地域主権改革、津波対策・浜岡原発、小鹿・大谷まちづくりについて質問

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126◯3番(寺尾 昭君) それでは、質問をさせていただきますが、私は3つの課題について質問をいたします。

昨年6月22日、政府は地域主権戦略大綱を閣議決定、その具体化として第1次分として、本年に入りまして42の法律を4月28日、第2次分として188法律を一括法として菅政権退陣の直前8月28日に可決成立をさせました。

その第1は、義務づけ・枠づけの見直しと条例制定権の拡大とするもので、内容を見てみますと、施設・公物設置管理の基準を条例に委任するものです。この基準は従うべきもの、標準とするもの、参酌するものというようなことに分けて政省令によって政府が示して、自治体が条例化をすると、こういう内容になっているわけです。

この中には、児童福祉施設の設備及び運営に関するもの、公営住宅の整備基準及び収入基準に関するものだとか、道路の構造の技術的基準に関するものなどもあるわけです。また、国や県に対して協議、同意、許可、認可、承認を求めていたものを廃止するというような、いわゆる手続を緩和をするというようなものも入っております。

また、この中には、例えば地方債の発行に係る大臣や知事との協議の見直し、福祉事務所設置の知事への同意の廃止というようなものもあるわけです。また、都市計画などの策定及びその手続を廃止するというようなものも含まれております。

また、第2は、都道府県の権限を基礎自治体へ移譲をする、こういう内容があります。例えば、区域区分、都市開発方針等に係る都市計画決定、また、家庭用品販売業者の立入検査の権限というようなものもありますが、これを都道府県から指定都市や一般市に移譲するというようなものがあるわけであります。

地域主権戦略大綱では、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的に担うとして、地方分権をさらに推し進めるものであると、こういう趣旨になってはおります。しかし、心配な声もあるんです。国の責任で守るべきナショナルミニマム放棄につながるのではないかと、こういう声が少なくないというわけであります。

私は昨年の9月議会におきまして、地域主権改革に対して質問をさせていただきました。当時の経営管理局長、今かわったわけですけれども、厚生労働大臣の国会答弁を引用しまして、保育所の最低基準を保育士の配備基準や保育室等の面積基準など、直接保育の質に大きな影響を与える基準に限って従うべき基準として全国一律の最低基準を維持するんだと、こういう答弁をされております。また、ナショナルミニマムとして必要な子育て支援のような基本的な事項に限った全国統一的な基準等の作成は国の役割だということを、当時の指定都市市長会の表明というところを引用されておっしゃっているわけであります。市民の安全、地域の安全・安心等に関する最低基準を確保することは国の責務、こういう考え方も述べておられるわけであります。

そこで、質問でありますけれども、この地域主権改革の一括法が成立した、まだこれから継続するのもあるのかもしれませんが、こういう今日的時点に立ちまして、この地域主権改革の主要点についてお伺いをいたします。

その第1は、この一括法成立を市としてどのように受けとめておられるのかということです。

2番目は、市として今後条例改正をどう進めていくのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

次に、予測されております東海地震対策、これまでも議論がされているわけでありますけれども、3月11日の東日本大震災の復興を一日も早く、あらゆる力を結集してなし遂げなければならない、これは皆さん共通の思いだと思います。この大震災は、地震や津波に加えて福島第一原発の放射能漏れの事態が復興を一層複雑困難にしているということは御承知のとおりであります。

私たちにとって、決してこれは人ごとではない。大震災の教訓をどう生かすか。我々も東海大地震、いつ来るかわからないというふうにされているわけですから、一日も早い対策が求められるわけであります。私たちにとって、その第1は地震そのものの対策、そして、2番目は津波対策、そして、3つ目は、私たち静岡県民にとっては、何といっても浜岡原発への対策ということになるんではないかと思います。

地域防災計画の見直しというのも急がれるわけであります。しかし、これは国の基本計画の策定や、それを受けての県の防災計画、これがまとまらないと、市としての計画策定ができないと、こういうことも伺っているわけでありますけれども、しかし、国や県の、いわゆる計画待ちということではなくて、市として実施できることはすぐにでも取りかかる。現に進んでいるわけでありますけれども、その中では、例えば木造住宅の耐震補強助成、これを大いに拡充していくだとか、自主防災組織などへの補助の拡大というようなことも、これは市として当然できるわけでありますから、どんどん進めていく、こういうことが必要ではないかと思います。

