住宅政策について

◯杉本 護
 おはようございます。
 通告に従い、本市の住宅政策について、特に市営住宅について、様々な角度から質問します。
 まず、国土交通省は公営住宅について、憲法第25条でうたう生存権の保障の趣旨にのっとり、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者に対し低廉な家賃で供給されるもの、そのように説明しています。
 では、公営住宅法とは何か。お手元にある資料1)を御覧ください。
 これは、公営住宅法の最初の部分です。目的が第1条に書いてありますので、読み上げてみますと、この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする、このようになっています。
 つまり、公営住宅は単なる住宅ではなく、健康で文化的な生活を営めるようなものでなければならず、しかも低廉な家賃でなければならないわけです。本市の市営住宅もこの公営住宅法に基づかなければならないわけですから、その点が問われています。
 まず、市営住宅の役割についてお聞きします。
 我が国の住宅政策は、公営住宅法があるにもかかわらず、新自由主義的な政策の下で住宅確保を自己責任とし、法的責務が後退させられてきたのではないでしょうか。
 特にアベノミクス以降、格差と貧困が拡大し、公営住宅のニーズが高まっているにもかかわらず、その戸数は2005年度の219万戸をピークに、2019年度には214万8,000戸まで減少し、全住宅に占める比率は僅か3.6%に過ぎません。
 それでは、本市はどうなっているのか。市内各地に市営住宅はありますが、入居者がいるところもいないところもその全てを市は管理しています。
 そこで、最初の質問です。
 本市の全世帯数に対する市営住宅の管理戸数の割合について、管理戸数のピーク時と現在の状況はどうなっているのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹) 昭和23年から建設が始まった本市の市営住宅は、平成21年に管理戸数のピークを迎えており、市内に全世帯数28万8,140世帯に対し、管理戸数が7,736戸で、全世帯数に対する市営住宅の割合は2.68%となっていました。
 本年4月1日時点では、市内の全世帯数32万3,246世帯に対し、管理戸数が6,801戸で、全世帯数に対する市営住宅の割合は2.10%となっております。

◯杉本 護
 今、答弁にあったように、本市も全国と同様に市営住宅の戸数が減少し、世帯比率も下がっています。市は人口減少、少子高齢化による社会構造の変化や公共施設の老朽化による大量更新時代を迎え、財政悪化を見通す下で公共施設の延床面積の20%削減を目標とし、市営住宅も総延床面積20%削減するという、このアセットマネジメント事業を進めてきました。市営住宅戸数の減少はその結果とも言えます。
 一方、現状では雇用の非正規化の増大や、年金暮らしの高齢者世帯、生活保護世帯の増加など、低所得者層が増えています。こうした状況の下で、低廉な家賃の住宅ニーズは高まっているのではないでしょうか。
 そうした中で市営住宅を減らしていくことは、地方自治法の定めている住民の福祉の増進や、公営住宅法の低額所得者に対して低廉な家賃の住宅供給に反していると言わざるを得ません。市民の住宅ニーズからもアセットマネジメントによる20%削減目標は見直すべきです。
 さらに、市民生活の骨格である衣食住の中でも、最も市のまちづくりや市民サービスの特色が出やすいのが、住宅政策だと思います。市民の生活実態や意識も大きく変化しています。
 終戦後は、まず雨露をしのぐ住まいを提供することが市営住宅の大きな役割でありました。その後、高度成長期を経て、現在は成長が止まり、賃金の上がらない国となっています。市民生活も3世代、4世代が同居する大家族が当たり前だった時代から、核家族化や結婚しない単身生活者、あるいは高齢者のみの世帯などが増大し、単身世帯と夫婦のみの世帯の合計が、全世帯の過半数を占めるようになっています。
 そして、障害を持つ人も持たない人も共生する社会──インクルーシブ、バリアフリーの社会が求められ、住宅政策にも生かさなければなりません。また、幅広い世代の社会的な孤立、ひきこもりやヤングケアラーなど社会問題となる中で、社会福祉で支えなければ健康で文化的な生活が、暮らしができない世帯も増えています。そうした人たちを支える生活空間をつくることも、住宅政策では求められていると思います。
 質問です。
 市営住宅のニーズについて、どのように変化していると考えているのか。

