生活保護行政についての質問

101◯17番(内田隆典君) 通告しております生活保護行政について、市当局の考え方を伺いたいと思います。

生活保護は、一昨年のリーマンショック以来、大変増加してきております。世界経済が深刻な不況から回復の兆しを見出しているのに対し、日本は輸出経済に頼る深刻な不況であります。国内においても、雇用体系が常用雇用でなく派遣の労働がふえてきている、こうした中で労働法制の改悪が次から次に進み、会社の一方的な解雇が生活保護世帯の増加の原因となってきているところであります。

今、開かれております11月議会においても、補正予算の16億円の予算の中で、半分の8億円は生活保護費として提出をされております。言うまでもなく、この生活保護の世帯の増加は静岡市の財政に大きな影響を及ぼしてきているところであります。

こうした中、全国の政令市長会が社会保障制度全般のあり方を含めた生活保護制度の抜本的改革の提案ということで、民主党の企業団体対策委員長と厚生労働副大臣に要請をしております。提案で、生活保護制度が昭和25年の制度創設以来、抜本的な改革が行われておらず、社会経済情勢の変化に対応できておらず、制度疲労を起こしていると指摘をしております。

そして、提案の要旨は3点であります。1点目が、社会保障全般のあり方を含めた生活保護制度の抜本的改革に早急に着手をすること、2点目が、生活保護の適正化に向けた必要な生活保護法の改正等、制度の再構築を行う、3点目は、生活保護はナショナルミニマムとして、国の責任において実施すべきであり、その経費は全額国が負担することとしております。

具体的には、医療費の本人の一部負担、本人の同意がなくても資産等の調査が行える、強力な就労支援等、問題があるのではないかという項目も幾つか見受けられます。当然、生活保護は国の責任で実施、その経費は全額国の負担とすることは当たり前だと私も考えております。

強力な就労支援の名のもとに、実態を無視した強権的な指導がなされ、また医療費の一部負担、本人の同意なしでの資産等の調査が言われておりますが、この調査で考えますと、私どもも生活保護の相談には何件となく相談者と一緒になって職員の話を聞くことがあります。その場合、当然職員の皆さんからは、財産の問題や預貯金の問題等を聞かれまして、当然相談者はその旨を答えております。そうしますと、市長会の提案の中でも一部、現行のままで十分差し支えない部分があると思われます。そういう点で、この市長会の提案に対し、静岡市としてどのような対応を図っていくのか、伺っておきたいと思います。

次に、保護の申請件数、受給世帯について伺っておきたいと思います。

先日の答弁でも、生活保護受給世帯は5,200件を超えているという答弁でありました。2006年ころが約4,000世帯あたりでしたから、相当の増加率であります。最近の保護申請件数、受給世帯がどのように変化してきているのか、また、保護に至らなかった場合でも、その人たちに対してどのような援助が行われているのか、伺いたいと思います。

3点目は、相談予定日に来所しない人にはどのような対応をしてきているかという点であります。当然生活保護は、いろいろな相談の方が見えられると思います。病気やけがで働けなくなった人、何度職安に行っても仕事が見つからない、預貯金もなくて、本当に生活できないという深刻な人たちが、今日の経済不況の中でたくさんの方が相談に見えられると思います。

こうした人が相談予約をし来所し、ケースワーカーと相談に入ります。そして、その日のうちに生活保護の申請に至らず、日を改めて相談日を決めるというケースも出てくると思います。そして、そういうケースの中で、次の相談日が来ても来所しない相談者、相談者が諸事情があって来所できないという連絡があった場合等々は問題がないと思いますけれども、連絡がなくて来所しない、こうしたケースもあると思います。たくさんの相談者を抱えておられるケースワーカーの人たちが、細かく目配りするというのも大変だと思いますけれども、相談日に約束した人たちが来ない場合、現在、静岡市としてどのような対応を行っているのか、伺いたいと思います。

4点目は、被保護者への就労支援についてであります。指定都市市長会が厚労省に要請した就労支援制度には、就労するまでの間は正当な理由がない限りボランティアや軽作業、短時間の就労等を初めとする社会的自立を支援するプログラムへの参加等、強力な指導と言っております。私は強権的な指導があってはならないと思いますし、心配するところでありますが、現在の静岡市における就労支援は具体的にどのようになっているのか、伺っておきたいと思います。

