生涯学習施設について、指定管理料の債務負担について

◯1番(望月賢一郎君) 日本共産党の望月賢一郎です。
 ことしは花粉症がひどくて、多少お聞き苦しいかもしれませんが、おつき合いください。
 私は、本年度駿河湾フェリーと生涯学習施設という2つの問題で質問を行ってまいりました。
 駿河湾フェリーについては、県と本市を含む関連市町による一般財団法人が運航を継続するということが決まり、発着場の江尻への移転も県が計画を持って進めていくことが明らかとなりました。
 今回は生涯学習施設に絞って質問したいと思います。
 去る2月1日、田辺市長は定例記者会見の席上、記者の質問に答える形で、2月議会に予定していた生涯学習施設の利用方法の見直しに関する条例改正案の提出を延期すると表明いたしました。私は、この本会議において何度も、この条例改正案の提出時期について質問してきましたが、当局は年度内と言っておりました。当初の予定からなぜ2月議会での条例改正を見送ったのか、その理由について最初に質問いたします。
 次に、生涯学習施設の利用目的について質問します。
 生涯学習施設というからには、本来は生涯学習のための施設だというのが普通の考えだと思います。生涯学習交流館の本来の設置目的は何か、伺います。
 続いて、生涯学習交流館の指定管理者である清水生涯学習交流館運営協議会について質問します。
 この団体の平成29年度貸借対照表によりますと、利益剰余金が5,800万円あります。市長は2月1日の記者会見で、利用者に使用料負担を求める考えは変わらないとしています。利用者に新たな負担として、年間3,400万円ということですが、こうした負担をお願いしようとするときに、当該施設の指定管理者にこれだけの剰余金があるということについて、どのように説明するのか、当局の考えを伺います。
 次に、大項目の2、指定管理料の債務負担行為について伺います。
 契約が複数年に及び、確実に支出が予定されている清水区の生涯学習交流館の指定管理料について、債務負担行為が設定されるべきだと思いますが、これが設定されているかどうかを伺います。
 以上、第1回目の質問です。
  〔1番望月賢一郎君質問席へ移動〕

21◯市民局長(豊後知里君) 生涯学習施設に関する4点の質問について、一括してお答えします。
 まず、2月議会での条例改正をなぜ見送ったのかについてですが、施設利用方法の見直しに当たり、昨年8月から11月にかけて実施した利用者の皆さんへの説明会や、12月中旬からのパブリックコメントなどを通じ、さまざまな御意見をいただきました。これらの意見を受け、生涯学習の推進のために、より利用しやすい仕組みを考える必要があると判断し、その検討を行うためには時間が必要であることから、2月議会での条例改正を見送りました。
 次に、生涯学習交流館の本来の設置目的についてですが、静岡市生涯学習施設条例第1条において、生涯学習施設は、市民の自発的な学習活動を支援することにより、学習活動を通じて地域の交流及び連携を図り、もって市民主体のまちづくりを推進するものと規定しており、この学習活動には、地域の課題解決に向けた活動やまちづくり活動も含まれております。
 本市の生涯学習の方向性を示した静岡市生涯学習推進大綱においても、まちづくりと人づくりが繰り返され、発展していくことで豊かな生涯学習社会が実現するものとしております。こうした考えを踏まえ、平成29年度に策定した生涯学習施設の配置適正化方針では、生涯学習施設の将来像を「学びの場+地域コミュニティによるまちづくり活動の場」と位置づけております。
 次に、清水区生涯学習交流館運営協議会の剰余金についてですが、この剰余金は指定管理者が指定管理業務の運営を適正に行い、経営努力の結果、毎年度発生したもので、平成24年度からの1期目5年間と平成29年度からの2期目初年度の1年間、計6年間で積み上がったものと捉えております。
 また、この金額は指定管理を行う21施設の6年間の指定管理料総額の2%程度、1施設当たりにすると1年で46万円程度であり、不当に高い利益を得ているとは考えておりません。
 最後になりますが、清水区の生涯学習交流館の指定管理料について、債務負担行為は設定しておりません。

