介護保険と学童保育、放課後児童クラブの質問

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DSC_0818◯2番(寺尾 昭君) 私は、きょうは介護保険と学童保育、放課後児童クラブの2点について質問をいたします。
まず、介護保険についてであります。
6月18日、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律等に関する法律という長い法律が通常国会で可決成立をいたしました。19本もの法律を一括改正と、なかなか乱暴なものでありますけれども、自民、公明両党が賛成をいたしまして、その他の野党は反対ということでありました。
例えばこの結果について朝日新聞は、見出しに「高齢者に痛み、遠い安心」と書き、そして負担増などで必要な支援が受けられなくなったり、サービスの地域間格差が生じるおそれは残る。改革の行方に対する懸念の声は根強くあると、このように報じております。
その内容でありますけれども、1つ目は、要支援1と2の訪問介護と通所介護を介護保険サービスから除外する。要支援1、2は、全国で現在160万人、予防給付とされる介護サービスを受けるのはその8割、120万人だと言われております。これに対しては保険から外すということで、予防的観点の後退ではないか、こういう危惧の声が上がっているわけです。
そして、この外したかわりを地方自治体に肩がわりさせて、地域支援事業として見守り、配食、緊急時対応などをNPOやボランティアにやってもらおうというふうにしております。これに対しても、いきなりそんな体制が整うのか、要支援1、2の人はそのまま放置されてしまうのではないか、このような声も上がっているわけであります。
2つ目は、要介護1、2、今度は要介護のほうでありますが、特別養護老人ホームへの入所資格から除外をしてしまおう。特例を除いて要介護3以上でなければ特養ホームに入る資格がなくなる、こういうことであります。入所を希望しても入れない、いわゆる待機者が、この4年間で10万人増加したと。現在何と52万4,000人、そのうち要介護1、2が17万8,000人ということでありますが、この方々は言ってみれば資格がなくなるということであります。
そして、今度はその受け皿といいましょうか、そういう方々はどうするかといいますと、サービスつき高齢者住宅や有料老人ホームに行ってちょうだいということであるわけです。これはもちろん、介護保険から除外をされているわけですから、自己負担ということになります。
このような施設というのを金額としてみますと、10万円から15万円、20万円というような金額が新たにかかってくるということになりますから、そういう意味では介護難民がいよいよまたふえてくるということになるわけです。
3つ目は、介護サービスを受けた場合の自己負担割合は、現在1割でありますけれども、これを2割にしようというような内容であります。一定の所得制限というのはあるようですけれども、かなりの方が2割負担ということに、今度はなるわけであります。
4つ目は、医療分野ということで、この病床数をこれから減らしていこうということになっているわけですが、これはきょうはテーマから省いていきたいと思っております。
そこで、以上のような主な内容、変更があるわけでありますけれども、質問をいたします。
まず、1つ目の質問は、静岡市における要支援1、2の認定者で介護予防訪問介護及び介護予防通所介護している人がどのくらいいるのかということであります。
これらの人は、介護保険の対象から外され、市町村の行う、いわゆる地域支援事業ということで、言い方は悪いですけれども、丸投げということになるわけであります。これがサービス低下につながらないかということであります。
2つ目の質問は、この受け皿として静岡市がこれから行おうということになるわけですけれども、この総合事業の概要、これはどんな内容になるのか、どんなものを予定しているのか、質問をいたします。
3つ目の質問は、問題はこの事業がこれまでのサービスをしっかり維持するものになるのかどうなのか。予防的観点からの後退とならないのか、この辺についても伺っておきます。
これまで介護認定を受けるまでに至らない人、介護保険に該当しない人に2次予防事業が行われてきました。新たに要支援1、2の方が介護保険から除外され、総合事業として適用を受けることになるわけであります。
そこで、4つ目の質問は、介護保険に該当しない2次予防事業と新しい総合事業との区分け、これは今後どのようになるのか、伺っておきます。
介護保険から外された人は、かわりに地域支援事業はNPOやボランティアが受け持つということになるわけであります。介護保険制度の中でこれまで担ってきた介護労働者が、今度は仕事がなくなるという雇用問題も発生するわけです。
利用者の立場からは、NPOやボランティアは、資格のある介護者と違って、家庭の中に入ってやってくれることは結構なことなんですが、今度はプライバシーという問題も出てくるということで、心配の声も出てくるわけです。このNPO、ボランティアでしっかりフォローできるのか、ここにしっかり体制を整えていくという問題も課題も出てくるわけです。
そして、5つ目の質問ですが、地域支援事業の担い手は、NPOやボランティアということで、今申し上げましたけれども、今後体制を整えるためにどんな養成をしていくのか、この辺についてもお伺いをいたします。
次に、放課後児童クラブであります。
子ども・子育て支援事業のもう1つのテーマ、きのうも、これからも質問があるわけですけど、認定こども園の問題について議論がされておりますが、放課後児童クラブというのも、もう1つの柱になっております。この子ども・子育て支援新制度では、放課後児童クラブについても位置づけを一度明確にしたということになっております。市町村の実施責任を強化、明確化、市町村に子ども・子育て支援事業計画の策定を義務づける、国はこの事業計画に基づいて交付金を交付する。市町村の子ども・子育て会議で事業計画の推進策も検討するんだということであります。
資料によりますと、全国の児童クラブの数は2万1,635カ所、入所の児童数は89万人、指導員は9万2,500人、1施設当たりの平均児童数は40人、指導員数は、4.44人というような数字も出ております。
しかし、指導員の収入は、年収150万円未満が68.2%、150万円から300万円が25.9%、300万円以上というのは、余り聞いたことがないですけれども、統計では5.8%ということになっているようです。身分的には非正規職員が全体の8割ということであります。静岡市の場合は全て非常勤の職員ということになっているようでありますけれども、そこで質問をいたします。
1つ目は、市内児童クラブの1室当たりの平均児童数はどのようになっているのか。そして、児童クラブ指導員の人数、そしてその配置状況についてもお答えください。
2つ目は、適正な規模と人員配置が、運営上、これは重要だと思うけれども、市としてはどのような考え方を持っているのか。
3つ目は、待機児童の現状と今後の解消策についてどのように考えているか、質問をいたします。
1回目です。

