静岡市第3次総合計画について、浜岡原発について

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DSC_0789◯38番(山本明久君) 私は、2つのテーマについて質問をいたします。
第1は、議会に提案された3次総の骨子案についてです。
1点目は、基本構想案における目指す都市の将来像、世界に輝く「静岡」の実現についてです。
目指す都市像と言う以上、私は、静岡らしさや地域の特性を生かして、それをさらに発展させるイメージが湧く内容、そして、市民が違和感なくなじめる将来像が求められていると思いますけれど、なぜそういった内容にしないのかという点です。前市長の発想のまま、都市像のイメージがつかみにくく、市民にとって実感できにくいものだと私は感じますが、市長がなぜこれにこだわる必要があるのか。これがなぜ静岡の将来像にふさわしいのかを明らかにし、市長の考えを示してください。
2点目は、基本計画の骨子案についてです。
市政の11分野において、市民の暮らしの充実を図ることを土台にして都市の発展を進めるという構成のようです。この全体構成案の説明では、2次総の総括や本市の現状と課題については数点の指摘はありますけれど、この11分野において課題を明確にするためには、2次総の到達を各分野で全面的に総括を行って、本市の各分野における現状を調査、分析した上で、総括内容や調査資料とデータを市民と議会に示す必要があると私は考えます。3次総に向けて、なぜそれがなされないのか。どう考えているのか、明らかにしていただきたい。
第2は、浜岡原発の原子力災害についてです。
最近の注目すべき大きな動きは、5月に福井地裁で出された大飯原発再稼働の差しとめ判決でした。この中では、250キロ圏内の住民への人格権侵害の危険、想定を超える地震による事故の可能性、原発に内在する本質的な危険、運転停止によって被害拡大の要因の多くが除去される点などが、再稼働を認めない理由として指摘されました。3.11を経た判断としては当然のものだと思います。
ですから、50キロ圏内の本市として、これまで以上に高い危機管理意識を持つ必要があると私は思っています。
私はこれまでも、1990年代に、美浜や浜岡を初め、全国で繰り返されている原発での重大な事故をもとに、本市での放射能検知器の設置や、防災計画への位置づけなどを求めてきました。
3.11を経て、ようやく24年2月の修正版で、予想される災害の中のその他の1つとして原子力発電所の事故が、わずか3行だけですけれど、位置づけられて、25年度の防災計画では、これが1項目起こされて、原子力発電所の事故として5行にふえて、万が一過酷事故が発生し放射性物質が大量に放出された場合、市内にも影響を与えることが予想されると位置づけられました。昨年もさらなる対応を求めましたけれど、26年度に向けた修正版では、格上げして第24節として、複合災害及び連続災害対策を設けて、その中に原子力災害も位置づけて、発生可能性を認識し備えを充実するとの規定に発展させました。少しずつではあるけれど、前進してきており、これは大事なことだと思います。
今回は、さらなる前進を求めてお聞きするわけですが、こうした防災計画における浜岡原発による原子力災害の位置づけ、複合災害への対応についてどう考えているのか、丁寧にお答えいただきたいと思います。
以上、1回目です。

◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、3次総について、目指す将来像、世界に輝く「静岡」の実現についてにかかわるお尋ねにお答えをいたします。
静岡らしさや地域特性を生かして発展をさせる、市民が違和感がなくなじむ将来像になぜしないのかという問題提起だと承りました。
3年前、私が市長に就任したときの社会背景は、デフレ経済下のもとの3.11の直後ということでありましたので、私に与えられた2つの大事なミッションは、地域経済の活性化と暮らしの安心・安全の確保、この2つでありました。
その中で、ないものねだりではなくあるもの探しをしようよ。あるもの探しをしたら、それを磨いていこうよ。ぴかぴかにして輝かせようよと。そして、求心力を強めていこうよという呼びかけをしました。この3年間の取り組みの中で、都市の求心力を強めていくときに、そのことが方向性として間違っていないということを感じました。
例えば、富士山が世界文化遺産7年を迎えましたが、このごろ、またテレビニュースで、三保松原が注目をされておりますが、世界の三保松原というブランドを手にしたことによって、観光客が2.5倍にふえました。
あるいは、家康公四百年という地域資源を生かして、昨年の冬にイギリスのシティプロモーションに行って、手応えを感じました。
あるいは、御地で大変人気のキャラクターちびまる子ちゃんを連れて台湾にキャンペーンに行って、インバウンドとこちらの地場産品のPRをしてきました。
つまり、人口減少局面の中で、世界にマーケットを求めていかないと、世界の中の静岡という発想がなければ、静岡の都市経営はしていけないという認識があるからであります。だから、世界に輝く「静岡」の実現なのであります。
ただ、これは一つのスローガンであります。この世界に輝く「静岡」の実現には、2つの要素があります。
1つは、マクロな形での「求心力が強く、世界中から人が集まるまち」をつくろうという地域経済の活性化を考慮した部分。もう1つ大事なこと、より大事なことは、「災害に強く、安心・安全に人が暮らせるまち」をつくっていこうというものであり、それこそが世界に輝く大事な要素だということを議員にはぜひお伝えをして、理解をしていただきたいとお願いをいたします。
しかし、経営でありますので、この安心・安全の確保、それは防災を初めとして、午前中議論がありました保育も、子育ても、介護も、医療も、福祉も、公共サービスとしてかなりの費用がかかります。それらをきちっとバランスをとっていかなければいけない。やはり経済の振興と安心・安全の確保は車の両輪であります。
基本構想の考え方は、「創造する力による都市の発展」と「つながる力による暮らしの充実」の両輪で未来を切り開こうとするものであります。これは、就任後につくりましたまちみがき戦略推進プランの、先ほど申し上げました、鳥の眼で見る都市ビジョンである「求心力が強く、世界中から人が集まるまち」と、虫の眼で見る「災害に強く、安心・安全なまち」をつくるという都市ビジョンを発展的に3次総に位置づけたものであります。
とりわけ、「つながる力による暮らしの充実」は、これは先週も議論させていただきましたが、ここに住む住民が安心・安全に笑顔で、幾つになっても地域で健康に暮らせるような、健康寿命世界一のまちをつくっていこうという、地域包括ケアシステムの充実であるとか、そういう観点の生活環境を実現していこうという考え方であります。地域において、さまざまな価値観を持つ人々がともに生き、健康で長寿で、生きがいを持って暮らせるまちの実現をしていこうとするものであります。
そういう中からこのまちに暮らす誇りが市民の中で醸成をされると、私は信じております。ここに住む人が誇りを持つこと、これが第一であります。そして、ここに来る人がこのまちに憧れを持つという、この誇りと憧れを2つのキーワードにしていく。それが両立されたとき、初めて世界に輝く「静岡」の実現ということであります。
第2次総合計画では、議会の同意をいただいて、世界に輝く「静岡」の創造という小嶋前市長のスローガンができたと受けとっています。このいいものを継承することは、私にとっては自然な成り行きであり、これらが相まって、本市の目指す姿として参りたいと考えております。御理解のほど、よろしくお願いをいたします。
以下は局長に答弁させます。

◯企画局長(加藤正明君) 3次総の基本計画における現状と課題についてでございますが、3次総を策定する上で、2次総を総括するとともに、本市の現状を把握、分析し、課題を導き出すことは大変重要であると認識しております。
そこで、2次総の総括につきましては、現在、各局において2次総における主要プロジェクトの達成状況の把握を行うとともに、外部評価を含めました施策評価を行っているところでございます。
また、各局においては、既に現状の把握と分析を行い、課題を解決するための施策を打ち出しておりますので、それを第3次総合計画の中間素案としてまとめ、近々公表する予定でございます。

◯危機管理統括監(中野達也君) 原子力災害と他の災害との複合に関する御質問にお答えをいたします。
複合・連続災害につきましては、静岡市地域防災計画の中で、地震、津波、原子力災害、風水害、火山災害等が同時、または連続して2つ以上発生するものと整理をしております。
南海トラフ巨大地震など大規模地震の発生の際に、浜岡原子力発電所の事故が複合的に起こり得ることは想定しているところでございます。
〔38番山本明久君登壇〕

