清水都心まちづくりと清水LNG火力発電所について

1番(望月賢一郎君) 皆さん、おはようございます。
 日本共産党の望月賢一郎です。私は、6月議会に引き続き、清水都心まちづくりと清水LNG火力発電所について質問をいたします。
 この問題については、この間、情勢の大きな変化がありました。それは、田辺市長が8月8日の定例記者会見で、この発電所について、清水のまちづくりと一致しないと判断し、事業者に計画の見直しを要請すると表明したことであります。さらに9月15日、事業者が記者会見を行い、環境影響評価準備書の提出を延期すると発表いたしました。その理由は、市長発言を受けて、行政や清水区民の理解が得られていないと判断したということであります。
 日本共産党静岡市議会議員団は、今回の市長の意見表明について、同8日に、市民の懸念や反対の声を一定反映したものと受けとめると声明を発表いたしました。私は、日本共産党静岡市議会議員団を代表して、この本会議において、住民の意見を反映した今回の田辺市長の意思表明に対して、改めて評価をするものであります。
 清水LNG火力発電所については、計画を発表して以来、およそ2年8カ月、この計画を心配する住民の皆さんによる多彩で地道な活動が展開されました。発電所計画の問題点を洗い出し、それに基づく地域の学習会や、事業者、市当局との交渉、清水・静岡中心部でのパレード、さらに市長との直接交渉などです。
 ことし2月の市議会に提出した5千余名の請願は否決でしたが、11月議会に向けて新たな請願署名は、一昨日までに1万6,000筆以上集まっていると聞いております。そして、これらの活動を推進するため、私も参加させていただいてきましたが、週1回の会合を行い、運動の計画を立て実行していく資金は、全て住民の皆さんのカンパで賄われております。こうした運動の結果、建設中止を求める声は、地元辻、江尻地域だけでなく、有度や飯田、入江といった周辺地域にも広がりを見せておりました。今回の市長の意見表明は、こうした住民運動の大きな成果であるとも思います。
 日本共産党静岡市議会議員団も、こうした住民運動と連携し、私の前任者である西谷博子さんから、毎議会、市当局に対応を迫ってまいりました。私も6月議会において、発電所が清水中心部に与えるマイナス面のはかり知れない影響、この点について、JR清水駅周辺の新築マンション計画が見直しになった事実も示して、市長に反対表明を迫ったわけです。
 今回の市長の意見表明につきましては、反対運動をしてきた住民グループだけでなく、多くの市民から歓迎する声が上がっています。
 お配りした資料は、建設予定地の地元、辻地区の住民意向調査の結果です。これは住民グループがことしの7月に行ったものですが、私見は入れずに、ただ反対、賛成、わからないの意見のみを、各戸を訪問して聞き取って集計したものです。これによりますと、6割以上の住民が反対をしていることがわかります。実際、私もこの間、自分の出身地である辻地区を回り、意見を聞きました。多くの住民の皆さんから、よかった、市長はよく決断してくれたなどの声を聞きました。一方で、これで本当に発電所の計画はとまるのかといった疑問もなされています。こうした住民の意向を踏まえて質問いたします。
 第1に、8月8日の定例記者会見で市長が表明した、計画の見直しを含めた再考とは、具体的に何を指すのか。
 第2は、地元経済界との連携やまちづくりへのプラス効果が感じられなかったというのはどういうことか。
 第3は、市は9月15日の清水天然ガス発電合同会社の記者会見をどう捉えているか。
 以上3点について、当局の回答を求めます。

◯企画局長(松永秀昭君) 清水都心まちづくりに関する3点の御質問にお答えいたします。
 まず、計画の見直しを含めた再考とは具体的に何を指すのかについてですが、現在の計画が、国内外から人々が訪れる国際海洋文化都市の実現を目指す清水都心のまちづくりにおいて、プラス効果を生むものとは考えにくいことから、市民の大方の理解をいただける計画となるよう、事業者に対し計画の見直しを求めたものでございます。
 次に、地元経済界との連携やまちづくりへのプラスの効果が感じられなかったとはどういうことかについてですが、発電施設の建設による経済効果としては、本市としましても、税収増などの一定のプラス効果があるものと認識しております。
 しかしながら、現在、事業者より示されている計画においては、清水都心のまちづくりや地域活性化への貢献などが、市民の皆さんや地元経済界に十分に示されておらず、計画を後押ししたいという声も特段上がってきておりません。そのため、これらの背景のもと、プラスの効果が見込めないものとして見解表明を行ったものでございます。
 最後に、清水天然ガス発電合同会社の記者会見をどう捉えているかについてですが、8月8日の市長定例記者会見を受け、この短期間にJXTGエネルギー株式会社及び清水天然ガス発電合同会社が、スピード感を持って準備書の提出延期を決断されたことは、国際海洋文化都市の実現を目指す本市のまちづくりについて一定の御理解をいただけたものと認識しております。その上で事業者には、大方の市民の皆さんの御理解をいただける計画となるよう、計画の見直しについて引き続き御検討いただきたいと考えております。
  〔1番望月賢一郎君登壇〕

