有度山の整備計画と大学卒業予定者の就職支援対策の質問

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74◯3番(寺尾 昭君) 日本共産党の寺尾 昭でございます。

私は第一に、日本平、久能山など景勝地を含む有度山の整備計画について、第二に、ことし春の高校、大学卒業予定者の就職支援対策、この2点について質問をいたします。

有度山一帯の整備については、古くは昭和42年の有度山総合計画、最近では平成元年の有度山総合整備計画、平成4年、有度山地域振興計画、日本平公園基本構想・基本計画、平成15年、日本平山頂部展望施設等整備調査、たくさんあるんです。平成17年、日本平山頂部等活用基本計画等々、多くの計画がありまして、そして日本平公園基本構想というような形で集約されているといいましょうか、そういう形になっております。

さまざまな計画案が示されて、ここ数年は本議会においても日本平整備に係る特別委員会、これも設置をされて、論議をされてきたという経過があります。

第1次の総合計画、ことしで終わるわけですが、有度山の自然環境を保全し、スポーツ、レクリエーション、芸術文化の交流拠点機能を強化し、点在する拠点空間のネットワーク化を図るだとか、静岡市景観形成ガイドプランというようなものもあります。これは平成18年3月なんですが、有度山一帯を市民等の自然との触れ合いの場として保全活用を図る、あるいは日本平山頂部等活用基本計画の中でも、国内外の人と人とがグローバルな交流ができるような場づくりができる利用形態、有度山一帯や市内各地の観光・文化財等、地域資源とのネットワーク化の検討、特にまた、交通面におきましては、新たな周遊バスの検討、有度山中腹幹線道路の具体的な検討、東名日本平パーキングエリアからのアクセス、久能の海側になるわけですけれども、海側からの久能山東照宮への新たな交通手段の検討、さまざまな案が策定されているわけであります。大変多角的な検討がされてきているというふうに言っていいと思います。

そして今、来年度の予算にもかかわるわけでありますが、日本平公園事業計画が示されておりまして、用地取得、物件調査、アクセス道路・平原ゾーン実施設計、民間活力導入調査などの費用1億4,950万円が今提案をされているというところであります。

提案されているこの公園の事業計画によりますと、今後15年かけて概算事業費は施設整備費で82億円余、パークウエーのつけかえ費用で2億円余、用地費16億円、計100億円を超す大変大きな事業として、これから行われようとしているというわけであります。

これだけの事業費をかけて人が集まり、そしてまた経済を活性化できて本当ににぎわいのある空間を創出できるか、ここが問われているんではないかと思います。

市民の憩いの場所、ロケーションが生きる場所、繰り返し何度でも行ってみたい、こういう場所にならなければ、本来の目的は達成できないというふうに言えると思います。山頂部に限定された今後のこの計画が、これまでの長い間の議論が生かされたものになっているか、ここが問われるんではないかと私は考えるわけであります。

有度山の整備については、今申しましたように、議論されてきました。今までの議論・検討は、山頂だけを整備すればよいという内容では決してなかったはずであります。

この活用計画の中でも、自然環境、交通、眺望、地域交流・文化交流、この4つをポイントにして、全体を体系的にとらえながら、統一的な視点で取り組みが必要であると、このように述べているわけであります。

有度山全体をどうするのか、周辺の施設や観光地、交通体系との連携を前提に検討することが求められているというふうに言えると思います。

来年度予算に提案されている山頂部の公園計画は、今言いましたように、大変なお金をかけて、これから15年かけてやっていこうという、こういう内容になるわけでありますが、莫大なお金をかけなくても、まだまだ工夫次第でやることもたくさんあるんではないか。第一は、自然、景観、神社仏閣など、日本平有度山周辺には大変たくさんの名所旧跡、あるいは美術館やスポーツ施設、大学など、大変多くの財産が分布している。この財産、資源を活用するということをやはり考えていかなくてはならないんではないか。また、このことによって、地域の活性化とどう結びつけるか、この視点を持つこと、これが必要ではないか。また、計画推進に際しては、省エネルギー、地球温暖化の防止、CO2の削減などのいわゆる自然環境の保全というところの位置づけも、非常に大事になってきているというふうに思います。

