静岡市職員の給与に関する条例等の一部改正、静岡市教育職員の給与に関する条例の一部改正について反対討論

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130◯3番(寺尾 昭君) 私は日本共産党議員団を代表いたしまして、議案第152号静岡市職員の給与に関する条例等の一部改正について、同第153号静岡市教育職員の給与に関する条例の一部改正について反対討論を行います。

ことし3月の東日本大震災では、みずから被災しながら復旧に全力を挙げている職員の姿が紹介され、また全国の自治体職員はいち早く現地に駆けつけ、大きな役割を果たしました。職員の活動ぶりは多くの被災住民の方から高く評価されていると同時に、災害への対処には職員体制の整備がどれだけ充実されているか、これがかぎであるということも証明されたということが言えます。

毎年、本議会におきまして職員給与の引き下げが提案されるわけですけれども、これは大変遺憾と言わざるを得ず、また残念に思います。

公務員給与の額は、1998年以来ことしで事実上14年連続引き下げられておりまして、その額は昨年までで国家公務員ベースでいいますと最高時に比べて72万円余となっているわけであります。

静岡市人事委員会は10月28日、職員給与に関する報告、勧告を行っておりますけれども、引き下げ幅は国を3倍以上上回るものとなっております。提案されている条例改正案はこの勧告を実施するというものでありますが、これは新たに年間約5万円の切り下げということになるわけであります。

この条例案の反対の第1の理由でありますが、まず地域経済に与えるマイナス影響、公務員賃金を基準にしているさまざまな職場があるわけですけれども、公社・公団、各種法人、協議会・協会等々公務員関連職場がありますが、それだけにとどまりません。病院や福祉や保育など民間の経営などもこれを基準にしている、そういう意味ではその影響ははかり知れない、このように言ってもいいわけであります。

現在、経済が一向に上向く気配を見せないのは、GDPの6割を占めている個人消費が落ち込んでいること、これが最大の原因だというふうに言われております。公務員賃金の切り下げは景気をますます冷え込ませる以外の何物でもない、このことを率直に指摘せざるを得ません。

第2は、やはり職員のやる気の問題、いわゆる士気の低下という問題につながりかねないということであります。

第3は、職員の生活水準、この低下が免れない。今の生活に不安なく将来の生活設計に向け希望を持って働くことができる、このことが職務に専念すること、つまり住民サービスにつながる、こういうことになるわけであります。

第4は、人材確保が心配されるという点であります。賃金、労働条件というのは若者が職場を選ぶときの最大の基準の1つだというふうに言えると思います。優秀な人材を集めることは、行政の質を高め、住民にとってより大きなサービスにつながる、このように考えるわけであります。切り下げということになりますと、やはり人材確保という面でも大きな影響は免れません。

国家公務員について、人事院は本年0.23%、金額で899円というマイナスの勧告をしております。民主党、野田政権は7.8%という大幅な引き下げ法案を既に国会に提出しております。それを理由として、ことしは国家公務員の場合は人事院勧告を実施しない、このように言っておりますけれども、国に追随して地方自治体職員に7.8%というようなもの、これを押しつけることがないように、この際強く要望しておきたいと思います。

今回の条例案の根拠となっている人事委員会の報告、勧告についても一言申し上げたいと思います。

人事委員会は、独立した第三者機関として、公務員の労働基本権を剥奪したその代償機能を果たさなければならない、このように考えるわけであります。給与勧告の歴史を見てみますと、国の人事院の勧告と市の人事委員会の勧告、基本的に異なるというようなことは見られません。それゆえに独立性に対する疑問も呈されているというふうに言えると思います。

ことしも職員の長時間勤務の是正について触れているわけでありますが、その内容を見てみますと、さまざまな手段を講じて是正を求めるというものであります。これにかかわる健康管理についても触れております。30日以上病気等で休んでいる職員が百数十人に及んでいるという状況が今あるわけですが、その半数は精神疾患だというように指摘をしております。心の健康づくりに向けた体制整備や職場環境の整備をそのために提起しているわけでありますが、もちろんこれらのことは必要です。しかし、職員数と業務量の関係という点では分析がありません。また、具体的な指摘もされておりません。静清合併、そしてそれに続く政令市移行による業務量の増加のもと、職員定員管理計画による職員の削減と健康破壊の相関関係は明らかではないかというふうに私は考えます。人事委員会が任命権者に対する労働基準監督機関としての権限を発揮されるよう、この機会に改めて要望しておきます。

給与条例改正については、職員団体との合意、いわゆる妥結をされたという場合には委員会の付託が省略されるということがこれまで慣例となっていたと。先ほど、この会議の中でも委員会付託省略ということで決められたわけでありますけれども、職員団体との合意がされていたとしても、議会としての役割はやはり別にあるというふうに言わなければなりません。今後の取り扱いについて異議があるというようなことで、出された場合には委員会に付託すること、これについても議会に要請しておきたいと思います。

この14年間、職員は、定期昇給はあっても給与ベースは下げられ続けてきております。1998年以後に採用された職員はベースアップをされた経験がないということになるわけであります。公務員としての誇りと将来への希望を持ってこそ、憲法の求める全体の奉仕者としての役割が果たせることを強調して、反対討論といたします。