1.中小企業・小規模企業への支援について 2.コロナ禍の福祉施策について

◯(杉本 護) それでは、通告に従って質問します。
 初めに、大項目1、中小企業・小規模企業の支援についてです。
 その具体的な支援の1つとして、エール静岡事業のさらなる拡充、困っている全ての事業者への直接支援である現金給付を求めて質問します。
 コロナ禍の下、中小業者の経営は全体として厳しい状況にあることは論を待たないと思います。私は本年度の議会質問で一貫して困っている中小業者への直接支援を求めてきました。私がこだわっているのは、国の制度でもこれまでの市の制度でも救われていない業者がいるからです。田辺市長は昨年5月の臨時議会に、エール静岡事業者応援金を提案した際に、金額ではなく広く薄くになるかもしれないが、なるべく幅広い事業者に支給していきたいと述べていました。
 しかし、前年度売上げが360万円以上、4月と5月のみを対象に前年比売上げ30%以上の減少、そして、市税の滞納がないこと、このような3つの条件をつけたことで、支援から外された事業者が大勢います。その結果、27億5,000万円もの予算のうち35%しか執行されず、17億7,500万円も予算を残して、この2月補正で減額が提案されています。
 市は、対象とならなかった事業者には、融資や経営相談など別のメニューで支援していくと言っていますが、例えば、売上げが360万円に満たない小規模な事業者は、わずかな利益は生活費に回って、融資を受けても返済に回す余裕はありません。経営の相談にしても、コロナ禍の下、事業転換や新たな工夫をする余力もありません。生活費に事欠き、やむなく税金の納付ができなくなる業者もおります。私はそうした零細な事業者でも静岡市民として商売を続けてもらうことが心豊かなまちづくりに貢献すると確信しています。
 静岡市中小企業・小規模企業振興条例の精神からも、あれこれ条件をつけるのではなく、苦境に立つ中小業者全てに手を差し伸べるのが田辺市長の責任ではないでしょうか。
 そこで質問します。
 経営に困っている全ての事業者に対する支援として、今、現金給付をするべきではないでしょうか。お答えください。
 次に、大項目2、コロナ禍の福祉施策についてです。住民の福祉の増進は地方自治体の重要な責務、平素から常に取り組んでいかなければならないことですが、コロナ禍の下ではなおさらです。今回は3点お聞きします。
 まず、ひとり親家庭の医療費助成制度についてです。
 新型コロナ危機の下、ひとり親世帯では収入の減少などで苦しい生活を余儀なくされている世帯が増えています。政府も臨時特別給付金の再支給を決定するなど、厳しい状況が続いているのは周知のとおりです。この助成制度はひとり親世帯の扶養者の医療費を助成するもので、コロナ禍での支援としても重要な役割を果たしています。私が調べたところ、政令市の多くは、助成を受ける所得基準は児童扶養手当支給基準としています。
 そこで伺いますが、静岡市の母子家庭等医療費助成制度は、なぜ所得税非課税世帯を対象にしているのか、お伺いします。
 

◯経済局長(加納弘敏君) 経営に困っている全ての事業者に対する支援についてですが、昨年12月以降、会食自粛の注意喚起がなされたことにより特に大きな影響を受けた飲食業界に対して、事業継続を緊急的に支援するためエール静岡飲食業界支援金を給付することといたしました。今後、緊急的な支援の必要性が生じた場合には適切に対応してまいります。

◯子ども未来局長(青野志能生君) 母子家庭等医療費助成制度の対象についてですが、この制度は母子家庭等の生活の安定と健康の維持を目的としているもので、医療費の負担を理由に受診を控えることがないよう支援する社会保障的性格が強いため、対象を所得税非課税世帯にしております。

◯(杉本 護) 中小業者の支援についてお聞きするんですが、私が困っている事業者への現金給付を求めたのに対して、今後、緊急的な支援の必要性が生じたらというふうに答弁されました。確かに飲食業界、今大変な状況です。しかし、自粛によって現、瞬間、ほかの業種も厳しい状況にあります。要するに支援を求めているわけですね。それで、なぜこのことが分かってもらえないかというふうに思います。
 新型コロナでの経営悪化は事業者の責任ではありません。だからこそ等しく支援を求めています。ぜひ現場に出向いて実態をつぶさに見ていただきたいと思っています。
 この点については、もう1点お聞きします。
 現金給付の直接支援を真に事業継続につなげるためには、やはり事業規模や困窮の度合いによる実態に合った支援が必要だと考えます。現在、国の緊急事態宣言が出されている地域では、時短に協力した飲食店に対して1日最大6万円が支給されていますが、十分な店もあれば、全然足りないという店もあるわけで、事業規模に見合った補償を求めている声が上がっております。
 本市は16日の本会議で成立したエール静岡飲食業界支援金支給事業は幅広く迅速に支給するために事業所ごと10万円の支給にしたと言っていますが、やはり事業継続を支援するなら事業規模などに見合った支援が必要だと思います。
 そこでお伺いしますが、今後、現金給付を行う際には事業規模や経営の厳しさ、この度合いを考慮した制度にするべきではないでしょうか。どうでしょうか。

