平成24年度の予算編成方針について、市長と財政当局に質問

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134◯31番(山本明久君) 私は、24年度の予算編成方針について、市長と財政当局にお聞きしていきます。

本市の財政運営の特徴をざっくり見ますと、悪化傾向にはあるものの、財務諸表は全体として、政令市の中でも健全だという状況はあります。しかし、合併政令市の中で都市基盤整備を中心とした財政投入によって、市債残高をこの間1,000億円以上ふやして、政令市の中で投資的経費と土木費の比率が最も高い一方、民生費は最も低いレベルであります。政令市になって権限も来ましたから、伸びていいはずの教育費は、静岡・清水両市が合併する前は構成比で十二、三%あったのが、23年度の当初では7.5%に低下して、商工費も1%台という低いレベルが続いている。これは、私はゆがみだと思っています。予算は政治の姿があらわれます。

こうした中で、田辺市長初めての予算編成です。市長は、現状打破を市長選で掲げて、予算編成でも従来のゆがみを打破するのかと思いましたけれども、現実的には、2次総を継承して少し磨くという路線ですから、現状を変えられないという気配が漂ってきています。

そこで、市長にお聞きしますけれども、9月末に示された24年度当初予算編成方針は、23年度当初予算編成方針とほとんど一言一句変わっていない。あえて違う部分を探すと、「市民目線で」というのが入ったのと、行革をもっとやれということと、23年度は2次総の4本柱だったのが、今度はまちみがきの2本柱に変えたくらいです。現状打破と言いながら、なぜ予算編成方針は23年度とほとんど変わっていないのか。打破するという以上、予算編成で何をどう打開するのか示す必要があると思いますが、説明していただきたい。

2点目は、中期財政見通しについてです。

政令市移行後、本市は実質収支で30億から60億の黒字を続けてきています。22年度は41億の黒字でした。がしかし、見通しでは、23年度は46億円、24年度の61億円から26年度までに226億円の財源不足と見込んでいます。23年度は財調基金から46億円崩してカバーしたようですけれど、中期見通しは、経済成長プラス1.3から1.5%と見て、歳出規模をほぼ同じ数字にして、財源不足だというふうに言っていますけれども、現時点で本当にこれが適正なのかどうか。行革大綱では、26年度までに238億円の削減を目指していますけれども、これはもう帳じりを合わせているのか、見通しとの関係も含めてお聞きしておきたいと思います。

3点目は、財源が大きく不足すると言いながら市民負担をふやしてきたわけですけれども、これは、負担能力があるところに負担してもらうという発想に切りかえるべきです。政令市の中でも、法人市民税の超過課税を実施していないのは本市と浜松市だけ。資本金1億円以上の大企業に、他の政令市並みに上限である14.7%を課税した場合、どの程度の収入確保が見込めるのか示していただきたいと思います。

以上、1回目です。

 

 

◯財政局長(中井幹晴君) 平成24年度の予算編成方針につきましてお答えいたします。

平成24年度当初予算編成方針の基本方針では、市長マニフェストを実現するため、市の行政計画として策定されたまちみがき戦略推進プランに位置づけられた施策、事業に必要な予算を確保することを明記いたしておりまして、これをもって、市長の現状打破への方針を具現化しているということでございます。

次に、中期財政見通しにおける財源不足額でございますが、本年2月に策定した財政の中期見通しは、平成23年度当初予算をベースに平成26年度までの財政収支を、国の経済見通し等をもとに、一定の条件により機械的に、財源対策を実施しない状態で試算したものでございます。

この財源不足額を補う対策としては、第1に、収入の確保と歳出の削減、第2に利用可能な基金の活用、第3に予算編成における事業の選択、重点化を行いまして、さらに、予算の執行段階における一段の経費の削減などにより、対応していくということになっております。

なお、この試算につきましては、特に行革実施計画の削減目標値と合わせたものではございません。

次に、法人市民税における超過課税についてでございます。

資本金1億円超の法人に対して、法人市民税法人税割に税率14.7%の超過課税を実施した場合、平成22年度の調定実績をもとに試算すると、およそ10億円の収入の増が見込まれます。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) 厳しい景気のもとで、22年度決算を見ますと、個人市民税が前年比7%落ち込む一方、法人市民税は全体として前年比プラス14%増収になっていて、23年度の予算も基本的にはこの傾向で組まれていると。

