マイナンバー制度について、災害対応について

◯市川 正
 通告に従い、質問いたします。
 まず、マイナンバー制度についてですが、国民の大きな関心ごとであり、また、そのことに伴うトラブルも多くなっていることから質問として取り上げてみました。
 まず、マイナンバー関連のトラブルについてお伺いします。6月2日、改正マイナンバー法が可決、成立いたしました。マイナンバーの利用範囲の拡大、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、公金受取口座の登録促進などが主な改正点です。マイナンバー制度は、日本に住む全ての人に一生変わることのない12桁の番号を割り振り、様々な個人情報を一まとめにして行政などが活用できるようにするもので、2015年10月に一人一人に番号が割り振られ、16年1月から希望者に対して、顔写真やICチップの入ったマイナンバーカード、これが交付されております。
 政府が閣議決定したデジタル田園都市国家構想の基本方針で、マイナンバーカードの交付率を地方交付税の算定に反映させる、このようにしていることが地方自治体の行政サービスにも影響を与えております。
 例えば、岡山県備前市では、世帯全員がマイナンバーカードを取得した世帯に限り、小中学校の給食費などを免除するとした条例案を提案したなど、その典型ではないでしょうか。条例案は賛成8、反対7の僅差で可決、その後、国の地方創生臨時交付金の交付が決まり、財源が確保できたとして条例は撤回されております。しかし、任意であるマイナンバーカードの取得で教育をはじめ公平性が求められる行政サービスに差を持ち込むことは、基本的人権をも脅かす問題だと全国的に議論になりました。
 私も全く同感です。国は現行の健康保険証を廃止し、それに代わりマイナンバーカードを保険証として利用するとしていますが、マイナンバーカードの取得はあくまで任意であり、保険証として利用することは事実上強制取得となることから、多くの批判の声が上がっております。
 日本共産党は、信頼を積み上げてきた紙ベースの健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを保険証代わりにすることは、国民皆保険制度の根幹を揺るがす大問題だとして、これまでもマイナンバーカード制度の廃止を求めてまいりました。
 一方、国は2022年度末までに、全ての国民にカードを行き渡らせることを目標に、マイナンバーカードの普及促進を進めてきております。総務省が発表しているデータによれば、2023年4月末時点の全国の累計交付数は8,786万5,000枚余、交付率は69.8%。同じく本市の累計交付数は49万717枚、交付率は71.2%となっております。
 マイナンバーカードに健康保険証や公金受取口座を登録すれば、それぞれ7,500ポイントが付与されることと、国が2024年秋の紙ベース保険証廃止を発表して以降、マイナンバーカードの交付数は急増しております。しかし、今なお情報漏洩を危惧する多くの国民の理解を得られない傾向も見られ、デジタル庁の全国データによりますと、6月18日時点でもマイナンバーカードへの保険証登録は6,408万枚余、69.4%、また口座登録は5,590万余、60.6%にとどまっております。
 マスコミ等の報道を見ますと、全国で様々なトラブルが起きていて、皆さんも御存じのことと思います。コンビニでの証明書交付の際、他人のデータが発行された。マイナポイントが他人に発行された。本人の意に反して保険証とひもづけられる事例があった。あるいは、マイナンバーカードが他人の年金記録にひもづけされていた。公金受取口座が本人名義以外、例えば、家族などになっていた。母と子の写真を取り違えていた。これら信じ難い事例も報道されております。
 本市のマイナポイント支援窓口も、大変な混雑を極めました。支援する職員に確認させていただいたんですが、さきに挙げたような事例はシステムのプログラム上の不具合や人的ミスに起因するもので、本市の支援の際は、前の方がログアウトしたことを必ず確認してから次の人の支援に当たる、このことを徹底してきたとのことでした。
