指定管理者制度、買い物弱者対策について質問

102◯17番(内田隆典君) 通告しております指定管理者制度、買い物弱者対策について伺いたいと思います。

最初に、指定管理者についてであります。

指定管理者制度は、住民の福祉を増進する目的をもって、その利用に供するための施設、公の施設について、民間事業者等が有するノウハウを活用することにより、住民サービスの質の向上を図っていくことで、施設の設置目的を効果的に達成するため、平成15年9月に設けられたということであります。

本制度は、導入以降、公の施設の管理において、多様化する住民ニーズへの効果的、効率的な対応に寄与するところですが、地方公共団体においてさまざまな取り組みがこの間されている中で、留意すべき点も明らかになってきております。これまでの通知に加え、改めて制度の適切な運用を図るよう努めるよう昨年12月28日、総務省自治行政局長より、都道府県知事や議長、指定都市市長、議長あてに通知が出されております。

この通知は、2009年4月、草薙総合運動場体育館で、利用者が折りたたみ式のバスケットゴールに挟まれて死亡した事故、2010年6月にも、浜松市の県立三ケ日青年の家のボートが浜名湖で転覆し、中学生1人が死亡したことを受けているものと言われております。平成15年以降、全国的に公の施設が指定管理者に任されてきている中で、今回の通知は指定管理者への移行は慎重にとも受けとめられるわけであります。

そこで伺いますが、静岡市において指定管理者制度導入の時期及び現在の導入施設について、まず伺っておきたいと思います。

次に、清水区における生涯学習交流館について伺います。

生涯学習交流館は、以前は清水地域では公民館という形で利用され、教育委員会が管轄しておりました。その後、生涯学習交流館と名前を変えまして、現在の市長部局へと管轄もかわっております。

言うまでもなく、清水地域はこれまで公民館を中心としてまちづくりが進められ、現在もさまざまな講座を含めて、活発な活動が展開されている。こうした中で、生涯学習交流館を2012年より指定管理者制度へ移行するということが報道されております。

指定管理者への移行が持ち上がったのが、06年の区民懇話会での提言がきっかけと言われております。管理団体としては、地元の連合自治会ということであります。

質問の2点目は、生涯学習交流館に指定管理者制度を導入する理由、経緯と指定管理者選定の考え方及び他の政令市において、こうした制度導入がどのような状況になっているのか、伺っておきたいと思います。

中でも、今回の生涯学習交流館の指定管理については、新聞報道によりますと、地元連合自治会に業務委託ということでありました。指定管理者委託に当たっては、いろいろな団体、その内容に合った優れた団体に委託していくというのが、これまでの業務委託のあり方だと私は感じております。

今回、生涯学習交流館を自治会に業務委託するということでありますけれども、懇話会の中でも幾つか心配な点が指摘されておりました。協議の中では、利用者や職員から予算が厳しくなり、積極的に館独自の事業を行うのが難しくなるのではないか。運営のノウハウが継承できないのではないかなど、不安を訴える声も出されておりました。今回の生涯学習交流館の委託については、1つの団体に委託をするということでありますが、これは総務省の示しております業務委託に当たっては、複数の事業計画書を提出させるのが望ましいといった、こうした点からも幾つか問題を感じるわけでありますけれども、考え方について伺っておきたいと思います。

次に、買い物弱者対策についてであります。

高齢化や人口の減少等で、身近な場所からスーパー等が撤退し、買い物するのに困難になってきている人、いわゆる買い物弱者は全国的に約600万人とも言われております。

経済産業省も社会的に大きな課題となっている買い物弱者に対して、事業者等による対応の先進事例集とその工夫のポイントをまとめた買い物弱者対応マニュアルを公表しております。そして、ことし3月にはその事例を拡充した完成版を公表すると予定がされているようであります。

経済産業省は、2010年の補正予算でも買い物弱者対策に取り組む事業者に、車両購入費に対し補助を創設いたしました。しかし、来年度の予算にはこの類似予算が盛り込まれていない、こういう状況だと聞いております。

買い物弱者対策は、民間事業者や住民だけでの対応では限界があります。行政を含めていろいろなところで支援策を検討することが求められております。私の住む地域でも、ここ数年、八百屋や肉屋、スーパー等が閉店し、高齢者を中心に買い物に困ったという状況が広がってきております。こうした買い物弱者に対する現状、市当局はどのような認識を持たれているのか、1点伺いたいと思います。

2点目は、静岡市としましても、新年度の予算に調査予算が計上されているようであります。調査の方法と今後の取り組み方について伺って、1回目の質問を終わります。

 

 