確かに、投資的経費は前年比で抑えられて、民生費は伸びたという格好にはなっていますが、この民生費の伸びた部分は子ども手当と生活保護がほとんどで、政策的に、暮らし、福祉を応援するということでふやしたわけではありません。24年度の予算編成方針で、市長自身、市民目線を言いながら、市民の暮らしの厳しさには一言も触れられていません。そこに目が向いた予算編成になっていないのではないか。めり張りを言うなら、予算を暮らし、福祉最優先にして、市民の暮らしを応援するという姿勢をはっきり打ち出すべきだと思いますけれども、ここは、ぜひ市長自身の考えを政治家として述べていただきたい。

我が党市議団の調査をもとに、本市財政を23年度当初予算でもう少し詳しく見ますと、お手元の資料にありますように、市民1人当たり予算額というのは、政令市中、規模が小さいですから、19市中13位と。

歳入は、市民1人当たり、市税で政令市平均より1万円少なくて、一方、市債は1万5,000円多くなっていて、これは上から4番目と。市債依存度が17.1%に伸びて上から2位、借金に頼っているということですね。

歳出を見ますと、市民1人当たりで見ると、民生費は11万2,800円、政令市平均より何と1人当たり5万円も少ない。掛ける70万人で350億円、平均より民生費は少ない。下から2番目と。土木費は7万9,300円で平均より2万4,000円、ここは多くなっていると。上から3位。民生費が予算構成比で29.6%と伸びたものの、下から3位と最低レベルで、平均からは6.4ポイント低くなっています。一方、土木費の構成比は20.8%と下がったものの、やはり、構成比で1位、平均からは8.6ポイントも高くなっている。これが状況です。

市長が、昨日来の答弁でも、人口をふやすことに、あたかも政治生命をかけるような発言が繰り返されていますけれど、もしそうであるなら、少な過ぎる民生費をぐっとふやして、暮らしやすく、住み続けられる、こういうところにしっかり予算をつけるべきだ。それこそ必要なめり張りだと、私は思います。そうすることが基礎自治体の務めだとも思います。

こうした主な点だけ見ても、まず、今後の財政を縛る市債依存度、これはいつごろまでにどこまで抑えるのか、明確な方策を示す必要があると思います。しかし、24年度の予算編成方針、中期見通しのもとでは、48億円ぐらい借金をふやすという予定になっていますけれども、こういう依存度をはっきり計画的に減らすという方策、どうするのか示していただきたい。

また、土木費についても、これは当然必要な部分がありますから、安全だとか生活密着部分にしっかり絞っていく、そういう見直しが必要だと思います。ここでは、普通建設事業に充てられる投資的経費の内訳として土木費が76%も占めていますから、土木と箱物に偏っているという、この点についても見直す必要があると思いますが、考えを示していただきたい。

3点目は、法人市民税の超過課税についてです。

やろうと思えば法的に可能な収入確保策です。財源不足を言っていますけれども、10億円ということですから、ここは、資本金1億円の大企業に限って、課税実施権を行使して実施すべきだと思いますけれども、どういう考えか。来年度実施できるように検討していただいて、従来の枠を打破していただきたい、前向きに検討していただきたい。

以上、2回目です。

 

 

◯財政局長(中井幹晴君) 市民の暮らし向きの厳しさへの配慮が見えないのではないかという御指摘でございますが、住民の福祉の増進を図るということは、言うまでもなく行政の使命でございますので、予算編成方針においても、まちみがき戦略推進プランの柱の1つである災害に強く、安心・安全に人が暮らせるまちに資する施策、事業に必要な予算を確保するということにしております。

次に、市債依存度について、それから、投資的経費についてでございます。

本年2月に策定した財政の中期見通しでは、今後の市債発行額を平成24年度で519億円、これは歳入に対する市債依存度18.5%、25年度430億円、同じく15.9%、平成26年度で397億円、市債依存度14.9%と見込んでおります。平成24年度には、現在建設を進めている清水駅東地区文化施設の購入などがあり、一時的に投資的経費、建設事業債が増加すると見込んでおりますが、その後は、投資的経費、建設事業債の発行額は減少していく見通しとなっております。

