保育行政について

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DSC_0289◯2番(寺尾 昭君) 私は、今日は保育行政について質問いたします。

2012年8月、民主党政権下でありましたけれども、社会保障と税の一体改革の一環といたしまして、消費税増税とセットというところがいただけませんですけれども、子ども・子育て関連3法が成立をいたしました。

政府は、2015年4月から関連3法による新制度を本格実施するということで、実施主体である市町村に対して、国の方針を踏まえ、来年10月から新制度の具体的作業に入るよう求めております。

ということは、それまでに約1年間でありますけれども、本市において新制度にかかわる基準や保育料などを条例で定めて、これを住民に周知させることが必要になるわけであります。

国からは、新制度の全体像はまだ必ずしも十分示されていないということであります。今後、約1年間でこの準備を進めなければならない市の苦労も、非常にわかるという状況であります。

さて、新制度は大変複雑で、なかなかわかりにくい制度であります。補助金の対象となる施設として、施設型保育、地域型保育というような大別をされております。

そして、施設型保育は定員20名以上の保育所、幼稚園、認定こども園というようなものがありまして、地域型保育と言われているものには、定員19名以下の小規模保育、家庭的保育、事業所内保育、あるいはまた居宅訪問型保育と、ますます複雑になってくるわけであります。従来の保育園は一応そのままの形で残るようでありますけれども、幼稚園も今度は保育所を併設できる、保育所も幼稚園を運営できるというような形になっていくということであります。

全国的にも本市においても待機児童がふえているということで、待機児童解消ということを目指すわけでありますけれども、新しい制度は、活用できるものは何でも活用しようと、こういうような中身になっていると言ってもいいのではないでしょうか。

確かに、このような方法をとれば、入所の枠はふえていくということは予測されますけれども、問題は子供たちに公平な、格差のない保育が保障されるかどうか、ここが焦点だと言えると思います。

保育士や施設設備の基準など、施設により保育の質に格差がつくということは、これはやっぱり許されないことではないでしょうか。

待機児童解消は、緊急の課題ということはもちろん言えますけれども、枠さえふやせばそれでいいということでは必ずしもないと思います。

国は、子ども・子育て支援法に基づく支援の内容として、保育所、幼稚園などの施設型給付と、小規模保育などの地域型保育などを内容とする子ども・子育て支援給付と、利用者支援、地域子育て支援事業など13事業を掲げております。そのために、需要の調査、把握を行い、計画的な施設整備を行い、この支援事業を進めると言っております。

そこで質問ですけれども、1つ目は、市町村はこの新制度に基づき子ども・子育て支援計画を立案することになっておりますが、この内容がどのようなものになるのか、お答え願いたいと思います。

2つ目は、改正前の児童福祉法第24条、ここが1つの焦点になるわけですけれども、市町村の保育責任を明確にしていたという条項であります。

改正された同法24条は、その1項では市町村の責任ということを言っておりますけれども、保育所以外の施設について規定している第2項、ここでは市町村は直接的な責任を負うというものにはしておりません。保育について公的な責任がないとすると、利用者にも格差が生ずるという心配が出てくるわけであります。

改正されたこの児童福祉法第24条の趣旨、これを市としてはどのように捉えているのか、お答え願います。

3つ目は、保育所はこれまでどおり市町村へ入所手続をするということになります。しかし、それ以外の施設は、入所希望者の施設とのいわゆる直接契約と、ここが大きく変わってくるわけですけれども、手続を行うことになっております。その場合でも、市町村がいわゆる利用調整をするということになっておりますけれども、保育所以外の施設の入所について、この市町村の責任が曖昧になるということが否めないと私は思うんです。

新制度における保育施設への入所や利用調整ということについて、市はどのように関与していくのか、これについてもお答えください。

次に、市の待機児童解消加速化計画がこの9月に発表されております。当初3月の発表では保育計画391人ということでありましたけれども、これが3倍近い1,044人と、本当にできるのかと思います。国は待機児童解消に向けて、27年度から新制度施行を待たずに地方自治体に対してできる限りの支援策を講ずると言っておりまして、この25、26年度を緊急集中取り組み期間と定めて、20万人分の新たな整備を図るとしております。賃貸方式だとか国有地も活用した保育所整備、保育所の確保など5本の柱を掲げているわけであります。

1つ私が言いたいのは、小規模事業というものが新たに入ってきました。待機児童解消加速化プランにこれを位置づけて、27年度の新制度の施行を待たずにこの支援を開始する、早期の受け皿確保を進めると言っております。

この点で質問でありますけれども、市の保育計画では、認証保育所の整備による入所枠増が全体の中で高い比率を占めていたということがありますが、加速化計画では認可外保育施設の移行支援と小規模保育事業というところへシフトしているんじゃないかと思うんです。その違いがどうなっているのか、明確でありません。

