市職員及び市教育職員の給与条例一部改正案の反対討論

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96◯3番(寺尾 昭君) 私は日本共産党市議団を代表いたしまして、議案第242号及び第243号について反対の討論を行います。

上程されている市職員及び市教育職員の給与条例一部改正案は、人事委員会の勧告に基づいて毎月支給されている給料及び期末勤勉手当を、現行に比べ年間で15万8,000円、2.41%引き下げるというものであります。国家公務員の引き下げ幅が9万4,000円、これは1.5%なんですが、これを大幅に上回る下げ幅になっております。

55歳を超える職員、今説明もあったわけですけれども、きょうここに並んでいる方々のその多くは該当するんじゃないかと思いますが、この55歳を超える職員にはさらに給料及び管理職手当、そしてまた地域手当の減額、先ほどもありましたように、1.5%を行うと、こういう内容であります。

公務員の賃金は、国家公務員ベースで1998年以来一貫して下げられ続けてきました。この12年間で一時金、ボーナスで1.3カ月、また実額でいいますと既に71万円と、こういう多額の引き下げということになっております。静岡市の職員の場合は、さらにこれを上回る内容の引き下げであります。

経済の状況は一向に回復の兆しが見えておりません。企業倒産件数は毎月1,000件前後を推移しております。失業率は5%台、これまた高水準を継続しています。ことしは県内新卒者の就職内定率が、10月現在でありますが、高校生は68.3%、大学生47.4%と大変な状況になっているわけであります。

しかし、一方では資本金10億円以上の大企業の内部留保はこの1年で11兆円をふやし、総額では244兆円、こういう巨額に達しているわけであります。しかし、年収200万円以下の労働者が1,000万人を超えると、こういう統計の数字も明らかにされているわけであります。

これまで進めてきた労働者の賃金切り下げ、そしてまた首切り自由の非正規労働者に置きかえてきたと、こういうものがこの結果を生んでいるわけであります。

国民の要望の第1は、とにかくまず景気を立て直してほしい、こういうものであります。そのかなめは政府自身も認めておりますように、GDPの6割を占める個人消費、これをいかに高めていくか、これは論を待たないわけであります。

反対の理由の第1でありますけれども、この公務員の賃金の引き下げ、これは地域経済にやはり重大な影響を与える、これが必至であります。そしてこれは景気回復に逆行するということであります。静岡自治労連が毎年試算をしておりますけれども、県内の国、県、市、町職員、そして関連労働者、関連労働者の中には非正規労働者の方々、市が採用しております非正規労働者の方々、あるいはまた公益法人、市立学校の職員の皆さん、社会福祉法人、農協や漁協など、この人事院勧告を参考にしてこの給与水準を決めているという、こういう関連労働者、合わせて、少なく見積もっても14万2,000人、こういう方々がいらっしゃるわけです。今回の人事院勧告に基づく給与引き下げは何と108億円に達し、これがまた生産減退につながって、一層景気へのマイナス効果、影響を与えると、こういうふうに言っております。

9月28日付の日経新聞をごらんになった方も多いかと思いますが、デフレ脱却のために金融緩和策ということが日銀などを通じて行われているわけでありますが、これはバブルを再燃させるというおそれが強いんだと。持続的な成長路線に復帰できる保証はないというふうに言い切っております。それよりは労働者の賃上げこそすべきであり、特に公務員の給与引き上げは公務員の優遇という問題ではなくて、民間の賃上げを誘発し、需要を喚起する呼び水になるんだという、ケインズの言葉を引用しながら、公務員の給与の引き上げを日経新聞も主張しているわけであります。

理由の第2でありますが、やはり何といっても職員の士気に大きな影響を与える、こういう心配があるわけであります。今、定員管理計画のもと、少ない人員で、職員は住民サービスを少しでも向上させよう、非常に頑張っているというふうに私も評価をしているわけであります。しかし、先ほど言いましたように、毎年、毎年、所得が減少をしていくということは、これはやはり職員のやる気を引き出すものにつながっていないんではないか、こういう心配があるわけであります。しかもそれが12年間も続いているわけですから、職員のモチベーションに、これはやはり多大な影響を及ぼしているということは想像にかたくないわけであります。

本年の人事委員会の報告の中では、新規採用者の辞退を防止する取り組みが重要であることを取り上げておりますけれども、やはり今の公務員の志望者は実際多いわけであります。しかし、合格者の採用辞退というようなことも続いている、その原因が職員の賃金あるいは労働条件が影響しているんではなかろうかというふうに考えられます。

また、11月19日付の静岡新聞、「時の人」という欄で、松阪市民病院の小倉病院長の例を紹介をしておりました。マイナス評価を行わないで、看護師に最高100万円をボーナスとは別に支給をするということをやっているということで、これが職員の士気を大いに高めているという評価をしているという記事がありました。今、人事当局が人事評価を行っておりますけれども、人事委員会は本年の報告の中で、これまでの取り組みの十分な検証や制度の調査研究を進めるように触れております。大いにこの記事も参考にしていただきたいというふうに思います。

最後に、人事委員会に対して、私は、公務員の労働基本権の代償措置として設置された機関であるということは今さら申すまでもありません。したがって、人事委員会は中立の第三者機関という役割は当然のことといたしまして、その上に労働基本権を剥奪された職員の立場をしっかりと踏まえた役割を果たすことが求められているというふうに考えます。

政令市として静岡市に設置されたこの人事委員会が、結局今日に至るまで毎年給与引き下げの役割しか果たしてこなかったということも言えるわけで、そこに職員の不信と失望がやはり積もっているんではないかというふうに心配されます。

以上、2議案に対する反対の討論であります。