 その後、6月20日には、厚労省は静岡県で障害者手帳とマイナンバーのひもづけに誤りがあったと明らかにし、全国の自治体に総点検を求めております。本人確認の際、本来、間違いのあり得ない自治体情報が間違っていたとなれば、システム全体の信頼が揺らぎます。こうしたトラブルのたびに点検確認作業では、自治体が振り回されてしまいます。
 そこで、お聞きします。
 報道されているように、本市がコンビニエンスストアで交付する証明書において、他者の証明書が発行されたなどの事例はないか。2つ目、本市でもマイナポイント申込支援窓口を開設しているが、他者の公金受取口座の誤登録や、健康保険証のひもづけに関するトラブルの報告がないか、お伺いします。
 次に、国民健康保険の運用について伺います。
 さきにも述べましたが、政府は改正マイナンバー法で2024年秋に現行の健康保険証を原則廃止し、マイナ保険証に切り替えるとしました。何らかの理由でマイナ保険証を持っていない方には申請により資格確認証を発行することとなっております。マイナ保険証では、医療投薬情報の誤登録が続いていて、これは命に関わる重大な人権侵害でもあります。
 岸田首相は最大1年間、2025年の秋まで猶予期間を活用して、不安を払拭していくとしておりますけれども、私は来年秋の健康保険証廃止は無理やり進めるべきではなく、一旦中止すべきと考えております。マイナ保険証は、主に医療機関を受診する人の資格確認に利用されるわけですが、全国保険医団体連合会の調査によれば、マイナ保険証による医療現場トラブル調査で、他人の医療情報がひもづけられていたケースが少なくとも31都道府県、114件あり、また、オンライン資格確認を導入した41都府県、8,437の医療機関のうち約65%でトラブルがあったと、このように明らかにされています。
 医療機関でのトラブルの多くは、「無効」「該当なし」と表示されて、被保険者の資格情報が正しく反映されない、このことが約66.3%と最も多いということです。資格確認ができなければ無保険扱いとなり、窓口10割になってしまうなど患者に大きな負担を強いることとなります。こうした例は、さきの保団連調査で776件に及びます。
 1961年に国民皆保険が達成されて以来、今日まで信頼を積み上げてきた紙ベースの健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを保険証代わりにすることについては、様々な問題があります。
 第1に、マイナンバー法第16条の2で、住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき、その者に係る個人番号カードを発行するとなっております。マイナンバーカードの取得は原則任意であり、全員加入が原則の国民健康保険と矛盾するというのが第1の問題です。
 第2に、全員加入の国民健康保険は、黙っていても毎年本人の住所地に保険証が送られてきます。マイナ保険証は申請しないと取得できない、有効期限は10年、証明用の電子証明は5年で、何らかの理由、例えば、寝たきりや医療器具を外せないなどでマイナ保険証の取得や更新ができない者も、資格確認書の発行は申請する必要があるとして、申請できない場合は無保険となり、医療が必要な人ほど医療からこぼれ落ちてしまう危険がある。このように、大変な危険がございます。
 第3に、個人情報漏洩等のリスクが格段に高くなるということです。例えば、これまでの保険証は月1回の医療機関窓口提示で済んだものが、マイナ保険証では診察の都度、資格確認が求められ、そのため、常に持ち歩く必要があること。特に高齢者は医療機関を受診する機会が大変多く、毎日のように受診する方もいらっしゃいます。こうした個人情報満載のマイナンバーカードを持ち歩くこと、そして、その保管場所や暗証番号が分からなくなったりしてしまったら、使いものになりません。
 そこで、伺います。
 本市の国民健康保険証の利用において、他者の医療情報が閲覧できたなどの事例はないか、お伺いして1回目といたします。