◯経営管理局長(深津 薫君) 指定管理者制度の導入時期と現在の導入施設についてお答えいたします。

本市では、平成15年に静岡科学館に指定管理者制度を導入したのを皮切りに、平成18年度には静岡音楽館、中央体育館など88施設に対して当制度を採用し、本格的に導入いたしました。平成23年2月末現在の導入施設数は209施設でございます。

以上でございます。

 

 

◯生活文化局長(久朗津雅敬君) 生涯学習交流館に指定管理者制度を導入する何点かの御質問にお答えいたします。

平成17年9月定例会におきまして、施設の設置目的をより効果的に達成するため、生涯学習交流館の指定管理者制度導入につきまして検討をする旨の答弁をさせていただいております。平成18年3月に清水区区民懇話会から、清水区の生涯学習交流館を地元地域等の団体の管理にすることの提言がされており、これらを受け、指定管理者制度導入につきまして検討をしてきたところでございます。

本年度、指定管理者制度の導入につきまして、自治会などに対しまして説明会を開催して、全地区で御理解を得てきたものと思っております。

指定管理者選定につきましては、今後、指定管理者選定委員会を経まして、最終的には議会の議決により決定をいただくことになりますが、清水区におきまして、この選定に向けて、自治会主体の団体が設立されたことにつきましては承知をしております。

他の政令市の導入状況につきましては、指定管理者制度が5市、そのほか一部委託が2市ございまして、それぞれ民間活力を生かした取り組みをしているところでございます。

以上でございます。

 

 

◯経済局長(鈴木 孝君) 買い物弱者対策に関する2点の御質問にお答えいたします。

1点目は市の認識についてであります。

買い物弱者については、昨年5月に経済産業省がまとめた報告書において、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている人々のこととされておりますが、いまだ明確な定義はなされていません。

本市におきましても、地域の商業環境の変化や高齢者のみで構成される世帯の増加などにより、都市部においても近隣での買い物が困難になる地域が、今後生まれてくる可能性があるのではないかと考えております。

現在、検討を進めております「商業都市しずおか戦略プロジェクト」においても、今後の検討対象の1つとして掲げているところであります。

続きまして2点目ですが、買い物弱者への支援策についての御質問であります。

買い物弱者対策については、昨年12月に国が買い物弱者応援マニュアルを出すなど、取り組みが始まったところであります。本市におきましても、他都市の支援策の把握などの研究を行っていきたいと考えております。

以上でございます。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) 最初に、指定管理者についてであります。

静岡市も15年から導入がされ、現在209施設に指定管理者が導入されているということでありますけれども、生涯学習館に指定管理者を導入した理由ということで、17年の答弁とか懇話会で説明をして、意見が出され、自治会にも説明等して合意を得てきているという話が、今、局長からされました。確かに懇話会の提言とか自治会の説明、合意ということが話されたわけですけれども、すべての自治会の中で、指定管理者に合意をしてきているという状況ではなかろうと思っているんです。総務省の今までの考え方としても、自治会ありきという形を感じてなりません。そういう点で、私はこの問題をもう少し慎重にやっていくのがいいのかなと思います。

それで質問ですけれども、指定管理者の指定期間というのは、大体今の流れから見ていきますと3年とか5年ということで、一般的にやっているようであります。更新についても、指定期間中の総合評価として継続するのかどうかという検討に入ると思いますけれども、更新時における検討内容、新規導入時における市の考え方について、まず1点伺いたいと思います。

2点目は、指定管理者制度を生涯学習交流館に導入するという流れで話がされましたけれども、やはり、先ほど心配な点があると、議論の中で幾つかあったということであります。その1つは、今、生涯学習交流館で職員や委託の人たちが働いているわけですけれども、そうした職員の身分がどうなっていくのかということを、今、どのように考えているのかということと、指定管理者、今では担当課がチェックをしていると思いますけれども、これがどういう形でのチェックになるのか。

また、指定管理者になった場合、これまで以上に使いやすい施設にという言い方がされているわけですけれども、何をもってこれまで以上と言っているのか、その辺の具体的内容がわかれば、お話しいただければと思います。

次に、買い物弱者の対策についてであります。

私も買い物弱者に対する質問をする前に、いろいろな人から御意見を伺ったりだとか、高齢者の方からいろいろ心配事を聞きました。

そういう中で、先日、地域の自治会の皆さんの協力をいただいて、アンケートをとらせていただきました。ちょうど100人ぐらいの方からアンケートの回答が寄せられてまいりました。いろいろ質問をつくってみたわけでありますけれども、その中で出されたのは、買い物に行くには、今の時点ではそうは困っていないという人たちが33%おられました。また、特に今のところ困っていないが67%でした。こうした中で幾つか設問がありましたから、声が寄せられているわけでありますけれども、今のところは自転車等で買い物に行っているから大丈夫だと。しかし、70代に入るとかなり不安である。週に1、2回自転車でスーパーに買い物に行っているけれども、雨の日には行けないのではないか。深刻な回答が幾つか寄せられておりました。

