静岡市議会個人情報の保護に関する条例についての反対討論

◯杉本 護
 それでは、日本共産党静岡市議団を代表して、発議第2号静岡市議会の個人情報の保護に関する条例の制定についての反対討論を行います。落ち着いて討論をしたいというふうに思います。
 まず最初に、指摘しておきたいのが先ほどの反対討論の中にもありましたが、個人情報保護法の改正に伴って個人情報保護制度が統合されて、静岡市も全国共通ルールとして直接適用されることになりました。そして、本議会に新たな静岡市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定が提案され、先ほど残念ながら可決されたわけです。この施行条例の基となるのは個人情報保護法、これは匿名加工情報の提供に関する制度が規定され、本人の同意なく第三者に提供することを可能にする、まさに個人情報の保護から活用へと転換するもので、そういう個人情報保護法については反対の立場です。さらに、この保護法を施行する市の施行条例、これにも反対を表明してきたところでございます。
 一方、先ほど松谷議員も言っていましたが、議会は個人情報保護法の適用対象から除外されている、そのために引き続き個人情報の適正な取扱いを確保するために、静岡市議会独自の個人情報保護条例を制定するというふうになっています。
 そこで、まず反対する第1の理由は、議会は独自に制定するとしながら、改正後の個人情報保護法との整合性に配慮するとして、条例案第16条では匿名加工情報の取扱いに関する義務を課していることであります。
 条例第16条第1項は、匿名加工情報を取り扱うに当たっては、法令に基づく場合を除き、本人を識別するために、加工の方法に関する情報を取得し、匿名加工情報を他の情報と照合してはならない、こうした旨が記述されています。そして、第2項は、「議会は、匿名加工情報の漏えいを防止するために必要なものとして議長が定める基準に従い、匿名加工情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。」などの規定を設けています。これは、静岡市議会の個人情報の保護に関する条例が、議会は適用対象外とされている状況でありながら、改正法の匿名加工情報に深く関わっている、このことを示すものだというふうに思います。
 行政機関の匿名加工情報提供制度というのは、行政が市民の個人情報を収集、そして、そのデータを企業に開放するもの、データを活用する企業の利益を図るものにほかなりません。専門家によれば、匿名加工しても現在のAIの技術によって個人を特定することは可能というような指摘もされています。このような匿名加工情報の扱いを適用除外の議会条例に加える、そのことがまず一つの理由として認めることはできません。
 反対する第2の理由は、地方自治が侵害されるという問題です。
 静岡市個人情報の保護に関する法律施行条例というのは、個人情報保護法の改正に伴って、改めて言いますが、全国共通ルールとして地方自治体に施行条例として直接適用するものです。これは、地方がこれまで独自に積み上げ、整備をしてきた個人情報保護規定を一旦リセットさせ、全て一律、国の枠組みの中に取り込むという、まさに地方自治権をないがしろにする重大な問題点があると考えています。
 議会は適用除外としながら、この共通ルールとの整合性を図るなど、独自性を侵害するものであり、改正法が地方自治権を侵害している、このことと同様だと思っています。
 以上、2点を指摘して、静岡市議会の個人情報の保護に関する条例への日本共産党の反対討論とします。