1番目は、1,044人の入所枠増というのは決してこれは少なくない、いやいや、少なくないどころか大変多い数でありますけれども、この整備目標、本当に達成できるのかどうか、その辺の見通しについてまずお答えください。

2番目は、この移行支援は認証保育所から小規模保育事業へという方向になっておりますけれども、この運営形態にどのような違いがあるのか、この点についてもお答え願いたいと思います。

 

◯子ども未来局長(津田 望君) 子ども・子育て支援制度について、3点の御質問にお答えいたします。

支援事業計画の内容につきましては、子ども・子育て支援法の規定に基づき、幼児期の学校教育、保育及び地域子育て支援事業に係る需要の見込みとその供給体制などを記載することとされています。

本市においては、この支援事業計画をこれまでの次世代育成支援対策推進法に基づく子どもプランを引き継ぐものとして位置づけているため、子育て・子育ちの環境整備のための行動計画として、内容についても盛り込む予定です。

続きまして、改正児童福祉法の第24条につきましては、第1項で保育を必要とする児童について、市が保育所において保育する義務を負うことを、第2項で保育所以外でも認定こども園や小規模保育などにより保育を確保するための措置を講じなければならないことを規定しています。

これらの条項は、市が地域の実情に応じて保育所やその他の保育施設等を組み合わせ、責任を持って地域の保育需要に対応することを趣旨としているものと認識しております。

続きまして、新制度における入所手続などについての御質問でございますが、新制度では、保育所以外の認定こども園や小規模保育事業等を利用する場合には、保育の必要性の認定を受けた上で利用者と事業者が直接契約を結ぶ仕組みになっています。

ただし、当分の間は、認定こども園などの利用につきましても、保育所と同様に市が利用調整を行うこととされています。

具体的な利用調整の手続や方法については、今後国の子ども・子育て会議において検討され、本年度末までに政省令が公布されることとなっております。

続きまして、待機児童解消加速化計画についての2つの質問にお答えいたします。

待機児童解消加速化計画における整備目標量の達成についてでございますが、認可保育所の新設に対する応募状況や既存施設への意向調査の結果などから各事業の目標量を定めており、整備目標量は達成できるものと見込んでおります。

整備目標のうち、清水区の待機児童園は本年10月1日より運営を開始いたします。定員は48人で、愛称は市民の皆さんからの投票の結果、「まりん」に決定いたしました。また、認可保育所の新設など一部の事業については、既に整備事業者が決定しています。

今後、民間から整備事業者を募集する事業については、募集の際に対象者に十分な周知を行うなど、整備が確実に行われるよう努力してまいります。

次に、市の認証保育所と新制度における小規模保育事業の運営形態の違いについては、主に3点ございます。

1点目は運営費についてですが、認証保育所が主に保護者からの保育料と市独自の運営費補助金で運営しているのに対し、認証保育所が小規模保育事業に移行した場合には、地域型保育給付の対象として市の財政支援が受けられることから、これまでに比べ安定的な運営を行うことが可能となります。

2点目に、保育室の面積や必要な保育従事者数、自園調理による食事の提供などについては、認証保育所に比べ小規模保育事業のほうが基準を高く設定しているため、小規模保育事業への移行により保育サービスの質の向上が図られます。

3点目に、小規模保育事業の保育料は保護者の所得に応じた料金設定となることから、保護者にとって認証保育所と比べ、より利用しやすい事業となります。

以上でございます。

 

◯2番(寺尾 昭君) 2回目です。

子ども・子育て支援の新制度について、今、説明がありました。市の待機児童解消加速化計画も含めて、その実現の可能性や安心して保育が受けられるかどうか、若干不透明な面もあったような気もいたしますが、株式会社などの企業の保育への参入は、これまで本市としてはなかったわけでありますけれども、それは、企業は利益を追求するというのが目的になっていて、なじまないのではないかということではなかったかと思います。保育の場合、これが持ち込まれるということになってくると、また新たな心配も出てくるわけです。

質問ですけれども、新制度において株式会社など企業の参入はできるのかどうなのか、静岡市としてもどうするのか、この辺もお答え願いたいと思います。

わずかではありますけれども、新制度発足までは若干の間があります。保育園や幼稚園の運営に苦労している皆さんや、現場で毎日子供たちと接し、生活をともにしている方々の意見・要望に耳を傾けていただきたいと思うのです。

とりわけ、新制度が発足する場合には、予測できないことも起きてくるわけであります。このような声をどう反映させるのか、ぜひ手だてをとってほしいと思います。

そこで、質問ですけれども、この幼稚園や保育所などの現場の声を市としてしっかりと把握して国に届けるべきだと思いますけれども、この辺についてどう考えていらっしゃるのかということであります。

中央の子ども・子育て会議は、学識経験者や専門家など25人で構成されるということになっております。市としても審議組織として、庁内に市長を会長とする次世代育成支援対策推進会議というものを設置すると言っております。