22◯1番(望月賢一郎君) まず、なぜ2月議会での生涯学習施設の利用方法の見直しを見送ったのかについてですが、今の答弁によりますと、昨年の説明会やパブリックコメントなどを通じてとのことでした。私は、この見送りについては、利用者の皆さんの運動が非常に大きかったのではないかと思います。特に有料化反対の市議会に向けた請願署名、昨年10月の後半、実質的には11月から署名がスタートしたわけですが、12月の初旬、私がこの議会の席上で紹介しましたが、1カ月余りで7,000の署名が集まりました。その後、年末に1万を超えて、1月末には1万2,000に達したということであります。1万を超えた時点での記者発表は地元紙にも写真入りで取り上げられました。
 しかも、この署名の集め方が従来の方法とは全く違っています。今回の見直し案、特に利用料の有料化に反対するために立ち上がった利用者団体連絡会が、集めた署名はここに郵送で送ることになっている。つまり、郵送料は署名を集めた人が自腹で出すということになっております。こうした条件のもとで1万2,000の署名が集まったということは、いかに利用者の皆さんの思いが強いかがよくわかります。
 実は、私の住む草薙のアパートのポストにも15名ほどの名前が記載された署名が投げ込まれておりました。近所に住む、今まで全く知らなかった方が、私が議会で有料化反対の質問をしているということを知って、投函をしてくれたんだと思います。私は、昨年の3月に清水のLNG火力発電所の問題が終わって、この問題に取り組むことになりました。この中で清水で活動するさまざまな生涯学習交流館の利用団体の皆さんの話を聞き、実際に活動現場を見せていただきました。こうした中で、清水の生涯学習運動がいかに地域にとってかけがえがないものかを実感いたしました。
 田辺市長は記者会見で、利用者に負担を求める考えは変わらないとしたわけですが、今後、有料化を含んだ条例改正案が提出されるならば、利用者団体連絡会としてもさらに署名の上積みを目指すということであります。現在、利用料有料化の対象になっている静岡市生涯学習施設条例第9条による施設利用の許可を受けた団体が約850団体あります。このうち、これまでにこの署名に協力していただいている団体はまだ150団体程度だということであります。まだまだこの署名の伸びしろはあるということをここで御報告させていただきます。
 そこで、次の質問に移ります。
 利用者団体の皆さんは有料化反対とともに、予約制度の見直しにも反対をしておりました。清水区の生涯学習交流館で行われてきた、これは正式名称ではありませんが、優先予約制度というものがあります。これは前年の12月に使用希望日を出しますと、翌年4月から決まった曜日、例えば毎月第2、第4木曜日の午後6時からといったように、年間を通じて使用日を固定することができる。ほかの団体と重なった場合には抽せんになる場合もありますが、たとえ希望日でなくても年間を通じて同じ日程がとれるというのが清水の場合は団体を運営する上で非常に大事なわけです。
 昨年、市の利用者団体への説明会で出された見直し案では、この優先予約を旧静岡の生涯学習センターにあわせて3カ月ごとに抽せんにするということが出されました。年間を通じて使用日が固定されないというのは、清水の利用団体にとって非常に利用しづらいわけです。昨年12月には清水区の最大利用団体である清見潟大学からも、この点を改善してもらいたいという意見書が出たと承知しております。
 質問ですが、市長が記者会見で言った、より利用しやすい仕組みとはこうした利用方法の見直しも含まれるのか、お答えください。

23◯市民局長(豊後知里君) 昨年の説明会や12月中旬から行ったパブリックコメントなどを通じて、市の見直し案における利用申し込み時期では、計画的な学習活動に支障があるとの意見を初め、利用者からさまざまな御意見をいただいていることから、より利用しやすい仕組みを考える必要があると考えております。

24◯1番(望月賢一郎君) より利用しやすい仕組みというのは、清水の交流館の場合は、現在の予約方法の継続がどうしても必要になってくると思います。今後の検討に際しては、清水の交流館における従来の予約方法の継続が盛り込まれるよう強く要望いたします。
 さて次に、見直し案を見直す検討期間についてですが、一体どれぐらいの期間を設けるつもりなのか、お伺いします。

25◯市民局長(豊後知里君) さまざまな御意見をいただいていることから、現在の見直し案をもとにより利用しやすい仕組みについて、現在検討しております。したがいまして、検討期間については現時点では未定です。

