耐震補強助成の拡充、三保羽衣土地区画整理事業の計画変更、農業委員会が市に提出した建議書への対応について質問

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156◯31番(山本明久君) 私は3つのテーマでお聞きしていきます。

第1は、耐震補強助成の拡充を求めるものです。本市においても、地震から市民の命と財産を守るために耐震対策事業が進められていますが、今回の南海トラフ3連動に対応するために、現在の事業と計画を前倒ししながら進めて、そのためにも助成制度を拡充していく必要があるのではないか、こういう視点からお聞きしていきます。

我が党市議団は、耐震補強助成制度の創設を阪神・淡路大震災後いち早く求めて、制度の拡充も一貫して提案してきました。M8、震度6以上を想定した本市の現在の第3次被害想定では、市内の住宅など建物数約26万棟、これは平成10年度の時点ですが、このうち地震動などで大破・中破が約10万棟、38%に被害が及ぶというふうになっています。南海トラフ3連動では、阪神と東日本の被害が同時に合わさった大地震になるおそれがあり、被害はさらに重複して増加すると考えられます。

やはり、耐震対策の思い切った強化が必要です。そこで、まず本市が進めている耐震対策事業の対象となる建物の総戸数──これは内訳も含めて──と耐震性なし戸数の現状について示していただきたい。

第2は、三保羽衣土地区画整理事業の計画変更についてです。

私は昨年度、都市建設委員会で、この事業が東日本大震災の影響による地価の大幅下落で、保留地処分の見通しが立たなくなるんじゃないか、資金計画は大丈夫かということを心配して取り上げました。ことし7月に組合から権利者に対して、移転計画や道路整備などの事業計画変更に関する提案のたたき台が示されて、資金計画に赤信号がつくという状況が明らかになりました。

ですから、今回、この組合施行の事業を指導・助言してきた市の考えを問いただしたいと思います。

本市の最近の苦い経験として、地権者合意が不十分なまま進めて事業廃止となった同じ組合施行の興津第二土地区画整理事業では、破綻処理に市も地権者も非常に多額の負担を強いられました。こうしたことにならないように、16年度から始まり、半分ほど進んだ三保の事業において起きている問題の解決に、道筋が本当につくのかという点についてです。

区画整理事業は、保留地をどれだけつくり、どれだけ売るかというのが資金計画のかなめになる事業ですので、まず、この区画整理事業の資金計画における現状、見通しについて市の認識をお聞かせいただきたい。

そして、当初の資金計画が悪化していることに対して、市はどのようにこの対策について指導してきたのか、お聞かせいただきたいと思います。

第3は、本市の農業委員会が市に提出した建議書への対応についてです。

私もことし、議会推薦で農業委員を市長から委嘱を受けて務めていますけれど、農業委員会は独立行政機関として農家の議会と言われています。静岡市の農業を直接担って、農業の発展に取り組むことで、本市の食料供給や産業を支えています。その農業の専門家の議会として、農業委員会は毎月、地区審査会や総会で農家の声を反映しながら、活発な議論を進めています。

そうした議論の結果、本市において現実的に直面する解決や実現を求める課題が建議書にまとめられています。実は、8月の総会で、ある委員の方から、議会選出の委員はその実現のために全力を挙げてほしいということを、わざわざ発言されました。これは、ある対策協議会の中でも同じような意見が出たんです。今までも出してきたけれど、どういう扱いになっているのかよくわからないという意見でした。ですから、総会とか正規の会議で出た意見である以上、真正面から受けとめる必要があるということで、今回質問することにいたしました。

まず、この9月に農業委員会が市長に提出した農業施策に関する建議書について、市長はその内容をどのように受けとめているのか、また、実現に向けてどう努力しようとしているのかという決意についても、議会の場で明らかにしておいていただきたいと思います。

そして、建議書で示された農業施策について、これから市が検討すると思うんですが、その検討した対応策や考え等につきましては、回答という意味合いで、文書にして農業委員会に示してはどうか。私は真剣に議論してまとめた建議書の扱いとして、文書で回答するというのが筋だと思いますし、提出者にとっての励みになると思います。そのように市長はぜひ対応していただきたいと思いますけれど、考えを述べていただきたいと思います。

