学校の環境改善について

◯市川 正
 通告に従いまして、質問をいたします。
 大項目、学校の環境改善についてということで質問をいたします。学校の環境についてお伺いします。
 学校施設は、基本的な教育条件の1つとして、安全性や快適性を確保し、児童生徒等の発達段階に応じた安心・安全で質の高い施設整備を行う必要がございます。また、学校は児童生徒が日中のほとんどを過ごす場所でもあり、学校環境衛生基準に照らして適切な環境衛生の維持管理に努めることが求められております。
 気候変動危機が世界中で叫ばれる中、国連のグテーレス事務総長は、地球は沸騰していると表現し、世界中ですさまじい干ばつや大洪水、あるいは熱波や山火事など、異常気象による大災害に見舞われ、最近は1年で東京都の約40倍にも当たる面積が焼失しているといいます。
 日本の今年夏の全国平均気温は平年値を1.76度上回り、気象庁が統計を取り始めてから125年の間で最も高くなったとの報道がございました。気象庁資料によりますと、今年6月1日から8月31日まで、92日間あったわけですけれども、静岡市で最高気温が30度以上の真夏日が60日ありました。平年より17.4日多くなっています。また、35度以上の猛暑日は6日ありまして、平年より2.2日多くなっています。
 こうした中、北海道伊達市では女児が体育授業の後、熱中症で亡くなるという痛ましい事故があり、本市でも清水区の小学校で6月16日、スポーツテストの後、熱中症の疑いで女子児童3人が病院に搬送される事例が起きております。学校の屋外授業の見直しなど、児童生徒の健康管理に一段の配慮が求められる時代になっていると言えるのではないでしょうか。
 本市では、令和2年度までに普通教室にエアコンが設置され、学習環境は改善されました。しかし、その分、学校施設のエネルギー使用量が増大しています。地球温暖化や災害の激甚化などに対して、地球規模での環境問題の取組として、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、公共建築物の中でも大きな割合を占める学校施設で、エネルギー使用の合理化が求められています。
 文科省は平成31年3月、学校等における省エネルギー推進のための手引き~省エネのすすめ方・つづけ方~を発行し、学校等でのエネルギー使用の合理化を進めるために、児童生徒、教職員などに我慢を強いるのではなく、適切な学習環境や作業環境を維持した上で、日常生活におけるエネルギーの無駄を省くことが重要だとしております。
 また、学校の環境衛生は、児童生徒に直接影響してきます。学校環境衛生基準では、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ネズミ・昆虫などの防除、その他環境衛生上、良好な状態を維持するのに必要な措置について定められていて、学校において定期検査、臨時検査、毎授業日に行う日常点検を実施すること。そして、その記録を一定期間保存するものとされております。学校のエネルギー環境を把握すること。そして、ふだんから児童生徒の健康観察をすること。これは、学習環境改善の取組に欠かすことができません。
 そこで、伺います。
 児童生徒の健康観察をどのように行っているか。また、熱中症を予防するための体調管理をどのように行っているのか、お伺いいたします。
 教室の温度基準は平成30年に改正され、これまで10度以上30度以下となっていたものが、現在は17度以上28度以下が望ましいとされています。教室は寒いところ、暑いところ、こういったことが当たり前のように言われてきましたが、児童生徒の健康管理面からエアコン設置の要望が高まり、本市では、市内全小中学校の普通教室にエアコンが整備されたわけです。児童生徒の健康を保持することは学校教育に課せられた責務であり、エアコンの適切な運用が求められます。
 そこで、エアコン運転はどのようにしているのか、お聞きいたします。
 普通教室に整備した空調設備の運用はどのように行っているのでしょうか。整備されたエアコンの効果について、学校としても期待するところが大きいと思います。整備前と整備後で児童生徒の授業集中度などは、どのように変化したのか。学校側から見て、効果をどのように捉えているのか、お伺いいたします。
 普通教室にエアコンを設置したことで、児童生徒の学習環境がどのように変化したと考えられるか、お答えをお願いします。
 次に、学校の省エネルギーについてお聞きします。
 文部科学省は、喫緊の課題である地球環境問題への対応の一環として、エコスクールの整備によって、児童生徒等にとって健康的で快適な学習・生活空間を維持しながら、施設の環境負荷低減を図ること。また、エコスクールは児童生徒等が環境について学ぶ教材としての側面を持つとともに、地域の環境教育の発信拠点としての機能を果たすこともできることから、太陽光発電設備等の再生可能エネルギー設備の導入や校舎の断熱性の向上、校庭の芝生化などに対して国庫補助を行っています。
 地方公共団体が公立学校施設をエコスクールとして整備する事業については、エコスクール・プラスの認定を関係省庁と連携して実施しております。平成30年度は、エコスクールとして整備する学校を55校認定し、本市では、長田東、富士見、賤機中の各小学校で認定を受けております。エコスクール・プラスの認定を受けた学校の事業内容はどのようか、これをお伺いして、1回目といたします。