買い物だけでなく、高齢者でありますから病院の通院等にも、バス路線の問題でもう少し充実してもらえないのかと、バス会社も経済的な理由があるからなかなか大変かと思いますけれども、もう少し利便性を考えてもらいたいという意見も出されていました。

今、買い物弱者問題は、全国の自治体で幾つか支援策が進められております。福井県では、高齢者が多く、移動販売が行われていないような地域を対象に、モデル事業として、食料品などの移動販売業者を支援する。車両購入費の3分の2を補助し、運転手の人件費を負担するという内容であります。大分市では、日常的に買い物に苦労している市内5団地で月1回朝市を業者に委託して開催するなど、このような企画がされているようであります。静岡市としても支援策について研究をすべきではないかと思いますけれども、考え方について伺いたいと思います。

それから、大型店の出店時における対応について、経済局長にお伺いしたいと思います。

私の住む清水地域においても、この5月の連休前にジャンボエンチョーを核としたかなり大がかりなスーパーが開店します。そうしますと、当然地域のスーパー等にも何らかの影響があるものと考えられますし、現在でも大型店の出店で、近所のスーパーが店を閉めるという状況も生まれております。現在の法律では、なかなかこれを規制するということはできませんから、事業者が店舗を開店するときには、関係地域に説明をする、渋滞や環境面でどうするのかという説明等は得られますけれども、なかなか難しい問題もあります。

そこで、私はこうした大型店が出店する場合には、ただ説明を受けるというだけでなくて、関係する業者の皆さんや商店街、それから地域の代表者の皆さんも入っていただいて、何らかの検討をする場を設けるようなことを、静岡市としても検討すべきじゃないかと思いますけれども、その点、当局の考え方について伺います。

 

 

◯経営管理局長(深津 薫君) 指定管理者の更新や新規導入時における市の考え方についてお答えいたします。

まず、指定管理者の更新に当たりましては、指定期間満了年度に実施いたします総合評価結果をもとに、再度当該施設の最適な管理形態等について検討及び検証を行い、判断をしております。

次に、新規導入時における考え方でございますけれども、指定管理者制度は、民間の専門性や経験を生かした事業の実施により、市民サービスの向上が期待できるなど、公の施設の設置目的を効果的に達成することができると認められる施設に導入されるものでございます。

一方、個別法により管理者が定められている施設のほか、将来計画や当該施設の設置目的、性質等を考慮し、指定管理者による管理が適当でないと認められる施設につきましては、市が直営で管理を行っております。

なお、平成23年度には32施設について更新を、2施設について新規導入を予定しております。

以上でございます。

 

 

◯生活文化局長(久朗津雅敬君) 指定管理者制度導入後の生涯学習交流館の管理体制についての何点かの御質問にお答えいたします。

まず、指定管理者制度導入時の職員の身分につきましては、人事管理上の問題でございますので、今後検討をしてまいります。

それから、市民サービスコーナーの取り扱いにつきましては、この制度の対象事業ではありませんので、引き続き同様のサービスを提供してまいります。

制度導入後の管理運営状況につきましては、市が施設の管理状態、事業の内容などについて適切かどうか点検評価をしてまいります。

利用サービス向上についてでございますけれども、この制度は市が定める業務を誠実に履行するとともに、指定管理者が独自に事業の実施等について考えていくことが特徴の1つでございますので、今まで以上にサービス向上が期待されると思っております。

以上でございます。

 

 

◯経済局長(鈴木 孝君) 2点の御質問にお答えいたします。

初めに、買い物弱者への支援策でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、本市におきましては、他都市の支援策の把握などの研究を行っていきたいと考えております。

2点目は、大型店の出店時に地域の声を反映させることができないのかとの御質問でございます。

今議会に提案しております静岡市商業の振興に関する条例案の規定に基づき、大規模小売店舗の設置者について、地域社会に貢献する活動を推進し、良好な地域社会の形成の寄与に努めることを求めているところであります。

大型店の出店においては、大規模小売店舗立地法に基づき、届け出から2カ月以内に地元での説明会の開催が義務づけられております。本市では、多くの市民の皆さんに、出店について意見を述べ、御理解をいただけるよう、説明会を周知する対象範囲を、他の指定都市の多くが店舗から半径1キロメートルとしているのを、半径2キロメートルと、より広範囲に設定しております。今後は、出店における説明会において、地域貢献等に係る意見交換が行われることにより、良好な地域社会の形成につながることを期待しているところでございます。

