議案第169号(令和3年度静岡市一般会計補正予算)に対して反対、議案169号修正案に賛成討論 議案第177号に反対討論

◯内田隆典
 日本共産党市議会議員団を代表して、ただいま議題となっています議案第169号令和3年度静岡市一般会計補正予算、議案第177号財産の交換について反対、議案第169号に対して提出されております修正案に賛成する立場から討論を行います。
 議案第169号は、独立行政法人地域医療機能推進機構──JCHOとの土地交換に係る差額約1億9,500万円を受け入れて、都市整備基金に積み立てる議案であります。
 議案第177号は、清水駅東口公園、静岡市清水区袖師町字西浜2001番、2002番2の土地と、JCHOの当初桜ヶ丘病院移転予定地であった静岡市清水区押切字堺ノ坪930番62外6筆の土地を交換する議案であります。
 老朽化した桜ヶ丘病院の新築移転問題は、清水市民の悲願でありました。当初、移転建設予定地はJCHOの所有する大内新田の土地でありました。市民の多くは清水市立病院、厚生病院、桜ヶ丘病院の3総合病院が適正配置の下、機能することを期待を持って見守っていました。しかし、JCHOから病院経営するには当地はふさわしくないとの判断がされ、その後、静岡市に対し新たな建設予定地の照会がありました。
 桜ヶ丘病院の移転候補地はその後も二転三転し、ようやく落ち着いたのが静岡市所有の清水駅東口公園用地で、昨年12月、土地交換の基本協定が結ばれました。基本協定に基づき、今議会に議案第169号、議案第177号の提案となっています。しかし、東口公園用地は当初、清水庁舎の移転場所であり、静岡市は繰り返し、この用地は民間施設誘致を進め、清水地域の活性化の起爆剤にしていきたいと位置づけていた用地でありました。
 これまでの経過は、まちづくりの方向性を大本から変えるものにもかかわらず、市長を含め一部の幹部で土地交換を決定してきたことは大変問題であります。
 問題の第1は、桜ヶ丘病院の建設予定地は約3メートルもの津波浸水想定区域であるということであります。
 JCHOは、地震対策について建設費の20%を充てる、津波対策として建物をピロティ構造に、ヘリポートはできないが、ホバリングできるスペースを検討している等の発表がされております。この発想は10年前の東日本大震災の教訓を何一つ取り入れようとする姿勢が見られません。
 東日本大震災では津波により多くの尊い命が奪われました。また、病院機能に関しては、津波による浮遊物や汚泥等により水を排除した後でもすぐに病院機能の回復は望めなかったことが指摘されました。下水道などを使えない影響で衛生状態の維持が困難となりました。病院機能の低下は一時的なものとは言えず、復旧までに長時間を要したと言われております。
 病院敷地のかさ上げを行っても津波による浮遊物や液状化などによるアクセス道路の確保が困難になれば、孤立化のために機能低下は避けられないと指摘されています。市民の命を預かる施設を津波浸水想定区域に建設すべきではありません。
 問題の第2は、議案、予算が議会に提案されている段階にあっても市長から、市民と議会に対し納得のいく説明がされていないということであります。
 今議会へは、改めて市民への説明会を早急に開催するよう市長に提言してくださいとの請願が出されています。静岡市自治基本条例では、第23条で市の説明責任について規定しています。市の執行機関は市政に関する施策について、その立案、実施及び評価の段階において市民に分かりやすく説明しなければならない。市の執行機関は市民からの市政に関する質問、意見・要望等に対し速やかに、かつ誠実に応えるよう努めなければならないと規定しています。
 さらに、静岡市市民参画の推進に関する条例第6条で規定する市の責務、具体的には市民への情報提供、説明責任、市民意見聴取等からすれば、病院移転に関する市の説明会の開催は当然のことであり、当局の姿勢はこれらの条例に反するものです。
 また、自治基本条例の第3条では、市はまちづくりに関する全ての活動において、この条例に定める事項を最大限尊重しなければならない、市はまちづくりに関する計画の策定または変更に当たっては、この条例に定めた事項との整合性を図らなければならないと定め、この条例を最高規範として、実効性を最大限確保するための尊重義務を規定しています。
 市のこれまでのやり方は、自治基本条例や市民参画条例に照らしても決して説明できるものではありません。
 市の説明責任について、12月12日の静岡新聞の社説でも指摘されています。社説では、清水区の救急医療体制は脆弱で、桜ヶ丘病院の存続に向けた支援強化に異論はなかろう。半面、なぜ津波浸水想定区域なのか、危険性があっても立地する利点がどこにあるのか、市は政策決定過程の説明を尽くすべきだと述べています。
 市長は、昨年12月以降も市民への説明に対し、市広報、議会答弁、記者会見で説明してきたと繰り返していますが、現時点でも市民の皆さんは津波浸水想定区域への桜ヶ丘病院移転には理解を示していません。最大の原因は、市長が市の憲法と位置づけ、まちづくりにおける最高規範として定めた静岡市自治基本条例に基づいた行政運営をこの間行ってこなかったことであり、計画は白紙に戻すべきです。
 以上のことを指摘し、議案第169号、第177号に反対、修正案に賛成し、討論とします。

 ※(議案第169号 令和3年度静岡市一般会計補正予算)
  (議案第177号 財産の交換について)