◯38番(山本明久君) まず、3次総についてです。
市長から説明がありましたけれど、世界を見据えてという気持であることはわかりましたが、それがなぜ目指す都市像として規定される必要があるのか、ふさわしいのかという説得力がないのです。
ちなみに、他の地方の政令市の基本構想における目指す都市像を見てみますと、目指す「らしさ」が出てきているんです。
例えば、国際平和、人権、地球環境問題に関する取り組みなどを通して、創造的な都市活動と国際交流を活性化する「北の拠点都市」、これは札幌です。誰もが心豊かに暮らし続けることができる「ひとが輝く杜の都」、これは仙台。「多彩な都市活動が展開される東日本の交流拠点都市」「環境共生都市」「若い力の育つゆとりある生活文化都市」、これはさいたま市です。「人・自然、産業が共生する活力あるさがみはら」等々、その他もそういう感じです。何となく目指す「らしさ」、ああ、一丸となって目指しているんだなというのがイメージできるんです。もう1ついくと、「住みたい、行きたい、働きたい。アジアの交流拠点都市・福岡」ということです。
市長は、2回目の質問の内容に、もう少し答えたような感じもあるのですが、世界に輝く説明として、案では「住む人が誇りを持ち、来る人が憧れを抱く世界水準」というふうになっています。少し説明がありましたけれど、具体的にはそれがどのような内容のまちなのか。どのような水準になるのか。どのような水準を目指すのか。そして、現状はどうなっているのか。ここについてはわかりやすく説明しておいてください。
もう1件、全体構成案で強調されている暮らしの充実についてです。
充実するという以上、先ほど、各分野での調査、検討の結果が近々に示されるということがありましたが、市民の暮らしの現状をどう認識して、市民の暮らしの要求、ニーズをどう把握しているのか。充実の内容をどのように考えているのかについては説明しておいてください。
これは、議会でも議論していくのですが、そういうデータがないと検討しようがないというのがあります。
第2は、浜岡原発の原子力災害からの危機管理についてです。
もう少し危機意識を持った答弁を求めたわけですが、その意識としては非常に低いんじゃないかという受けとめです。
なぜそういうことを言うかというと、現に、福島の事故で、4号機は、使用済み燃料プールが危機になりました。2号機は、格納容器が爆発の危機にあったわけです。実際に、170キロ圏内の強制移住が、最悪のシナリオとして首相に報告されました。最近出た吉田調書は、あの福島事故で東日本壊滅という危機だったと当事者は受けとめているということだったわけです。民間事故調の委員長の話も読んでみましたけれど、この危機が幸運にも予期せずに起きずに済んだというほど、紙一重、危機一髪だったというわけです。
この間、原子力規制庁によるSPEEDIを使った放射線影響予測調査結果や、福島事故並みに浜岡原発事故が起きた場合の民間の環境総合研究所による放射能汚染調査試算などにおいて、現実的な静岡市への危険性が数字で示されてきています。
環境総合研究所の調査は、SPEEDIでは考慮されていない地形を3Dで読み込んで、現実的な試算がされているそうで、これは新聞報道でもありましたけれど、それによると、西南西の風で本市には毎時10マイクロシーベルト・パー・アワーの汚染だと。仮に、これを1日8時間外を歩いたとして計算すると、年間推定積算線量は29ミリシーベルトだと。福島の避難指示は20でしたから、上回るわけです。これが浜岡から秒速3メートルの風にプルームが乗れば、5時間で静岡市に到達すると。そういう危険性なんだと。
もし浜岡が稼働していれば、発電量は福島の数倍ありますから、もっと大きな汚染被害になることは目に見えているわけです。
静岡市民の命と都市の存立が脅かされる危険ですから、お聞きしておくことは、こうした調査結果、本市の被害予測についてどう受けとめているのかということと、防災計画資料編には、こうした資料をしっかり提供する必要があるんじゃないか、掲載する必要があるんじゃないか。
そして、現実的にもっと危機意識を高く持って、原子力災害を含む複合・連続災害を想定するなら、机上訓練、実動訓練をすべきだと思いますが、考えをお聞かせいただきたいと思います。
つまり、津波が来て、逃げたところへ放射能が襲ってきたらどうするんだと。これはしっかり検討しておく必要があると。お答えください。
以上、2回目です。

◯企画局長(加藤正明君) 3次総における目指す将来像はどのようなまちなのか、また、暮らしの充実の内容などについて、あわせてお答えいたします。
3次総で目指していきます「世界水準のまち」とは、本市の歴史、文化、自然などのよさや強み、そして、そこに住んでいることに市民が誇りを持ち、ずっと住み続けたいと思えるまちであり、さらに、市民一人一人が静岡のよさや強みを国内外に情報発信することにより、世界中の人が憧れを持って、行ってみたいと思うまちのことでございます。
一方、「暮らしの充実」とは、住む人にとって、福祉が充実し、安心・安全で豊かな生活を送ることができるまちであり、すなわち、市民一人一人が枕を高くして寝ることのできる安心感を持てることだと考えております。
しかしながら、現状はまだその水準には達していないと思われますので、3次総の中で、その実現に向け取り組んでまいりたいと考えております。

◯危機管理統括監(中野達也君) 原子力災害に関する2点の御質問にお答えをいたします。
まず、浜岡原発に係るSPEEDIによる拡散シミュレーション結果についてであります。
SPEEDIは、原子力発電所の災害発生時に、周辺環境における放射性物質の影響を、気象条件や地形データをもとに迅速に予測するものであります。
本年4月に公表されました浜岡原発に関する拡散シミュレーション結果は、平成23年の実際の気象データをもとに原子力規制庁が行ったものであります。
静岡県は、このシミュレーション結果を、避難ルート等を検討する際の参考とするとしております。
この結果は、原子力災害に関する情報の1つではありますが、本市は、現時点で、この結果に基づいた災害対策を地域防災計画に盛り込む予定はなく、資料編への掲載も予定しておりません。
次に、訓練についての御質問にお答えをいたします。
本市は、緊急時に避難等の防護措置の準備を行う区域、いわゆるUPZの圏外に位置しております。
このため、現在のところ、本市の地域防災計画におきましては、具体的な対策については触れておりません。
今後、原子力災害に関する国の指針や、それに基づく県の地域防災計画の中で本市が対象とされた場合は、訓練を含めて対策を検討していくことになると考えております。
〔38番山本明久君登壇〕

