国保、保育園の待機児童対策について質問

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151◯4番(鈴木節子君) 皆さん、おはようございます。

通告に従いまして、2つのテーマで質問します。

まず国保についてです。

今年度の国保料は、市民の声に背き、一気に3割もの値上げが強行されました。所得の1割以上を占める重い負担が、急激な値上げにより深刻な暮らし破壊にますます拍車がかかることが懸念されます。

今回の質問は、国保が抱える構造的問題を放置するのでなく、自治体が実施できる可能な限りの手だてを尽くす積極的姿勢を求め、質問します。

1点目に、今年度の値上げは当局の試算でも大半が3割の値上げとなり、総額で20億円の値上げです。1人当たりの平均保険料は10万7,566円と昨年度の保険料で比較しても、最高の横浜市11万1,000円に次ぐ政令市中2番目の高額となります。政令市中13位から一気に急上昇した高額な値上げです。政令市中何番目の高さになったのか、確認の意味で質問します。お答えください。

先週から納付書が送られました。額を見た市民の声を紹介します。

仕事がなく所得が減ったり、世帯人員が減っているのにむしろ高くなり、納得できない。毎年値上げで、またこんなに値上げでは怒りだけが募る。市・県民税や介護保険料の値上げとダブルパンチだ、もともと払えないがますます払う気力がなくなると、怒りや絶望感が日増しに広がっています。

2点目に、市民からどのような反応や怒りの声、問い合わせが寄せられているのか、1週間分ですけども、まとめた分を伺います。

今回の値上げで所得に占める割合は、所得によってですが、1人世帯で14%から16%程度、2人世帯で15%から19%、3人世帯では17%から22%と、約2割もの負担になります。1割でも大変重い負担が2割になれば、生活費や食費、最低生活費に食い込みます。

3点目に、行政が主導して市民の暮らし破壊を招くという行為を行っていることについて、市は国保会計の赤字を防ぐことを優先し、市民の暮らしは二の次、三の次ということか、見解を伺います。

次に、保育園の待機児童対策です。

ここ数年、待機児童が増加しています。毎年1月1日の推移を見ますと、2010年以前は150人程度でしたが、ここ数年250人以上に増加し、特にゼロ、1、2歳に集中しています。この増加の原因と背景をどう分析しているのか、伺います。

2点目に、待機児解消策として、認証保育所制度や待機児童園開設などが盛り込まれておりますが、具体的にはどのように解消しようとしているのか、その具体策と展望をお聞きをします。

以上、1回目です。

 

 

◯保健福祉子ども局長(小野田 清君) おはようございます。

国保行政と待機児童について、何点かの御質問にお答えします。

最初に、今年度値上げにより国保料は政令市中何位になったのかでございますが、平成24年度当初予算からの算出でありますが、本市の1人当たり国民健康保険料は、政令市の中で川崎市、横浜市、浜松市に次いで4番目であります。

次に、値上げに対する市民の反応はどのようなものかでございますが、平成24年度国民健康保険料納入通知書は、6月15日金曜日に発送を行っております。現在、市民からの保険料にかかるさまざまな問い合わせをいただいております。各区保険年金課及び保険年金管理課におきまして、それぞれ誠意を持って対応させていただいております。

次に、値上げにより国保料が所得の2割を占めている、そして暮らしを大変破壊する行為ということについてどうとらえているかという御質問でございます。

国民健康保険は、地域医療の確保と住民の健康増進に大きく貢献し、国民皆保険体制の最後のとりでとして、極めて重要な役割を果たしております。しかし、年々増加する医療費や景気低迷による収納率の伸び悩みなど、国保財政は大変厳しい運営を余儀なくされているところであります。

今後も、高齢化の進展による影響や医療技術の高度化による医療費の伸びが見込まれ、今回の保険料率の大幅な見直しとなりました。見直しに当たって、平成24年度一般会計からの繰り入れを、23年度との比較で7億円増額して20億円とし、保険料率の引き上げによる市民の皆様への影響を抑えております。

この一般会計からの繰り入れは、医療費に見合った保険料を確保した上で、税の公平性の観点から、他の保険制度との均衡に十分配慮する必要があり、それを基本的な考え方としております。

今回の大幅な保険料率の見直しにつきましては、脆弱な財政基盤から成る国保財政を中長期的に安定したものにすることは、本市の責務であると考えておりますので、国民健康保険制度を維持していくため、御理解と御協力をお願いします。