◯保健福祉局長(松本泰典君) 介護保険新制度に関する5点の質問にお答えします。
まず、要支援1、2の認定者で、介護予防訪問介護と介護予防通所介護のそれぞれの利用者数ですが、本年3月末現在の要支援1、2の認定者数は8,177人で、そのうち3月に介護予防訪問介護を利用された方は1,995人、介護予防通所介護を利用された方は2,733人となっております。
次に、新しい総合事業の概要についてですが、新しい総合事業では、全国一律の介護予防サービスであった訪問介護や通所介護について、介護事業所による既存のサービスに加えて多様な主体による多様なサービスが提供され、利用者がこれまで以上に自分にふさわしいサービスを選択できる仕組みを目指しております。
今回新たに加わるサービスの具体例ですが、訪問型サービスでは、NPOや住民ボランティアなどによる掃除、洗濯、ごみ出し等の生活支援サービス、また通所型サービスでは、住民同士の自主的な取り組みによる体操教室やリハビリ、口腔などの専門職が関与する教室などの通いの場の提供などが想定されております。
今後、国がこれらのサービスの利用料や事業費単価などの基準のガイドラインを作成し、公表することとなっておりますので、それらを参考に、サービス内容に応じて本市が基準を決定してまいります。
次に、予防的な観点からサービス面で後退とならないかとのことですが、新しい総合事業の訪問型、通所型サービスについては、利用者の身体状態や生活状況等を踏まえて、地域包括支援センターによるケアマネジメントが行われ、本人にとって適切なサービスの利用が可能となることから、サービスは後退しないものと考えております。
次に、介護保険に該当しない2次予防事業と新しい総合事業との区分けについてですが、現在要支援、要介護状態となることが心配される高齢者を対象に実施している2次予防事業は、新しい総合事業において主に元気な高齢者を対象とした1次予防事業と区分せず、全ての高齢者を対象に一般介護予防事業として実施される予定です。
これに加えて、より一層の介護予防への取り組みが必要であると判断された方は、訪問型、通所型サービスなどの介護予防、生活支援サービスも利用することができます。
最後に、地域支援事業の担い手の養成についてですが、新しい地域支援事業の実施主体は、ボランティアやNPOなどが想定されております。このうち、ボランティアの養成につきましては、静岡市社会福祉協議会に養成講座を委託し、平成25年度から介護保険のサービスだけでは対応できない、日常生活上の困りごとを解決する生活支援ボランティアの養成を行っております。
また、市内には有償ボランティアを育成しているNPOなどが活動していることから、これらNPOとも連携を図りつつ、研修会等を実施し、幅広いボランティアの養成に努めてまいります。

