生活保護行政と債権管理について質問

53◯17番(内田隆典君) 通告しております生活保護行政と債権管理について質問させていただきます。

最初に、生活保護行政についてでありますが、現在の生活保護法は、1950年、第二次世界大戦の後、世界的な生存権、人間らしく生きる権利、保障制度を確立する運動の中で、民主主義と暮らしを守る国民の運動の中でできたと言われております。現在の生活苦や貧困、病気は個人の責任ではなく、政府の非正規雇用を増大させる労働法制、貧しい健康医療、福祉、経済対策など、社会的原因によることが大きいと思われます。

こうした中で、昨年秋以降の世界的経済不況は、私たちの暮らしにも大きな影響を及ぼしております。若者の間では、派遣切りや解雇、働きたくても職が見つからない。生活が成り立たないという状況がつくり出されております。

そうした中で、生活していく上で最後のとりででありますのが生活保護であります。皆さんもたくさん相談を受けているのではないかと思いますけれども、そこで、この保護の状況について、何点かについて質問をさせていただきます。

1点目は、相談者が予約なしで区役所等々に相談に見えると思いますけれども、そういう場合の対応がどうなっているのかというところが1点目であります。

2点目は、昨年以降、大変な経済不況にありますから、相談もふえていると思われます。相談の数や申請、それから、相談のうち、保護の開始になった件数がどのように推移しているのか伺いたいと思います。

3点目は、ケースワーカーについてでありますが、ケースワーカーも、この相談者数の増大の中で大変な御苦労をされているようであります。担当の世帯数がどのくらいになっているのか、また、20年度におけるケースワーカーの時間外勤務の状況についても触れていただきたいと思います。

4点目は、母子加算の廃止であります。母子加算がこの4月から廃止になりました。そういう点では、ただでさえ大変な生活実態、大変な暮らしを強いられているということが、いろんな点で指摘をされております。この静岡市において対象となる世帯数はどのくらいになるのか。また、20年度における支出額がどのくらいになるのか。

5点目は、申請書の問題であります。この生活保護におきましては、現在のところ、相談に行きますと、ケースワーカーが相談室で相談を受けるわけでありますけども、それはそれとしていいわけでありますけれども、申請書を窓口に置いて、この申請をやりやすくするというのが、今、いろんな点で指摘されておりますけども、申請書をなぜ窓口に置いていないのか伺いたいと思います。

次に、2点目の債権管理についてであります。

長引く不況の中で、生産調整や雇いどめ等で、ハローワークには職を求めて多くの人が訪れております。私も先週、ハローワークに行ってまいりましたけども、大渋滞、それから、1時間ぐらい待つのは当たり前という状況であります。先ほども話がありました静岡県の有効求人倍率が、4月は0.42、全国の0.46よりも低いという状況であります。5月14日発表の日銀静岡支店の発表では、最近の静岡県の金融経済の動向では、県内の景気は大幅な悪化を続けている。輸出は前年比マイナス55.3%と大幅な減少、設備投資も減少しているという状況であります。雇用や所得環境は厳しい状況になっており、そのもとでの個人消費は減少を続けております。

中小業者はどうかといいますと、4月23日、NHKで報道しておりましたが、100年に一度という金融経済危機の影響で、自分の事業だけでは生活できないと答えた業者が60%、中小業者の深刻な実態が浮かび上がりました。

このような中で、税金を払いたくても払えないという状況が出てきております。そこで何点かについて伺いたいと思います。

1点目は、昨日も市営住宅の滞納問題が議論されましたが、市税の全体の滞納状況がどうなっているのか。

2点目は、滞納の現状について、市はどうとらえているのか、受けとめについて伺いたいと思います。

3点目は、滞納者への対応はどのように行っているのか。

それから、4点目は、分割納付ということが言われております。相談に行きますと、1年で納付してくれ、長くても2年ということが言われておりますけども、その基準について伺っておきたいと思います。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護行政の5点の質問にお答えさせていただきます。