以上、1回目です。

 

 

◯副市長(山本克也君) 農業委員会の建議書への対応についてお答えいたします。

建議書は、市内約7,900戸の農家の皆さんが日ごろの生産活動の中で痛切に感じられている御意見や御提案が集約されたものと、真摯に受けとめております。

今回、建議いただいた項目のうち、特に御要望の多い有害鳥獣被害対策につきましては、電気さくや防護さく等の地域一体的な設置の推進、猟友会による有害鳥獣の捕獲に対する支援、地区鳥獣被害対策協議会の活動に対する支援の3つをポイントに積極的に取り組んでまいります。

その他の項目につきましても、内容を精査した上で、第2次総合計画やまちみがき戦略推進プランを踏まえ、検討してまいります。

なお、今後につきましても、本市とともに農業振興を牽引する両輪である農業委員会の皆さんに御協力を賜りながら取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。

 

 

◯都市局長(松本昌作君) 初めに、耐震対策事業の対象となる建築物の現状についてお答えいたします。

平成18年の建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正を受けまして、20年3月に策定いたしました静岡市耐震改修促進計画において推計した住宅の総戸数は約27万1,000戸で、うち耐震対策事業の対象となる耐震性のない住宅は約5万3,000戸と推計しております。27年度末までに約2万4,000戸まで減らすこととなっております。

また、多くの皆さんが利用する3階以上かつ延べ床面積1,000平方メートル以上の比較的大規模な建築物、いわゆる特定建築物の相当数は約2,800棟で、うち耐震対策事業の対象となる耐震性のない建築物は約420棟と推計し、平成27年度末までに約280棟まで減らすことで耐震化率90%の目標を達成する計画となっております。

平成23年度末現在、耐震性のない住宅は約4万戸、耐震化率約85%、耐震性のない特定建築物は約390棟、耐震化率約86%と推計しており、耐震対策事業はおおむね順調に進捗していることから、目標を達成できる見通しであると考えております。

続きまして、三保羽衣土地区画整理事業について、2点の御質問にお答えいたします。

三保羽衣土地区画整理事業は、清水区の三保神社南側で実施されている面積約20ヘクタールの組合施行の区画整理で、平成16年度に事業に着手しております。

1点目の御質問の、資金計画についてどのように現状認識しているのかにつきましては、本事業は組合の自主財源である保留地処分金と国、市からの補助金により事業費を賄っております。しかし、平成23年3月の東日本大震災の津波被害の影響により沿岸地域での地価が下落しており、予定した単価での保留地処分が難しいことから、このままでは組合の資金が不足することが危惧されます。

2点目の、資金計画の悪化に対して市はどのように対策を指導してきたのかにつきましては、具体的な資金計画の健全化のための方策として3つの案を指導しております。

第1案は、不足する資金を賄うため、再度減歩により地権者の土地から保留地を生み出す再減歩案。第2案は、不足する資金を組合員からお金を集めて賄う賦課金案。第3案は、道路や換地の形状を変更し、移転家屋を減らすことで支出の大半を占める移転補償費を抑制する道路及び換地計画変更案でございます。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) 2回目は、まず耐震補強です。

促進法にあわせて、本市も27年度まで90%の耐震化率を目標にしていますけれど、内訳は特に特定建築物、最近の残で390棟ということですけれど、420棟のところから390棟に進んで、27年度時点で280棟残るという、この進捗は後で問題になりますけれど、これ自身が本当に目標どおりいけるのかというと、ほぼ見通しはないんじゃないかというふうに思います。

住宅はこの4年間で約1万3,000戸進んで、あと4万戸残って、90%時点で2万4,600戸残るということです。これでいけば、20年度を起点にすれば、住宅の場合、5万3,000のうち2万6,500戸が建てかえで、耐震改修が2,300戸進むという前提になっているんですね、27年度が。23年度途中の到達がそういうことだと。