◯都市局長(安本弘樹)
 まず、市営住宅のニーズについては、市内の全世帯数は増加しているものの、市営住宅への入居要件に該当する方は、国土交通省の算定プログラムにより減少傾向にあると推計されていることから、民間賃貸住宅とバランスを保ちながら、必要な住戸数を供給してまいります。
 次に、ニーズの変化についてですが、市営住宅の住戸については、高齢者や体の不自由な方に対するバリアフリー化、ライフスタイルの変化に対応した間取り、それから洋室需要の増加、身寄りのない単身世帯の入居希望など、ニーズは多様化しております。

◯杉本 護
 今、答弁があったんですけども、国交省の算定プログラム、これは低所得者でも市営住宅への入居ニーズを有しているとは限らない、こうした考えを基に推計しています。ですから、私は必要な戸数を少なく見込まれている、そんな可能性があると考えています。
 さて、ニーズは多様化しているとの認識を示されました。それでは、本市の住宅政策がそうしたニーズに応えているものになっているかということです。
 例えば、市営住宅の現状を見てみますと、車椅子生活に対応した住宅は32戸しかありません。しかも、入居できるのは障害者手帳を持っていて、部屋の内外で車椅子を常用していることが条件になっています。部屋の中では車椅子は必要ないけど、外出のときには車椅子が必要という方もいらっしゃいます。一般住宅では1階に上がるためのスロープすら配備されていません。
 また、エレベーターは42棟に48基が設置されていますが、とても十分と言える状況ではないと思います。古い市営住宅では、4階建て、5階建てでもエレベーターがないところがあり、特に清水区に多いように感じています。高齢者じゃなくても5階まで上がるのは大変です。買物袋を持っていたらなおさらです。
 また、入居募集をしても申込者が殺到する団地と少ない団地、あるいは申込みのない団地があり、ミスマッチがあるように思います。今年6月、4月、2月の募集を見てみても、例えば、富士見団地などは人気があって、毎回10倍とか17倍の競争率となっています。しかし、その一方、応募がない団地もあります。また、4人家族以上や子育て支援などで政策的に用意した住宅でも応募がないこともままあります。
 こうしたことが起きる要因の1つとして考えらえるのは、現在は安ければどこでもいいという、そういう時代ではないということだと思います。そして、そうしたことはぜいたくではなく、市民の生活の変化や発展として捉えることが重要ではないかと思います。
 どこの市営住宅に住むかは、家族構成による部屋の数や仕事場との距離、子育て世帯なら保育園や学校の位置、高齢者であれば医療機関や買物へのアクセス、交通の便などを考えて選ぶことになります。
 先ほど例に挙げた4人家族以上を対象とした団地は、実は安倍口団地の29棟、4階です。しかし、エレベーターがありません。高齢者がいれば選択肢から外れることも考えられます。子育て支援住宅として用意した住宅に応募がないのは、そうした住宅を求めていても、子供を転校させたくない、そういったことで断念することもあるんではないかと思います。これを見て、ニーズがないというふうに見たら、大間違いだと思います。
 本市も少子高齢化が進んでいます。高齢者の割合が進む中で、地域の学校や自治会活動なども困難が広がっています。そうしたときに、若い世代に魅力ある市営住宅となれば、若者を呼び込み、地域に活力を生む力となってきます。
 また、市営住宅と一体に地域のコミュニティ施設や広場、福祉施設などが整備されれば、地域社会として支え合う仕組みをつくる一助となります。
 市営住宅の整備をどのように行っていくのか、まさに本市のまちづくりの考え方が如実に表れているのではないでしょうか。
 質問ですが、地域における市営住宅の役割をどのように考えているのか、お願いします。

