子どもの貧困対策本格始動を

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DSC_0056◯25番(鈴木節子君) 通告に従い、2つのテーマで質問します。
 初めに、子供の貧困対策について質問します。
 子供が生まれ育った環境で将来が左右されないことを目指す「子どもの貧困対策法」施行から1年が経過いたしました。日本の子供の貧困率は16.3%。この数字は6人に1人が貧困状態という過去最悪、ショッキングな実態です。日本社会に突きつけられた深刻な問題となっています。
 2014年8月にようやく子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定されましたが、この内容は、経済的支援策が不十分で、貧困率改善の数値目標もなく、従来の施策の延長線上でしかなく、本気度に欠けるとの指摘もあります。
 大綱により、地方自治体は改善のための施策づくりが責務となり、自治体の姿勢が今、問われています。
 本市は、静岡市子どもの貧困対策推進計画を静岡市子ども・子育て支援プランに盛り込み、一歩を踏み出しました。どのように本腰を入れて取り組み、実効ある施策をどう進めていくのか、その姿勢、本気度が問われています。
 以下、具体的施策で質問していきます。
 貧困により子供の健やかな成長や教育を受ける権利が侵害されたり、人生のスタートラインでのチャンスの不平等、希望や意欲、やる気までもが奪われるという現実が子供たちを追い詰めています。この背景には、格差の拡大と貧困の深刻化、低賃金、不安定雇用、生活のゆとりのなさの実感、そして、それをさらに蔓延させる社会保障の改悪などがあり、政治の大もとを正すことが求められています。
 子供の貧困の度合いを数値であらわす指標には、生活保護世帯の子供の高校進学率、就職率、ひとり親世帯の子供の進学率、就職率、そして、就学援助制度の周知状況など、25の指標で評価検証されています。
 本市の場合はどうでしょうか。生活保護世帯の子供の高校進学率が全国平均90.8%に対し79.8%、児童養護施設の子供の高校進学率96.6%に対し83.3%、そして、ひとり親世帯の非正規雇用率が高いなど、全国平均より貧困度が深刻です。この背景には何があるのか、その原因を究明し、根本的問題をとらえることが必要です。表面的な対策では真の解決とはなりません。
 質問の1点目に、子供の貧困の背景や実情をどのように捉え、どのような観点から解決、対応しようとしているのか、伺います。
 2点目に、この対策の推進体制はどのような体制か。縦割りの弊害を超えて、総合的、全庁的に取り組む体制か。また、この事務局はどこが担うのか、組織体制を伺います。
 次に、国民健康保険について伺います。
 来年度、国保料を引き下げる予算が示されました。ようやく負担軽減にかじを切ったことを前向きに評価しています。
 これまで市民団体から毎年引き下げを求める請願署名が提出され、我が党も引き下げの条例改正案、予算組み替え提案を行い続けてまいりました。負担軽減は市民の切実な声の反映であり、市民から大いに歓迎されています。
 一方で、引き下げ額は1人当たり平均で5,381円、保険料引き下げとセットで一般会計からの繰り入れも同額減額など、問題も残ります。
 平成24年度の3割もの値上げ以降、国保基金に積み上げを繰り返し、61億円も基金が積み上がっています。保険料は政令市で3番目に高く、所得の2割を占める重い負担が家計を圧迫し続けてきましたが、市民にとって保険料引き下げは暮らし応援のメッセージと受け取れます。
 当局はどのような考えのもと、保険料を引き下げるのか、伺います。平成30年度に県単位の広域化を目前にして、先が見えたなどと言わずに、市民の立場からお答えください。
 以上、1回目の質問です。

