放射能汚染から子供を守る対策、子ども医療費助成について質問

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124◯4番(鈴木節子君) 通告に従い、初めに放射能汚染から子供を守る対策について質問します。

福島原発事故により、大量かつ広範囲に放射性物質が放出され、放射能に対する不安が広まり、国民の健康、暮らしを守る迅速な対応が求められています。

一たび放射性物質が外部に放出されると、消去することも減らすこともできず、被害は空間的にどこまでも広がり、時間的にも将来にわたって人間の命と健康を脅かし続ける危険があります。また、社会的にも、人間社会、地域社会、経済社会をも破壊する危険性を持っていることを突きつけられました。今回の事故は、広島、長崎よりけた外れに多い膨大な放射性物質が放出され、大気、土壌、水を汚染し、人類が一時に浴びた量としては初めてのものだろうと言われています。子供たちを初め、国民の健康被害を抑えるために行政があらゆる手だてを尽くすことが今求められています。

今回の質問は、とりわけ放射能への感受性の高い胎児、乳幼児、子供たちを放射能汚染から守る対策に焦点を当て質問します。

まず、放射能に対する当局の認識を2点伺います。

胎児や乳幼児は細胞分裂の速度が早く、代謝も大人より活発です。発達中の細胞ほど放射線による損傷を受けやすく、損傷を受けた遺伝子が修復されないままふえ続けるとがん細胞に変化するおそれがあると指摘されています。放射性物質は目に見えず、におわず、味もありません。福島から数百キロ離れたこの静岡の地でも、放射性物質は雨雲に運ばれ、雨にまじって地上に降り注ぎましたが、放射能汚染に対する不安は精神的ストレスとなり、親から子にも影響します。妊産婦、胎児、乳幼児に及ぼす身体的、精神的な不安をどのようにとらえているのか、また、胎児、乳幼児の健やかな成長、健康を守るために行政として可能な限りの対策が不可欠ですが、どのような認識で立ち向かおうとしているのか伺います。

2点目に、当局は県の測定値だけから、直ちに人体に影響を及ぼす数値ではないという姿勢です。しかし、呼吸し、食物として身体に取り込んだことによる内部被曝には一切触れず、しかも10年後、20年後になってあらわれる晩発性障害の危険性を考慮していません。放射能が人体に与える影響については、症例や確証となる一定のデータはなく未確定ですが、わからないから安全ではなく、わからないからこそ最大限の注意で、避けられる被曝は可能な限り避けるというのが放射線防護の大原則です。基準値以下であっても、健康に全く影響なしとは断言できません。その見解を伺います。

2つ目のテーマ、子ども医療費助成についてです。

先ほども議論がありましたが、市長は、助成拡大の必要性は認めているというのはほぼわかりますが、財源が伴わないことを理由に9月議会での提案を逃してしまいました。県の姿勢では、来年4月から制度拡充というニュースも飛び込んできております。せめて通院も中3まで拡大が求められていますが、全国1,750自治体中874の自治体は本市よりも高水準の助成を行っております。県内を比較してみても大変おくれていますが、県内と政令市の比較で本市の水準はどういう水準なのか、また、制度拡充の必要性と実現に向けた決意を市長に伺います。

以上、1回目の質問です。

 

 

◯副市長(高鳥明保君) 子ども医療費助成制度は、県内各自治体、全国政令市と比較しどういう水準にあるのか、また、制度拡充の必要性と実現に向けた決意はどうかとのお尋ねでございます。

子ども医療費の通院費に対する助成制度の状況は、県内35市町のうち中学3年生まで助成しているのは21市町でございます。また、指定都市19市では、中学3年生まで助成しているのは3市、小学校就学前まで助成しているのは11市となっております。

子ども医療費の助成制度は、「しずおか☆未来をひらく子どもプラン」の中でも、子供を安心して産み育てることができる環境づくりを推進するための施策として重要な役割を担っており、この制度の拡充は、子供の健やかな成長と子育て、子育ちの支援に一層寄与するものであると考えております。これを実現するためには、行財政改革を断行し、恒久的な財源を確保する必要があると考えております。