◯38番(山本明久君) 3次総の骨子案ですけれど、日経グローカルとか東洋経済は民間調査をやっていて、住みやすい都市ベスト100などの調査をやっているわけですけど、他の政令市は全部入っていても、静岡市だけは入ってなかったりするわけです。
先ほど答弁にもありましたけれど、本市のレベルは平均以下ぐらいなのです。住みよさランキングの各指標にある災害対応力、安心度、快適度、扶養度、居住水準度、どれも本市はランキングされていなくて、非常に低いレベルだということで、誇りと憧れを持つという都市を目指すということ自体は否定はしませんけれど、しかし、足元の市民の暮らしの現状は厳しい中で、もっと後半に説明されたような中身で、目指す都市像を規定していくべきだと思うのです。
安心して住み続けられる福祉と防災のまちを目指すというほうが、静岡市にとってはわかりやすいんじゃないかという提案です。
暮らしの充実と言うなら、暮らしやすさや行政水準をトップレベルに引き上げるような目標と方針をしっかり示す必要があるんじゃないか。考えを聞かせていただきたい。
もう1つは、市民が共感できるような中身に練り上げていくために、作成過程において、市民参加を最大限進めて、意見を反映できるようにする取り組みを、どういうふうにしていくのかについて、お聞きしておきます。
浜岡原発の危険の問題です。
浜岡原発は、よく言われるように、直下に震源域があって、断層があって、世界一危険だと言われますから、幾ら高い防潮堤をつくっても、地盤から壊れて、沖合から引いている冷却水の取水排水施設が壊れれば、もうアウトなのです。
中電は、新基準で2,000ガルに対応できると言っていますけれど、しかし、福井地裁判決も認定したように、岩手・宮城内陸は4,022ガルも出ているのです。だから、想定以上の地震が起こり得るという対応がどうしても必要なのです。安全基準には全くないのです。
つまり、原子力災害からの最大の危機管理は、再稼働しないこと、廃炉にするしかないというのは、もう自明のことだと思うのです。
先ほど、UPZが出ましたけれど、浜岡原発のUPZで、90万人をどう非難させるかという、県がやる……

◯議長(石上顕太郎君) あと1分で終了してください。

◯38番(山本明久君)(続) 避難計画は、実効あるものということはほぼ不可能でしょう。車のない人や、要援護者や、入院患者はどうするかというめどが全くないわけです。
もし、今、原子力規制委員会も40キロ、50キロ圏をUPZに入れると検討されていますから、そうなってくれば、200万単位で避難させるのはほとんど無理だということからして、仮に動かさなくても、先ほど言ったような使用済み燃料プールの危機があるわけですから、冷却水を供給できなければメルトダウンということになります。
こうした観点から、やっぱり福井地裁判決を市としても受けとめて、危機意識をしっかり持って、浜岡原発による原子力災害からの最大の危機管理は、再稼働しない、廃炉しかないということについて、どう考えるかお答えいただきたい。
以上です。

◯企画局長(加藤正明君) 暮らしの充実における目標と、3次総の策定過程での市民参画について、あわせてお答えいたします。
市民の住みやすさを示す目標や指標につきましては、3次総における各分野の基本的な方向性においてそれぞれ掲げてまいります。特に、暮らしを充実させるための3つの分野、すなわち、健康・福祉、防災・消防、生活・環境におきましては、可能な限り市民にわかりやすい目標や指標を設定していく予定でございます。
また、3次総の策定過程での市民参画につきましては、これまでも、市民アンケートを初め、Voice ofしずおかや、まちみがきトークなどで市民の皆さんから御意見をいただき、中間素案に反映させてまいりました。
今後は、この中間素案を公表するとともに、さらに、パブリックコメントやシンポジウムなどを通じて、引き続き市民の皆さんの意見聴取に努め、オール静岡の計画となるようにしていきたいと考えております。

◯危機管理統括監(中野達也君) 浜岡原発の再稼働につきましての御質問にお答えをいたします。
浜岡原発の再稼働につきましては、浜岡原発に安全措置が講じられた時点で、原子力発電を含むさまざまな発電手段の中で、安全性を初めとする総合的な検討と関係住民への十分な説明が必要であると考えております。