消費税増税に伴う使用料・利用料の引き上げなど市民負担増と公立の保育所、幼稚園を認定こども園に移行、静岡病院の地方独立行政法人への移行などに反対する討論

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DSC_0369◯25番(鈴木節子君) 私は日本共産党市会議員団を代表し、議題となりました125件の議案のうち、以下84件の議案に対し、反対の討論を行います。
議案第25号平成26年度一般会計予算、31号から33号、38号から42号、44号、47号、49号、51号から53号、55号から77号、84号、85号、87号から115号、117号から120号、122号、123号、126号、129号から133号、137号、138号、そして149号についてです。
まず、初めに、市長の施政方針について、評価を述べさせていただきます。
国は、4月から消費税率引き上げで史上空前の大増税を国民に押しつけ、社会保障の解体と暮らし関連予算を軒並み削減しようとしています。市長が景気回復の兆しと評価したアベノミクスでは、暮らしと経済はますます破綻しますが、本市は世界に輝く「静岡」の実現などと足元の現実とはかけ離れた目線で、市民の深刻な暮らしの実態を直視せずに、国と同様に負担増を押しつけようとし、市民の暮らしの厳しさ、苦しみを思いやる姿勢が欠落しています。
それでは、以下、反対の理由を申し上げます。
第1に、収入減で暮らしにあえぐ市民にさらなる負担を押しつけることです。
その1点目、消費税増税に伴う使用料・利用料の引き上げは、文化、スポーツ、暮らし関連の71の施設、事業に及びます。消費税率引き上げを公共施設利用料に転嫁しない自治体は県内10市町あり、その理由を施設の活用促進と住民サービス向上のためと説明しています。本市でも住民本位の判断が必要です。
また、健康づくり、生きがいづくりにも貢献しているスポーツ施設、高齢者施設の負担増は、楽しみを奪うに等しい行為です。年金生活の方からは、大幅値上げで利用者はこれから減る、利用者の声を聞くべきだという声が寄せられています。
特に、動物園、科学館、登呂博物館入場の子供を市内、市外で区別し有料にすることは、158万圏域だとか世界にはばたく静岡というには、余りに度量が狭い話です。なぜ子供さんを区別する必要があるのでしょうか。子供は社会の宝として大きな心で育むのが行政の役割です。市内の子供にカードを出すため、多額な費用をかけてまで他市と特別するような恥ずべき有料化であり、今すぐ撤回すべきです。
2点目に、高校授業料無償化制度に所得制限を導入することです。
無償化制度は社会全体の負担で高校生の学びを支え、将来の人材を育成するものです。これに、世帯によって負担が生じる、そして、所得制限が導入されること自体が誤りであり、同じ教育を受けるのに一部の生徒のみが授業料を払うのは、教育の場に差別を招くものです。
また、これにより、事務量も相当ふえ、職員にも負担を生じます。
3点目に、国民健康保険料の最高限度額引き上げです。
中間所得層の5割、2割、1割軽減が拡充され、5,000人の保険料が軽減されることは前進面として評価できますが、限度額77万円から81万円への引き上げは、所得600万円の世帯から対象となり、重い負担増となります。国の限度額引き上げ方針に黙々と従わずとも、市の裁量で負担軽減、負担増を抑えることは可能です。
また、後期高齢者医療の保険料引き上げも、年金減額の高齢者の暮らしを直撃します。
第2に、公立の保育所、幼稚園を認定こども園に移行する経費と、事業計画策定経費が計上されている子ども・子育て支援新制度の問題です。
来年4月から本格実施となりますが、保護者や保育関係者に多大な不安や混乱を招いています。
この制度の問題点は、1つに児童福祉法第24条第1項で市町村の責任による保育所保育と、第2項の認定こども園と保護者との直接契約制度が併存すること。
2つは、親の就労時間によって保育時間に増減が設定され、必要な保育が受けられなくなること。
3つは、施設や事業が多様化することで、保育基準や保育条件に格差が持ち込まれこと。
4つは、保護者負担の増加です。本市は、高額な国基準の保育料に対し、市が補助をして保護者負担を軽減していますが、新制度ではその保証はありません。