5点目は、ケースワーカーの担当世帯数についてであります。御案内のとおり、社会福祉法では生活保護世帯80世帯にケースワーカー1人を標準数と定めております。しかし、相談件数の急増に伴い今の人員ではなかなか間に合っていかないという状況であります。

私たちが生活支援課に相談に行きますと、担当職員の皆さんは大変お忙しいようで御苦労をされています。先日の答弁で、来年度は10名の職員を増員するとのことでありましたけれども、現在のケースワーカー1人当たりの担当世帯数は何世帯となっているのか、このことについて伺っておきたいと思います。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護についての5点の御質問にお答えいたします。

最初に、指定都市市長会提案に対する市の考え方でございますけれども、指定都市市長会の提案は、生活保護の適正化の上で、いずれも必要な提案であると考えます。例えば福祉事務所の調査権等の権限強化につきましては、現行の制度より保護の決定実施に必要な調査を遅滞なく確実に行うことができ、保護が必要な方には速やかに開始決定ができることになります。

また、最低生活の保障を前提とした上での医療費の一部自己負担につきましては、本人に受診内容等を把握してもらうことで適切な受診につながることになり、医療扶助の適正化の効果があると考えます。

次に、保護の申請件数、受給世帯数の推移等についてでございますが、保護の申請件数は、ことし4月から9月までで730件、受給世帯数は9月末現在で5,271世帯であり、前年の同時期と比較しまして、申請件数で25%、受給世帯数で16%と、いずれも増加傾向が続いております。相談に見えた方で保護に至らなかった場合で、ひとり暮らしの高齢者など、その後の安否確認が必要な方につきましては、民生委員や地域包括支援センターに連絡し、見守り等の支援をお願いしております。

次に、次回の相談約束をした人が来所しなかった場合の対応でございますけれども、前回の相談時に聴取しました病状や困窮状況等を踏まえまして、安否確認等本人の状況確認が必要と判断される場合には、職員の訪問や電話による確認、民生委員の訪問等により、現況を把握するなどの対応をとっております。

次に、被保護者への就労支援についてでございますが、15歳から64歳までの稼働年齢層で傷病等就労を阻害する要因がない方のうち、稼働能力を十分活用していない方につきましては、毎月求職活動状況の報告や収入申告を求めるとともに、ケースワーカーや就労支援員が求人情報の提供並びにハローワークへの同行等の支援を行っております。

次に、ケースワーカーの担当世帯数についてでございますが、9月末現在、市全体でケースワーカーは46名で、1人当たり約114世帯を担当しております。

以上でございます。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) 2回目ですけれども、市長会で必要な提案はされているということですけれども、私が心配するのは、同意なしに調査権を発動したり、強権的な就労支援をされていないかというところで、そのようなことはないということでありますけれども、対応に気をつけていただきたいと思います。

それから、ケースワーカーの問題だとか保護申請、本当に保護申請でも前年で25%、世帯で16%の増加ということで、114世帯を対応しているという大変な状況だと思うんですね。そういう点で3点伺いたいと思いますけれども、1つは、職員の配置についてでありますけれども、経済不況の中で大変深刻な状況になっております。労働者の賃金が12年間連続して下がり続けているという状況や中小業者には仕事がなかなか回ってこない、若者は就職難、派遣切り等で大変であります。

そういう中で、先ほど答弁がありましたように、生活保護の申請が急増しているということであります。ケースワーカーの担当が114世帯。10人職員を増員するということでありますけれども、この10人で十分なのかどうかということも考えられます。そういう点で、職員の10人の増員とともに、専門職員の配置が必要だということがいろいろなところで指摘をされておりますけれども、静岡市として、専門職員についてはどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

あわせて、生活支援課に相談に行きますと、比較的若い職員の皆さんが頑張っているという印象であります。これは全庁的な人事でありますから、いろいろな配置検討がされていると思います。生活支援課でいろいろな相談をするわけですけれども、そういう点では法律的な相談だけでなくて、一定の人生経験を持った職員の配置をしていくということも、私はこの分野では必要ではないかと思いますから、その点についての考え方を伺っておきたいと思います。