なお、納付が困難な方に対しましては、分割納付相談など生活実態を見据えた、きめ細やかな対応をしてまいりたいと考えております。

次に、待機児童の2点の御質問にお答えします。

最初に、待機児童が増加した背景はどのように分析しているかについてでございます。保育所の待機児童数の増加は、低年齢児の入所希望者が増加したことが要因ですが、この背景には、長引く景気低迷のため、ゼロ歳、1歳といった低年齢のころから保育所に預けて共働きをしたい家庭がふえているものと考えられます。また、就学前の児童数が昨年度までは減少していましたが、今年度は増加に転じたことも一つの要因と考えられます。

今後も低年齢児童の保育需要が満たされるまで、待機児童の増加が続くものと分析をしております。

次に、待機児童解消策の内容と展望については、どのようなものかということでございます。本市では、昨年まちみがき戦略推進プランを策定し、待機児童の解消に向け、待機児童園の清水区、葵区への拡充や認証保育所制度の導入、保育所の増築による定員増などにより、待機児童対策を総合的に推進しようとしているところでございます。

このような中で、待機児童が大幅にふえたことについては重く受けとめており、前倒しできるものはないか、ほかにもとるべき対策はないか、早急に見直しを行い、迅速に実施していきたいと考えております。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) 今の国保のさまざまな市民の声については、さまざまなということだけで何ら具体性に欠けておりまして、もっとしっかりと答弁すべきであるし、言いわけのところは長々と言いわけがありまして、しっかり市民の声を受けとめるべきだと思います。

では、2回目の質問ですが、国保です。

加入者の構成は、被用者が35%、無職が40%、自営業者が20%と低賃金の非正規労働者が大量に国保に流入しています。そして、低所得の高齢者と不況による経営難の自営業者が国保の大半を占めています。構成でいうと、所得なしが4万世帯、100万未満が2万1,000世帯、200万未満が2万2,500世帯と全体の7割を200万未満世帯が占め、国保世帯の貧困化が進んでいます。

質問の1点目に、加入世帯のうち住民税非課税は何世帯あり、加入世帯の何割に当たるのか、伺います。

2点目に、保険料の算定方法について、収入予定額のうち不足する分を加入者に上乗せしている問題です。

国保料の算定方法は、保険料収入額を先に決め、それを所得や被保険者数で按分して決めていきます。問題はその先ですが、予定収納率で割り返しますので、収納率が下がれば下がるほど上積みする額が膨れ上がり、また、限度額77万を超えた分は徴収されません。その不足額が加入者全体に広く薄く上積みされるという仕組みです。

確認の意味で質問します。

賦課限度額を超えた分は徴収されませんが、その額は加入者に上乗せされる算定方法か、また、その額は幾らかを伺います。

3点目に、国保は社会保障制度ということを再三確認してきましたが、このところ相互扶助、助け合いだと、自己責任論による保険料高騰、受益者負担を加入者に押しつける論調が出てきました。戦前の旧国保法は、相互扶助の精神が強調されていましたが、戦後の国保法は、すべての人々が加入するセーフティーネットとして国民皆保険制度を下支えする役割を持っています。

国保法第1条は、「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と規定し、旧法から新法に向け、国保は社会保障として進化しています。低所得者世帯、年金生活者、非正規雇用世帯など、低所得世帯で構成する国保に助け合いの精神を押しつけても、何ら問題は解決しないからです。新法で位置づけた社会保障としての目的に従った制度運営が求められています。意図的に助け合い、相互扶助の精神を持ち出すのは、歴史に逆行し、進化した国保法をないがしろにする行為です。

国保は社会保障です。相互扶助を持ち出すのは古い考えですが、その認識に立っているのかどうか、当局にあえて確認の意味で伺います。

次に、待機児童解消策についてです。

駿河区に設置した待機児童園は、開園直後からゼロ歳児の入園が50人前後です。産休、育休明けや出産後育児につく母親が増加しています。保育園に入所できなければ働くことができず、生活にかかわる深刻な問題です。

葵区、清水区への設置の需要が高まっている今、待機児童園の前倒しの設置で若い共働き世帯を応援すべきではないか、その方針を伺います。

本市は、少子高齢化が進み、人口は70万を割りました。人口増のための具体策が課題となっています。先ほどの答弁では、低年齢の児童数が若干ふえたとおっしゃっておりますが、さらに人口増を図るなら、静岡に定着できる、安心して子育てできる施策を積極的に実行する必要があります。