◯教育局長(青嶋浩義)
 学校の環境に関する4つの御質問にお答えします。
 最初に、児童生徒の健康観察と熱中症予防のための体調管理についてですが、初めに、健康観察については学級担任による朝の健康観察に始まり、授業中、休憩時間、給食時、部活動など、それぞれの場面において関わる教職員が日常的に行っております。具体的には、児童生徒一人一人の表情や顔色を見たり、声を聞いたりして健康状態を確認しています。もし、子供に体調不良が見られた場合には、養護教諭がより詳細な健康観察を行い、必要に応じて早退や休養、医療機関受診などの判断を行っております。
 次に、熱中症予防については、児童生徒が自ら体調管理できるように小まめな水分補給や涼しい服装にするなど、様々な活動機会を捉えて適切に指導しています。例えば、体育の授業では、指導者が暑さ指数の数値に応じて運動を制限したり、休憩・給水時間を設定したりすることで、児童生徒の自己管理を促しています。
 次に、普通教室に整備した空調設備の運用についてですが、昨日の松谷議員への答弁のとおり、空調設備の温度設定や運転方法は、静岡市立小中学校普通教室空調設備運用指針により、全小中学校に周知しています。指針の中で、夏場は28度と定めておりますが、児童生徒の体調や気温・湿度等の気象状況に応じ、設定温度や風向き、風量を適宜調整するよう示しており、柔軟な対応を行っております。
 次に、普通教室のエアコン設置後の学習環境の変化についてですが、エアコンが設置される以前は、暑さによる発汗、喉の渇き、体温の上昇などにより、児童生徒が授業に集中できない状況もありました。しかし、エアコン設置後はその効果として、児童生徒や教職員から、快適に過ごせるようになった、気持ちよく学習に取り組めるようになったなど、快適な室温の中で授業が行われることで児童生徒の体調が安定するとともに、やる気や集中力にもつながっているという意見が挙げられています。
 最後に、エコスクール・プラスの認定を受けた学校の事業内容ですが、これまで平成30年度に長田東小学校、富士見小学校、賤機中小学校で、国からエコスクール・プラスの認定を受け、エネルギー消費量を削減するため、蛍光灯からLED照明の切替えや高効率な換気設備の設置及び消費電力の少ない空調設備への更新を、通常の国の補助率に2.5%の上乗せを受けて事業を実施しました。