そこで、次の点について質問いたします。

まず第1は、日本平山頂部等活用基本計画の具体化の進捗状況と、今後の計画、どのようになっているかということであります。

第2は、有度山の農業の現状、あるいはまたその問題点ということについて、どのように把握されているのか。

3つ目は、有度山区域における畑地帯総合整備事業、これもいわゆる土地改良事業の一環であると思いますけれども、その現状について説明をしていただきたいと思います。

次に、この春の新卒の就職対策について、今さまざまな失業問題等があるわけですけれども、当面、緊急の課題として、新卒者の就職対策に絞ってお伺いをいたします。

3月2日、総務省が発表した労働力調査によりますと、1月の完全失業率は全国で4.9%、前月比に比べると0.3ポイント低下したとはいうものの、まだ323万人だということであります。これは15カ月連続増加ということであります。とりわけ15歳から24歳の失業率、これは、ここ数年9%から10%台を推移をしておりまして、年代の中では若者の年代、ここの失業率が最も高くなっているということであります。

新卒者の就職率の低さというのも、この失業率を上げている1つの原因だということが言えるわけであります。

大きな希望を抱いて巣立った若者が、社会への第一歩でつまずくこと、これは私たちはやはり見過ごすことはできないんではないか。何としてでも解決をしていかなければならないんではないかと思いを強くしているところであります。

そこでまず、この静岡市内における高校、大学のこの春の新卒者の就職内定率、現在どのようになっているのかお聞きをいたします。

1回目の質問であります。

 

 

◯経済局長(熱川 裕君) まず、有度山整備計画に関する御質問にお答えをさせていただきます。

日本平山頂部の活用計画に関する第1点目の御質問でございますが、平成16年度に策定をいたしました日本平山頂部等活用基本計画では、国際交流、観富の場づくりを日本平山頂部の活用方針と位置づけ、景観、自然、文化等の地域資源を生かした観光機能を持つ公園整備を行い、あわせて交通アクセスの円滑化や市内の観光資源のネットワーク化を行うことを目的としております。

日本平山頂部の公園整備につきましては、19年度に日本平公園基本計画を策定し、22年度から3期15年をかけて順次整備していく予定であり、現在、民間も含めた検討に入っているところでございます。

また、現在策定中の観光戦略では、日本平山頂を眺望観光の拠点及び市内の回遊観光の結節点と位置づけ、今後、関連事業を展開していく予定でございます。

続きまして、有度山の農業の現状と畑地帯総合整備事業の現状ということで、まとめてお答えをさせていただきます。

有度山のなだらかな丘陵地帯では、茶、かんきつが栽培され、すぐれた景観を形成するとともに、自然と調和した農業が行われております。

また、海岸線に沿った地域では、石垣イチゴや葉ショウガなどの施設園芸が行われ、特に、石垣イチゴにつきましては観光農業が行われるなど、特色ある産地を形成しております。

この地域は比較的経営環境には恵まれているものの、近年、石垣イチゴの入り込み客数が減少傾向にあるほか、市内他地区と同様、農業従事者の高齢化や担い手不足が進み、農地の一部に荒廃が及んできております。

有度山の畑総事業の現状につきましては、生産性の向上を図ることを目的とし、平成6年度に有度地区28ヘクタール、平成18年度に村松滝川地区24ヘクタールの事業が完了しております。また、矢部地区66.3ヘクタールは県営事業により平成26年度末の完成を目指し整備中で、造成したところから順次、かんきつ、お茶の植栽と、施設園芸等の整備が進められております。