住宅・土地統計というのは5年おきにやられて、来年やられるということですけれども、このデータに基づきますと、市内で年間住宅着工が約7,000戸進んで、うち木造住宅は4割というふうに推計されていています。そのうち建てかえはさらに何割かという話になってくると思うんですけれど、住宅自身の建てかえというのは恐らく景気に左右されて、思惑どおりいくかというと、年ベースでいけば3,500戸済まなければいかぬというペースになっているんですが、それが本当に目標どおり、かなり届かないんじゃないかと。見通しとして。

言いたいのはここからなんです。もし建てかえが進まなければ、それはやっぱり耐震改修で進める必要があるんじゃないかということなんです。ですから、その際に、助成制度の枠もふやすし、額もふやすし、助成率もふやすし、対象もふやすという対応が必要なんじゃないかと。

しかし、今の目標では、現実的にも目標どおりやったとして、27年度時点で残り10%があるわけですね。住宅で2万4,600戸、特定建築物で280棟が危険だという現実は残るわけです。そういうふうに考えると、早期に耐震化が進むように、先ほど申しました助成制度を一層拡充する必要があるんじゃないか、これをお答えいただきたい。

また、来年度、見直すということになっている改修計画を、どう見直すのか。仮に残り10%に到達したとして、到達しなければどうするのかということと、到達したとして、何万棟の残りをどうするのかということについてもお聞かせいただきたい。

次に、三保の区画整理事業の変更についてです。

今の事業計画では、約60億円の事業資金のうち保留地処分が12億円、20%を占めるということで、これが売れないとなれば収入がない、事業が進められないという状況で、今3案を出しているということが言われました。

ですから、40件ほどを不要移転にすると。計画した道路も下水もできない部分ができてくる。これは、まちがよくなると思って協力してきた区画整理事業が、本来の姿から大きく逸脱するというか、変わってきているんじゃないかと、行き詰まりになっている事態だと思います。

この事態を打開するために、さっきの3案の市の経営改善の指導に対して、現在、組合はどのような対策を考えているのか、それで改善の見通しは本当にあるのか、お聞かせいただきたい。

また、事業計画の変更を行う場合に、道路、下水などの公共施設整備にどういう支障が出るのか、見通しについてもお聞かせいただきたい。

住民・地権者の方は、本当にまちがよくなる、道路整備、下水が布設されるということで進めてきたわけですけれど、この変更等によってどうよくなるのか、見通しが見えてこない、こうした点についても組合はどういう説明をしているのか、お聞かせいただきたい。

農業委員会については、文書で回答をというふうに、どう考えているのかというのを求めたことについての回答がありませんでしたので、ぜひ回答を市長からいただきたい。

2回目は、以上です。

 

 

◯都市局長(松本昌作君) 初めに、耐震補強助成の拡充と静岡市耐震改修促進計画の見直しについてお答えいたします。

本市の耐震対策は、静岡市耐震改修促進計画において定めた目標値に向かって、おおむね順調に進んでいるものと考えております。

しかしながら、東日本大震災後、耐震対策事業の重要性が増したことから、平成25年度に予定している3年ごとの検証において、今年度までの事業の実績を考慮し、目標達成の見込みを確認した上で、必要に応じて国、県に助成制度の拡充等を要望してまいります。

また、平成27年度を最終年度とした現行計画では、耐震化率90%を目標と定めておりますが、残りの耐震性のない建築物につきましても、28年度以降、新たな耐震改修促進計画を策定する中で、引き続き耐震化を推進し、耐震化率のさらなる向上に努めてまいります。

続きまして、三保羽衣土地区画整理事業について、3点の御質問にお答えいたします。

1点目の現在、組合はどのような改善案を考えているのかにつきましては、本市が提示した再減歩案、賦課金案、道路及び換地計画変更案の資金計画の健全化のための3案について検討を行っているところでございます。

2点目の事業計画を変更した場合、道路排水や汚水排水等の公共施設整備に支障を来さないかにつきましては、区画整理事業は道路や下水道の生活インフラ整備を行うことが目的でありますので、仮に道路及び換地計画変更案を採用した場合でも、排水施設等の公共施設整備に支障を来さないよう適切な指導を行ってまいります。

