地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書案への反対討論

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DSC_0897◯25番(鈴木節子君) 私は発議第9号地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書案に反対の立場で討論を行います。
本意見書案は、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律、いわゆる医療・介護総合法が成立したことを受け、地域包括ケアシステム構築のため地域における支援を求めるものです。
しかし、医療・介護総合法そのものの狙いと本質は、医療・介護の大改悪、社会保障の解体です。法案に対しては自民党、公明党だけが賛成し、他の野党は全て反対しており国民からも批判されているものです。本意見書案は、医療・介護の大改悪と介護難民をふやし、家族に負担を押しつける地域包括ケアシステムの根本的な問題点にメスを入れず、その存在を前提としていることから賛成はできません。
以下、地域包括ケアシステムそのものの問題点を指摘します。
第1は、要支援者への訪問・通所介護を保険給付から外し、市町村の地域支援事業に置きかえ、受給権の剥奪につながることです。
政府は地域支援事業に新たなメニューを設け、見守り、配食、緊急時対応などの代替サービスを提供すると説明します。しかし、これらのサービスには人員基準も運営基準もなく、サービスは市町村の裁量任せ、ボランティアのサービスしか提供できないおそれがあります。
また、国からの給付費削減により、利用者の負担増となり、介護サービスを質、量ともに低下させることは明らかです。
第2に特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上に限定することに何の道理もないからです。52万人の特養待機者のうち17万8,000人は要介護1、2です。これらの方は一部の例外を除いて特養入所の対象外とされ、待機者の枠からも除外されます。介護難民化、老人漂流社会は一層深刻にならざるを得ません。
第3は、利用料の負担増です。介護保険に初めて2割負担を導入するもので、対象は所得160万円以上の層で、高齢者5人に1人が対象となります。政府は年金280万円の世帯は年間60万円余るから、2割負担は可能ということを主張してきましたが、審議の過程でその説明は崩れ去り、撤回されたにもかかわらず、そのまま採択にかけ、強行しました。利用者負担増、サービスの利用抑制につながることは明らかです。
第4は、強権的な医療計画を押しつけ、国民の医療を受ける権利が侵害されることです。都道府県主導で入院用ベッドを再編、削減する仕組みがつくられ、病院が従わなければ制裁措置を課して住宅に押し戻そうとするものです。
また、2014年度の診療報酬改定で急性期患者の入院日数制限など、法制度と診療報酬の両面から患者の締め出し、追い出しを進めようというものです。
今、治す医療だけではなく、生活を支える医療の重要性が増し、一人一人の心身、生活実態に即した多様な受け皿づくりが求められています。そのためには日常生活圏内で途切れのない医療、介護サービスの厚い体制があって初めて成り立ちます。
しかし、医療・介護総合法、地域包括ケアシステムは入院患者を強引に在宅に押し戻す一方、要支援者、軽度者への在宅サービスを後退させ、施設にも入所させないというものです。ひたすら給付費削減のため、医療・介護を受けられる人を締め出す発想しかありません。
社会保障のためと言って消費税を増税したのに、社会保障には回さず、給付サービス削減と負担増という医療・介護の大改悪との批判が各方面から上がっています。消費税増税による増収の5兆円のうち、社会保障の充実に回るのはたったの5,000億円で、全体の1割です。社会保障の財源も将来展望も語れなくなった政府が目指すのは、国民生活の基本は自己責任と家族の支えであり、地域の助け合いがそれを補うという社会保障否定の論理です。
こうした本質を持つ地域包括ケアシステムの構築は許されず、今求められているのは憲法第25条に基づき国が社会保障の向上、増進に責任を持ち、国民の生存権を保障する体制こそ構築すべきであることを申し上げ、反対討論といたします。