若者の雇用に関する請願に対する賛成討論

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DSC_0871◯2番(寺尾 昭君) 私は日本共産党市議団を代表して、請願第2号若者の雇用に関する請願に対する賛成討論を行います。
請願項目第1の、最低賃金を時間給で1,000円以上に引き上げることについてです。我が国の最低賃金は地域ごとに決められる仕組みになっております。全国的な時間給の状況を見てみますと、最高額は東京都の869円、最低は664円で、中国、四国、九州地方に7県あります。最高と最低の差は205円で、静岡県は749円であります。全国比較では、一応上位から8番目になっております。しかし、東京と比べますと120円の差があります。一口に言って、低過ぎるのが、この最低賃金の現状ではないでしょうか。
最高額の東京都の場合で、1カ月働いたと想定して、1日8時間、20日間でとりあえず計算してみますと、東京都の場合でも約13万9,000円です。最低の664円で計算してみますと、10万6,200円ちょっとになるわけです。これではとても生活ができるという状況ではないわけであります。当然のことながら、企業はこの最低賃金を雇用の賃金水準を決めていく1つの目安にしております。つまりこの最低賃金は地域の賃金水準を形成する1つの基準になっていると言っていいと思います。
請願は1,000円以上にしてほしいということですけれども、決してこれは無理な注文ではないと思います。むしろつつましい要求と言ってもいいのではないでしょうか。この1,000円で先ほどと同じ計算をしてみますと、1カ月16万円になるわけです。ここからいろいろ引かれるわけですよね、税金も、保険料も引かれたりということになれば、16万円もらっても、手元にはそう大した金額は残らないことになってしまいます。
それでは原資はどうなんだということですけれども、原資は十分過ぎるほどあるのではないかと思います。とりわけ大企業は、いつも言われることですけれども、大変な、使い道のないと言われる内部留保や積立金を持っているわけですから、ほんのわずかこれを取り崩すだけで十分できる。
では中小企業は、ということになるわけです。中小企業は確かに大変な企業、困難なケースというのはあるわけです。
したがって、やっぱり政府なり自治体が、賃上げのための最低賃金を構築する手だてを講じる必要があると思います。賃金引き上げのための補助金制度、融資制度や、賃上げをしたところは減税をするとかのさまざまな方法をやろうと思えばあると思います。
大企業に対して、中小企業への特に下請単価のいわゆる買いたたきの是正も求められると思います。
若者が経済的理由で結婚できない、子育てもできないというのでは、生きがいと夢を与えることはできません。少子高齢化を克服すると盛んに言われているわけですけれども、若者が経済的に自立することがなければできないわけであります。今の最低賃金制度が足かせになっていては、これは決して克服できないと言わなければなりません。
時々、生活保護受給者との比較も言われております。それじゃあ、保護基準を下げればいいじゃないかという本末転倒の議論もあるわけですけれども、この最低賃金法の趣旨をしっかり読んでみますと、最低賃金が低過ぎるということですから、こちらを引き上げるのが本来の法の趣旨だと言ってよろしいのではないかと思います。
請願項目第2の、残業時間の上限規制と異常な長時間労働と過労死を防ぐ対策についてであります。
先ほど議会運営委員長から、この請願の論議の内容も報告がありました。趣旨はきちっと理解できるんだというようなお話もありましたし、否決された、不採択としたという、その辺の理由も私は、聞いていて、はっきり聞き取れませんでしたけれども、本日の中で、ぜひ全会派が一致して採択をされるようにお願いしたいと思います。
労働基準法が遵守されるかどうか。これはこの請願項目の第3、労働基準監督員の増員の問題にかかわってくるわけです。しかし、この労働基準監督員が日本の場合は非常に少ないということです。
調べてみましたら、監督官の1人当たりの事業所数が1,500を超えるということです。これではとても監督指導は行き届かないということで、これは監督官自身も語っています。企業の中は一種の閉鎖社会と言えるわけでして、内部のことはなかなか表に出てこない性格があるわけです。かつて職場内に憲法がないとまで言われておりました。サービス残業が横行している現状、これも企業内でのいわゆる密室性といいましょうか、そういうところにも原因があると言わなければなりません。
公務員削減がずっと行われてきて、その対象に実は監督官もなっているんです。これはやっぱり実態を無視したものだと言わなければなりません。早急に増員すべきであることを、改めて強調したいと思います。
第4は、給付制の奨学金制度を設けてもらいたいと。これもOECDは34カ国あるわけですけれども、学費無償と給付制奨学金のないのは日本だけなんですね。確かに日本の場合は学費は世界一高く、奨学金はほとんどが貸与、つまり借金であります。借りたものは返さなければいかんということは、ある意味では当然ですけれども、実は卒業後の返済というのが非常に今滞っている、苦労しているというのもまた実態なのです。卒業後の返済は、利子を含めて大きな負担になっております。若者の今の非正規労働という実態もこういう反映でありますけれども、今この奨学金の問題も非常に大きな課題になっております。
以上、いずれの請願項目につきましても、若者にとって緊急かつ切実なものであります。若者が夢と希望を持って、生きがいを持って働くことができるように、その一助とすることで、本議会が請願第2号を採択していただくことを改めてお願い申し上げまして、賛成討論といたします。