海洋・地球総合ミュージアム計画に対する請願 賛成討論

◯内田隆典
 日本共産党市議会議員団を代表して、ただいま議題となっています請願第3号静岡市海洋・地球総合ミュージアム計画に対する請願に対し、賛成の立場で討論を行います。
 本計画は、平成26年5月、魅力ある清水を創る会より清水港周辺のにぎわい創出に関する提言が出され、翌27年4月、静岡市第3次総合計画策定重点プロジェクト、5大構想の海洋文化の拠点づくりに位置づけ、推進をされてきました。その後、コロナの影響もあり、一旦議決した債務負担行為額約166億円を取り下げるという事態も起こりました。その後、静岡市は、市民に対し十分な説明をすることなく、今年2月20日には事業の本契約を済ませてきています。
 請願者は、総事業費約242億円、市税投入は約170億円になる水族館を含む海洋文化施設は、静清合併後最大の大型プロジェクトであること、にもかわらず、市民に対する説明責任は果たされておらず、市長に対し面談を求めても断られたと訴えています。
 静岡市は、この間、清水庁舎の移転新築問題や桜ヶ丘病院の移転等でも、度々、市民団体から静岡市の説明責任について指摘を受け続けてきました。
 静岡市は、政令指定都市への移行時、市の憲法と位置づけた自治基本条例を施行し、併せて条例の理念を市政運営において具現化していくために、静岡市市民参画の推進に関する条例を制定いたしました。
 同条例では、市民から意見を聞くことに関して、単に市民の意見を聞くだけでなく、聴取した意見を十分検討し、市政へ反映していくことがこの規定の趣旨と明記されている。こうした条例の趣旨からしても、市の対応は問題があります。
 また、請願者は、異常とも言える物価高騰や繰り返すコロナ禍の下で、多くの市民は生活の不安を抱えていると指摘し、採算見込みも不透明な大型箱物事業を優先する前に暮らしの応援の市政を望んでいます。
 この事業は、市と事業者でリスク分担、ロスシェアをしており、赤字分を市と事業者で折半することになっています。建設費も3年間で約93億円を見積もっていますが、公共工事の予定価格を積算する基になっている材料価格の調査は、2つの財団法人に委託されています。この財団の調査によりますと、3年前と今年度の建設資材価格指数を比較しますと、全国平均で30%から40%の値上がりとなっております。入場料金の見通しを含め、今後も市の持ち出しが増加する可能性を含んでいると思われます。新年度から第4次総合計画が始まりますが、今後8年間の財政見通しでも、毎年、70億円前後の財源不足が生じる予定となっております。
 海洋・地球総合ミュージアム計画、いわゆる大型箱物事業で交流、関係人口を増やす計画は、今後のアリーナや新サッカー場建設に向けて流れをつくろうとしているものです。今、市に求められていることは、条例に基づく市民に対する十分な説明と、不要不急の大型箱物事業から、暮らし第一の市政への転換であることを指摘し、議題となっています静岡市海洋・地球総合ミュージアムの計画に対する請願への賛成討論とします。