TPP交渉参加に関する意見書、国民健康保険の都道府県単位化に関する意見書の提案理由

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100◯3番(寺尾 昭君) 発議第20号TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加に関する意見書及び発議第21号国民健康保険の都道府県単位化に関する意見書、以上2つの意見書の提案に当たり、その提案理由を申し上げます。

先ほど発議第19号の意見書、採択を今されたわけでありますけれども、私たち共産党提案の意見書との違い、これがどこにあるかということであります。今、もう関係諸団体のさまざまな意見表明等々が行われておりますけれども、その内容は、TPPには参加すべきではないということを、それぞれの関係団体の皆さん、明確にしているわけであります。私たちは、そういう立場に立って、以下述べる理由によって、このTPPについては対応をしていくべきであると、そういう考え方であります。

我が国の食料自給率がエネルギーベースで40%になっていることは、今や常識。これをまず50%にし、さらに高めていく、これは喫緊の課題ということが言えます。地球温暖化の傾向が著しい近年であります。今、世界では異常気象による農産物の不作が伝えられております。また、ふえ続ける人口で、近い将来、世界的な食料不足という事態になることも予測をされております。金はあっても食料は買えない、こういうときが来ることが現実になるのではないかということが危惧されるということであります。

ヨーロッパ諸国、フランス、ドイツ、イギリスなど、これらの各国も、かつて食料自給率を低下させていたわけでありますが、今、軒並み50%を大きく上回っております。自国の食料のあり方はその国で決める、つまり食料主権のあり方、これが問われているのではないかと思います。関税など、国境措置の維持強化、価格保障など、自主的に決めていくということが求められているわけであります。

日本の農産物輸入に関して、その平均関税率は既に11.7%、OECD主要国では最も開放度の高い国の1つと言われております。他国の関税率を見ると、例えば、インドは124%、ノルウェー124%、お隣の韓国も62%など、しっかりと自国の農業を保護をしているわけであります。

農林水産省の試算では、TPP参加による農業生産は4兆1,000億円マイナス、食料自給率は、先ほど言いました40%から13%までに落ち込むのではないか、環境、保水機能など農地の多面的機能の喪失による、この損失額が何と3兆7,000億円、実質GDPも7兆9,000億円マイナス、雇用はまた340万人の減と、これは農林水産省が試算をしている数字であります。

この間、全国農協中央会、全国漁業協同組合連合会、全国森林組合連合会、農業委員会の全国組織であります農業会議所など、農林業にかかわる団体が一斉に参加反対の声を上げているのは当然というふうに言えると思います。

慎重な対応を求めている全国市長会、参加反対の特別決議を行った全国町村会、北海道では農業団体はもちろんのこと、北海道経済連など経済界も押して反対を表明しております。

報道によりますと、県内JAグループ、きのうの静岡新聞の報道でありますが、この14日、JA静岡中央会長を本部長とする静岡県TPP農協対策本部を設置したと、そしてTPP参加阻止ということを明確に打ち出しております。呼びかける署名活動をこれからやるんだと、県知事や県議会や各市町の首長や議会に対する要請活動や地域住民にこれからPRをしていくんだというふうに決めたということで、報道をされておりました。

菅総理大臣は、TPP参加と農業再建の両立を図る、このように述べているんですが、これまでの事態を見れば、これがもう不可能だということは明らかだと言えると思います。

次に、発議第21号国民健康保険の都道府県単位化に関する意見書について、その提案理由を申し述べます。

国保を都道府県が直接運営するか、あるいはまた広域連合で行うかというようなことが今、取りざたされております。

都道府県単位で行おうとする、その狙いは何か。これは本年5月19日、厚生労働省が都道府県知事あてに「広域化等支援方針の策定について」、こういう通達を出しているわけでありますが、一般会計繰り入れによる赤字補てん分については、保険料の引き上げ、収納率の向上、医療費適正化等の推進等により、できるだけ早期に解消するように努めること、こういうような文章が明記をされております。つまり、都道府県化、あるいは広域化、そのための準備として県内の国保料を均一にするため、市町村で行っている一般財源の繰り入れはもう解消しなさい、保険料値上げに転嫁させなさい、こういう趣旨の内容になっているわけです。

市町村の中には、財政難から来る国保の運営の困難さ、そういう点から、広域化や都道府県単位化に期待をするという声も確かにあります。しかし、国保の財政難の原因は、国庫負担の削減、これが一番の大きな原因であります。国保の運営の困難さを軽減するためには、国庫負担の増額しかないんだと、これはこの2月に私たち、この市議会の中で全会一致、国民健康保険に対する国庫負担の増額を求める意見書を採択をしてきたと、これは記憶に新しいところであります。

広域化、都道府県単位化というのは、この私たちの意見書の趣旨にも反するということになるのではないでしょうか。国の予算を削減したままで、いわば赤字の国保を寄せ集めても、財政や制度の改善にはつながらない、こういうことが言えるのではないでしょうか。

広域化によって一般財源の繰り入れがなくなれば、国保料はさらに高騰せざるを得ない。都道府県単位化によって、国保の抱えている問題を解決する道は全くないどころか、住民にもさらにこの大きな負担を押しつけていく、こういう結果につながっていくのではないかということであります。

以上、2つの意見書について、全議員の御賛同をいただくようにお願いいたしまして、提案理由といたします。