◯1番(望月賢一郎君) ただいまの企画局長の答弁は、事業者には、市民の皆さんに大方の理解をもらえる計画となるよう、見直しについて検討してもらいたいとのことでした。9月15日の記者会見で事業者は、行政や地元住民の求めているものを把握して、エッセンスを計画に盛り込めるか、検討すると述べています。この方向については、LNG火力発電所と同じ敷地の中に、不特定多数が出入りする施設は建設できないわけですし、管理者である静岡県の清水港港湾計画等の縛りもあります。発電所計画の継続を前提とした事業者の検討の幅は、非常に限られているわけです。この狭い幅の中で、市民の皆さんから大方の理解をもらえる計画というのは、逆に事業者にとっても大変に難しい課題となるのではないでしょうか。事業者自身が記者会見で、現時点では明確なアイデアはない、どうしたら事業を進められるか、検討していくと述べているとおりです。先ほど紹介しましたように、地元を中心に多くの市民の皆さんは、この計画には反対です。
 こういったさまざまな点から見て、大方の理解をもらえる計画となるような見直しとは、この計画の白紙撤回しかないと私は思います。しかし、事業者は計画について撤回をしたわけではありません。環境影響評価準備書は、まだ提出される可能性はあるわけです。
 そこで環境影響評価について質問します。
 準備書手続が始まった場合、手続の流れの中で、環境影響評価審査会はどのような役割を果たすのか。
 また、準備書手続では公聴会の開催が位置づけられていますが、その目的と具体的な運営方法についてどのように考えておられますか。
 以上、当局の回答を求めます。

◯環境局長(糟屋眞弘君) 環境影響評価に関する2点の御質問に、一括してお答えいたします。
 まず、準備書手続における環境影響評価審査会の役割についてですが、本市の審査会は、市長の諮問に応じ、環境影響評価に関する事項を調査、審議するために設置されています。審査会では、準備書について、市民から提出された意見に事業者見解を付した資料なども参考に、環境保全の見地から専門家の立場で協議を行い、その結果を取りまとめて市長に答申することになります。この答申を踏まえ、市長意見を作成しますが、市として適切な意見を述べるに当たり、審査会は重要な役割を果たすものと考えております。
 次に、公聴会の目的と具体的な運営方法についてですが、本市の環境影響評価条例において、準備書手続を行う際に市主催の公聴会を開催することが定められています。公聴会は、準備書に関する市長意見を作成するに当たり、準備書等について、環境保全の見地からの意見を持つ方々からその意見を伺うために開催するものです。意見陳述者の人数や1人当たりの陳述時間など、当日の具体的な運営方法については、案件ごとに検討を行い、報告することとなっております。
  〔1番望月賢一郎君登壇〕