26◯1番(望月賢一郎君) 現時点では未定ということでした。先ほど述べましたが、予約方法については静岡と清水で今まで全く違ってきたわけです。それぞれの地域が今の方法でなれ親しんでいる。ですから、予約制度に関する利用者の意識も全く違うと言えます。先ほども言いましたように、清水の利用者は年間予約が当たり前だと思っています。しかし、例えばこれを静岡に無理やり導入しようとすれば、特定の団体が年間を通して同じ時間に同じ会場を使用するのは会場の占有だという声が出る可能性もあります。こうした点を十分に配慮して、じっくりと時間をかけて、双方が納得できるような検討を当局にはお願いしたいと思います。
 次に、生涯学習施設の利用目的についてです。
 前回の見直し案にあった仮称地区公益団体。自治会や関連する団体ですが、仮に利用方法の見直し案を上程した場合、自治会等の無料化の方針は変えないのか、この点についてお伺いします。

27◯市民局長(豊後知里君) 少子高齢化の進展に伴う世帯の高齢化、地域コミュニティの希薄化が進む中、地域における支え合い、住民みずから地域課題の解決のための活動を行うことが、今後一層必要になっております。そこで、地域における住民主体のまちづくり活動を積極的に進めていただくため、各地区の自治会、防犯協会、社会福祉協議会などの地域コミュニティによるまちづくり活動を行う団体の活動を、全市的に支援することの考え方には変更はありません。
 なお、ここで言う団体は、具体的には地区を基盤として設立され、地区住民を構成員とし、地区の住民自治、社会福祉の推進について必要性の高い公益的な活動を行うことを目的とする団体を要件として考えております。

28◯1番(望月賢一郎君) 地域コミュニティによるまちづくりを行う団体の活動を全市的に支援する、この考えに変更はないということでした。生涯学習団体の有料化の方針は変えないということであります。ここで1つ疑問が湧くわけです。生涯学習交流館と言いながら、生涯学習団体は有料、一方で生涯学習団体ではない自治会等は無料ということは、この施設の名称自体がおかしいのではないかということです。いっそのこと生涯学習交流館ではなく、連合自治会館と名称を変更したほうがいいということになるのではないでしょうか。そんなことはできないということであるならば、今回上程予定であった生涯学習団体は有料で自治会が無料という施設の利用の仕方、これは施設の利用目的の変更になるんじゃないですか、どうですか。

29◯市民局長(豊後知里君) 市民主体のまちづくりを推進するという設置目的を実現するため、生涯学習施設を「学びの場+地域コミュニティによるまちづくり活動の場」と位置づけておりますので、設置目的の変更には当たらないと考えております。

30◯1番(望月賢一郎君) 私はこの本会議で、清水区のある現役の連合自治会長さんの静岡市が行った、この見直し案の説明会での発言を一度紹介したことがあります。この自治会長さんがおっしゃったのは、自治会活動というのは自治会活動単独で成り立つものではない。地域の人たちが集う幅広い生涯学習活動があってこそ成り立つものだと、地域の生涯学習活動が裾野になって、その上に自治会活動があるんだということをおっしゃっていました。
 実はこの話を、今は引退をされておりますが、長くある地域の別の連合自治会長を務められた方に話したところ、全くそのとおりだと言っておられました。生涯学習活動と自治会活動というのは切っても切り離せない関係にあると、有機的に関連したものとして捉える必要があるのだと思います。担当の職員の皆さんには、ぜひともこうした現場の声を丁寧に検討していただいて、新しい見直し案を出していただきたいと思います。
 続いて、次に清水区生涯学習交流館運営協議会についてです。
 この団体の問題は剰余金だけではないわけです。この5,800万円の利益に対して3,000万円を超える法人税を払っています。さらに、前回私が指摘した1,100万円余りの特別損失、合計すると6年間で1億円を超える税引き前利益を上げていることになります。こうした指定管理者の剰余金があるならば、生涯学習施設の利用者に使用料を負担させるより、指定管理料の見直しを先にすべきではないでしょうか、いかがですか。

