監査委員の選任について反対の討論

カテゴリー:

87◯31番(山本明久君) 私は、日本共産党市議団を代表して、議題となっています議案第214号監査委員の選任について反対の討論を行います。

議案は、海野 洋氏を再任しようとするものですが、反対の理由は、昨年4月、違法不適に支出されたとして政務調査費の返還を静岡市が2つの会派に請求するよう求めた住民監査請求において、監査委員であった海野氏が合議によって、この請求を棄却する決定を下したことです。

住民監査請求に対する監査委員による請求棄却というのは一般的に多いことだと私も受けとめていますけれど、しかし、今回の件については、棄却された住民が起こした住民訴訟において、使途基準に照らして明らかに違反していると監査請求で指摘されていた支出をした議員が、そのうちの4人が政務調査費を市に返納していたことが、ことし明らかになりました。その裁判の中では、被告である静岡市の代理人から、懇親会のみ参加したものであったということから返納されたものであるとの理由が示されています。報道では、返納した議員は、調査でケアレスミスがわかったと述べています。

では、一体、監査は何だったんだということになります。この問題になった研究研修費の使途基準では、会議を伴わない懇親会だけの参加は認められないということは監査委員自身把握していたわけですから、請求を棄却した監査自身が正しく行われていなかった、あるいは実質的に極めて不十分だったということは明白です。名ばかり監査だと言われても仕方がないものだと思います。

私は、海野氏は人格的に、先ほどもありましたように立派な方だとは思いますが、今回のその責任は重いものがあると思います。

しかし、監査の中で支出の中身に踏み込んでいれば、政務調査費の使途基準から逸脱したものであったということはわかったはずですから、請求棄却にはなっていなかったと私は思います。

この件で、具体的にどういう監査がされたかについては、その内容は昨年4月30日付で監査公表されていますから、これはホームページで見ることができます。それによると、研究研修費として支出された2会派の46件の他団体の総会行事への参加費、懇親会費、または年会費などが使途基準に違反しているとして監査請求されたことに対して、監査では使途基準をもとに、これに違反した違法不適なものであるかどうかが監査対象にされました。代表者会議では、それは大多数派で決められました。その中で、議会事務局からの聞き取りや支出伝票や領収書など支払い証拠書類の確認によって、会派の事務手続上の誤りは認められなかったという結論が出されて、それをもとに、これら46件について、いずれも疑問を挟む余地なく使途基準を逸脱し、違法不適とは認められないと判で押したような判断が述べられています。

しかし、実際、裁判になってから返納された分というのは、業界や地域で活動している他団体の総会や懇親会費であり、その点では使途基準には合致していますが、会議があったとしても、懇親会だけに参加したのかどうか、しなかったのかどうかという点では、実際、使途基準に反していたわけです。それぐらいはしっかり個々に聞き取りしていればわかったはずです。監査の対象に具体的になっていたことですから調査しなければいけないはずです。それが追及されていないところに、監査委員として責務が果たされていないと言わざるを得ない問題点があると思います。

また、他団体の総会などの中には、本来の使途基準でいう研究研修とは無関係な行事や内容があり、それらは個人の自費で参加すべきだという監査請求の中心点ですね、この点に対しても情報収集等は調査研究の対象と認められるという判断になっており、本来の政務調査に値する研究研修とはどうあるべきかという分析は一切なく、問題なし、請求は棄却という結論になっています。この点についても、市民の目線で言うと、懇親会費は他の参加者は自費なのに、議員だけが政務調査費として税金を使っていいというのは納得が得られないという問題提起なんですが、これを真正面から受けとめられない監査委員の姿勢があるのではないかと言わざるを得ません。これは議会自身も監査する立場の人も、これをきっかけに真剣に考えるようにしていただきたいということを提起して、討論を終わります。