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子供の貧困対策についての2点の御質問にお答えいたします。
 まず、子供の貧困の背景や実情、また、解決に向けた考え方ですが、子供の貧困の背景としては、非正規雇用の増加、ひとり親家庭の仕事と子育ての両立困難に伴う生活困窮などが考えられます。
 昨年8月に閣議決定された国の子供の貧困対策に関する大綱では、子供の貧困対策を総合的に推進するに当たり、関係施策の実施状況や対策の効果等を検証、評価するための25の指標が設定されましたが、本市においては、生活保護世帯や児童養護施設の子供の高校等進学率など、全国平均値を下回っている指標もあります。
 本市では、子供の貧困の解決に向けて、さまざまな観点からの効果的な支援策を総合的に実施する必要があると考え、国の大綱における4つの体系に沿い、教育の支援、生活の支援、保護者の就労の支援、経済的支援を推進していきます。
 そして、子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境の整備と教育の機会均等を図ってまいります。
 次に、子供の貧困対策の推進体制ですが、子どもの貧困対策の推進に関する法律第4条の趣旨を踏まえ、本市の実情に応じた子供の貧困対策を総合的に推進するため、静岡市子どもの貧困対策推進計画を策定し、子ども・子育て支援プランに基本政策の1つとして位置づけることといたしました。
 子供の貧困対策は、子ども・子育て支援プランの3つのポイント、広げる、つなげる、支えるのうち、支えるの部分を担う重要な施策であります。
 また、子供の貧困対策の推進は、3次総においても、関係局が連携して取り組む重点プロジェクト、健康都市の主要事業の1つとしております。
 これまで子どもの貧困対策推進計画の策定に当たっては、市長を会長とし、関係局長で構成する庁内組織の次世代育成支援対策推進会議で審議を行うとともに、関連事業を実施する庁内の関係課長会議を実施するなど、局間の連携を図ってまいりました。
 また、学識経験者、児童福祉の専門家や公募市民などで構成される健康福祉審議会児童福祉専門分科会の審議に付し、幅広い視点からの御意見をいただいております。
 今後の具体的事業の実施に当たっても、こういった推進体制により適切な事業の検証、見直しを行い、関係各局や関係機関と連携して、子供の貧困対策を推進してまいります。

◯保健福祉局長(松本泰典君) 国民健康保険に関する御質問にお答えします。
 平成27年度の保険料率等についての考え方ですが、代表質問でもお答えさせていただきましたが、30年度から静岡県が保険者となることにより、これまで予期せぬ給付増に対応するため、保有を続ける必要のあった基金の活用等による保険料の引き下げが可能となりました。
 このことを踏まえ、国民健康保険運営協議会から保険料の引き下げを行うことに加え、継続的な法定外繰り入れを行ってきた経緯を考え、法定外繰り入れの減額をすべきであるとの多数の意見を踏まえた答申をいただきました。
 これにより、平成27年度は、基金の一部を活用し、保険料の引き下げ及び一般会計からの法定外繰り入れの減額を行うこととし、市民全体の負担を軽減いたします。
  〔25番鈴木節子君登壇〕