31◯市民局長(豊後知里君) 指定管理料の積算は全庁共通のルールに基づき適切に行っております。指定管理業務の適正な執行が確保された上で、経営努力の結果、指定管理者に利益が生じるとしても、それはいわゆる企業努力の結果として評価すべきものであり、指定管理料の見直しにはつながらないと考えております。

32◯1番(望月賢一郎君) 前回と全く同じ答えです。積算は全庁共通のルールでやっている。利益が出たのは事業者の企業努力だということです。しかし、この運営協議会の場合、指定管理の初年度から多額の利益が出ています。指定管理を受けて、当初はとんとんで、やっていくうちにだんだん利益を上げられるようになったというならわかります。初年度から利益が出て、それが5年とか6年とか、同じように出ているというのがおかしいんじゃないですか。こうした説明で利用者の理解は得られないと思います。
 実は、この問題についてはほかの指定管理者の決算状況について、時間的な問題もあって調べることができませんでした。いずれにしても、この問題は引き続き調査をして追及してまいります。
 次に、冒頭質問した指定管理料の債務負担行為の設定の問題です。
 清水区生涯学習交流館運営協議会の指定管理の債務負担はやっていないとのことでした。そのほか、静岡市の指定管理者制度導入施設における債務負担行為の設定状況はどうなっているか、お伺いします。

33◯総務局長(大長義之君) 平成31年3月1日現在、本市において指定管理者制度を導入している施設は219施設ありますが、債務負担行為を設定しているのはPFI事業者を指定管理者として指定している、静岡市清水文化会館の1施設のみとなっております。

34◯1番(望月賢一郎君) 静岡市の場合、債務負担行為をとっているのはPFI事業者の清水文化会館だけで、残りの218施設は債務負担行為を設定していないということです。皆さんのお手元に資料を配布してあります。総務省からの通知であります。前文を読みますと、平成15年から始まった指定管理制度をやってみて、平成22年にこの通知が出ているわけですけれども、およそ7年やって、地方公共団体が指定管理制度に取り組む中でいろいろと留意する点が明らかになったと、これを適正にするために、地方自治法に基づいてこの通知を出したと書かれています。
 続いて裏面の3のところをごらんいただきたいと思いますが、指定管理が適切に行われているかどうかを定期的に見直す機会を設けるために、指定管理者の指定は期間を定めて行うこととされています。これは指定管理の期間を定めて、その都度見直し、検討しなさいよということです。そして8のところでは、指定期間が複数年にわたり、かつ、地方公共団体から指定管理者に対して委託料を支出することが確実な場合には、債務負担行為を設定することと書かれています。
 そして、資料の表に戻っていただいて、この宛先を見ますと、各政令市長とともに各政令市議会議長ということになっております。これは議会としても行政当局に対して、債務負担が行われていなかったらやるように促すべきだという指示ではないでしょうか。静岡市の場合これがやられていないということになります。
 また、静岡市の指定管理料の年間総額ですが、2月議会の資料から概算してみますと、年間約68億円ということになります。かなり大きな金額です。債務負担をとるということは、将来確実に出費が予想されるお金をあらかじめ使える予算から分けておくことだと思います。今後、静岡市がさまざまな大型事業、歴史文化施設、海洋文化施設、また、我が党は反対しておりますが、新清水庁舎など、こういった事業に着手しようとする中で、財政規律の面からも指定管理料の債務負担行為の設定は必要だと思います。
 最後の質問ですが、平成22年12月28日付総行経第38号において、総務省自治行政局より、指定期間が複数年にわたり、かつ、地方公共団体から指定管理者に対して委託料を支出することが確実に見込まれる場合には、債務負担行為を設定することと通知がされている。この通知に従えば、指定管理料に債務負担行為を設定する必要があるのではないでしょうか。お答えください。

35◯総務局長(大長義之君) 本市の指定管理者制度導入施設においては、施設の利用実態、業務の内容、物価変動等を考慮し、年度ごとに市と指定管理者との間で十分な協議を行い、適切に指定管理料を算定しております。そのため、市と指定管理者との間で施設の管理に関して定める協定については、年度ごとに締結することとしており、指定期間全体に係る協定を締結していないことから、債務負担行為は設定しておりません。

36◯1番(望月賢一郎君) 質問を終わります。