3点目の組合はどのように組合員に対し説明をしているのかにつきましては、組合員を対象に、現計画のままでは事業費が不足するため何らかの方法で経営を改善していかなければならない状況であることや、そのための3つの改善案についての説明会を開催いたしました。

説明会は、7月に2回、8月に1回、9月に3回の計6回開催いたしております。

以上でございます。

 

 

◯経済局長(大場知明君) 建議書に対する回答の件でございますが、今後、農業委員会と協議しながら対応していきたいと考えております。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) それでは、3回目、耐震補強助成についてです。助成制度の拡充を国、県に要望するということですが、まず、市がみずから独自に拡充するという姿勢を示すべきだというふうに思います。

私たち党市議団がこの夏に市内全域10万枚を配布した暮らしについての市民アンケートには、1,200人を超える方々から回答が寄せられて、今、1,000人分集計していますけれど、その中で耐震補強への助成拡大を求める意見が200人に及んで、20%が求めていると。費用の半分はせめて助成してほしい、自己負担が多くてできないという記述もありました。

今の助成の水準では、補強工事に入る前にかかる諸費用で大半が出ていってしまう。耐震化率が大体順調にいっているという当局の認識ですが、今のままでというだけでは、地震に対する切迫性が追いついていないと、認識がちょっと欠けているんじゃないかという気はします。

今、当局の予定では、年間300件のテンポでいくわけですけれど、これはやっぱり一気にペースを引き上げる必要があると思います。この立場で、来年度予算についても大幅に抜本的に増額するという必要があると思いますが、どうするのか、考えを示していただきたい。

当然、制度の要望を国、県にしながらも、予算枠については、交付金も県の助成も使っているわけですから、国、県に対して来年度予算についても、ここは大幅に増額するよう求めるべきだと思いますが、どうか。

三保の区画整理事業についてです。3案だと、計画を変更しないと再減歩か賦課金かという話で、じゃ、その変更による不利益はどうなるんだと。これが見えないわけです。移転した人としない人で格差が生じても、これは当然まずいわけですし、換地計画も変わってくるわけですから、従前照応の原則という、これがやっぱり崩れてくるわけですね。それをどうするのかということで、本当にこの区画整理事業ができるのかという心配がありますから、その点、市も指導・助言してきた立場として責任が問われていると。

そういう中で、区画整理でいいまちができると思って協力してきた地権者の方々やさまざまな思いを持つ……

 

 

◯議長(石上顕太郎君) あと1分で終了してください。

 

 

◯31番(山本明久君)(続) 地権者の方々のこういう非常に行き詰まって大変な状況のもとでこそ、特に住民合意というのが大事になってくると。ですから、住民合意をどう図っていくのか、市は組合をどう指導するのかという点についてきちんと述べておいていただきたい。

そして、どう着地していくのかという点で、今後、市はどのように指導していくのか、考えを示していただきたい。

24年度も7億円の予算がここについているわけです。来年度予算はどうするのかという問題もあります。そもそも保留地が売れなければ地権者に新たに負担をかぶせるという仕組み、現実的にはそんなのは無理ですから、きちんと市が責任ある指導をするように求めて、質問を終わります。

 

 

◯都市局長(松本昌作君) 初めに、耐震対策事業費の来年度予算についてお答えいたします。

平成25年度予算につきましては、耐震対策事業は大変重要であることから、厳しい財政状況の中ではありますが、静岡市耐震改修促進計画やまちみがき戦略推進プランに沿った予算の確保に努めてまいります。

また、平成25年度に計画内容の検証を予定していることから、必要に応じて、国、県に制度・予算の拡充等を要望してまいります。

続いて、土地区画整理事業について、経営改善策について組合はどのように合意形成を図るのか、また、今後市はどのように指導をしていくのかにつきましては、組合からは、本市で提示した3つの改善案による地権者への影響について、詳細な検討の後、再度組合員個々に対し説明の機会を設け、全体の合意形成を図っていく予定であると伺っております。

本市といたしましては、三保地区における緑豊かな良好な宅地供給のための重要な事業であると認識しており、組合が組合員へ丁寧かつ十分な説明を行い、着実に事業を完了させるよう、引き続き適切に指導をしてまいります。

以上でございます。