いずれにしても、市の段階での子ども・子育て会議、これも設置をされるわけでありまして、一層重要な役割を果たしていくということになるわけです。

質問ですけれども、市の子ども・子育て会議の構成と役割、その辺についても明確にしていただきたいと思います。

市の待機児童解消加速化計画でありますけれども、この3月に発表されました保育計画と比較をすると、大変な枠がふやされているわけです。これを見て、私は、待機児童解消の役割を果たすべき公的責任の比重がやや軽んじられているのではないかということも見られるわけです。

これまで、市立保育園の増設は行わないという答弁をこの場でも繰り返してきておりますけれども、今のこの待機児童の現状を見たときには、そうも言っていられないではないか、民間任せでよいのかと思うわけであります。

この1,044人もの枠をふやすということでありますけれども、もう市立保育園の新設に踏み切るべきではないかと考えますが、その点についてもお答えください。

そして、この加速化計画の中で、大幅な財政支援も必要になってまいります。民間保育施設の新設に向けての財政支援をどのように考えていらっしゃるのか、その点についてもお答えください。

そして、何よりもスタッフの充実ということが重要になってまいります。必要な保育士の確保に向けて……

 

◯議長(井上恒弥君) あと1分で終了してください。

 

◯2番(寺尾 昭君)(続) どのように取り組んでいくのか、その点についてもお答え願いたいと思います。

若干話題がかわるわけですけれども、保育士等の処遇改善事業の補正予算が6月の市議会で議決をされまして、私はこの補正予算がすぐ執行されるのかと思っておりましたら、まだだということを聞いております。一体どうしてそんなに遅くなっているのかということで疑問になるわけであります。

そこで質問です。保育士等の処遇改善事業の補正予算が6月市議会で議決されましたが、保育士の賃金にできるだけ早く反映させるべきだと思いますが、その点についてどう考えていらっしゃるのか、お答え願いたいと思います。

以上、よろしくお願いいたします。

 

◯子ども未来局長(津田 望君) 新制度において、株式会社などの営利法人が参入できる事業形態は、保育所と保育所型認定こども園と小規模保育事業などの地域型保育事業で、これらは新制度の給付の対象となります。

また、新制度では、認可基準を満たしていれば、地域の保育供給量が需要に対し過剰になっていない限り原則認可され、新規参入できることになります。

現在も、保育所の新設募集に当たり、株式会社などの企業を排除することはしていませんが、新制度ではさらに企業が保育事業に参入しやすくなるものと考えます。

次に、現場の声を市として国に届けることについてですが、国の子ども・子育て会議には、子育ての当事者や幼稚園、保育所の代表者が委員として参加しています。現在、新制度の中身について議論が活発に行われており、幼稚園、保育所の現場の声は十分に反映されるものと期待しております。

また、本市といたしましても、地域の実情に応じた運用が可能な制度となるよう、大都市会議や国との意見交換会などを通じて要望しているところでございます。

次に、本市の子ども・子育て会議の構成と役割についてですが、この計画の策定に当たっては、児童福祉や教育、保育にかかわる学識経験者のほかに、子育て中の保護者や労働者、雇用者の意見を聞くことが求められています。このため、従来の児童福祉専門分科会の委員に子育て中の保護者3人と労使代表2人を加え、計17人の委員構成としました。

これまでに、新たな計画に盛り込むべき基本的な考え方や市民ニーズ調査の内容について、各分野の専門的な立場から、子育て中の保護者の視点などから検討していただいております。今後は、市の事業計画策定のほか、教育・保育施設の利用定員の設定、変更に関する審議などを行うことになります。

続きまして、市立保育所の新設に踏み切るべきとの御質問でございますが、認可保育所を新設する際には民間から募集することを基本にしています。

続きまして、民間保育施設を整備する際の財政支援については、国が補助基準額を定めており、基準額に対する補助率は4分の3で、残り4分の1を事業者が負担することになっています。例えば定員60人の認可保育所を新設する場合には、補助基準額は約1億800万円で、そのうち補助金額は約8,100万円、事業者の負担額が約2,700万円となっています。なお、建設費用が補助基準額を超えた分については事業者の負担となります。

続きまして、保育士の確保に向けては、保育士の処遇改善と就労に向けた支援が重要な課題であると認識しております。

まず、保育士の処遇については、6月議会において保育士などの賃金改善を行う民間保育所に対する助成事業の予算措置を行いました。

次に、保育士の就労支援については、静岡県において実施している事業があることから、今後も引き続き県と連携を図りながら保育士の確保策を検討してまいります。

それから、保育士等処遇改善事業費補助金につきましては、現在交付申請を受け付けているところであり、申請のあった保育園から順次交付の手続を進めてまいります。

以上でございます。