以上であります。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) 最初に、指定管理者制度についてでありますけれども、職員の身分については、今後、検討していくということでありますけれども、この間の総務省の通知等からも、やっぱりこの辺についてはきちんと身分や労働条件が下がらないようにという指摘がありますから、きちんとやっていただきたいと思います。

それから、複合施設における守秘義務についてということで1点伺いたいと思いますけれども、皆さん御案内のように、現在、住民票等の受け取りができるような生涯学習交流館もあります。それで、その館のレイアウト等もありますから、一般の職員と戸籍住民課から派遣された職員の皆さんが行き来をしているということで、守秘義務の問題がどうなるのかということが心配されます。あわせて、指定管理者制度ということになりますと、一層その辺の守秘義務について、きちんとしていかなければならないと思いますけれども、その辺についてどうお考えなのか、伺いたいと思います。

それから、今回、指定管理者を自治会にということでありますけれども、昨年の12月に総務省が通知した内容は、指定管理者制度は公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を指定するもので、価格競争による入札とは異なるとして、コスト削減のみを目的としないように求めていると、こういう言い方がされております。

あわせて、指定管理者が仕事を非正規職員に任せたり、自治体の直営時に比べて賃金を安くすることなどが問題視されているのを受け、指定管理者の選定に当たっては、労働法規の遵守や労働条件への適切な配慮がされるよう要請しております。

こうしたこの間の総務省の通知からしても、今回の生涯学習交流館の指定管理者制度は、この内容からもしても余りにも問題があるということを、私は感じております。もう少し慎重に進めるべきではないのかと。自治会の役員というのは、御案内のとおり、毎年とは言いませんけれども、数年で役員が交代をしていくわけであります。問題がないといいわけですけれども、問題があった場合、だれがそういう点での責任を果たしていくのかということも考えられます。

本来、医療や教育、文化といった行政が直接公的責任を負わなければならない分野に、指定管理者というのを持ってくるというのは、私は問題を感じております。

先ほども述べましたけれども、これまでも清水地域は、まちづくりの拠点として、生涯学習交流館が使われてまいりました。これからもそうなることを望んでおりますけれども、そういう点では、単に今度の生涯学習交流館が貸し館事業になるとは、私は言いませんけれども、安易な指定はそういうことになりかねないという危惧を覚えています。

確かに、清水地域の中でも、公民館によっては、本当にそこの自治会の皆さんが多額の寄附をして公民館をつくってきたという歴史もあります。いろいろ公民館によって違いがあろうと思いますけれども、そういう点を含めますと、私はもう少し生涯学習交流館の指定については、真剣に、慎重にやるべきだということを感じておりますから、改めてこの問題についての回答を求めておきたいと思います。

それから、買い物弱者の対策についてであります。支援策は、今から把握していきたいという経済局長の答弁でありますけれども、もう600万人を超える人たちが買い物弱者、買い物難民ということが現実に起こっている。そういう点では、把握をして支援策を検討していく時期じゃないかという感じをしております。ぜひ、そういう点でのスピードも上げてもらいたいと思います。

それから、もう一点、大型店に対する問題であります。これも局長は、他の政令市は半径1キロぐらいで説明をやっているけれども、静岡市は半径2キロで説明をしているということですが、説明は説明なんですよ。やはり、説明だけでなくて、私はそこの大型店が出店すると、大型店はいいですよ。しかし、そこで住む住民は一生ずっと住み続けるわけで、その大型店が出店することによって、地域のまちづくりや、ましてやスーパーや肉屋やこういうものが壊されてくるということだって危惧されているわけです。そういう点では、もう少し踏み込んだ対応を静岡市としてもするべきである。説明会だけでは不十分だと思っておりますから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 

 

◯生活文化局長(久朗津雅敬君) 複合施設における守秘義務についてでございます。

業務における守秘義務につきましては、利用者に対して生涯学習交流館か、あるいは市民サービスコーナーの業務かの確認をしておりまして、相互に立ち入らないように配慮をしているところでございます。議員がおっしゃるように、事務室が分割されていないところも交流館の中にはございますので、今後はその部分の配慮をしてまいりたいと思っております。

それから、総務省の通知を踏まえた指定管理者制度の導入の考え方でございますけれども、この制度に係ります今回の総務省通知につきましては、従来の通知を取りまとめたものと受けとめております。したがいまして、清水区の生涯学習交流館の指定管理者制度導入につきましても、制度の趣旨に基づいて対応していくことと考えております。

以上でございます。