そして、今、福島第一原発事故の収束という点では、まだ先が見えておりません。住みなれた我が家、我がふるさとを捨てざるを得ず避難されている方々は、相変わらずまだ10万人近くになっている。原発は絶対事故を起こさないとする安全神話が今や崩れ去ったと、こういう状況であります。一たん事故を起こしたら取り返しのつかない事態に立ち至ることが今度の福島の事故で明らかになったわけであります。それだけに、原発に頼らないエネルギー政策への転換は、何としてでも進めなければならない課題であります。そして、これは今や国民世論といってもいいんではないでしょうか。これをどう実現するか、これが今、大きな課題だというふうに言えます。

さて、最も身近な問題として浜岡原発にどのように対処するのか、住民に責任を負う立場から、政治の責任も明確にしなければならないと思います。根本的解決には浜岡原発は永久停止廃炉という道しかないではないかというふうに考えるわけですけれども、実際事故が起こった場合に、どのような被害が想定されるのか、そのシミュレーションを住民に明らかにするということも必要ではないでしょうか。

現在、本市の地域防災計画には、原発事故への対策というのはありません。平成12年に作成されております静岡県の地域防災計画には原子力対策編というのもありまして、この中では市の役割も、実は明記されているわけであります。本市がイニシアチブを発揮して、関係市町との連携や協議も進めるべきではないかというふうに思います。

時間がなくなってきました。質問に移ります。

7月に市が主催して防災講演会を開催したというふうに聞いております。市民からさまざまな質問、意見が出されたと聞いておりますが、どのようなことが出されたのかお聞きします。また、その意見を踏まえて、今後どのような内容で実施するのかお聞きします。

また、東日本大震災の被災地の支援活動を市の職員や多くのボランティアが行ったわけであります。この活動を通して、どのような教訓が得られたのか、今後の地震対策に生かすべき教訓は何だったのか、この点をお聞きします。

浜岡原発への対策についてであります。今回浜岡原発の質問は、見てみますと私だけのようでありますけれども、一昨日、牧之原市議会が浜岡原発の永久停止を求める決議をいたしまして、西原茂樹市長も市議会の本会議において浜岡原発の永久停止を求めるという考えを正式に表明したというのは御承知のとおりであります。また、川勝知事も、同日、立場は全く同じ、津波対策で安全が確保されたわけではない。不安は当然で、100%牧之原の方々と共有しているということを知事も述べているわけです。私たち静岡市議会と、そして市長が今後どのようなイニシアチブを発揮していくのか問われているというふうに言えるんではないでしょうか。

そこで、もしできましたら市長から、この牧之原の決議に対してどのようなお考えがあるか、聞かせていただければありがたいなというふうに思います。また、新しい防災計画では、あらゆる角度から検討して原発対策を盛り込まなければならないというふうに考えますが、それまでの間、できるだけ対策を進めることが必要だと思います。

質問は、浜岡原発は現在一時停止ということになっておりますけれども、稼動中、停止中にかかわらず自然災害や事故等による原子力災害の被害想定を策定する必要はないかということ。2番目は、原子力災害により想定される被害に対して、その対応を定める必要はないかということ。3つ目は、県や関係市町との連携を進めることが必要だと考えますが、その点はどうかということ。1回目の質問です。

 

 

◯市長(田辺信宏君) 私からは、質問2の(2)、東日本大震災被災地支援の教訓についてお答えいたします。

東日本大震災の発生を受けて、本市では、国から、あるいは仙台市からなどの要請に基づきまして、避難所を運営するための要員であるとか、消防の職員、保健師など800名を超える職員が被災地に入り、現地で支援活動を行ったのは御案内のとおりです。市役所全職員の中の派遣職員の占める割合は、全国の政令指定都市でもトップクラスであり、私としてもそのことを大変心強く、また誇りに思うところであります。