◯副市長(本田武志)
 市営住宅は公営住宅法制定時から低廉な家賃で住宅を提供することで、住宅セーフティーネットの根幹を成す役割を担い、また、地域のつながりを大切にし、地域のコミュニティを形成してまいりました。
 今後もニーズに対応して、低廉な家賃で住宅を提供してまいります。
 また、近年、人口減少や高齢化に伴う担い手不足により、市営住宅やその周辺地域においても自治機能の低下やコミュニティの活力低下が課題となっております。そのため、市営住宅の再整備については、集約建て替えによって生まれた余剰地を活用し、社会福祉施設や子育て支援施設の誘致、集会所や公園といった入居者や周辺住民が利用しやすい公共空間を整備してまいります。
 こうした再整備により、市営住宅は引き続き住宅セーフティーネットとしての機能を有するとともに、地域のコミュニティ活動を支え、地域の暮らしを豊かにする役割の一翼を担ってまいります。

◯杉本 護
 今、副市長から答弁いただきました。話を聞きますと、ほぼ私の思いと同じかなと思います。ぜひ、そうした役割を認識していらっしゃるならば、市営住宅をやっぱり減らしていくんではなくて、必要な箱物として内容を充実させて、そして、必要な戸数を確保するべきだと思います。改めて、アセットマネジメントによる削減計画を見直していただきたいと思います。
 次に、市営住宅の保証会社利用についてお聞きをします。
 本市は2022年度から、市営住宅に入居する際、連帯保証人がいなくても家賃債務保証会社と契約を結べば入居できるように、入居要件を緩和をしました。市は、2020年2月定例会での質問に、個人の連帯保証人の確保が難しい方が家賃債務保証会社等を連帯保証人として活用できるようにするため、家賃債務保証会社を公募し、令和4年3月中に協定を締結し、4月から実施する予定と答弁しています。
 ところが、現在まで協定を結んだ保証会社はないと聞いています。
 質問です。なぜ保証会社との協定を結べていないのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 連帯保証人を必要としている制度の廃止に向けて検討を始めたことから、個別での保証会社とは契約してございません。
 ただし、国土交通省が創設した家賃債務保証業者登録制度において、入居者が個別に保証会社と契約し、利用できる仕組みは従来どおりでございます。

◯杉本 護 
今、入居資格から連帯保証人を外すことを検討していると、だから個別契約はしていないという答弁でした。
 しかし、そうなると昨年3月2日の本会議での答弁は何だったんでしょうか。そのときの答弁では、3月中に協定を結ぶと言いながら、今の答弁は積極的に結ぶことをやっていないというふうに聞こえます。
 要するに、言っていることとやっていることが違うんではないかなと感じていますから、議会での質問と答弁は非常に重いものがあります。ぜひ、その点は一言、言っておきたいと思います。
 さて、協定を結んでいなくても連帯保証人が不要となるまでは、保証会社を利用することも選択肢の1つです。今年度も入居の募集は行っていく中で、このままでいいとは思いません。
 国土交通省によると、家賃保証会社は約250社あります。そして、10年間で倍加していると言われていますが、貸金業からの流入が多く、全体の4割が貸金業を兼ねていると言われています。
 そして、家賃債務保証会社には、貸金業法にある取立て行為の規制がなく、滞納して代位弁済された方が、朝7時に家の前で待ち伏せされて、いつ返してくれるんだと迫られたり、あるいはインターフォンを2時間鳴らし続けられた、このような悪質な取立て被害が報じられています。
 そこで、質問です。
 市営住宅の入居希望者で、保証会社を利用したい場合は、市民はどこの保証会社を利用することができるのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 先ほどの家賃債務保証業者登録制度において、本年5月末時点で97社の登録があり、利用希望者はその一覧から業者を選定し、利用することが可能となっており、希望者には登録制度を紹介してございます。