以上でございます。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 放射能汚染に関します2点の御質問にお答えをさせていただきます。

まず1点目、妊産婦、乳幼児などに及ぼす身体的、精神的な不安に対する認識と、その対応についてのお尋ねでございますが、福島原発の事故の後におきましても、保健福祉センターで実施をしております妊産婦相談や、乳幼児健診時に放射能による健康への不安を訴える事例はほとんどないのが現状でございます。しかしながら、引き続き国や県の放射線量などの情報に注視し、妊婦や乳幼児の保護者から相談があった場合には適切に対応し、不安の解消に努めてまいります。

次に、市内の放射線量に関する市の認識についてのお尋ねでございます。

前回の議会でもお答えをさせていただいたところでございますが、市内の放射線量は、福島原発事故の発生前から県が実施をしておりますモニタリングにおきましては、過去の変動幅の範囲内で推移をしておりますことから、健康に及ぼす影響は福島原発事故の前後においても変わらないものと認識をしております。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) では、2回目からは放射能対策について具体策で質問します。

1点目は、学校給食の安全な食材確保についてです。

今、食品検査の機器も体制も足りてはおりません。実態の正確な把握にはほど遠い現状のもとで、基準値を超えた牛肉が全国に流通し、この学校給食でも使われていたことがわかりました。安心感や信頼性が揺らいでいます。子供たちの学校給食の食材は、大人とはまた違って、より厳しく基準値を設定することも必要です。児童生徒、保護者の不安を解消し、安全な食材確保が迅速に求められておりますが、食材の安全確保策の現状、それと今後に向けても、お米や野菜など、また危険がございますので、今後の方針についても伺っていきます。

2点目の質問です。

小中学生に放射線の基礎知識を正しく理解させる教育方針についてです。

福島原発事故以来、人類史上最大の自然生態系の破壊と健康障害のおそれがある放射能汚染に私たちは正面から向き合わざるを得なくなりました。将来にわたってこの事態は続きます。原発事故以来、避難生活を余儀なくされている実態や食品から放射性物質の検出など、毎日のように新聞やテレビで放射線に関するニュースが報道されています。大人はもちろん、子供であっても、放射線とは何か、放射線と暮らしとのかかわりを真剣に見詰めざるを得ません。小中学生が自身の問題として客観的かつ冷静に放射線の基礎知識を科学的に理解し、生態系や人体に与える影響なども学ぶ、この授業が不可欠となりました。

県教委は、事故後防災教育に関する新しい資料を作成しました。放射線については放射能と放射線の関係、強さをあらわす単位について、また放射能の影響や利用など初歩的内容にとどまっている感もあります。子供たちにこの放射能に対する科学的知識をしっかり身につけていただき、実践に役立つ知識をどのように身につけさせていくのか、本市の教育方針を伺います。

3点目に、子供たちが過ごす保育園や学校などの施設の放射線測量について伺います。

当局の見解は、県が測量した計測値のみから、直ちに人体に影響を及ぼす数値ではないという姿勢を繰り返しています。これに対して県内の自治体の姿勢を紹介します。

例えば焼津市です。市内全小中学校の運動場、砂場、それぞれ2つの地点で地表から5センチ、50センチ、1メートルの3段階の高さで週1回のペースで調査し公表しています。

藤枝市は、危機管理課、生活環境課、児童課の職員がグループに分かれ、幼稚園や保育園34カ所を測定し、文部科学省の基準値以内という結果を公表しました。国と県の調査で健康への影響はないと発表されている結果に加え、市独自の検査で親たちの不安を解消するのが目的と言っています。この財源の根拠として、市役所各部長の裁量で喫緊の案件に対応する部長政策費を活用した緊急事業で、総務部の予算でガイガーカウンターを購入したということです。

