長にもお願いしたいなと思います。
 それから、巴川の治水対策について、9月20日、市が県に対して麻機遊水地第2工区の早期整備を含む巴川の流域治水対策等について6項目の要望を行ったということであります。これをぜひ進めていってほしいということで、我々も大いに賛同して推進を図っていく立場で取り組んでいきたいというふうに思います。
 あと、麻機遊水地の保全と活用ということであります。自然の宝庫であるとともに、もう1つは観光資源ということにもなるんではないかというふうに思うんですね。ぜひ、皆さんも行ってほしいというふうに思います。整備をされてきているというふうに思います。ほかの市から来た方にも、ぜひ案内してやってほしいなというふうに思います。
 ただ、静岡市民に対しても周知が必ずしも十分でないというふうに思いますので、ぜひ内外へ宣伝していってほしいというふうに思います。