◯杉本 護
 今の答弁で97ある登録会社を利用することができるとおっしゃいました。しかし、市と協定は結んでいません。この中には、貸金業を兼ねている会社もあります。これで安心して利用することができるかという、こういった問題があると思います。
 ちなみに、静岡県は本市より1年早く債務保証会社の活用を始めていますが、家賃債務保証業者登録制度、これに登録している会社の1つ、株式会社カーサと契約を結んでいます。登録業者でも契約を結ぶということは、その必要性があるからだと思います。契約を結ぶことで、先ほど例に挙げたような悪質な取立てを防ぐことにもなるような気がします。市民の立場に立った対応を考えていただきたいと思います。
 さて、市に確認したところ、現在までに家賃債務保証会社を利用している人はいないとのことです。なぜでしょうか。この1年余の新規入居者は、たまたま連帯保証人の当てがあったのかもしれません。しかし、ほかの要因として、連帯保証人として保証会社を利用できるようになったことが広く知らされていない、これも考えられます。
 また、あるいは保証会社に払う保証料の負担を懸念したり、さきにも述べたような取立て行為への心配、こうしたことも考えられます。
 そういった中で、無理なお願いをして、連帯保証人を探した人もいるんではないかと思います。
 そこで、質問します。
 市は保証会社の利用者がいないことについて、その要因はどこにあると考えているのか。

◯都市局長(安本弘樹)
 入居の希望者が保証会社に対して、保証委託料を支払う必要があり、その経済的負担が要因と捉えております。

◯杉本 護
 保証会社の利用がないというのは、今言った保証料の負担が大きいためという答弁でしたが、私も市営住宅を利用したいと思う方は、収入が少なくて安い家賃が魅力で応募していることが多いと思いますから、保証料の負担が壁となって利用をためらうことは十分に考えられると思います。
 しかし、やはりそれだけではないと考えています。保証人が要らなくなるかもしれない将来はともかくとして、今、安心して利用できる保証会社が必要です。
 そこで、入居の申込みの時点では、連帯保証人の登録は不要です。入居の申込みをして、抽選で当たった後、一次の入居資格審査に合格して初めて連帯保証人の登録をします。その時に、市は保証会社として97の登録会社を紹介すると思いますが、その際に保証会社が万が一、不法不当な行為を行ったら、市として責任を持った対応をすることなどを、利用者に示すことも安心感を与えることになるんではないでしょうか。
 また、短期間になったとしても、協定を結ぶこともできるはずです。ぜひ、そういったことも検討していただきたいと思います。
 次に、市営住宅の連帯保証人についてお聞きしていきます。
 先ほどまでは保証会社の問題も、連帯保証人がなくなれば解決する問題ではあります。国は2018年3月30日付で、県と政令市の住宅主務部長宛てに、公営住宅への入居に際しての取扱いについて、これに対しての文書を発出しています。
 今日、用意した資料の2ページ、資料2ですが、御覧ください。
 下段のほうに、第一と書いてあって、民法改正等に伴う入居保証の取扱いについて記されています。中身を簡潔に述べてみますと、民法改正により個人根保証契約において、極度額の設定が必要となったことや、近年、身寄りのない単身高齢者等が増加していることを踏まえ、今後、公営住宅への入居に際し、保証人を確保することがより一層困難になると懸念される。こうして保証人を確保できないために入居できないといった事態が生じないようにしていくことが必要であり、保証人の確保を公営住宅への入居に際しての前提とすることから転換すべきであると考えます、このように述べています。
 つまり、市営住宅の入居要件から、連帯保証人を外すことを国は要請しているわけです。さらに、国は、連帯保証人の廃止が進まない中で、2020年2月20日にも同じような趣旨の通知を再度発出しています。
 その後、政令市の中でも入居要件から連帯保証人を外す条例改正を行った自治体が一気に増えています。
 そこで、質問です。
 政令市の中で、公営住宅の入居資格に連帯保証人を必要としているのはどこでしょうか。