◯25番(鈴木節子君) では、先に子供の貧困対策について伺いますが、この推進計画、いち早く本市は子ども・子育て支援プランの中に盛り込み、きちっとその体系づけを行ったということでは、大変私も評価しておりますので、大いに進めていっていただきたいと、そういう立場での質問です。
 この計画は4つの体系に分けて支援を進める方針ですので、それぞれ具体的に質問いたします。
 第1に教育の支援についてです。
 学校は、子供の最善の利益を実現する場です。スクールソーシャルワーカーは、不登校やいじめ、虐待、発達上の問題を抱える子供に寄り添う存在ですが、来年度は8人に増員すると報告がありました。役割や現在の配置状況、今後の拡充方針、そして、拡充によってどのような効果を目指しているのか、伺います。
 2点目に、教育権の保障について伺います。
 家計の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲のある子供が教育を受け、可能性を伸ばして、目標に挑戦できるよう勉強を教える事業に、今年度までは全額国の予算がついていました。しかし、生活困窮者自立支援法により、半分を自治体が負担しなければならなくなり、熱心に取り組む自治体ほど負担が大きくなるという矛盾が生じています。
 本市のやる気度が問われていますが、子供の学習環境、生活環境を整える学習支援の目的と事業内容はどのようなものか、伺います。
 3点目に、返済の必要のない奨学給付金について。
 本市は、篤志家による寄附を原資として入学一時金を給付する制度があります。高校生5万円、短大・大学生は10万円が支給されますが、24年度の実績は170万円、平成25年度は300万円という規模です。京都市の5億7,000万円、神戸市の3億9,000万円などと比べると、とても比較にならない金額です。
 原因は、寄附金の原資を取り崩さず、運用益だけで予算を組んでいるため、応募者の半数しか対象にできない。また、制度の周知が不十分で、必要とする人は多くいるのに活用できないなど、課題がたくさんあります。この制度の現状と課題、拡充方針を伺います。
 第2に、生活の支援についてです。
 子供の置かれた状況はさまざまです。保護者の精神的不安定、食事や生活リズムの乱れ、恵まれない学習環境、そして、将来の見通しが見えないことによる無力感、親の社会的孤立など、生活上のさまざまな困難を抱えています。子供の立場で息の長い総合的支援が必要ですが、生活の支援で何をどう解決しようとしているのか、目的と具体的事業内容をお聞きします。
 第3に、保護者の就労支援についてです。
 親の失業、低収入、離婚、不安定雇用など、経済状況の悪化はますます深刻化しています。ひとり親は低賃金、長時間労働のため、子供と向き合う時間的ゆとりは持てません。
 先日、川崎市で少年が無残に殺害されるという事件がありました。この被害者の方の御冥福を心からお祈りをします。
 この被害者の少年の母親はこのように言っています。目をかけるゆとりがなく、親子で向き合う時間がとれなかったことを悔やむと。その背景には、自己責任のもと、行政に頼れる立場ではないと思わされているのではないかと反響が広がっています。
 大綱には、保護者の就労支援について、家庭で家族が接する時間を確保するということが盛り込まれています。これが具体化されるのでしょうか。
 本市の就労支援事業の実績、事業の目的、事業内容を伺います。
 第4に、経済的支援について、何点か伺います。
 1点目に、放課後児童クラブの利用者負担について。
 これまで貧困世帯に限らず、全ての利用者負担は軽減策がなく、低所得世帯、ひとり親世帯、兄弟同時入所でも負担軽減はありませんでした。この解決に向け、多くの利用者から軽減策を求める声がありましたが、負担軽減策について、方針と内容をお聞きします。
 2点目に、保育料の軽減について。
 所得税法上の寡婦控除は、死別や離別によるひとり親を対象としているため、同じひとり親でも、結婚していないひとり親は対象にはなりません。控除がない分納税額がふえ、税額に応じて負担する保育料も重くなります。結婚歴の有無で格差が生まれるのは不合理です。
 この実態を解決するため、未婚のひとり親にも税法上のみなし寡婦適用を行う自治体がふえています。本市ではどのような方針かを伺います。
 3点目に、就学援助についてです。
 生活保護基準切り下げにより、本来受けられる就学援助から外される世帯が出ています。本市の対応は、認定基準を前年度の基準とするので、不認定は減ると説明しています。しかし、生活保護基準が今後引き下げられる方針になっていますので、引き下げられれば、その都度影響を受ける世帯が必ず生じます。
 生活保護基準引き下げに振り回されることのないよう、就学援助の認定基準を現在の保護基準の1.3倍ですけども、これを例えば1.5倍などに引き上げれば、悪影響を受けない。そして、振り回されることもなくなります。
 そしてまた、就学援助の対象にクラブ活動費、PTA会費、生徒会費などは含まれていません。これが大きく家計を圧迫しています。この状態を解決するための認定基準引き上げと支給対象をふやすべきと考えますが、方針を伺います。
 次に、国保について伺います。
 今年度の保険料引き下げは、私は市民から大いに歓迎されていると、そう述べて、市民の立場から、どういう立場で引き下げをしたのかと質問いたしましたが、代表質問と同じような答弁でしたので、失望しておりますが、質問いたします。
 一般会計からの繰り入れを7億5,000万円、これは保険料引き下げと同額を減額しています。ここに問題があります。値上げによる負担増は年間27億円に及びました。3年間で81億円もの負担を余分に払い続けたことになっています。一般会計は市民全体の大事な税金であるからこそ、国保の抱えている問題は、低所得世帯が大半を占め、構造的問題を抱えています。国保は社会保障であるとの位置づけから、繰り入れは当然の措置です。一般会計からの繰り入れ減額は絶対に行ってはなりません。
 一般会計繰り入れの役割と、増額すべきだという、私はそうした問題意識を持っていますけれども、増額方針についてお考えをお聞きします。
 以上、2回目の質問です。