◯1番(望月賢一郎君) ただいま御答弁をいただきましたが、環境影響評価準備書の市長意見は、環境影響評価審査会の答申をもとに出されるということで、審査会は非常に重要だと局長はおっしゃいました。そして公聴会については、準備書等について、環境保全の見地から、意見を持つ方々からその意見を伺うために開催するということで、住民意見の聴取という点で、こちらも非常に重要です。
 しかし、ここで大きな問題があると思います。今回の計画について住民の皆さんが心配されたことは、大きく言って3点です。すなわち、環境、安全、景観です。このうち景観は、環境影響評価に含まれます。問題は、安全が全く議論の俎上に上らない、こういう心配があるということです。多くの市民は、こういった専門的な事柄については素人です。環境と安全の両方について不安を持っている方、あるいは、南海トラフの大地震が予想される中、地震や津波の対策について強い関心を持っておられる方、こういう人たちの意見が公聴会ではじかれる、あるいは公聴会で意見を述べる機会があっても審査会への答申に盛り込まれない、はじかれてしまう危険があると思います。多くの市民にさまざまな角度から意見を述べてもらい、市長意見に反映させることが重要だと思います。この点では、他都市の環境影響評価技術指針の中に、安全に関する項目が設けられている場合があるわけです。静岡市においても安全の項目を追加すべきではないでしょうか。回答を求めます。
 もう一点、聞いておきたいことがあります。それは、事業者が9月15日の記者会見で表明した、計画の撤回も含めて1~2年のうちに結論を出すとした点です。この1~2年という期間は、余りにも長くはないでしょうか。1~2年という期間は、清水都心まちづくりにも大きな影響を及ぼすのではないか。民間の大規模開発から中小を含めた開発事業が、この間、様子見となり停滞しないかということです。
 特に具体的に聞きたいのは、(仮称)清水区本郷町大規模小売店舗跡地整備事業で位置づけられている、分譲マンション及びスーパーマーケットを基本とした商業施設についてです。前回の質問でも取り上げましたが、4月に事業者がこの計画の見直しを発表しました。清水駅周辺では、西友が徹退してから、生鮮食品を販売する店舗がない状態が続いております。現在、この地域の皆さんは、生鮮食品を購入するために、同じ学区内でも、かなり遠方の二の丸町、巴川を渡った入江、袖師地区の西久保などへ車や自転車で買い物に行かなければなりません。交通の利便性を求めて駅周辺などのマンションに転居をされてきた方々からすれば、これは大きな誤算です。別の言い方をすれば、スーパーマーケットがないために、この地域の魅力が大きく損なわれているとも言えます。市長のおっしゃるコンパクトシティにも合致しません。一刻も早くこの計画こそ進める必要があるのではないでしょうか。(仮称)清水区本郷町大規模小売店舗跡地整備事業は、現在どのような計画となっているのか、回答を求めます。
 以上で質問を終わりますが、最後に田辺市長に意見、要望を申し上げます。冒頭でも申しましたが、今回の清水LNG火力発電所に対する市民運動は大きな力を発揮しました。平日にもかかわらず、きょうも市民運動の皆さんが傍聴に来てくださっています。こうした方々の中には、今まで政治や市民運動にかかわったことのない方もたくさんいらっしゃいます。こうした皆さんの運動が、日本でも有数の巨大企業の計画を中断させているということは、驚くべきことです。市長が清水都心まちづくりとして海洋文化都市を目指すならば、こうした市民の力をまちづくりに生かしていくことこそ重要ではないでしょうか。
 今議会の総括質問の最後に、我が党の内田隆典議員が質問を予定しておりますが、清水都心には、清水庁舎の移転、そして桜ヶ丘病院の移転問題があります。まちづくりというのは、こうした施設や道路網などのハードの部分と、そこに住む住民の熱意や創意工夫、つまりソフトの部分がかみ合ってこそ実現できるものだと思います。庁舎や病院の移転問題で住民の理解が得られたと言えない状況のもとで、ハードの整備だけを進めても、まちづくりは有効に機能しないのではないでしょうか。
 私は今回、LNG火力発電所運動の渦中に身を置いた者として、また、当該地域に生まれ育った者として、今回の発電所問題で市長が示された、市民の意見を聞く姿勢こそが、清水の再生に不可欠だということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

◯環境局長(糟屋眞弘君) 本市の環境影響評価技術指針の中に、安全に関する項目を追加すべきとの御質問ですが、独自の環境影響評価制度を持つ政令指定都市18市のうち7市が安全の項目を設けていることや、それぞれの具体的な内容、適用範囲等については承知しております。
 しかしながら、事業の安全対策については、環境影響評価法における評価項目には含まれていないこと、また、事業の許認可に関する法律により適切に判断されると認識していることから、現在のところ、本市の技術指針に安全に関する項目を追加する考えはございません。

◯経済局長(赤堀文宣君) (仮称)清水区本郷町大規模小売店舗跡地整備事業についてですが、この事業は、清水区本郷町の西友跡地約0.5ヘクタールにマンション棟1棟、ホテル棟1棟、そして商業施設とマンションの複合施設棟1棟の計3棟を平成27年度から29年度にかけて整備するものとして、28年3月に策定した静岡市中心市街地活性化基本計画に登載されております。
 マンション棟については既に完成し、ホテル棟も平成30年夏までに完成予定となっておりますが、複合施設棟については、マンションの分譲戸数の削減を含め、当初計画の一部変更を検討していることが本年4月に新聞報道されました。事業者であるヨシコン株式会社に確認したところ、現時点では複合施設棟については、引き続き、分譲マンション及びスーパーマーケットを基本とした商業施設という位置づけのもと、整備に向けた検討を行っていると伺っております。
 本事業は、まちなか居住の促進や商業機能の再生といった観点から、清水地区の中心市街地活性化に寄与するものであり、引き続き事業者と連絡を密にし、状況把握に努めてまいります。