◯都市局長(安本弘樹)
 札幌市、浜松市、それから本市が連帯保証人を必要としております。

◯杉本 護 今、あったとおり20政令市の中で保証人を入居要件にしているのは僅かに3自治体です。そして、その中に静岡市が入っているわけです。
 本市は、この市営住宅における連帯保証人の扱いについては、私に言わせれば遅れていると言わざるを得ません。
 そこで、質問しますが、国からの通知が示されているにもかかわらず、本市が市営住宅の入居資格に連帯保証人を必要としているのは、どのような考えからでしょうか。

◯都市局長(安本弘樹)
 主な理由は、入居者が家賃等を滞納した場合においても収入を確保し、市営住宅の運営を維持するためです。

◯杉本 護
 滞納があった場合の心配は分かります。しかし、国もそうしたことが起こり得ることは当然分かっている、そうした下で連帯保証人をなくすことを求めている。こういったことの意味をよく考えていくことが必要であると思います。
 さきにも述べましたが、低所得者が増えていく中で、市営住宅の役割はますます重要になっています。そして、社会的に孤立している人や、単身高齢者、そもそも生活保護を受けなければ暮らしていけないような方たちは、連帯保証人を探すことが非常に困難です。そうした方たちに暮らしの拠点となる住まいを提供するのが、市の仕事ではないでしょうか。
 今年5月には、静岡県が県営住宅の保証人規定について、廃止も視野に在り方の検討に入った、このような報道がされています。
 そこで、聞きますが、本市は今後、連帯保証人をなくすことについてどのように考えているのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 身寄りのない単身世帯が増えている現状を鑑み、市営住宅へスムーズに入居できるようにするため、入居資格のうち連帯保証人を必須とする条件をなくすよう、検討を進めてございます。

◯杉本 護
 今、連帯保証人をなくすことを検討していると、大変前向きな答弁と受け止めています。しかし、これぜひ検討で終わらせずに、なるべく早く現実のものになるように進めていただきたいと思います。
 さて、保証人を廃止した政令市のほとんどが緊急連絡先を求めています。独り暮らしの方など万が一のことがあった場合には、知らせる先が必要と考えることは理解は十分できるわけです。しかし、連絡するような身寄りがいない方もいます。国の通知の中でも、保証人をなくした場合、緊急時の連絡先の必要性に触れつつ、緊急時の連絡先が確保できない場合にも、入居の支障とならないよう、地域の実情等を総合的に勘案して適切な対応をお願いいたします、こんなふうになっています。
 つまり、連帯保証人を廃止した場合でも、緊急連絡先の確保を入居の条件にするなと国は言っていると思います。
 そこで、質問ですが、本市はこの緊急連絡先の扱いについて、今、どのように考えていくのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 入居者の緊急連絡先は、不測の事態における迅速な対応が可能となる情報と認識してございます。また、身寄りのない単身世帯の増加などニーズの変化もあることから、先行した政令市の状況を把握した上で、緊急連絡先についても連帯保証人の扱いと併せて検討していきます。

◯杉本 護
 今の答弁で、緊急連絡先も入居時の必須要件にはしない、その方向と受止めました。緊急連絡先というのは入居後でも探すことは十分可能ですから、まずは住まいの確保を最優先にしていただきたいと思います。
 次に、市営住宅家賃の減免制度についてお聞きします。
 同じ国からの通知の中で、保証人規定の削除とともに、家賃の減免や負担軽減措置についても要請しています。今日、お手元に提示してある資料の6ページ、そこに資料3)があります。これは、静岡市営住宅条例からの抜粋です。
 そこにある第13条には、家賃の減額若しくは免除又は徴収猶予の規定があります。読んでみますと、市長は、入居者又は同居者が次の各号のいずれかに該当する場合において、必要があると認めるときは、家賃を減額し、若しくは免除し、又はその徴収を猶予することができる。(1)収入が著しく減少したとき。(2)病気にかかっているとき。(3)災害により著しい損害を受けたとき。(4)前3号に掲げる場合のほか、特別の事情があるとき。こういうふうになっております。
 また、これは敷金にも適用されます。資料の7ページに第15条があって、その2項には、市長は、入居者が第13条各号のいずれかに該当する場合において、必要があると認めるときは、敷金を減額し、若しくは免除し、又はその徴収を猶予することができる。このようにはっきりとうたわれています。
 そこで、お聞きします。
 これまで、減免制度を利用した世帯はあるのか。また、どのようなケースであったのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 近年の利用状況は、令和元年度に6件、3年度7件で、それぞれ火災等の被災による減免を実施しております。

