TPP交渉に関する意見書と介護保険に関する意見書の提案理由説明

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DSC_0626◯13番(西谷博子君) 私は、日本共産党市議団を代表して、発議16号、17号の意見書の提案理由説明を行います。

初めに、TPP交渉に関する意見書の提案理由説明を行います。

日本や米国など12カ国がシンガポールで開いた環太平洋連携協定TPPの交渉の閣僚会議は、12月10日に終了しました。発表された共同声明は、協定条文と農産品、工業品の関税撤廃リストなどをまとめるため、柔軟性を持って作業を続けると述べ、交渉継続を強調しました。

関税分野では、日本と米国の二国間協議が中心となり、米国側は全貿易品目の関税撤廃が原則だとして譲りませんでした。政府は、TPP交渉の秘密保護契約を盾に、交渉内容を国民にも国会にも明らかにしないままTPP交渉を続け、米、麦、牛・豚肉、乳製品の重要5品目は関税を撤廃しない、国益は守るとの公約に反し、合意に突き進もうとしています。

農家1戸当たりの耕作面積が日本の100倍のアメリカ、1,500倍のオーストラリアなどと公正な競争は成り立たないことは明らかです。また、関税が撤廃されれば、食料自給率は、政府の試算でも39%から27%に落ち込み、その影響は農業や食品産業にとどまらず、全国の地域経済が壊滅的な打撃を受けることになります。

TPPは、農業の完全自由化だけでなく、ISD条項、外国投資家が不利益を受けたとみなしたら、国や自治体を訴えることができる条項が適用されることになります。農家が丹精込めてつくった野菜などを使った地産地消の給食も、外国企業を差別すると言われるかもしれません。

また、アメリカの投資集団が日本の病院を買収する動きがあります。金もうけ主義のTPPでは、薬代や治療費は高騰し、誰もが医療を受けることができなくなってしまいます。

私たちの先人が食の自給と安全のために築き上げてきた農業を守り、世界に誇るべき国民皆保険制度を守り抜くことは、次の世代に対する責任を果たすことでもあります。政府は、聖域、国益が守れないTPPからは約束どおり撤退すべきです。

TPP交渉に対する意見書の議員の皆さんの賛同をよろしくお願いします。

次に、発議第17号介護保険に関する意見書の提案理由説明を行います。

厚生労働省は、介護保険の要支援向けサービスの訪問介護、通所介護を市町村の事業に移して、事業の上限を決め、NPOやボランティアの活動を促す方向を示しています。初期の認知症の人は、要支援と認定される人が多くいます。認知症は、初期の対応が大変重要だと指摘されています。認知症を進行させないためにも、専門的な知識やケアが必要です。

2006年の介護保険制度改定では、これまでの要介護1の見直しを行い、要支援2あるいは1に移行させられました。厚労省は、これからは予防介護に重点を置くと強調し、介護の重度化を予防するためと要支援サービスを位置づけました。要介護1から要支援2になって8年、訪問介護を長年利用することで重度化を防いでいる例は幾つもあります。その人たちが介護保険サービスから外されれば、これまでの専門的視点での支援が受けられなくなり、重度化を招きかねません。

要支援者に係る費用は、介護給付費の5.7%です。これを抑制することで重度化や認知症が進み、結果的に給付費をふやすことになれば本末転倒になってしまいます。

誰もが安心して必要な介護を受けられるとした介護保険制度です。高齢化が進む中、高齢者の介護の重度化を予防するためには、介護予防の充実を図ることが一層重要になっています。これまでどおり、要支援の認定者に対する保険給付を行うよう、国に求める意見書に、どうか皆さんの御賛同をよろしくお願いしまして、私の提案理由とさせていただきます。