国民健康保険料の引き下げを求める請願に対して賛成の討論

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DSC_0409◯38番(山本明久君) 私は日本共産党市議団を代表いたしまして、請願第1号国民健康保険料の引き下げを求める請願に対して賛成の討論を行います。
この請願は、医療従事者などを含む、医療と福祉をよくする会ほか23団体から提出されています。同請願は、本市の国保料が24年度に3割もの大幅値上げがされたことから、所得の2割に及ぶ重い負担になったと指摘しています。
この重い負担によって保険料が払えない事態を生み、それがさらに受診の抑制となってあらわれ、健康破壊にも及んでいると、事例を踏まえて述べています。
その上で請願は、重い保険料負担のもとで暮らしにあえぐ市民の生活実態に目を向けて、国保料を引き下げてほしいと求めています。
こうした請願の内容は、切実な市民の暮らしの声を反映したものだと本議会において受けとめる必要があるんではないでしょうか。
この所得の2割負担というのは、例えば議員の所得に置きかえてみますと、仮に最高限度額がなければ、おおむね年間180万円の国保料になるという負担なんです。議員の皆さんの中には、請願の趣旨には理解を示しながらも、本市の財政状況のもとで20億円に及ぶ一般会計からの繰り入れをしており、保険料引き下げの財源は大変なんじゃないかというお考えの方もいるかと思います。
私たち党市議団は、今日窮地に追い込まれている国保制度を安心できる医療制度にするためには、根本的な改革が必要だと考えています。低所得者が多くを占める国保は、もともと適切な国庫負担がなければ制度が存続できないものです。低所得層の市民であれ誰であれ、安心して医療を受けられる制度として、現国保法では社会保障と第1条で明記されています。1958年に改正された現国保法以前の旧法では、戦前・戦争中の相互扶助制度だったものが、戦後憲法のもとで社会保障という位置づけがされています。
この間、雇用制度との規制緩和や経済情勢の悪化などにより、国保には非正規労働者や失業者が多数加入してきて、今、加入世帯の3分の1を超えてきていることとあわせて、自営業者や農林漁業者の休廃業が加速すると同時に、受給する年金が減るなど、国保加入者の多くの階層において貧困化が進んでいます。本市において、所得ゼロから100万円未満層は国保加入世帯の43%を占め、滞納世帯の52%に及んでいます。
一方、このような加入者の貧困化のもとで国庫負担はといいますと、1984年の国保制度の改革によって、それまで医療費の45%とされていた定率の負担割合が、そのとき医療費の7割給付の50%と引き下げられたことによって、実質高額療養費の負担と合わせて国庫負担はおおむね38.5%に引き下げられました。
現在では、国保会計の歳入に占める国庫支出金の割合が、本市において20%を切るまで削減されてきています。国はそれ以外にもさまざまなペナルティーを自治体に課して国庫負担を削減し、自治体と加入者の市民に犠牲と負担を押しつけてきました。これが国保制度の最大の問題です。こうして減らされた財源の穴埋めとして、保険料がどんどん引き上げられ高騰してきたという経過です。
データがある24年度末の政令市との比較を見ると、本市の市民1人当たりの医療費は、政令市平均より1万7,000円も低いのに、保険料は平均より1万3,000円も高く、第2位の高さとなっています。
そして、この保険料がどんどん高騰すれば、低所得層はますます保険料が払えなくなり、現状では負担の限度を超えているといえます。
では、どうするか。
第1には、この削減されてきた国庫負担を、元の水準にまで早急に引き上げさせることです。
そして、第2には、国にそうした対応をとらせるまで、市が社会保障としての役割を国保に果たさせるために、一般会計からの繰り入れをふやしていくしかありません。つまり、国保を保険者である市として支えるために、社会保障の心を持って予算を手厚くすることです。
そして、第3に、そのことによって保険料を払える水準に引き下げることです。
この点、ぜひ議員の皆さんに理解して、お力をかしていただきたいと思います。
もちろん、同時に医療費の伸びを抑えるために、健康診断などを強化して未然に重篤化を防ぐなどの手を打つことや、医薬品などのジェネリックに切りかえることも重要です。
特に、この保険料の引き下げが必要だという点で強調したいことは、この間の保険料の連続値上げが、滞納世帯が、払えなくなっている世帯が加入世帯の2割を超え、滞納額も56億円にも及び、それが国保財政を悪化させ、さらに保険料を高騰させるという、国保の危機と言われる悪循環をつくり出していることです。
この中で請願者が指摘するように、滞納によって短期保険証となり、さらに払えないと保険証がもらえず資格証明になって医者に行けなくなる、病気が重篤化するという事態が生まれています。
一方、本市では24年度の大幅値上げによる事業会計の黒字によって、25年度には41億円もの基金が積み立てられました。今後も黒字が続く見込みだと言われています。高くて払えないほど保険料が引き上げられて、それによって基金を莫大に積み上げるというやり方は、社会保障としての国保の正しい運営とは言えないのではないでしょうか。
他の政令市と比較できる24年度末のデータでは、基金ゼロという市は政令市で11市、基金1人当たり1,000円以下というのは5市という中で、本市は24億円も基金があり、1人当たりにしてみれば1万2,400円もあります。ゼロを含めて政令市の平均は1人3,300円の基金です。ですから、本市は保険料の上げ過ぎ、基金の積み立て過ぎということです。
また、一般会計からの法定外繰り入れ、赤字補填については、先ほど少し触れましたけれど、これも他の政令市平均と比較してみると、本市では市民1人当たりの繰入額は平均以下という水準です。国保当局も市の財政当局も、努力しているということは十分承知していますけれど、他の政令市はもっと努力しているというのが実態です。保険料引き下げの努力を、国保当局も財政当局も、ぜひお願いしたいと思います。
そして、国に対して、負担金をもっと引き上げよという声を、これはもう本当に当局と議会、共同して上げていこうではありませんか。
一般会計からの繰り入れをふやすことは、企業の健保と比べて税金の使い方として不公平ではないかという議論も一部にはありますけれど、事業主負担がない国保は、国民皆保険として国が支えて、保険者である市が運営に責務を負っているわけです。
ですから、所得の再配分機能を持つ社会保障に税金を充てるということは、政策的に間違っているわけでも不公平でも決してないと私は思います。
この点で、今見逃すことができない問題は、国による国保広域化です。この狙いは自治体による一般会計繰り入れ、赤字補填を廃止させるという点にあります。そんなことになれば、保険料が際限なく高騰することは目に見えています。これは絶対に容認することができない問題です。
以上、高過ぎて払えない国保料を引き下げてほしいという本請願は、切実な暮らしの声であり、道理ある声です。市民の代表としての議員の皆さんに、請願への賛同を心からお願いいたしまして、賛成討論といたします。