◯杉本 護
 今、減免したのは直近では令和元年に6件と3年に7件ということでした。しかも、元年も3年もともに火災等の被災によるとおっしゃっています。つまり、収入の減だとか、あるいは病気が原因で減免したものはないということだと思います。
 これを聞きまして、本当にないのかなというのが私の率直な感想です。令和3年度やあるいは4年度、この時期は新型コロナが猛威を振るって、観光業や飲食業など大打撃を受け、パートやアルバイトなど非正規労働者は仕事がなくなり、自営業者も大変な状況だったと思います。
 そうした中で収入減などの減免に該当する世帯がないということが不思議でなりません。そもそもこの減免の制度があることを全ての入居者は知っているんでしょうか。申請減免ですから、これは入居者が知らなければ活用することもできないわけです。そして、この減免制度ですが、この記載については、市営住宅空家募集案内書、あるいは入居のしおり、これには一切書いていません。減免制度を使わせないために、意図的に記載していない、こんなふうに勘ぐりたくもなります。
 そこで、お聞きします。
 減免制度があることを、入居者にはどのように知らせているのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 生活に困窮している旨の相談を受けた場合に、減免制度について窓口や電話にて具体的な内容の説明をしてございます。

◯杉本 護
 要するに、相談を受けたときにやっていますということです。だから結局、事前には知らせていないと。そういう意味では情報の的確な提供、こういった言い方をすると全く不十分と言わざるを得ません。こうした制度があることを知らずに、減免の権利を活用しないで支払いに困って滞納してしまう、こんなケースもあるんではないかと思います。
 そこで、お聞きしますが、滞納があった場合、市は減免制度の活用など、どのように対応しているのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 家賃等が滞納となる原因は様々であり、個別の事情により、事情に合わせた納付相談において、福祉部局で実施している生活相談につなげるなど、入居者に寄り添った対応をしております。
 なお、減免制度を適用できる入居者については、引き続き活用を促してまいります。

◯杉本 護 滞納になる原因というのはいろいろとあると思うんです。だから、中には生活保護につなげるような、そんなケースもあろうかと思います。ぜひ、そうした相談を受けた場合、利用者の暮らしを支える、こういう立場で相談に乗っていただきたいと思います。
 さて、この静岡市営住宅空家募集案内書や入居のしおりは、要するに入居者のすべきことだとか、あるいは義務的なことはかなり詳細に載っていまして、赤い字で強調したりもしていますが、今、問題にしているような減免制度、こういった権利については大変希薄だという感じがしています。
 例えば、この減免制度も入居のしおりに、入居者または同居者が収入が減ったとき、病気になったとき、災害で損害に遭ったときは、家賃や敷金を減額、免除、徴収猶予できる場合がありますので、御相談ください。また、家賃の支払いが困難になったときも御相談ください。これぐらいの記載はあってもいいんではないかと思います。
 ぜひ、義務だけではなく、権利もしっかりと伝えて、市営住宅の暮らしを支えてほしいと思います。
 そこで、お聞きしますが、今後、減免制度について、募集案内書や入居のしおりに分かりやすく明記し、入居時には口頭でも制度があることを説明すべきと考えますが、市の考えはどうでしょうか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 減免制度については、チラシやホームページ等で確実に周知しております。また、今後の募集案内書や入居のしおりの改訂の際に、減免制度について伝わりやすい内容となるよう明記するとともに、引き続き窓口においても丁寧に説明してまいります。