少子化、核家族化によって子育てに不安を抱いている母親は大勢います。そしてまた、産後すぐに働かなければならない母親の、子育て応援の役割を果たせる施設がしっかり整うことが求められております。保育園の増築による定員増や認証保育所制度では、抜本的な待機児童解消策、子育て応援施策とはなり得ないのではないかと思います。

少子化を理由にしてこれまで様子見で来ました。しかし、今、低年齢児童が増加傾向にあるのであれば、しっかりと子育て世帯が安心して定住できる施策として、公立保育園の公の責任での増設こそ軸にすべきです。見解を伺います。

そして、答弁される保健福祉子ども局長は、自信を持ってしっかりと論戦していただきたいと思いますので、私もそういう立場でお答えを期待しております。

 

 

◯保健福祉子ども局長(小野田 清君) 国保行政の3点の質問についてお答えします。

最初に、住民税非課税世帯は何世帯であり、加入者全体の何割かでございますが、国民健康保険加入世帯で住民税非課税世帯は、約3万5,800世帯となっており、加入世帯の約3割であります。

次に、国保料の算定について、賦課限度額超過分は控除され徴収されないが、その額は加入者に上乗せされるのか、また、その額は幾らかとの御質問でございますが、国民健康保険料につきましては、負担能力があるからといって無制限に賦課できないため、賦課限度額が政令で示されております。賦課限度額を超える保険料分につきましては、全体の所得割額で調整することになっておりまして、その額は、平成24年度保険料試算時で約24億円であります。

次に、国民健康保険は地域住民の福祉の増進の一端を担い、社会保障制度として位置づけられているが、認識はどうかとの御質問でございますが、国民健康保険料は、社会保障制度の体系の中で、社会保険の一つである医療保険として位置づけられております。被保険者の拠出を主な財源として必要な給付を行い、生活の安定を図ることを目的とした、相互扶助の制度と理解しております。

次に、待機児童策の2点についてお答えいたします。

区ごとの待機児童建設を早め、待機児童を解消すべきではないかとの御質問でございます。

待機児童園の建設につきましては、まちみがき戦略推進プランで、平成24年度に清水区、平成26年度に葵区への設置を掲げており、現在、清水区への設置を目指して場所の検討をしているところでございます。待機児童園は、年度途中の待機児童の軽減を図るために整備するもので、清水区、葵区においても、年度途中は待機児童が増加していくため、計画どおり整備していきたいと考えております。

次に、認証保育所制度、増築による定員増、現状の対策だけで解消できるのか、また、公立保育所の増設を軸にすべきではないかとの御質問でございます。

まちみがき戦略推進プランでは、待機児童園の各区への設置のほか、認証保育所制度の導入、増築による保育所の受け入れ枠の拡大を図ることとしていますが、これらはいずれも平成23年度の待機児童を解消するための対策であり、保育所の増設は現在の計画にはありません。今後、本年4月の待機児童の増加について、状況を分析した上で、さらにどのような対策が有効か、幅広く検討していきたいと考えております。

なお、保育所を増設する場合には、民間から公募する方法が基本となります。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) 今、お答えいただきまして、局長、大分答弁が流暢になってまいりました。今後も国保のことを私は毎議会取り上げますが、これからもちょうちょうはっしでやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

先ほど国保について、相互扶助だというお答えがありましたが、これ現在国で議論されている、税と社会保障の一体改革と言っていますが、私たちは改悪と言います。この中で社会保障を自立自助だというふうに国と自治体の役割責任を後退させる動きがありますが、国が言っている自立自助、相互扶助、これを本市は先取りしたような大変後退した考え方ですので、これについてはしっかりとまた論戦させていただきます。

では、3回目の質問ですが、本市の申請減免件数は約400件です。件数も金額も政令市中最低レベルです。本市の場合、恒常的低所得世帯は、減免の対象外です。災害、失業、休廃業などだけに限定しております。国保加入世帯は、所得300万未満が8割を占め、滞納も300万未満世帯に集中しています。国保の貧困化が進み、値上げを繰り返しても収納率低下、国保財政悪化の悪循環を繰り返すだけです。今必要なことは、恒常的に低所得世帯も減免し、払える額に減額することです。払いたいのに払うお金がないという人の気持ちに沿うことも必要です。

国は、低所得層に対する保険料の減額措置の拡大を検討していますが、今回の消費税増税とセットです。これに対しては、国民の怒りは沸騰しておりまして、国民は許しません。そして、どう決まるかも混沌としておりますので、国待ちではなくて、自治体が率先して恒常的低所得層への減免を打ち出してはどうか。例えば、福岡市では減免件数1万5,800件、本市は400件です。額は14億円減免しております。そのうち8割は生活困窮世帯です。本市でも住民税非課税世帯、全国保加入者の3割、3万5,800世帯というお答えがありましたが、こうした世帯には、9割減免ぐらい実施をしろと強く言いたいと思います。