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 放課後児童クラブについての3点の御質問にお答えいたします。
まず、放課後児童クラブの1室当たりの平均児童数についてですが、平成26年度は約36人となっております。
また、指導員数は、25年度の状況ですが、市全体76クラブで356人であり、配置状況としましては児童35人に対し2人を配置、35人を超えるクラブについては、児童の受け入れ状況に応じ、追加配置をしております。
続きまして、放課後児童クラブの運営に関しましては、適正な規模、人員配置による児童の安全と快適な環境確保に留意することが必要であると考えております。そのため、多くの入会児童がいる放課後児童クラブについては、できる限り適正な単位で運営することを基本として整備に努めております。
また、指導員を追加配置した上で弾力的な運営を行っております。
今後も子ども・子育て支援新制度の中で市が定める基準に従い、安全で快適な環境確保に努めてまいります。
次に、放課後児童クラブの待機児童の状況ですが、本年5月における申請児童は3,712人で、そのうち、入会児童は3,575人、待機児童につきましては137人となっております。
解消策につきましては、地域ごとの現状や利用者ニーズの動向などを勘案し、平成26年度に策定する子ども・子育て支援事業計画の中で、計画的な施設整備など利用者ニーズに対応する確保方策を定めてまいります。
〔2番寺尾 昭君登壇〕

◯2番(寺尾 昭君) まず、介護保険についてであります。
全国の待機者は52万人余というふうに先ほど言いました。この4年間で10万人ふえたということであります。
質問ですが、本市における特別養護老人ホーム入所待機者の現状はどうか。このうち、要介護1、2、規格から外れるわけですけれども、これが何人ぐらいいるのか、お聞きします。
そして、この4年間で10万人もの待機者が増加したという状況を見るまでもなく、入所希望者は増加することが必至であると。今後ますます入所が困難になるということが予想されると思います。解決する道は、何よりも施設をふやすということです。要介護1、2の人は、一部の例外を除いて、これから待機者にはカウントされなくなってしまうということで、そういう意味では潜在待機者がますますふえていくことにもなっていくわけです。
質問ですが、新制度移行後、特養ホームへの入所が難しくなる方への対策をどうしていくのか、お伺いをいたします。
次の質問は、地域包括支援センターの現在の取り組み、そして今後どのようなことについて考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
放課後児童クラブであります。
児童福祉法第6条の3第2項で、共働き家庭やひとり親家庭で、昼間に保護者が家庭にいない小学生に適切な遊び場及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業だと規定されております。
また、市は今後、条例で指導員の資格や配置基準について定めることになるわけです。2015年度から5年ごとに事業計画を定め、数値目標も掲げるということであります。指導員についても待遇改善を図る所要の措置を講ずる、こういうことが規定されました。そして、一層の位置づけが明確化されて、指導員の待遇改善について、市が責任を負うということについても義務づけられたわけです。
そこで、質問であります。
国は既に3月に基準案を、それに基づく省令を4月に示しております。市町村に対し、条例化を求めているわけであります。国が示した児童クラブの設備及び運営に関する基準の条例化は、静岡市はいつの時点で行うのか。
そして、次の質問は、本市の児童クラブの実態は、まだ国が示した基準を満足しない面が見受けられます。市は、児童クラブの設備、指導員の資格や配置など、国が示したこの基準をクリアできるかどうか、そこの点についても明確にしてください。
次は、指導員の待遇改善、市に義務づけられたということになっているわけですけれども、今後待遇改善についてどのように考えているのか、この点についてもお聞かせください。
現在、児童クラブの運営は、民間に委託する方式でありますけれども、市立保育園、幼稚園の問題がありますけれども、私は市が直営にすべきだということも提案をしたいと思いますが、その点でどんなふうに考えておられるのか、お聞かせください。