◯杉本 護
 入居のしおりには減免制度があることを載せると言いましたけれども、探しやすく、見やすく、そして分かりやすく載せてほしいと思いますから、ぜひよろしくお願いします。
 さて、これからは意見・要望になります。
 今回は住宅政策の中でも市営住宅に焦点を当てて質問させていただきました。私の今回の質問の大きなテーマは、1つは連帯保証人の問題について、当局から入居の要件からはなくす方向で検討しているという、大変前向きな答弁をいただいたと思っています。我々日本共産党はこの間、様々な場面で、この静岡市の市政運営について国の言いなりと批判的な立場で論戦も交わしてきました。
 しかし、この連帯保証人をなくすということは、これは国の指導なんですが、このことについては理にかなっていると思いますから、今回は国の言いなりに連帯保証人をなくすように取り組んでいただきたいと思います。
 市長も代わったことですので、ぜひ来年度から実行できるように、静岡市の市営住宅条例の改正などの法整備も着実に進めていただきたいと思います。
 また、既存の市営住宅のハード面ですが、当然老朽化している住宅が多いです。静岡市の市営住宅は、政令市の中では最も老朽化しているとされています。ですから、上土団地なんかも今後、再整備していくわけなんですけども、しかし、古い市営住宅でもやはり入居者はいます。高齢者はいます。その方が4階、5階に上るのに苦労しているという現実もあります。あるいは車椅子の方もいらっしゃいます。
 ですから、そういった古い市営住宅であったとしても、車椅子の方や高齢者などに対応するために、要求に基づいてスロープを用意したりエレベーターを設置したり、そうしたハード面の整備もぜひお願いしたいと思います。
 減免制度についてですが、この申請があった場合は、最短で翌月の支払い分から適用することになっています。例えば、7月1日に申請があった場合、8月末の支払い分から適用になります。申請した月の7月は通常どおり払わなければなりません。7月1日ですから、このときに申請するわけですから、その前からやっぱり大変になっているのではないかと思います。減免申請をした月の月末支払い分から適用できないものなのか、ぜひ検討していただきたいと思います。
 さて、難波市長は所信表明で、本市の人口減少問題について、定住人口の減少の流れを変えることが必要と明言されています。そして、定住人口減少の原因の根底には、本市の出生率の低さや生涯未婚率の高さ、それがあり、このデータを直視した政策が必要と述べておられます。
 実は、私、前市長のとき本会議の代表質問で、本市の合計特殊出生率の低さを捉えて、これを引き上げる目標値を持つことを提案しましたら、定住人口に交流人口、関係人口を加えて人口活力の向上を図っていくので、合計特殊出生率を指標とする考えはないと否定されました。私も産めよ、増やせよという考えは当然ありませんが、様々な人口減少対策を行った上で、その効果として出生率を見ることは必要と考えています。そして、それを高めるには、安心して産み育てることができる生活環境をつくることだと思います。
 その1つが若者も低廉な家賃で暮らすことができる住宅を提供すること。さらには、そうした住宅を核として地域のコミュニティを高めて、地域で子育てを応援する、そうしたまちづくりを行うことではないでしょうか。実は人口減少対策特別委員会で、奈義町に訪問したことがあります。そこは、合計特殊出生率が高いんですね。また、子育て支援もそうですし、住宅支援もしています。もう1個思ったのは、地域で子育てを応援していると。そういうコミュニティをつくっている。こんなことが出生率の高さに表れているとお聞きしました。
 ですから、静岡市もこういう定住人口に光を当てるならば、住宅政策も大切な1つだと思っています。そして、それが市営住宅の役割ではないかと思っています。
 ですから、そうした角度で今後の住宅政策もやっていただくことを心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。