◯教育次長(市川善隆君) 子供の貧困対策に関する3点の御質問にお答えいたします。
 最初に、スクールソーシャルワーカーの役割についてですが、スクールソーシャルワーカーは、小中学校において、経済面や家庭環境の問題を抱える児童生徒に対して、社会福祉等の専門性を生かし、その問題が起きている背景を捉えながら、解決への見通しを立てます。
 さらに、児童生徒を取り巻く環境の調整や関係機関との連携により、いじめや不登校、非行などの問題の進行を抑制するとともに、学校の問題解決力向上を図る役割を担っております。
 次に、配置状況ですが、現在、5人のスクールソーシャルワーカーを10校に配置し、週1日6時間、年間35週の支援を行っています。
 拡充方針については、5人から8人にふやすとともに、配置校を10校から16校にふやす予定です。
 また、配置校以外にも、要請を受ける派遣形式も採用しており、その要請派遣時間も、140時間から275時間にふやす予定です。
 目指す効果についてですが、スクールソーシャルワーカーの配置により、学校が関係機関等と連携し、生徒指導、教育相談体制を強化させることができ、学校だけでは解決が困難な問題に迅速に対応できることになります。
 続きまして、篤志奨学金の3年間における給付の現状ですが、平成24年度、50人の申請者に対して23人の認定者でありました。同じように、25年度は59人に対し22人、26年度は51人に対し29人となっております。
 次に、課題ですが、篤志奨学金制度は、篤志家からいただいた寄附金の運用益を原資として給付しているため、現在の低金利ですと、この運用益が年々減少していき、今後は基金の元本を取り崩すことも想定されます。
 また、拡充していく方針はあるのかということですが、将来的には基金の元本の取り崩しも念頭に入れ、申請者の経済的実態等を考慮し、認定者の決定方法を検討していきたいと考えております。
 次に、就学援助の認定基準を引き上げるべきとのことですが、現在、本市では、経済的に困窮されている方で、同居の家族全員の年間収入の合計額から社会保険料等を引いた額が市で定める認定基準以下の場合、準要保護世帯として就学援助の対象としております。
 その認定基準は、生活保護基準におおむね準拠しており、約1.3倍に設定しております。これは、他の政令指定都市と比較しても、決して低い基準ではありませんので、これを引き上げることは、現在のところ考えてはいません。
 次に、PTA会費、クラブ活動費、生徒会費のいずれかを支給対象にする考えはあるのかということですが、現在、これら3項目について、要保護世帯では生活保護費の中に含まれていますが、準要保護世帯については含まれておりません。
 近年、本市の就学援助の認定者数は増加傾向にあり、財政的な負担も増加してきております。したがって、これら3項目の支給につきましては、当面、就学援助受給者世帯の推移を見きわめていきたいと考えております。