◯市民局長(市川靖剛)
 本市におけるコンビニエンスストアでの証明書交付の誤交付事例についてですが、本市では誤交付の事例はございません。
 他人の証明書がコンビニエンスストアで交付された事案が発生した都市では、いずれも富士通Japan製のシステムを利用しており、プログラム上の不具合が原因であることが判明しております。
 本市のコンビニエンスストア交付システムは、富士通Japan製ではありませんが、証明書発行におけるプログラムなどに誤交付が生じる仕組みがないか、システム構築事業者と点検を行い、不具合がないことを確認しております。

◯デジタル統括監(澤山義典)
 公金受取口座の誤登録や健康保険証のひもづけに関するトラブルの報告についてですが、本市では令和4年5月から、3区役所内にマイナポイント申込支援窓口を開設し、国のマニュアルに遵守したポイント付与のための公金受取口座登録と、健康保険証利用申込手続の支援を行っております。
 公金受取口座の登録内容や、健康保険証利用の申込確認については、マイナポータルを利用して本人しか確認できない仕組みとなっており、これまで支援窓口を利用された方から、報道されている内容のトラブルが生じたとの相談はございません。

◯保健福祉長寿局長(吉永幸生)
 本市の国民健康保険証の利用において、他者の医療情報が閲覧できたなどの事例はないかについてですが、本市の国民健康保険証の利用において、他者の医療情報が閲覧できたなどの事例はございません。
 なお、本年5月に国から発出された通知により、過去の登録状況について総点検依頼を受け、締切日である6月末の報告に向けて調査を実施しているところですが、現時点で誤登録については検知されておりません。


◯市川 正
 それでは、2回目の質問に移ります。
 さきにも触れたとおり、本市もマイナポイント支援窓口を開設し、市民のポイント登録を支援してまいりました。本市の累計交付数は49万717枚、交付率は71.2%と聞いております。
 1回目の質問で、本市においては現時点で誤登録は確認されていないとのことでありました。全国では、これまでも人為的ミスやシステムエラーにより他人情報と結びついてしまう事例が毎日のように報道されております。
 個人情報の保護は基本的人権の一丁目一番地とも言われますが、厚労省説明でもマイナポイント支援窓口において、マイナポータルからログアウトを忘れたことによって他人の情報がひもづいてしまった、このようにそのメカニズムなども説明されたことから、窓口を利用した市民の中には、自分は大丈夫か、マイナンバーカードは返納したいと不安を抱いている方も多いと思います。
 マイナンバーカードの取得はあくまで任意であり、カード返納は、個人番号カード返納届を提出することでできる、このようにマイナンバーカード受付窓口に確認いたしました。マイナポイント支援窓口に相談に訪れる市民の不安や意向に沿った支援が求められているところであります。
 そこで、伺います。
 国の対応を含め、今回のマイナンバーカードをめぐるトラブルについて、本市での誤登録防止への対応、またマイナポイント申込支援窓口で、マイナポイントの申込みをした市民の不安に対する対応については、どのようにしていこうとしているのか、お伺いいたします。
 2つ目、災害対応についてお伺いいたします。
 昨年の台風15号の復旧事業が終了しないうちに、今年6月2日には台風2号が襲来しました。台風15号の教訓は、初動の遅れ、情報の収集と発信が問われました。今般の台風2号やそれに続く大雨警戒では、いち早く緊急情報が出され、避難所の開設がされるなど、市の対応の早さが際立っていました。大変よかったのでないかなと私も感じています。
 被害状況等報告は、人的被害、建物被害、河川、道路など12項目で報告されていて、第12報まで出されています。それに続く6月8日の大雨についても、被害状況等報告第4号まで出されています。
 しかし、この中で県河川の状況については、詳細な情報がないまま続いて出された大雨の緊急情報に切り替わっているなど、市民にとって分かりにくい表現になっています。全体を把握しているわけではありませんが、台風15号災害の復旧途上で、再度災害に見舞われた箇所や施設が多くあります。
 安倍川河川敷グラウンド、辰起町グラウンドなど、あるいは瀬名の農道西奈畑総支線3号線などであります。台風15号では、市内4,800戸を超える家屋の浸水被害など甚大な被害をもたらしていますが、大雨のたびに浸水する常襲地帯や流域人口が比較的多い内牧川や長尾川など、市民の目から見ても河床の上昇が顕著で、台風シーズンを控えて昨年同様の被害を不安視する声も多く聞きます。
 いつ、どこで災害に遭ってもおかしくないと言われる昨今ですが、気候変動による影響が顕著になっており、一級河川安倍川をはじめ、河床の掘削量を上回る土砂供給が顕著で、市管理河川だけでなく、国、県河川の整備も喫緊の課題と言えます。
 激甚災害指定を踏まえての復旧工事で、災害査定等手続もあり、直ちに復旧とはならなかったことも承知ですが、住民の意向にも沿いながらスピード感を持った災害復旧工事ができないものかと考えております。
 国、県河川のように市の管轄外であったとしても、直接被害を受けるのは静岡市民であり、根本的で着実な整備を進めていく必要があると考えております。
 そこで、伺います。
 国や県河川のように管理者の異なる河川について、静岡市としてはどのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いして2回目といたします。