そして、暮らしを支える、そうした方針についてお考えを伺います。今、国待ちの姿勢が市でも見え隠れしておりますが、国を待っているのではなくて、ほかの自治体が率先してやっているような恒常的低所得世帯層への減免を、自治体からしっかりと打ち出す、今、これが必要ではないでしょうか。国に対して突き上げをしていくという姿勢を求めます。

2点目には、国保料の算定方法が、保険料で徴収されない分が加入者に上乗せされ、高い保険料がさらに高くなるという問題です。

先ほどの答弁もありましたが、保険料の上乗せは2項目あります。収納率86.2%、この収入の不足を出さないために収納率を割り返した額の上積み分で25億円、それと先ほどの答弁で、賦課限度額以上を徴収されない分24億円、合計49億円が低所得層に広く薄く上積みをされているという問題です。この算定方式は、国保法施行令で定められて全国統一のものですので、低所得にあえぐ世帯にさらに重い負担を課すという矛盾を抱えています。

資料をごらんいただきたいんですが、国保は安定した国庫負担があって初めて成り立つ制度ですが、国は国庫負担を削減し続け、国保の総収入に占める国庫負担支出は、1980年代の50%から2010年度は26.5%に半減させてきました。加入世帯の所得は減り続けているのに、国保は増額を続けています。

国保制度崩壊の危機に対して、国は広域化路線と決別し、従来の枠を超えた国庫負担割合の増額で責任を果たすべきだと考えます。

今、国が社会保障の公費投入を削減しようとしておりますが、社会保障大改悪です。国と自治体の責任放棄ですので、機敏に国に抗議すべきです。その要請の姿勢を伺います。

3点目に、一般会計からの法定外繰り入れについて、今年度は20億円の繰り入れをいただきましたが、時の財政事情によって繰入額が左右されるのではなくて、根拠となる正当なルールに基づいて一定額を……

 

 

◯議長(石上顕太郎君) あと1分で終了してください。

 

 

◯4番(鈴木節子君)(続) 安定的に繰り入れなければ、綱渡り状態をいつまでも脱することはできません。

今、国保は破綻寸前ともいえる状況です。国保は社会保障という原点に立って、例えば福岡市の例を紹介しますと、必要とする保険料の一定割合を受け持つ、あるいは医療給付費の何割かを受け持つなどの、繰り入れの正当なルールづくりが必要ではないか。今、一定のルールというものが、その根拠に基づいて財政支援を行うというこのルールがなければ、毎年毎年の財政によって不安定な国保財政を強いられることになりますので、その正当なルールづくりについて、むしろ積極的な検討をいただきたいし、皆さんの暮らしを守るという立場でのこうした姿勢が必要だと思います。そうした見解を伺いまして、質問を終了します。

 

 

◯保健福祉子ども局長(小野田 清君) 国保行政の3点の御質問にお答えいたします。

低所得者世帯、生活困窮者世帯への減免制度拡充の必要性の認識はどうかとの御質問でございます。

保険料の低減、減額につきましては、現在所得に応じて保険料のうち、均等割額と平等割額が7割、5割、2割と軽減される法定制度がありますが、今回の保険料改定による激変緩和策として、本市独自の1割の減額措置を設けております。

一方、減免制度につきましては、これまでも社会情勢に応じて特別な事情を考慮した減免の拡充を図ってきたところですが、被保険者間の負担の公平性の確保という観点から慎重な議論が必要であり、さらなる拡充は、現在のところ考えておりません。

次に、加入者の負担を軽減し、国保財政問題を解決するために、国保負担の増額を国に強く要請するべきではないかとの御質問でございます。

国への要請につきましては、国保負担割合の引き上げなど、国保財政基盤の拡充強化を図り、国の責任と負担において実効性のある措置を講ずることや、安定的で持続可能な医療保険制度の一本化に向けた抜本的な改革を、全国市長会や指定都市市長会を通じて行っているところであります。

最後に、一般会計からの法定外繰り入れについてのルールづくりをすべきではないかとの御質問でございます。

本市としては、健康診断や保健指導の拡充による医療費の抑制や収納率の向上に努めるとともに、国保以外の保険加入者との均衡や国保の財政状況も考慮しながら繰り入れを行ってまいります。

以上でございます。