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子供の貧困対策についての5点の御質問にお答えいたします。
 最初に、学習支援の目的と事業内容についてですが、生活困窮等により、これまで落ちついて学習できる環境になかった子供に、安心して過ごせる居場所を確保するとともに、子供に寄り添った学習支援を行い、学習の習慣づけ、動機づけにつなげることを目的に行うものです。
 具体的には、民間の団体と協働して、生活困窮世帯、ひとり親世帯の小中学生を対象として、市内数カ所に居場所をつくり、学習ボランティアが子供の気持ちに寄り添って学習支援を行います。また、居場所に来ることができない子供に対しては、家庭にボランティアを派遣して学習支援を行います。
 なお、児童養護施設等の子供に対しては、施設で学習ボランティアを活用して学習支援を実施した場合に、その費用を負担します。
 次に、生活の支援の目的と具体的な事業内容についてですが、貧困の状況により、社会的孤立が深刻化することがないように、子供の自立につなげる支援をすることを目的としています。
 生活困窮世帯等の子供に対しては、教育支援でもお答えした居場所の提供と学習支援にあわせ、家庭的な生活体験を提供し、これにより生活意欲の向上につなげます。
 また、社会的養護が必要な子供に対しては、児童養護施設に自立支援員を配置して、就労の維持や自立した生活の支援をするとともに、里親家庭支援センターに支援強化のための人員1名を追加配置して、関係機関とのネットワークを強化し、里親委託や里親支援を推進してまいります。
 そのほか、大学進学や就職のために児童養護施設等を退所する子供に対しては、学費やアパート等の借り上げに充てるための一時金を給付し、自立を支援してまいります。
 次に、ひとり親の就労支援の目的と事業内容についてですが、ひとり親が安定した仕事につき、経済基盤を築くことにより、ひとり親家庭が貧困から脱却することを目的としています。
 これまでにも、ひとり親への就労支援策として、資格取得のために養成機関で修業する期間の生活費に対して支援してまいりました。この支援の対象とする期間を2年から3年に延長するとともに、居住している住宅が借家の場合、賃借料の一部を加算することとし、資格取得により安定した仕事につくことを支援してまいります。
 さらに、就業支援専門員1名を葵福祉事務所に配置し、就業に特化した窓口を設置することで、個々の相談者に寄り添ったきめ細やかな就労支援を行います。
 次に、放課後児童クラブの利用者負担軽減策の内容についてですが、平成27年度予算案においては、利用者の経済的負担を軽減するため、保護者負担金の軽減に要する費用を盛り込んでおります。具体的には、生活保護世帯、市民税非課税世帯、児童扶養手当受給世帯に対し軽減するほか、同一世帯で兄弟姉妹が同時入会する場合にも軽減を行います。これにより、生活困窮世帯やひとり親世帯が利用しやすくなるものと考えております。
 最後に、新制度の保育料におけるみなし寡婦の適用についてですが、税法上の寡婦に係る控除等の対象は、婚姻歴のあるひとり親に限られているため、本市の保育料算定の基礎となっている所得税額は、未婚、非婚のひとり親の方が死別、離別の場合より高くなっております。所得税額が高く設定されることで、保育料の階層区分において、より上位の層に位置づけられ、寡婦控除等の対象となる場合よりも負担額が高くなるケースが生じます。このため、保育料の算定において、未婚のひとり親も税法上の寡婦とみなして、負担を軽減する措置をとる自治体がふえており、子ども・子育て支援新制度に向けて、その動きはさらに広がっております。
 このような状況の中で、本市におきましても、新制度への移行を機に、子ども・子育て支援プランに未婚、非婚のひとり親についても、税法上の寡婦とみなして保育料を算定する支援策を位置づけ、その経済的負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。

◯保健福祉局長(松本泰典君) 国民健康保険事業における一般会計繰入金の考え方についてですが、国民健康保険事業は、被保険者の保険料を主として、国庫負担金、その他の収入で賄うことが原則となっております。しかしながら、国民健康保険事業会計の財政を安定させるために、一般会計からは保険料軽減分に対する繰り入れなど、法律に基づくもののほか、保険料収入の不足を補うための法定外繰り入れを財政事情の許す範囲で実施しております。
 このようなことから、平成27年度は保険料収入の不足を補う法定外繰り入れについては、保険料の引き下げとあわせて減額を行います。
  〔25番鈴木節子君登壇〕

◯25番(鈴木節子君) 先に、では子供の貧困対策について伺いますが、先ほどの御答弁で、スクールソーシャルワーカーの増員方針を伺いました。
 私が聞きたいのは、増員することを聞きたいのではなくて、配置状況ではないんです。学校がどのような役割を果たせるのかについて、やはり問題意識が必要だと思います。
 今、国の方針では、学校を貧困対策のプラットホームにするという方針です。しかし、今の学校現場にこのような重責を担える体制があるでしょうか。現在でも、いじめ、虐待、不登校対応だけでなくて、学力テストへの対応、そして、教師は多量の事務を抱えています。教員たちは多忙な中、子供たちと日々向き合っています。学校現場が貧困対策の新たな重責を担い得ると言えるのでしょうか。
 むしろ、その任務を果たすためにどのような体制が必要か、検討することから始めるべきだと考えます。そのお考えを伺います。
 もう一点、先日、残念な事例がありました、ひとり親世帯の子供さんの高校入学が決まりましたが、入学金のめどが立たず、市役所に相談したそうです。対応した職員から、高校に入学することはわかっていたはずだ。なぜそれなりの資金が準備ができないのかと、そのようなことを何回も何回もとがめられましたが、お母さんは心が折れてしまったそうです。
 貧困世帯の子供は、進学する夢や希望を持ってはいけないのでしょうか。こんな市政が市民に優しい市政と言えるでしょうか。お母さんは、ひとり親世帯が経済的に苦しいことをわかってほしいと訴えています。
 人生のスタートラインで、スタートラインに立てない子供たちを精神的に支えるのが行政の役割です。貧困の連鎖を断ち切る政策実践を発展させるため、関係部局や実践している市民グループ、学識経験者などとの連携強化をどのように進めるのか。また、政府自体が改善目標を持たない、ここに問題がありますが、本市はどのように目標を持って取り組むのか、伺います。
 次に、国保についてです。
 国保財政は、現在、基金が61億円という状況です。今後の見通しを考えますと、医療費の抑制策を続け、一般会計からの繰入金をもとの金額に増額させれば、27年度に続いて平成28年度も連続引き下げの可能性は……