最初に、予約なしに直接相談に来所した人への対応はどのようにしているかということでございますが、生活保護の相談については、予約がなくても相談に応じております。

次に、昨年の10月以降、相談、申請、開始件数はどのように推移しているかということでございますが、昨年10月からことしの5月までの8カ月間を見ますと、相談は2,222件、申請が630件、開始は、職権保護を含めまして641件でございます。1年前の同時期と比較して、相談件数で50%増、申請件数で66%増、開始件数で58%増と、いずれも大きな伸びを示しております。

次に、ケースワーカー1人当たりの担当世帯数、それから、20年度における時間外勤務の状況ということですが、本年4月1日現在の本市のケースワーカーは41名で、1人当たり平均104.3世帯を担当しております。平成20年度の時間外勤務は、月平均にすると1人当たり29.6時間となっております。

次に、今年度から母子加算が廃止されたが、その世帯数はどれくらいか、また、20年度の支出額はということでございますが、平成21年3月末現在、母子加算の対象となっていた世帯は155世帯でございます。また、20年度中に母子加算として給付した額は、総額約1,300万円でございます。

最後に、窓口には申請書を常時置くべきと考えるがどうかということでございますが、生活保護の相談におきましては、相談者の生活状況や困窮状況などを把握するとともに、年金など他の福祉施策の活用などについて助言・指導を行い、保護が必要な方については申請書を交付しております。

以上でございます。

 

 

◯財政局長(諸戸修二君) 債権管理、市税の関係で4点について御答弁を申し上げます。

まず、最初の市税の滞納の現状についてでございますけども、本年、21年5月末におけます市税全体の収入未済額は約85億円でございまして、前年同期と比較いたしますと約3億円の増加を見込んでいるという状況でございます。

続きまして、この滞納の現状についてどう受けとめているかという点でございますけども、円滑な財政運営を行っていきますためには、安定的な市税収入の確保ということが大変重要でございます。収入未済額の増加については、憂慮をしている次第でございます。こうした認識のもと、滞納整理の強化ということにつきましては、財政局の経営方針の1つとして掲げ、滞納額の圧縮に鋭意取り組ませていただいているところでございます。

3点目、滞納者への対応についてということでございますけども、まずは、電話あるいは文書による催告を始めまして、臨戸折衝などによる納付を促していく。その上で、納付約束を守らない方、再三の催告に応じられない方につきましては、財産の差し押さえなどの滞納処分を行っているということでございます。

なお、やむを得ない事情によりまして市税を納めていただくことができない場合には、納税猶予あるいは分割納付ということで対応させていただいておりますけれども、生活困窮者など、担税力の乏しい方につきましては、厳密な調査に基づいた上でございますけども、滞納処分の停止を実施しているところでございます。

それから、4点目でございます。分割納付についての基準はどうかという点でございますけども、これは、地方税法に規定がございまして、その第15条第1項におきまして、地方団体の長は、納税者などが災害を受けた場合、病気にかかった場合、事業を休廃止した場合などの一定の要件に該当し、一度に納税していただくことができない状態であるという場合につきまして、その納税者の方の申請に基づいて、原則1年以内の期間に限りまして徴収猶予をすることができるとされております。

また、同条第3項におきまして、地方団体の長は、徴収を猶予した場合におきまして、その猶予をした期間内にその猶予した金額を納付等することができないやむを得ない理由があると認める場合には、これも納税者などの申請によりまして、その期間を延長することができる。ただ、その期間につきましては、既にその方について徴収を猶予した期間と通算いたしまして2年を超えることができないと法定されているところでございます。

以上でございます。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) それぞれ答弁いただきましたけれども、生活保護についてですけども、相談、申請、開始、それぞれ50%、66%、58%と相当な件数が出されているわけでありますけども、大変深刻な状況だと考えます。

そこで、1点目ですけども、20年度において保護開始されたもので、法定期限内に決定された件数と法定期限内に決定できなかった件数について伺いたいと思います。

それから、相談に来て、申請にまで至らなかった人も、この数字からいくと3分の1ぐらいは申請までには至らないという数字だと思いますけども、そうした人たちに対する後追いといいますか、ケースワーカーの人たちがいろんな指導もしていると思いますけども、援助を含めてどのようなことをやっているのか。申請までに至らなかった主な理由について伺いたいと思います。あわせて、その人たちへの対応を伺いたいと思います。