次に、雇用対策として、大卒者、高卒者の就職内定率の御質問でございます。

県内大学の大卒者の就職状況は、静岡労働局によりますと1月末現在の内定率で72.0%となっており、前年同期を10.9ポイント下回っております。

また、高卒者は1月末現在の内定率で、ハローワーク静岡管内で76.7%、ハローワーク清水管内で80.4%となっており、前年同期と比較して13.1ポイント、7.5ポイントそれぞれ下回っており、厳しい状況となっております。

以上でございます。

〔3番寺尾 昭君登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) 今お答えいただいたわけですけれども、例えば、イチゴ狩りに来た観光客が久能山に登って、そして日本平山頂にも訪れて、そしてまた周辺のさまざまな観光地にも行くというようなことが必要だというふうに思うんです。実際上は点在する施設に対して、いわゆる交通手段がないというところが問題として挙げられるわけであります。

そこでまず質問でありますけれども、日本平そして久能山東照宮、あるいは久能の石垣イチゴ、ここへの観光客の数年の推移について、まずどうなっているかということをお伺いいたします。

次に、新卒者の就職の内定の状況、今お聞きしたわけですけれども、今お聞きしたほかにも短大生や専門学校生などの新聞記事の中身も出ておりました。中学生などは非常に低い10.6%というようなことで、いずれも前年を大幅に下回るというような状況になっております。

大学生は、統計の残る過去12年間で低いほうから2番目、短大生は低いほうから4番目、専門学校生は過去最低だと、こういう状況だということであります。

生まれたときが悪いのか、それともおれが悪いのかという歌があるわけでありますけれども、運不運だけで就職ができるかできないか、人生を決定づけられるのは余りにも無慈悲だというほかありません。そこに行政の果たすべき役割があるというふうに考えるわけであります。

そこで質問であります。

最高学年、つまり卒業生の学生、生徒、卒業の時期を迎えている、あるいは卒業式が終わったという学生もいるわけでありますが、いずれにしても残りわずかになりました。今後どのような支援を行っていくのかという点が第1点です。

そして、卒業したらあとは知らないよということではないと思います。就職できないまま卒業した後、これをどのように学校や行政でフォローしていくのか、この点が2点目であります。

そして、今の状況ではさまざまな景気対策が打たれておりますけれども、一気に好転するという状況では必ずしもありません。来年度以降の対策、早いうちから打っていく必要があると思いますが、この点についてどのように考えておられるのか、この点を2つ目の質問といたします。

 

 

◯経済局長(熱川 裕君) まず、日本平山頂、久能山東照宮、石垣イチゴへの観光客数の御質問にお答えさせていただきます。

平成18年度から20年度の3年間の推移で申し上げますと、日本平が131万人から170万人で、このところ毎年20万人ずつふえております。

同じく、久能山東照宮におきましても、24万人から28万人と微増となっております。

また、久能や増地区でのイチゴ狩りにつきましては、19万人から16万人と年々減少傾向にございます。

続きまして、本年度新卒者の就職対策についての3点の御質問にお答えをさせていただきます。

未就職者の対策といたしましては、緊急雇用対策事業を活用した雇用の場の提供や、市の臨時職員の採用のほか、雇用の確保についてハローワークと連携をしながら、市長及び教育長の連名による文書で、市内の事業所に協力要請をしているところでございます。

また、静岡労働局、県とも積極的に連携・協力しながら、未就職者の対策を講じているところでございます。

具体的には、未就職のまま卒業した者のフォローを含め、静岡労働局が行う新卒・若年者等合同就職面接会を初め、新卒者体験雇用事業や、無料の職業訓練などについて広報活動を行うなど、積極的に協力をしているところでございます。

来年度以降につきましては、本年度事業の継続はもとより、より実効性のある未就職者対策について、労働局、県などと共同で組織をしております雇用対策関係機関連絡会議の中で検討してまいる予定でございます。

以上でございます。

〔3番寺尾 昭君登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) それでは、3回目でありますが、私の提案、意見という形で申し上げたいと思います。

まず、有度山の件であります。

有度山は葵区、駿河区、清水区、位置的には真ん中に位置をしていると、非常に緑豊かな自然を残している市民の財産だと、今お話がありましたように、お茶、ミカン、野菜、石垣イチゴというようなことで農業も盛んに行われているということであります。