◯市川 正
 それでは、2回目の質問に移ります。
 2回目は、教室の断熱改修について、お伺いしたいと思います。
 本市議会、令和4年6月議会では、発議第5号環境教育の推進及びカーボンニュートラル達成に向けた学校施設のZEB化のさらなる推進を求める意見書が全会一致採択されました。
 そうした中で、意見書の趣旨は、省エネルギー施策として文科省が進めるエコスクール・プラス事業など、多くの事業が学校施設で行われていましたが、カーボンニュートラルの達成及び環境教育の充実のため、照明のLED化や二重サッシといった部分的省エネ改修事業も、できるところから取り組む自治体・学校を増やしていくことを求めているところであります。
 学校で消費されるエネルギーは、電気やガスなどの熱源に代表されます。エコスクール・プラスとして整備した学校の電力使用量の変化についてお聞きしましたが、ちょうど普通教室のエアコン設置時期と重なったために、エコスクール・プラス事業による明確な効果として数字上なかなかつかめなかったということでしたので、ちょっと残念に思っております。相当効果はあったと思いますが、今後に生かされればと思います。
 私の今回の質問趣旨は、教室の断熱工事で空調設備のエネルギー効率を上げ、省エネ化を進めること。同時に、新型コロナの長期化、急速な円安の進行、原材料・エネルギー価格等の高騰により、厳しい経営環境に置かれている市内中小企業、小規模事業者等の仕事おこしにもつながり経済効果の大きいことから、本市の取組として意義ある事業だということであります。
 昨日の松谷議員の質問でも、整備した学校のエアコン電力使用量の変化について、温度測定した4校の7月の平均が約2,000キロワットアワーアップしているというふうなことが言われております。電気料金の高騰による懸念もあります。このところの異常気象で、教室最上階の室内温度は相当高いと思われます。空調設定温度を低くするなど、対応することになりますけれども、その分、電力使用量は上がっていくことになります。環境負荷は大きくなることから、その削減に向けた教室の断熱ワークショップや実証実験が全国各地で取り組まれていることは、昨日の松谷議員の質問でも取り上げておられました。
 本市では、来年度以降、特別教室へのエアコン設置が計画されているところですが、これに合わせて断熱工事を進めることで、工事工程や費用の削減も図れるのではないかと考えます。気候変動危機における取組として、教室の断熱工事は有効な手段と考えますので、お聞きします。
 学校施設の整備における断熱化など、省エネに有効な取組はどのようにしているかお聞きして、2回目といたします。


◯教育長(赤堀文宣)
 学校施設の整備における省エネに有効な取組についてお答えいたします。
 これまで環境負荷の低減として、リサイクル建材の利用促進、LED照明器具への切替えや太陽光発電による自然エネルギーの有効活用などを実施してまいりました。
 このような中、本市においては、さらなる省エネに取り組むため、令和5年3月に第3次静岡市地球温暖化対策実行計画を策定し、市有建築物のZEB化に向け、新築工事については、一次エネルギー消費量を50%以上削減するZEB Ready(ゼブレディ)を目指す方針を定めました。
 これより、令和8年度に開校を予定している蒲原小中一貫校の校舎については、本市の学校施設で初のZEB Readyを目指し、現在進めている設計業務において、屋根と外壁の断熱や室内LED照明の採用とセンサーによる明るさ制御などの変更を行うこととしました。
 今後も、地球温暖化対策実行計画に基づき、学校施設整備における温室効果ガスの削減に向けた一層の取組を進めてまいります。


◯市川 正
 3回目になります。
 意見・要望を申し上げて質問をまとめていきたいと思います。
 今、お答えがありましたけれども、蒲原小中一貫校の建設で本市初の学校ZEB化が実現するということです。この点ではZEBの効果をその周りの由比とか、そういったところの近隣学校施設と比較検討するなどして、成果を共有して今後に生かしていく必要があるんではないかなと考えます。子供たちがよりよい環境で学ぶ、そういう環境を整えることは喫緊の課題でもあります。
 省エネと地球環境負荷の軽減を両立できる既存学校施設の断熱改修は、先ほども申し上げましたが、地域事業者の仕事おこしにも優れた事業となります。この際、最も暑いと言われる最上階の特別教室1室をモデルとして、エアコン設置に合わせて断熱工事を実施して、その効果の検証をしてみたらいかがでしょうか。
 学校の断熱工事に本市として早い時期に取り組まれるよう要望いたしまして、質問を終わります。