◯経済局長(加納弘敏君) 緊急的に実施する直接的な支援を検討する際には、迅速に支給することや手続の簡素化なども考慮しながら適切な制度となるよう検討してまいります。

◯(杉本 護) 迅速に支給すること自体は大変重要だと思います。しかし、私が言っているのは、出血多量の患者に迅速な輸血をしても数滴の輸血では命を救えないということです。事業規模に見合った支援というのはそういうものだと捉えてほしいと思います。
 市長が本気で中小業者の支援を行う気があるのなら、困っている全ての事業者に対して必要な支援の手を差し伸べていくといったことを離さずに、今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 このことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、ひとり親家庭の医療費助成制度のことですが、所得税非課税世帯を基準にしているのは社会保障的な性格が強いためというふうに答弁されました。私はその意味がよく分からないんですね。児童扶養手当も社会保障の1つですが、所得税課税世帯でも受給しています。先ほどの答弁にあった医療費の負担で診療をちゅうちょさせないということは非常に重要です。児童扶養手当を支給する所得の基準を見直せば、今よりも多くの低所得者が助成を受けられるようになると思います。
 そこで伺うんですが、令和元年度における母子家庭と医療費助成制度の受給世帯と児童扶養手当の受給世帯はどのくらいあるでしょうか。お願いします。

◯子ども未来局長(青野志能生君) 令和2年3月31日現在、母子家庭等医療費助成が2,351世帯で、児童扶養手当が4,139世帯です。

◯(杉本 護) 今の答弁で分かったとおり、令和元年度の実績で単純に見ても、私は対象が広がると思います。大阪市や川崎市では、児童扶養手当の支給基準よりもさらに上乗せした所得で対象にしているんです。児童扶養手当支給の所得水準は決して高くはありません。より多くのひとり親世帯を支援することは、弱者に優しい、暮らしやすい静岡市というのにつながっていくと思います。
 そこで伺います。
 医療費助成の対象を児童扶養手当の受給世帯に見直すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

◯子ども未来局長(青野志能生君) 母子家庭等医療費助成制度は、対象世帯や受給者証の様式等について静岡県内全ての市町が同一の内容で運用しております。県内のどこに住んでいても等しくこの助成を受けられるためには、県内で統一的な制度として運用することが妥当であり、本市独自に対象を見直すことは考えておりません。

◯(杉本 護) 県内どこでも等しく医療費助成を受けるということと、市独自の制度の改善をすることは、私は別問題だと思っています。見直せないのは、本市独自に対象を広げると市の財政負担が増えると考えているのではないでしょうか。ごまかしの答弁はやめていただきたいと思います。
 改めて、多くの政令市が実施している児童扶養手当支給の基準まで引き上げて、多くのひとり親家庭を支援することを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、重度心身障害者の医療費窓口負担について伺います。
 障害を持つことは誰一人望んでいるわけではありません。そうした方や家族を支えていくのは政治の責任だと思います。特に重度の心身障害のある人を支えている家族の苦労は大変なものです。先日も障害者団体の方々が、コロナ禍でショートステイのサービスが利用しづらくなり、気を休める間もない、暇もない家族の方が切実な実態を訴えていました。家で見るためには仕事を休まなければならず、収入の減少にもつながっています。そうした重度心身障害者や家族に対し様々なところで寄り添った支援が必要です。
 そこでお聞きしたいのは、現在、本市は重度心身障害者医療費の窓口負担はどうなっているんでしょうか。

◯保健福祉長寿局長(和田明久君) 重度心身障害者医療費助成金の窓口負担の方法については大きく分けて2つあります。
 1つ目は、医療機関の窓口で一旦医療費の自己負担分を全額支払い、後日一律の負担額を差し引いた額を助成金として給付を受ける償還払いの方法。2つ目は、重度心身障害者医療費助成制度の一律の負担額のみを支払い、医療行為のサービスを受ける現物給付の方法があります。本市は、償還払いの方法により医療費の自己負担分をお支払いいただくと、医療費助成制度の一律の負担額、1か月1医療機関当たり500円を差し引き、おおむね3か月後に助成金の振込を行っています。静岡県内では、浜松市以外が償還払いの方法をとっています。

◯(杉本 護) 答弁のとおり、本市は償還払いで、窓口で一旦自己負担分を払っています。しかも返ってくるのは3か月後です。県内では浜松市以外は本市と同じ償還払いとおっしゃっていますが、それでお聞きしたいんですけれども、政令指定都市の中で本市と同様に償還払いとなっている市はあるんでしょうか。

◯保健福祉長寿局長(和田明久君) 政令指定都市の償還払いの状況は、本市と仙台市の2市が償還払いの方式で事業を実施しています。

◯(杉本 護) 償還払い方式は政令市ではわずかに本市と仙台市の2市だけです。重度心身障害者への支援が遅れていると言わざるを得ません。県内の浜松市は既に現物給付を実施していますから、本市もやる気があればできることではないかと思います。
 そこでお聞きしますが、直ちに現物給付化にすべきではないでしょうか。現物給付化に伴う課題はあるのか、伺います。