◯副市長(大長義之)
 私からは、マイナンバーカードをめぐるトラブルへの対応についてお答えいたします。
 このようなマイナンバーカードにおけるトラブルにより市民の信頼を損ねることがあってはならないことですが、全国で起きている誤登録の原因は、主に人為的ミスによるものであります。そのため、国ではマイナンバー情報総点検本部を立ち上げ、マイナポータルで確認可能な29項目全ての情報について秋までに総点検を行うとともに、公金受取口座についてはシステム改修により誤登録の防止機能を追加することが、内閣総理大臣及びデジタル大臣から示されております。
 また、本市ではマイナンバーカードにおけるトラブルは発生しておりませんが、関係課による登録内容の確認を行うとともに、マイナポイント申込支援窓口でのマイナポータル操作手順に誤りがないよう、支援窓口の受託事業者に対し操作確認の徹底を再度指示いたしました。
 さらに、マイナンバーカードに関する御自身の登録内容について不安が生じた方で、マイナポイントや健康保険証のひもづけ、公金受取口座の登録内容の確認について、操作が分からないなど支援が必要な方に対しては、支援窓口において確認作業の支援を行っております。
 このような取組を通じて、市民の皆さんのマイナンバーカードに対する不安の解消に努めてまいります。

◯建設局長(浅井克行)
 国や県河川のように、管理者の異なる河川に対してどのように取り組んでいくかについてですが、浸水被害の軽減のため、本市では河川の流域全体で治水に取り組む流域治水の考えに基づき、国、県、市がそれぞれの役割を担い、連携した河川整備を推進しております。
 また、国、県が事業主体となっている河川とは言え、この整備水準は市民の生命、財産を守ることに直結します。したがって、管理者である国や県に対し、単に要望するだけではなく、市として整備効果を分析し、根拠を持って、こういう効果を得るためにこのようにしてほしいと要請することが重要です。
 このため、6月補正予算において、巴川流域などの脆弱性の分析を行い、即効性のある対策や抜本的な対策を検討するための予算を計上しました。
 今後は、その分析と対策検討の結果を踏まえ、新たな治水対策を立案し、その上で、国や県に対し事業効果などを明確にした要望を積極的に行ってまいります。
 引き続き、水害から市民の生命、財産を守るため、国、県、市が連携した河川整備に努めてまいります。
 

◯市川 正
 最後は、意見・要望といたします。
 まず、大項目2の災害対応についてですが、繰り返される土砂災害、浸水被害は、市民の生活を疲弊させます。何といっても安心・安全な暮らしが地域には必要です。河川流域の市民が災害の心配なく、安心して生活できるよう、国、県とも連携し、根本的、抜本的な治水対策をいま一度進めていくよう、改めて要望いたします。
 次に、マイナンバー制度についてですが、健康保険証が廃止となる来年秋以降がマイナ保険証に関するトラブルのピークになろうことは、容易に推察できます。憲法は、日本国民一人一人が個人として尊重され、健康で生活する権利をうたっています。政府や自治体の最大の責務は、国民の命と財産を守ることにあります。その点で、マイナ保険証への登録誘導はこれに逆行するものと言わざるを得ません。医療機関における資格確認で、今の健康保険証に重大な欠陥があるというならまだしも、マイナ保険証が使えなかった場合の最後の砦、切り札が今の保険証だというのなら、何をか言わんやでございます。
 災害時にこそ不可欠な保険証ですが、マイナ保険証は電力が断たれれば資格確認もできませんしましてや誤登録や読み取り不良などで、無保険扱いによる患者との無用なトラブルは、診察の停滞、中断などを引き起こし、市民の命に関わる事態につながりかねません。政府主導の施策で個人情報が漏洩したり、あるいは医療が受けられないなどの事態は絶対にあってはならないことです。
 これまでどおり、誰もが安心して医療にかかることができることが国民皆保険の意義であり原点です。マイナ保険証については、ここは一旦運用を停止し、全面的な総点検を実施すること、従来型の紙の健康保険証は存続すること、このことを政令都市市長会などの機会を捉えて国に働きかけるべきと考えております。
 このことを強く要望し、質問を終わりたいと思います。