◯副議長(中山道晴君) あと1分で終了してください。

◯2番(寺尾 昭君)(続) さて、時間がなくなりましたけれども、要望事項もあわせて申し上げておきたいと思います。
田辺市長、市長選のときに、子供たちの待機児をゼロにするということをおっしゃっていましたけども、待機老人もゼロにするということもおっしゃっていました。ぜひ、その点についても今後具体的な計画で明確にしてほしいなと思います。
高齢化社会、お年寄りがふえるということで、いろいろ心配の種がありますけれども、長生きは、これはやっぱり喜ぶべきこと、本来ね、そういうことだと思うんです。お金が足りないという話がありますが、負担すべきところにしっかり負担をしてもらうということが必要だと思います。
290兆円の内部留保、こういうところにしっかりメスを入れて、ぜひこの負担についても考えていきたいということであります。

◯保健福祉局長(松本泰典君) 介護保険新制度に関する3点の質問にお答えします。
まず、特別養護老人ホーム入所待機者の現状等についてですが、特別養護老人ホームの待機者数は、平成25年10月1日時点で2,156人です。このうち、要介護1、2の待機者は737人であり、これは待機者全体の34.2%に当たります。
次に、新制度移行後の特別養護老人ホームの入所についてですが、新制度において新規入所者は、原則要介護3以上に限定されます。しかしながら、要介護1、2であっても、認知症や虐待など、やむを得ない事情があり、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、特例的に入所が認められることとなる見込みです。
入所が限定されることへの対策としましては、特別養護老人ホーム以外にも、老人保健施設、有料老人ホーム、グループホームなど、個々のニーズに合わせた多様な入所施設の整備を計画的に進めていきたいと考えております。
また、施設整備の促進と並行して、たとえ要介護状態となったとしても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを安心して続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指してまいります。
最後に、地域包括支援センターの現在の取り組みと今後についてですが、現在、地域包括支援センターの介護予防の取り組みとしては、要支援1、2の方に対してケアプランを作成しています。このプランは、対象者の身体機能の低下や日常生活上の課題等について、御本人の目標を定め、それに沿って作成するものです。
また、定期的にプランの見直しを行い、改善に向けて効果的なサービス提供となっているかの評価を実施し、その人らしい自立した生活を継続できるように支援しています。
新制度移行後は、地域包括ケアの中核を担う地域包括支援センターの役割がますます重要となることから、関係機関との連携を推進し、研修等を通じて職員のさらなる質の向上を図るなど、その機能の強化に努めてまいります。

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 放課後児童クラブについての4点の御質問にお答えいたします。
本市における放課後児童クラブの設備及び運営に関する基準の条例についてですが、本年9月定例会へ条例案を上程し、平成27年4月の施行を予定しております。
次に、放課後児童クラブの設備や指導員の資格、配置などにつきましては、国の基準を踏まえ、市が条例で基準を定めることになります。本市の放課後児童クラブにつきましては、国の基準をおおむね満たしているものと考えております。
次に、放課後児童クラブ指導員の待遇改善についてですが、現在、指導員は各運営受託者が雇用し、配置しております。本市としては、放課後児童クラブの運営において、指導員が果たす役割は非常に大きく、指導員を安定的に確保することは重要であると認識しております。そのため、これまで委託料の算定における賃金単価の引き上げや主任手当の創設など、待遇改善に努めてまいりました。
今後は、平成27年度からスタートする子ども・子育て支援新制度における放課後児童クラブの質と量の充実に向け、指導員の確保策について検討していきたいと考えております。
最後に、放課後児童クラブについて、市の直営にすべきとの御指摘ですが、本市では、現在公設民営の方式により運営を行っております。運営に当たる民間の委託先は、これまで築いてきたノウハウや地域のネットワークなどを生かしたきめの細かい運営を実施しております。
また、市も設置者として委託先と密接な連絡、連携をとり、適切な事業の実施とその充実に努めております。
現在、行政と委託先がそれぞれの役割を果たすとともに、地域の活力を生かした適切な運営を行っており、今後も市直営による放課後児童クラブの運営は考えておりません。