◯保健福祉長寿局長(和田明久君) 障害のある方々にとって一時的でも医療費を全額支払うことが負担となることも認識しております。現物給付化に伴う課題ですが、障害のある方々にとって本市と本市以外の医療機関での支払い方法が償還払いと現物給付が混在し複雑にならないよう、静岡県内全ての市町が一斉に実施する必要があります。また、医療機関や各市町が支払い関連を委託する静岡県国民健康保険団体連合会等の協力を得ることが必要不可欠となります。
 本市としましては、現物給付化につきまして静岡県及び県内市町や静岡県国民健康保険団体連合会等と十分協議し、課題解決に向け検討してまいります。

◯(杉本 護) いろいろと今おっしゃったんですけれども、現に浜松市は実施しているんですね。そのノウハウを聞けば、すぐにでもできるんではないかと私は思います。直ちに着手をし、早期に実現していただきたい。強く要望します。
 次に、3つ目、妊産婦医療費助成制度について伺います。
 今、コロナ禍で東京への一極集中に少し変化が表れているようですが、少子高齢化が進んで本市の人口減少はなかなか止まらない状況です。市長も3次総で掲げた人口70万人というのは最近とんと言わなくなりました。移住促進で転入による社会増にも取り組んでいますが、静岡で産み育てることを選択してもらえるような支援策を充実させることも必要ではないかと思います。
 そこで、まずお聞きしたいのは、本市の年間出生数は、過去3年間でどうなっているんでしょうか。

◯子ども未来局長(青野志能生君) 年間出生数は、平成30年が4,658人、令和元年が4,435人、2年が4,323人となっております。

◯(杉本 護) 今言ったとおり、出生数は減っているとはいえ、年間4,000人以上の新しい命がこの静岡市で生まれています。コロナ禍で10か月の間、お腹の中で赤ちゃんを育てる妊婦さんにとっては、精神的にも大変な苦労があり、元気に生まれてほしいと誰もが望むことだと思います。市としても最大限に支援していく必要があります。
 そこでお聞きしますが、本市は現在、妊産婦に対してどのような支援を行っているのでしょうか。お願いします。

◯子ども未来局長(青野志能生君) 妊婦に対しては、健康管理のために実施する妊婦健診や妊婦歯科健診の費用を助成しております。また、コロナ禍における妊婦の不安解消のために、希望する方に対して分娩前のPCR検査を行っています。
 次に、産婦に対しては、産後うつの予防等のため実施する産婦健診の費用の助成を行うほか、保健師や助産師が家庭訪問し、健康状態の確認や相談支援を行う、こんにちは赤ちゃん訪問や母体の回復や育児指導を行う産後ケア事業などを実施しております。

◯(杉本 護) 妊産婦さんに対して妊娠中あるいは出産後と、現在市も一定の支援をしていることはよく分かります。しかし、私は何か足りない気がするんですね。平成31年2月に行われた日本産婦人科医会の記者懇談会での資料の中で、国において生育基本法が成立し、その中で、妊娠期からの切れ目のない支援のために妊産婦にも社会の温かい援助があるべきというふうに述べていて、出産してくださる方々を社会全体が支援する明確な意思表示と、その施策として妊産婦医療費助成制度の普及を訴えているんです。
 特に今、新型コロナで様々な不安を抱えています。少しの体調変化でも気軽に医療機関にかかれるのは、妊婦さんにとっては心強い支援になると私は考えています。コロナ禍の下で、そうした心配を安心に変えていく、そういう意味で妊産婦の医療費助成制度は有効と考えます。
 そこで伺うんですが、市として独自に妊産婦医療費助成制度を創設したらいかがでしょうか。お願いします。

◯子ども未来局長(青野志能生君) 本市では妊産婦に対しては健診費用の助成など様々な支援を行っており、これらの支援を今後も引き続き行ってまいりたいと考えております。

◯(杉本 護) 創設をお願いしたんですが、全然お答えをしてくれないんですけれどもね、なかなか前向きな答弁が頂けません。
 私は、日本の歴史において国の社会保障制度の充実というのは、地方の取組から始まっていると思います。例えば、現在の子ども医療費助成制度、これも今、高校卒業まで対象が広がっています。しかし、昔は、国の制度ができる前から、少数の自治体が独自財源で助成を始めて、それが全国の自治体に広がっていく、そうした中で国の制度を変えています。そういう意味では、本市もそうした先駆けの自治体の1つになるように積極的な検討をお願いしたいと思います。
 もう時間がありません。今回はコロナ禍の下で中小業者の支援等をお聞きしたときに訴えましたけれども、改めてお願いしたいんですね。市長がSDGsというふうに言っているわけですから、誰ひとり取り残さない、そのことを全ての施策に反映させて今後とも頑張っていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。