5つは、新制度の導入に乗じて公立保育所の民営化、統廃合をすれば、公立の果たしている子育て支援の地域の拠点がなくなり、職員配置基準など保育水準を保ってきた機能が失われます。
保育の実施義務について、市は責任をもって地域の保育需要に対応する、市の保育に関する責任が後退することはありませんと答弁しています。認定こども園に移行、民営化しても、保育の実施責任を市が負うよう、今後も確認していきます。
市は新制度実施と同時に公立保育所、幼稚園を認定こども園に移行する方針です。制度の全容が示されず問題だらけの制度なのに、国の言いなりで移行を急ぐ理由も必要もなく、待機児対策の保育所でやればいいのです。認定こども園への移行はやめるべきです。
日本の大事な宝である子供の発達と生命にかかわる制度設計だからこそ、拙速な対応は許されません。自治体は国の下請機関ではありません。子供の発達を保障する制度になるよう毅然として国に要望し、国と地方自治体、双方向で議論を尽くす、そのぐらいの気概を示していただきたいと思います。
第3に、静岡病院の地方独立行政法人への移行です。
自治体病院をめぐる背景には、公立病院改革ガイドラインで経営の効率化、再編ネットワーク化、運営形態の見直しと、政府が自治体病院の運営に介入、干渉し、締めつけがあります。非公務員型にするということは、自治体リストラの一環であり、全体の奉仕者が働き、支える病院でなくなるということで、公の役割の後退です。
地方独立行政法人の問題点は、議会の関与が弱まり、住民からかけ離れた財政面だけを重視する採算第一主義の運営に陥り、稼げる診療分野への傾斜や、不採算部門の切り捨て、労働条件の改悪などのおそれもあります。行政とは切り離して別の法人になるので、保健・福祉・医療を一体にした行政の推進が困難になることも予想されます。
このように多大な問題を抱える独法化はすべきではありません。
第4に、住民情報システム改修経費が計上されている社会保障・税番号制度の問題です。
これは、いわゆるマイナンバー制度と言われ、全ての国民に対して、社会保障と税の分野で原則普遍の個人番号をつけ、個人情報を容易に照合できる仕組みをつくる制度です。
政府は、メリットとして申請書類の簡素化、給付の供給調整を挙げています。しかし、必要な情報はほとんど現在の市役所の中でそろうため、システムを使う必要はありません。
むしろ、初期投資が3,000億、維持費に数百億という巨大プロジェクトなのに、導入効果も費用対効果も示されていないことや、個人のプライバシーが容易に集積され、プライバシーの侵害や成り済ましなどの犯罪が常態化するおそれがあります。個人のプライバシーが関係のない第三者によって集積され、その情報が売買されたり、不正使用、不正利用されるなど犯罪が多発する、そんな気味の悪い社会をつくっていいのでしょうか。
一方で、社会保障の給付抑制や税、社会保険料の徴収強化の手段にされかねないものです。番号制度には、憲法が保障する基本的人権の侵害にも直結しかねない重大な問題が含まれています。
第5に、定員管理計画による正規職員の削減です。
1次総で420人、2次総で122人、これまでに正規職員を削減しました。現在では全職員の4人に1人は非常勤職員というありさまです。政令市移行後、膨大に事務量がふえ、職員の抱える仕事も責任もますます重くなっています。
自治体職員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、災害が発生すればすぐに駆けつけ、住民の利益を最優先に迅速に行動するという使命を負っています。目先の財政の効率化を重視する余り、自治体職員はかけがえのない住民の宝ということを忘れてはいないでしょうか。
また、専門性、継続性が求められている業務を後輩に引き継いでいくには、年代ごとの職員層の重厚な厚みが必要となります。職員削減によってその保障も危ぶまれ、住民と自治体にとってはマイナスです。
第6に、不要不急の歳入歳出があることです。
国直轄道路事業負担金、清水港湾整備事業費負担金、日本平山頂の整備事業、下水道の受益者負担金、自衛官募集業務委託、国民保護計画にかかわる経費が計上されていることは認められません。
最後に、予算の使い道を、暮らし、福祉最優先に切りかえて、基礎自治体の本来の使命である住民福祉の増進という役割を本市がしっかり果たせるよう、我が議員団も全力を尽くすことをお伝えし、反対討論といたします。