次に、収入確保策として大企業に対する法人市民税の超過課税を実施してはどうかという御指摘でございますが、大企業に対する法人市民税の超過課税については、現下の経済情勢や先行きのリスクを踏まえ、円高とデフレの悪循環を回避し、景気の下振れを防ぐという観点から、景気を下押しする効果が懸念される超過課税を新たに実施する環境にはないと考えているところでございます。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) やはり、答弁を聞いていましても、従来の枠を、現状を変えられていないというのがはっきりしているんじゃないかと。暮らし向きに配慮するというなら、それはそれでいいです。その辺考えるべきは、今、市民の収入というのは、労働者も年金生活者も自営業者も減り続けているのに、税や国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料、医療費などの負担がふえ続けていると。ここをどうするのか、予算上配慮すべきじゃないのかという点が必要だと。

今、24年度の予算編成において切実に求められていることは、具体的には、今言ったように、配慮するというなら、国保料や介護保険料などにおいて市民負担をふやさないような予算上の配慮、これはどうするのか。あるいは、売り上げが落ち込んでいる業者の仕事づくりの政策展開で、地域経済を振興する予算を大幅にふやすこと、そして、さらには、我が党市議団も3月16日に地震に強いまちづくりの申し入れで入れ込んだ、津波避難タワーを計画的に設置するなど、防災対策強化のための予算措置など、これらを具体的にどうするのかということを明確に示していただきたい。

また、削減すべき事業についてですけれども、予算編成方針では、既存のすべての事業についてゼロから見直して、真に必要なもののみ要求せよと言っています。ですから、もしそうなら、私は、まず、先ほど述べたように、予算が建設、箱物事業優先になっていることを見直して、ここに不要不急の事業があるんじゃないかということを、市長みずからが洗い出していくことが必要だと思いますが、どのように考えているか。また、なくすべき無駄については、具体的にどういうふうに考えているのか、考えを示していただきたい。箱物を見直せば、それに係る市債も抑えられていくという関係になっていくわけですから、ここにメスを入れるべきだと思います。

最後に、大企業に対する法人市民税の超過課税です。

やらないと。大企業には配慮するという立場ですけれども、これは、10億円を恒常的に確保されて、他の政令市も実施しているという制度ですから、それこそ、市民目線でいけばやるべきだと思います。今苦しんでいる市民の負担をふやすのではなくて、力のあるところに負担してもらうというのは当たり前、欧米では今は当たり前の取り組みです。

こうした大企業の負担能力については、じゃ、どういうふうに考えているのか。景気は厳しいということは言われました。しかし、その中でも負担能力はふえていると私は思います。リーマンを挟んで、大企業は全国的にも利益剰余金を積み増していますから、法人市民税の超過課税に耐えられないということはないと思います。我が党市議団の調査でも、例えば、市内に本社がある資本金1億円以上の大企業17社だけでも、直近のデータで約7,000億円の利益剰余金が計上されています。あるところにはあるわけですから、ここに負担してもらう。社会的に役立ててもらう。私は、行政はそういう発想が、市民目線から必要だというふうに思います。

財源がこれから60億、90億も不足すると。これは形式的なようですけれども、しかし、それを強調するなら、あるいは、ゼロから事業を見直すというなら、苦しんで負担に耐えられないような市民に負担を押しつけるのではなくて、他の政令市もやっている超過課税を検討すべきだというふうに思います。

予算を暮らし、福祉優先に切りかえてこそ、従来のゆがみの現状の打破もできると。ですから、仕分けだとか磨きだとかという小手先のことでやっているから、大もとは変わらない。変えようという姿勢が見られない。現状を変えるというなら、ここに取り組むべきだというふうに私は思いますけれども、この大企業の負担能力について、明確に答えておいていただきたいと思います。

以上です。

 

 

◯財政局長(中井幹晴君) 市民負担についての予算上の配慮、あるいは各施策についての予算措置についてでございますが、当初予算編成に当たりましては、財政の健全性に十分留意した上で、現下の厳しい地元経済、雇用情勢、さらには少子高齢化、それから、防災などに意を払い、必要な予算を確保していきたいと考えております。

平成24年度に取り組むことが必要な事業を推進していくためには、歳入の確保を一層推進するとともに、歳出の徹底した見直しによる削減を行うなど、さらなる行財政改革を推進し、予算の重点化を図っていきたいと考えております。

次に、大企業への超過課税でございますが、これにつきましては、デフレ脱却、それから、雇用拡大を図っていくという観点も重要であると考えております。先ほども申し上げましたとおり、景気を下押しする効果が懸念される超過課税を新たに実施する環境にはないと考えているところでございます。

以上でございます。