現在のハイキングコースやパークウエーという道路がまだあるわけでありますが、こういうところに遊歩道や池や広場というようなものを整備して、森林浴や散歩が楽しめる緑の公園の計画というようなのを進めるのも一案ではないかと。

山頂の計画ということで今限定をされているわけでありますが、これも自然はやっぱり全面的に残して、植樹などにより、花の日本平計画というようなものを進めていったらどうかと。春は桜、夏は例えばラベンダーのようなもの、秋はもみじとコスモス、冬は椿というような、四季の花で楽しめる花の名所とするようなことにしていけば、そんなにお金もかからないし、魅力的な山頂ができると。花を求めて各地の名勝に押し寄せる人波、河津桜などもそうでありますが、人々の自然に寄せる気持ちの大きさというのが今、こういうものに驚くばかりであります。

観光客の推移、先ほど報告がありました。この数字を見ていただいておわかりのように、日本平そして久能山、石垣イチゴ、数字に大変大きな差があるわけであります。つまり、先ほど申し上げましたように、この交通でつながっていないということが、いわゆる連携といいましょうか、点で存在をしていても、線で結ばれていないということになるわけであります。

これらのところがしっかりと連携して、その相乗効果があらわれていくという、そういう政策が必要であります。これらをつなぐ交通ネットワークということがどうしても必要だというふうに思います。

東名高速道路日本平サービスエリアからの出入りを可能にしていくということは、非常に重要ではないかと思います。スマートインター、今、新東名の話もあるわけでありますが、ここにも本格的に検討する必要があります。

このことは今までも検討されてきた中身になっているわけでありますが、今懸案となっております日本平動物園の往復車両の大変な渋滞と、シーズンになりますと、地元の人が大変困っているわけでありますけれども、この解消の道ということにもつながっていくんではないかと思います。

また、地球温暖化への懸念ということであります。これは今、世界的な世論でありますCO2など温室効果ガスの削減ということは、今や人類の課題だと。この自然保護というのは、当然進めるわけでありますけれども、さらに積極的な対策として、風力発電や太陽光発電など、自然エネルギーの公園区域というようなものもつくっていくことは、これもまた必要ではないかというふうに考えるわけであります。

もちろん自然公園法や県立自然公園条例、都市計画法、文化財保護法など、多くの法規制がこの有度山にはあります。基本的には当然、これらの法の精神、これを生かしながら整備を進めるということが必要だというふうに思います。これも大いに検討をしていく余地もあるんではないかと思いますけれども、生かしていくという方向で進めていくべきであると考えております。

以上申し上げてまいりましたけれども、提案されている事業計画は、多額の費用をかけるから単純に悪いというふうに言っているものではありません。山頂部に限定して、100億円余もかけて事業を展開をしていくという計画、これが本当に費用対効果という面から見ていいのかどうなのか、そしてまた、これまでの長い検討の期間、あるいはさまざまな分野での議論、こういうものが反映されているとは、ちょっと言いがたいんではないかなと思うわけであります。

代表質問で我が党の山本議員が指摘しましたが、山頂部については……

 

 

◯副議長(石上顕太郎君) 発言はあと1分で終了してください。

 

 

◯3番(寺尾 昭君)(続) これはやはり、計画を縮小をして、有度山を総合的に整備するというこれまでの議論を生かしたもの、こういうものに見直しをしていくということが、もう一度必要ではないかということを改めて訴えるわけであります。

最後に、新卒者の就職対策の問題です。

日本経済を下から支えてきた中小商工業などが破壊をされているという状況があります。こういう経済の状況を立て直していくということが根本的には必要であります。

しかし、経済が立ち直るまで待っているというわけにはいかないわけであります。先ほどお話がありましたけれども、ぜひとも市長が先頭に立って、企業への採用努力などを最後まで求めていくという努力を要請をいたしまして、私の質問といたします。

ありがとうございました。