2点目は、自営業を営む被保護者に対する就労支援についてであります。

先ほど、被保護者に対する就労支援については答弁がなされました。これまで自営業を営んでいた、そんな方々がいろいろな事情の中で商売を一時やめなければならない、残念ながら生活保護を受けなければならないという状況になった。こうした中で、この自営業者が何とか、いま一度自営業で生活を立て直したいと、そういう決意をしたときにどうするかということであります。当然、自己資金が必要であります。現状の中では、社会福祉協議会から借り入れるという制度があり、この制度は、静岡市の推薦が要るということでありますから、当然、事業を進める上では事業計画を立てて、これで本当に生活保護から脱出できて生活ができるのかという検討に入ります。そういう点で、お互いに結構な時間がかかりますけれども、この事業計画書が市に提出をされた場合に、十分審査をするわけでありますが、少しでも早く検討していただいて、そして、この被保護者が自営業を今までどおり営めるような、そういう体制をとる必要があると思いますが、その辺の対応がどうなされているのか、伺っておきたいと思います。

3点目は、相談者に対する最終的な確認ということであります。ケースワーカーが114世帯も抱えているということで大変な状況でありますけれども、先ほど局長は、こうした相談者に対して訪問や電話をしながら、安否の確認を含めて援助をしているという答弁でありました。多くの人たちが相談に来るわけでありますから、私は、個人任せにすることなく、相談者に対して最終確認は集団的に確認をするということも必要じゃないかと思いますけども、その点について、相談者に対して最終の目配りがどのような体制でやられているのか、伺っておきたいと思います。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護についての3点の御質問にお答えいたします。

最初に、専門職の採用と職員の配置についてでございますけれども、保護の相談や被保護者への指導、援助などの業務につきましては、従前にも増して福祉や社会保障に係る専門的知識や経験が求められており、生活保護業務に従事する職員として、福祉専門職の採用や生活保護を初めとする福祉分野の経験が豊富な職員を配置することが必要であると考えております。

次に、自営業を営む方への就労支援についてでございますが、生活保護受給中に自営業を営むことは、一定の要件のもと認められており、営業を続けることが自立の助長や生計の維持に役立つ場合には、技能習得費として生業扶助を適用したり、社会福祉協議会の生活福祉資金の活用を助言するなど必要な支援を行っております。自営業を続けても自立が見込めない世帯に対しましては、それ以外の職につくよう指導することもございます。

次に、相談者への対応の最終確認ということでございますが、相談に来られた方の面接相談の結果につきましては、面接記録を作成しまして、福祉事務所長に報告しております。相談の途中で来所されなかった方で安否確認が必要な場合には、訪問等をした上で、その結果について報告をしております。

以上でございます。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) 相談者への最終確認についてでありますけれども、改めて、そうは言っても大変な対応をされているわけで、体制の充実を求めておきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 

 

◯議長(安竹信男君) 残時間、あと1分です。

 

 

◯17番(内田隆典君)(続) 2点伺いたいと思います。

1つは、被保護者が自動車を保有するという要件についてでありますけれども、最近、要件の緩和ということが言われていると思います。本当に家族が重い病気を持って、自動車を必要としたり、また通勤の問題等々で自動車を保有する必要性があると思います。しかし、現状の中では自動車を保有するというだけで、もう保護の申請の対象にならないということであります。しかし、若干緩和されているということを聞きますから、現状、どのようになっているのかということであります。

それから、年末年始の保護の相談についてでありますけれども、年末年始は特に生活や健康、住宅問題等いろいろな相談がふえてくるのではないかと思います。そういう点で、市としてどのように対応しようとしているのか、また、情報提供をどのようにされているのか、伺っておきたいと思います。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護の2点の御質問でございますが、最初に、被保護者が自動車を保有できる要件についてでございます。

被保護者の自動車保有につきましては、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する方が自動車で通勤する場合、障害のある方が通院するために自動車を必要とする場合など、一定の要件を満たす場合に認められております。また、保護開始時におきまして失業により就労を中断している方が、通勤用自動車を保有している場合につきましては、近い将来自立が見込めるときには、車の処分を保留できることになっております。

なお、保有の容認に当たりましては、ケース診断会議に諮りまして組織的に対応することとしております。

次に、年末年始の相談についてでございますが、年末年始の市役所閉庁日に保護の相談を行う予定は現在のところございませんけれども、緊急に保護が必要な方があった場合には、各区の福祉事務所で個別に対応できる体制をとることとしています。

以上でございます。