本市より西側の自治体でもこのようにしっかりと子供たちや親の不安にこたえようとしているのに、県の計測値だけをもって直ちに健康に影響を及ぼすものではないといい続けているこの本市の姿勢と近隣の自治体との姿勢の差はどこに原因があるのか、しっかりと反省していただきたいと思います。放射線量の実態をきめ細かく系統的に調査し、正確に状態を把握し、結果を公表する、これは放射線防護の体制づくりの大前提です。

私ども日本共産党市議会議員団は、政務調査費で検査機器を購入し、市内の公園、保育園を独自に検査しています。皆さんのお手元に配布した資料をごらんください。

数値を発表しますが、10秒間隔で10回から20回地表面と地上1メートルでそれぞれ計測をしています。法令で定められている一般人の年間被曝量限度は1ミリシーベルト、1時間当たりに換算すると0.114マイクロシーベルトです。計測結果は平均でも0.1マイクロシーベルトを超える数値もあり、広域的に計測の必要があります。系統的にリアルに実態を把握し、正確な情報を市民に公表するという根本的な姿勢が求められています。せめて保育園、幼稚園、小中学校など子供の施設の測定と公表、それが市民や親の不安感解消につながります。計測実施について見解を求めます。

4点目に、学習指導要領により中学生にも放射線に関する授業が始まります。中学生みずから放射線量を測定し、授業を充実させるべきだと思いますが、その方針について伺います。見解を述べていただければ結構です。

5点目には、妊産婦や乳幼児を持つ母親への対応について伺います。

乳幼児、子供は細胞分裂が活発なため、20代、30代の4倍も放射能への感受性が高いと言われています。若い母親からは、水道水は安全か、母乳は飲ませても大丈夫か、魚、肉、野菜はどういう基準で選べばいいのか、ホットスポットって何など、次々と新たな疑問や不安は尽きません。これまで暮らしや子育ての中で放射線にかかわることなく過ごしてきたのが、突然放射能汚染から我が子を守らなければならない現実と向き合うことになり、基本的知識と対応策を知り、みずから行動したいという母親はふえています。母親の不安にこたえるためにも、例えば子育てに必要な基本的知識を盛り込んだパンフを母子手帳と一緒にとか、あるいは乳児健診時に配布するなど、手だてが必要ではないでしょうか。その対策について伺います。

次に、子ども医療費について伺います。

拡充をスタートした場合の毎年の予算をどこから持ってくるかで今調整中とのことですが、そのスタートさせたいという意思のあらわれとして、財政調整基金、残高73億、健康福祉基金、残高21億円、これを活用してでも、そして補正予算を組んででもスタートさせるという強い意気込み、意思を示さなければ実現にはほど遠いと思います。市長の姿勢と見解を伺います。

以上、2回目の質問です。

 

 

◯教育長(高木雅宏君) 小中学生に放射線の正しい基礎知識を科学的に理解させるための教育についてという御質問についてお答えします。

本市中学校においては、理科、社会科、技術・家庭科において新学習指導要領を踏まえ、エネルギーや原子力にかかわる内容について授業を行っております。例えば3年生の理科では、科学技術と人間の項目において放射線の性質と利用等について学習をしております。そして、身につけた知識のもとに生徒たちが自然環境を守ることの大切さとエネルギーの有効、安全な利用のあり方について、自分の意見や考えが持てるように授業を展開しております。今後は、全小中学校において、東日本大震災を受けて文部科学省より発行が予定されている放射線の影響や防護についての副読本や県教育委員会の作成した放射線についての資料を活用し、より一層理解を深める授業を推進してまいりたいと考えております。

もう1点でございます。放射線についての授業の充実はというような御質問がありました。

中学生に放射線の正しい基礎知識を身につけさせるための授業の充実は、大変重要なことであると考えております。新学習指導要領では、原子力発電で使われる核燃料は放射線を出していること、放射線は自然界にも存在することなどを学習することになっています。理科の授業では、医療や製造業などで放射線が利用されている状況や自然界に存在する放射線等を調べることを通して、生徒が正しい基礎知識を身につけられるよう授業の充実に努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

 

 