その中で、こうした支援活動を通じて、派遣職員の方々からさまざまな報告がもたらされ、本市としましても貴重な経験、知識を得ることができました。特に報告の中で多かったものは、具体的に2つ申し上げますが、あるいは相反する2つであります。

その1つは、市役所の本庁舎に設置された災害対策本部では、正確な被災情報がなかなかつかめず、的確な指示ができなかったことが多かったということであります。もう1つは、例えば高砂市民センターなどの現場の避難所では、その現場のスタッフ、職員を中心に被災住民とともに協力して自主的にその運営に携わり、円滑に避難所設営の業務ができたということであります。本部の混乱に比べ、現場は割合前向きにいろいろな業務ができたということであります。

これらのことから導かれる今後の本市としての教訓としては、まず、災害発生時における被災情報の収集、伝達機能の強化及び情報不足の中での各部署の、いわば自立的対応力と申しましょうか、その確保が重要であるということ。この自立というのがキーワードでありますけども、これは現場の避難所におきましても被災住民が自主的に運営できるような環境、体制づくりと、住民の、みずからの地域はみずからで守るという自立的な意識の醸成が必要であると。この2つを教訓として得たつもりであります。

今後は、この教訓を地域防災計画等の見直しに生かしてまいりたいと思いますし、昨日も答弁申し上げましたとおり、官民協働してこの防災計画が絵にかいたもちにならないように、現実度を高めていくという努力を重ねていきたいと考えています。

私からは以上です。以下は局長から答弁します。

 

 

◯経営管理局長(小長谷重之君) 地域主権改革についての2点の御質問にお答えをいたします。

まず、一括法を市としてどのように受けとめたかということでありますが、ことし5月と8月に公布された、いわゆる一括法には国の関与の見直し、市町村への権限移譲の推進など、地方の自由度を拡大する内容が定められております。これは、平成19年の地方分権改革推進委員会の勧告等から進められていた取り組みが一つの区切りとしてまとめられたものと認識をしております。

しかしながら、自立したまちづくりを進める上では不十分であるため、今後国の関与の見直しや権限移譲など、勧告された内容以上の改革が進められることを期待をしております。また、本市としましては、一括法で示された内容につきまして、地域の実情に応じたまちづくりに生かしていくために、市の対応が市民や近隣市町に与える影響等を分析しながら取り組んでいきたいと考えております。

次に、市の条例改正の考え方についてであります。

本市では、一括法へ全庁的に対応するための考え方をまとめた対処方針を策定しております。この対処方針では、国にかわり本市が条例等で定める基準について、市の課題を解決するため有効な対策となるよう条例等の制定、改正を行うなど、条例化等をする場合の必要な対応を規定しているところであります。

今後、国の政省令に条例等の制定、改廃に係る具体的な基準が示されることから、この政省令が公布された後、この方針に基づき速やかに条例等の制定、改廃に取り組んでいきたいと考えております。

以上でございます。

 

 

◯危機管理統括監(望月俊春君) 防災講演会並びに原子力発電所に関する質問にお答えします。

まず、津波講演会での市民からの意見と次の講演会の内容についてお答えします。

7月に実施した講演会は、静岡大学防災総合センター原田賢治准教授を講師に招き、津波のメカニズムについて市民にわかりやすい内容で行いました。

この講演会への申し込みをコールセンターで受け付けしたところ、市民の津波に対する関心の高さから、わずか3時間で定員400名に達しました。講演会後に実施したアンケートでは、「津波の仕組みについて理解できた」、「津波の危険性を確認できた」という意見が多数を占めたことから、所期の目的を十分達成できたものと認識しております。今後、引き続き11月及び12月に、それぞれ講演会を実施する予定で、次回の講演会では、自然災害における避難行動の基礎知識についてを静岡市民文化会館中ホールで約1,000名の市民を対象に開催する予定でございます。

次に、原子力災害の被害想定策定の必要性、それから想定被害に対する対応策を定める必要性について、あわせてお答えいたします。

浜岡原子力発電所で起こり得る原子力災害と、その被害に関する科学的知見に基づく評価は中部電力や国が行うものと考えております。それ以外にも、現在起こっている福島第一原子力発電所の事故では、風評被害や原子力発電所の周辺自治体の住民がその近隣自治体に避難していることから、同じ県内に原子力発電所を持つ本市としては大きな関心を持っております。