それから、ケースワーカーについてでありますけども、1名で104人を担当しているということですから、基準からすれば相当多い人たちを担当しているということですね。時間外についても29時間ということであります。時間外は財政や福祉部門、病院、消防とそれぞれ特殊性を持ったところで、毎年こういう水準の時間が出てきていると思いますけども、そういう点ではケースワーカーの皆さんは大変な思いをされているのではないかと思います。そういう点では、ゆとりを持って、職員の皆さんが自分の健康も含めてアドバイスできるような体制をとっていく必要があるのではないかと思います。そういう点で、ケースワーカーの増員等を図っていくべきではないかと思いますけれども、その辺についての考え方についてお聞かせ願いたいと思います。

それから、母子加算についてでありますけども、155世帯で1,300万円ぐらいの予算をつけているということですね。これがこの4月からやられまして、昨日の参議院の厚生労働委員会では、この問題を参議院では加算をやめろという法案が可決になり、きょう、参議院では本会議でも可決するようでありますけども、そういう流れになっていると思います。そういう点では、今、世の流れは、貧困や格差をなくして生活できる賃金をという流れに変わってきております。

そういう点では、市として、国がどういう形で流れていくのかわかりませんけども、衆議院の段階で一定、150世帯、1,300万円、市単でやっぱり補助できないかどうかということとあわせまして、国に対して、県知事や政令市の市長を含めて、首長の人たちは国にいろんな要望をすると思うんですね。そういう点で、市長あたりもいろんな形で要望等々やります。そういう点では、この問題というのは深刻な状況だと思いますから、静岡の市長も、国に対してこういう廃止の問題を意見として出していただければと思いますけども、考え方について伺いたいと思います。

それから、債権管理の問題でありますけども、今、説明を受けました。滞納が85億円もあるということで、大変深刻な状況はわかりました。頑張って対応していっていると思いますけども、今いろんな相談が、民間の金融機関でも、なかなか今の経済危機の中で支払いが大変だということになると、利息がふえますけども、一定ふえますけども、長期に延ばして支払いをという、そういう相談をしたりやっていますよね。

そういうことが1つと、あと、自治体も、静岡の市役所もいろんな相談に乗っていると思いますけども、多重債務の相談者にもきちんと相談に乗ってやって、本当に生活が成り立っていくように。それで、多重債務で過払いが発生した場合は税金として納めてもらうとか、いろんなきめ細かな相談をやっていっていただいていると思うんです。

私、気になるのは、1年とか2年とかの法律の問題をいろいろ言いましたけども、ただ、この間、私に相談が来ている中でも、一方的に、生活設計が成り立たないような指導をしているんですよ。指導をしている。原則だ、原則だということでね。原則でやられると生活は回っていかない。生きていけないという状況まで追い込まれるんですよ。そういうのはもっと、こういう金額はわかりますけど、もっと生活が回っていくような形で滞納の実態を見ながら、納付計画を立たせると生活が成り立つような、そういうこともやっぱり相談するときにやっていただかないと、今、大変な生活ですからね。その辺ちょっと、一般的な整理じゃなくて、温かい相談に乗っていただけないかなと思いますけど、この考え方だけ伺っておきたいと思います。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護行政の4点の御質問にお答えさせていただきます。

最初に、20年度において保護の開始がされたもので、法定期限内に決定された件数と法定期限内に決定できなかったものの件数はどのくらいかということです。

平成20年度に保護を開始した件数は763件ございます。そのうち、法定期限内である14日以内に決定されたものは207件でした。

なお、扶養義務者や資産の調査に日時を要するなど特別な場合には、30日まで延ばすことができるとされており、30日以内に決定されたものは556件でございました。

次に、相談をした人が申請に至らなかった場合の主な理由、また、そういう人に対してどのような対応をしたかということでございます。

申請に至らない理由の主なものは、活用できる資産があったこと、収入が生活保護の最低生活費を上回っていたこと、年金や失業手当など、他法、他施策の利用が可能であったことなどによるものでございます。