◯教育次長(鈴木教之君) 2点の御質問にお答えいたします。

まず、学校給食で使用する食材の安全確保の現状と今後の方針についてでございますが、食材の安全性については、原子力災害対策特別措置法に基づき、各都道府県が検査・管理を徹底しており、食品衛生法に基づく放射性物質の暫定規制値を超えた食品が市場に流通することはないと認識しております。

本市の学校給食で使用している食材は、すべて静岡県学校給食会や静岡市中央卸売市場登録業者を通じて購入しておりますので、出荷制限を受けた地域の食材が納入されることはないと考えております。また、納入に際しましては、産地証明や安全証明、あわせて放射性物質に関する検査結果などをもとに栄養士や調理員が検収、記録をし、単独調理校においては学校長、共同調理場においてはセンター長が内容の確認をしております。今後とも食材についての情報収集と安全確認を徹底し、より安全・安心な給食の提供に努めてまいります。

次に、幼稚園、小中学校の放射線量の調査についての御質問でございます。

現在のところ、県が静岡市葵区で実施し、公表している環境放射線等測定では、震災前と比較し測定値に大きな変化は見られません。したがって、現時点において教育委員会では独自の測定は考えておりません。今後、県の測定値に異常が認められた場合には、適切に対応してまいります。

以上でございます。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 同じく放射能に関します2点の御質問にお答えをさせていただきます。

最初に、保育所、児童クラブの放射線量の調査についてでございますが、ただいま教育委員会から答弁がございました同じ理由によりまして、現在のところ保育所、児童クラブでは独自の測定を実施することは考えておりません。

次に、妊産婦や乳幼児の母親への放射線の基礎的知識についてでございますが、保健福祉センターにおきまして、妊婦への母子健康手帳の交付時や乳幼児の健診時などの際に保健師が厚生労働省が作成した資料などを用いまして放射能に関する相談に応ずるとともに、国、県などから新たな情報が得られた場合には、ホームページやリーフレットを活用し適時適切に伝えていきたいと考えております。

以上です。

 

 

◯経営管理局長(小長谷重之君) 子ども医療費助成の財源について、基金を活用したらどうかとの御質問についてお答えをさせていただきます。

拡大する子ども医療費助成制度は、将来にわたって継続的に実施していく事業であり、安定的な制度運営を続けるためにも、基金のような限りある財源ではなく、行財政改革により生み出す恒久的な財源を確保した上で実施すべきものと考えております。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) 2回の答弁で、本市の消極的な姿勢がありありとわかったと思います。3回目については、放射線と子供との関係で、本市に欠けている姿勢を指摘させていただきます。

我が市議団の測定結果でも、地表面のほうが数値は高く、雨どいの下や草むらは高い数値が出ています。県の検査箇所だけでは極めて不十分です。市内広範囲にメッシュで広域的、系統的に測定し、状況の正確な把握を市独自でぜひ実施していただきたいと思います。この数値実績があれば、いざ事故が起こったときの判断材料ともなり、迅速な行動や対応ができる根拠ともなります。市長みずからおっしゃっている不安を安心に変える、これを声高に掲げておりますので、ぜひこれを実現すべきではないでしょうか。ぜひ実施していただきたいと思います。

もう1点の指摘です。

今回の質問に当たりかかわっていただいた課は健康づくり推進課……

 

 

◯副議長(井上恒弥君) あと1分で終了してください。

 

 

◯4番(鈴木節子君)(続) 保健予防課、子育て支援課、保育課、学校教育課、学校給食課、そして危機管理課と数部局にわたり、放射能対策を統合して責任を持って管轄する部署も明確ではありません。答弁に当たる職員も御苦労されたことと思います。原発事故という未曾有の事故により、過去最大の放射性物質が放出された今、総合的に事に当たる組織体制を早急に構築される、この必要性、職員の皆様は、心の奥深くでは強く認識をされているんだと思います。今回職員とのレクチャーでも、大分その意識を私は受けとめておりますので、組織的な体制づくりについては早急に構築されたいということを要望して、質問を終わります。