4月臨時議会 反対討論(幼保連携型認定子ども園関係)

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◯25番(鈴木節子君) 私は、日本共産党市議会議員団を代表し、議案第175号の専決第2号幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する専決処分に対し、反対の立場で討論いたします。
 この内容は、2月定例会、議案第143号、第144号の家庭的保育事業等と児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例改正と同様の措置を、認定こども園にも適用させるものです。
 保育需要の高まりに対し、保育の受け皿が不足することから、国が省令改正したことに合わせ、本市も無資格の職員配置を認める規制緩和を行おうというものです。
 保育所の待機児童問題は、もとをただせば、国の行ってきた施策に原因があります。地方行革を看板に、歴代政権が公立保育所の廃止や民営化を進め、1999年に1万2,875カ所あったものが2014年には9,791カ所へ、3,084カ所、4分の1も減らされています。この背景には、公立保育所の運営費や整備費の一般財源化を進め、国の責任を地方に転嫁してきたことにあります。
 また、政府は自治体に対し、2014年から公共施設等総合管理計画の策定を求め、公立保育所の廃止、民営化に拍車をかけようとしています。
 政府はこれまで、40万人分の受け皿確保を掲げ、昨年からの新制度では、保育士のいない施設も認可し、株式会社による補助金の使途制限も緩和し、保育水準を引き下げ、営利企業の参入拡大で待機児童の解消を図ろうとしてきました。しかし、待機児童は減るどころかふえ続け、深刻な事態に陥っています。政府の進める民間任せでは行き詰まることが明確になり、待機児童は大きな社会問題にまで発展しています。
 専決処分の内容は、認定こども園の受け皿を確保するため、限定された時間帯とはいえ、保育教諭にかわり、無資格の職員配置を認める基準緩和です。置きかえることができるのは、研修コースを修了したか、1年程度保育業務に従事した方ですが、無資格であることに変わりはなく、当分の間の特例といっても、保育の質を下げることにつながります。
 保育士、保育教諭は、命を預かる責任の重い仕事であり、子供の健やかな成長や発達を促す重要な仕事です。また、核家族化のもと、子育て不安に悩む若い父母に、子育ての楽しさや子供との向き合い方を伝え、子供の成長をともに喜び合い、親として成長を応援する役割も担っています。だからこそ、国家資格が必要な専門職なのです。無資格者に置きかえることは、この重要性を無視する行為です。
 保育の受け皿が不足し、待機児童が解消できない問題の所在は、1つには、認可保育所が決定的に不足していること。もう1つは、保育士の労働条件が劣悪なため、保育士がやめていき、不足していることです。やりがいを持って仕事についた保育教諭、保育士が人手不足や低賃金などで疲れ果て、職場をやめざるを得なくなる。この悪循環を断ち切らないまま、無資格の職員でその場しのぎをさせ、一層の規制緩和で保育の質を落としても、真の解決にはなりません。
 昨今の保育園落ちたブログがきっかけで、待機児童が改めて大きな社会問題になり、安倍政権も緊急対策を決めました。これまで、政府が待機児童解消に真面目に取り組んでこなかったことに対する国民の怒りが広がり、それに対して急遽取りまとめたものですが、規制を弾力化し、自治体に対し施設の保育士配置数や施設面積を緩和させ、受け入れを強化させるもので、根本的な対策とはほど遠いものです。本来なら国が基準を引き上げ、保育士増員などを図るべきですが、反対に基準緩和と詰め込みでは、安全で良好な保育環境の保障に逆行するやり方です。
 待機児童数は、全国では2万人を超えると言われてきましたが、育児休業延長者などを含めれば8万人を超えるとも言われています。
 本市も待機児童解消は深刻な課題です。子供の預け先が決まらない親が職を失うなどの事態を打開し、保育の受け入れ量拡大を早急に行い、保育教諭、保育士が長く働き続けることができる待遇の抜本的改善こそ行うべきです。
 我が党は、不足する保育所問題に対し、4月5日、緊急提言を行いました。その内容の第1の柱は、待機児童問題は、認可保育所の増設で解決することを原則として確立することです。政府の緊急対策では、質の低下は仕方がないというものです。しかし、子供の発達・成長の権利を保障することで、保護者が安心して預けられることは、最低限守るべき土台です。親のこのような願いに向き合うことなしに、問題は解決しません。国や自治体が先頭に立って、公立の保育施設をつくることを提言いたします。
 もう1つの柱は、保育士の賃上げと保育士配置基準の引き上げです。保育士の低賃金は、国の基準が低過ぎることが原因です。公定価格を算出する際の人件費が低過ぎることが、全産業平均より月10万円も賃金が低い状態をつくり出しています。
 本市では、例えば勤続22年の保育士が、手取り20万円にも満たない状態です。これでは、経験年数、専門性にふさわしい待遇、そして、長く勤められる環境とは言えません。賃金の引き上げで専門性や資質を継続的に引き上げていくことが、保育の質にとっても、人材確保のためにも重要です。
 以上、議案第175号の専決第2号について、問題点の指摘と改善のための提案を行い、反対討論といたします。

4月反対討論