◯25番(鈴木節子君)(続) 十分にあります。
 今後も、国保財政を分析するのは当然ですが、国保料引き下げの検討を引き続き行うべきだと考えます。
 28年以降も負担をふやさないように基金を活用すると代表質問への答弁がありました。ふやさない努力は、それは根底です。負担軽減の立場で、できるだけ市民負担を軽減させる、そうした静岡市の基本姿勢をお示しいただきたいと思います。
 この国保料引き下げは、大きく今、ニュースとなって広がり、国保に加入している多くの世帯から、大変大きな歓迎の声、今、私たちにも届いています。この静岡市の方針、かなり大きく受けとめられておりますので、引き続きの引き下げ検討をしていただきたいということを述べて、質問を終わります。

◯教育次長(市川善隆君) 子供の貧困対策で、学校の果たす役割についてですが、国の子供の貧困対策に関する大綱で、学校を子供の貧困対策のプラットホームと位置づけて、総合的に対策を推進すると示されたとおり、学校が福祉関係機関との連携の窓口となることです。
 本市教育委員会も、3次総の主要事業として掲げている貧困対策を、子ども未来局を初めとする関係各局と連携し、推進してまいります。
 学校は、目の前にいる児童生徒が貧困による問題を抱え続けることがないように、より早い段階で福祉的なサービスにつなげる努力をしてまいります。
 次に、体制づくりですが、学校は教職員とスクールソーシャルワーカーとのパイプ役となる担当教員を置き、定期的な校内ケース会議を開催するなど、組織的な対応を図っています。また、教職員一人一人が子供たちの状況を敏感に把握できるように、校内研修体制も充実させます。
 対外的には、学校、病院、警察、児童相談所、福祉事務所などの関係機関が必要に応じて集まるケースネット会議の開催や、支援を必要とする児童について検討を行う要保護児童対策地域協議会等の既存の会議との連携を図っていきたいと考えております。

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子供の貧困対策の推進に係る連携強化と取り組みの目標ですが、子供の貧困対策を総合的かつ効果的に推進するためには、庁内の関係課はもとより、地域や市民団体との連携、協働が重要と考えており、今後も引続き連携、協働を図ってまいります。
 次に、取り組みの目標ですが、子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境の整備と教育の機会均等を目標にして取り組みを進めていきます。
 子ども・子育て支援プランでは、子どもの貧困対策推進計画を基本施策の1つとして位置づけ、ひとり親家庭の児童の高校等進学率や里親委託率などを成果指標とし、計画期間最終年度における目標値を定めるとともに、3次総においても同様の指標設定をしています。
 本市では、これらの目標達成に向け、子供の貧困対策を着実に推進することによって、全ての子供、若者が、置かれた環境にかかわらず、生き生きと輝き、夢と希望を持って成長していけるまちづくりを進めていきたいと考えています。

◯保健福祉局長(松本泰典君) 国民健康保険料のさらなる負担軽減についてですが、静岡市国民健康保険運営協議会の答申の中でも、保険者機関及び広域化後においても、市民の負担増にならないように努めることとの要望をいただいております。
 平成28年度以降につきましても、国保財政の推計を行うとともに、国等の動向を踏まえ、収納率の向上や医療費の抑制等により、市民の皆様の負担がふえないように、安定的な事業運営に努めてまいります。
 また、広域化に向けても、引き続き国保財政の健全化に取り組むとともに、国等に対し、さらなる公費の拡充による保険者支援等の要望