なお、現在国では防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲、いわゆるEPZの見直しを行っており、今後EPZが変更された場合には、本市への影響を的確に把握し、速やかに対策を定めてまいりたいと考えております。

続いて、県、関係市町との連携についてお答えします。

浜岡原子力発電所についての防災対策は、これまで原子力安全委員会の原子力施設等の防災対策について、いわゆる防災指針に基づいて原子力発電所から10キロ以内の市に適用されてきましたが、今回の原発災害を踏まえ、9月16日に県及び県内市町による第1回目の原子力防災に関する情報交換会が開催され、静岡県における原子力防災対策の現状、福島第一原子力発電所の緊急事態の状況と本県の環境放射線への影響、国による原子力防災対策の見直しの動向について、情報の共有を行ったところでございます。

また、8月24日に開催された中部5市市長会議でも、中部5市に加えて吉田町、川根本町の2町を加えた中部圏で防災対策について連携を図ることを確認しており、今後も県及び関係市町と連携していきたいと考えております。

以上でございます。

〔3番寺尾 昭君登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) 積極的な対応をさらにお願いしたいというふうに思います。

それでは、次に、小鹿・大谷地区のまちづくりについてでありますけれども、今示されておりますグランドデザイン案では、この地域が静岡市の持続的発展に向けて極めて重要な地区であるとして、計画的な都市基盤整備とよりよい農業環境の形成を図ることが必要だというふうにしております。しかし、この計画を進めるに当たって必要なことは、何といってもその理念を住民に示していくことだというふうに思っております。さまざまな意見や要望などが私どものところにも届くわけでありますけれども、特にこの地域は、東海地震の津波の地域ということにもかかわってきて、新たな問題も浮上しているんではないかというふうに私は考えます。

また、東名高速道路のスマートインターチェンジについてでありますが……

 

 

◯議長(石川久雄君) あと1分で終了してください。

 

 

◯3番(寺尾 昭君)(続) これまで3つの案があったわけですけれども、この計画は片山インターができるということが前提になっているんではないかと思うんです。そこで質問をいたします。

土地利用を今後どのように進めていくのか、その基本的考え方と住民合意をどのように図っていくのか、その方法について。

2番目は、東名スマートインターチェンジ建設の検討経過がどうなっているのかということ、この点が住民に明らかにされておりませんので、ひとつぜひ明らかにしてもらいたいと思います。

中電との協議を行うこと、防災計画に浜岡の対策を今後ぜひ含めていただきたいこと、緊急津波対策がことしいっぱいということになっておりますけれども、廃止後の組織体制をどうするのか、こういうような課題も残っているかと思います。ぜひ対策を進めていただきたいと思います。

 

 

◯都市局長(杉浦 進君) 大谷・小鹿地区のまちづくりについて2点お答えいたします。

まず、土地利用の基本的考え方と住民合意の形成はどのように進めるかということでございます。

土地利用の基本的考え方につきましては、本年度に立ち上げた有識者等から成る検討協議会での3回の議論を経て、グランドデザイン案がまとめられたところでありまして、「新インターチェンジによる交通の利便性を活かした産業交流の振興」としております。市全体として効率的でバランスのとれた集約型の都市構造への転換を図っていることから、大規模商業施設は含めないとしております。また、防災面でも役に立つ地域にしていきたいというふうに考えております。

その案につきまして、パブリックコメントを9月30日まで実施しているところであり、今後はパブリックコメントに寄せられた意見や地域住民の意見なども踏まえ、住民の合意形成に向け、さらに議論を深めていきたいと考えております。

次に、東名新インターチェンジの検討状況ということでございます。

新インターチェンジにつきましては、ETC搭載車を対象としたスマートインターチェンジを考えております。国の制度を活用するに当たり条件となる検討準備会を国、県、中日本高速道路株式会社に参加をしていただきまして、昨年11月に立ち上げたところでございます。これまで4回の会議を開催し、設置箇所や必要性、その効果等を事業性、採算性の視点から整理しているところでございます。今後はインターチェンジの構造形式及び周辺都市計画道路へのアクセス等を検討してまいります。

以上でございます。