なお、申請に至らなかった方で、例えば年金手当など受給が可能な場合には、その手続の助言など、必要な援助を行っております。

次に、ケースワーカーを増員すべきであると考えるがということですが、ケースワーカーの増員につきましては、生活保護世帯数や相談、申請件数が増加していることから、非常勤嘱託職員の活用を含め、市民サービスに支障が生じないよう検討していきたいと考えております。

最後に、母子加算の廃止の撤廃について、市としては国に要望する考えはないか、また、市単独で母子加算分を支給する考えはないかということでございますが、母子加算の廃止の見直しについては、現在、国において議論されておりますので、その動向を見守っているところでございます。

現在、市単独で母子加算分を支給することは考えておりません。

以上でございます。

 

 

◯財政局長(諸戸修二君) 滞納者の方の生活実態に合った納付計画ということについてでございますけども、この納付計画につきましては、滞納者の側でお考えをいただきました上で、納税相談などを通じまして、個々の滞納者の所得あるいは生活状況等の実態を調査をし、担税力を勘案の上で、徴収猶予の申請書類と合わせまして受理をさせていただいているというところでございます。

法定で最大2年以内ということになるわけでございますけども、長期間にわたります分納につきましては、その期間が長い場合には、生活状況の変化も当然あり得るということから、一定の期間ごとに見直しを行いますなど、法令の範囲内で個別に対応をさせていただいているところでございます。

以上でございます。

〔17番内田隆典君登壇〕

 

 

◯17番(内田隆典君) 生活保護についてでありますけども、国で今議論されているからということでありますけども、国は国として、局長はなかなか意見を言うとか言わないとかというのは、市長じゃないからあれでしょうから、小嶋市長が国にそういう意見を述べるようにということで、ちょっと求めてみたいと思いますけども。それも市単の問題も含めて、市長、お考えあれば伺いたいと思います。よろしくお願いします。

次に、相談に来て、生活が成り立たないという人も、いろいろケースとしてはあると思うんですね。私が心配するのは、本当に生活が成り立っていくのかどうかという問題で、市役所に来て1回相談したけども、なかなか生活保護まで至らないけどもということの中で、その後の後追いといいますか、安否確認含めて、どういう形で本当に生活が成り立っているのかどうかということを心配するわけですよ。そういう点では、本当に、今、少ない人数の中で担当の方々が努力されているのはわかるんです。しかし、私に相談に来る人は、本当に100円玉を握りしめて来るような状態も、本当に成り立たないという人がいるわけです。そういう点では、そういう人がもっともっと相談と申請と、この数を見ますとあると思うんで、その辺、どういう形での対応がされるのかお願いしたいと思います。

それから、ケースワーカーの増員の考え方でありますけども、非常勤で対応をなされるということなんですね。しかし、先ほどの人数との関係からすると、相当な数で負担になっていると思うんですね。これは、昨年秋以降の経済不況の中でこういうふうになってきているというのも一理あるかもしれませんけど、その前から、ここに生活保護というか相談に来る方は、相当な数がおられるわけですよ。そうすると恒常的になっている。そういう点では、何とか非常勤の方でとりあえずという数字じゃないと思うんです。ずっと職員の方の負担が続くと思うんですよ。やっぱり健康問題を含めて、これはきちんと対応をしていくべきじゃないかと思いますけども、改めてそのことだけ。

 

 

◯市長(小嶋善吉君) 母子加算のお話ですけども、市単でという話がありますが、国がやっていたものをやめたら、すべて市町村が負担するというのも変な話ですよ。ですから、こういった話は、一自治体の長という立場ではなくて、県の市長会あるいは全国市長会の立場で議論して、それで国に対して言うべきなら言うべきであろうというふうに思います。

以上です。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護の相談に来た方で申請に至らなかった場合、その後のケアということでございますが、ひとり暮らしの高齢者など安否確認が必要な方につきましては、民生委員や地域包括支援センターに連絡し、見守りなど支援をお願いしているところでございます。

なお、ケースワーカーにつきましては、市民サービスが低下しないように検討させていただきます。

以上でございます。