1.防災・減災対策について 2.学校施設の環境整備について

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◯市川 正
 通告に従って質問いたします。
 大項目1、防災・減災対策について伺います。
 中項目、流域治水について。
 近年、線状降水帯、こういう言葉を耳にすることが多くなりました。日本では毎年のように甚大な豪雨が発生し、大きな被害を与えています。西日本豪雨災害や台風21号など、風水害の激甚化は地球規模での気候変動が影響している、このことは否定できません。
 本市においては、平成15年、16年の豪雨による浸水被害を契機に浸水対策を目的とした静岡市浸水対策推進プランを策定して、平成17年度から取組を始め、その後の大きな降雨に一定の効果があった、このように伺っています。
 一方、政府の令和2年7月の社会資本整備審議会答申では、21世紀の気温を20世紀末に比べて2度上昇までに抑えたとしても、降雨量は約1.1倍、洪水発生頻度は約2倍と試算しています。
 昨年5月に流域治水関連法が公布され、これまで河川の治水対策はダムと堤防による洪水防止対策が主流でしたが、これに加えてダムの事前放流、そして、遊水地や雨水貯留施設の整備、浸水地域の開発規制など、集水域と河川、氾濫域を含む流域全体のあらゆる関係者で被害を軽減させていく流域治水対策へと方向転換されています。
 言ってみれば、洪水防止について、以前の線の対策から面の対策へと切り替えるものであると、私なりに解釈しております。
 昨年9月議会では、流域治水の考え方に基づき、氾濫をできるだけ防ぐ、減らすための対策、被害対象を減少させるための対策、被害の軽減のための対策の3つで構成された流域治水プロジェクトが始動したとお聞きしました。
 国が管理する一級河川安倍川や県が管理する二級河川巴川の流域治水プロジェクトにおいては、市は支川の管理者として本川の負担軽減のため──本川というのは安倍川とかいうものですね、こういったところの負担軽減のための役割を果たしていくことが必要であると考えています。
 そこで、市の管理河川における流域治水の取組状況はどのようになっているのか、お伺いします。
 次に、雨水貯留浸透施設について伺います。
 近年の都市化の進展により、昔、田んぼや畑だったところが住宅やオフィスビル、工場などに開発され、都市部となった地域がたくさんあります。
 都市の進展は、本市の経済活動が活発になったあかしではありますが、一方で、田んぼや畑などは雨水を貯留したり浸透させる役割を持っていた土地であり、それが都市化とともに減少していくことも事実であります。
 本市においても、巴川流域の総合治水対策や静岡市浸水対策推進プランの取組の中で、雨水流出抑制対策を講じている、このように聞きました。今後の気候変動の影響で短時間降雨量が増大し、これまでよりも雨水が河川へ流れやすくなる、増水する河川の影響や比較的低地となっている地域の浸水被害、これが大変心配されます。
 したがって、雨水流出を抑制し、浸水被害を軽減する効果が期待できる雨水貯留浸透施設をこうした地域に構築することが効果的であり、従来の河川整備と併せて浸水被害を軽減させる不可欠な対策と考えております。
 そこで、市の雨水貯留浸透施設の公園や学校施設等への整備状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 次に、河川の維持管理について伺います。
 これまでも見てきましたように、全国で河川の氾濫被害が増大しています。河川の維持管理は防災・減災を進める上で非常に重要です。
 令和元年の信濃川流域の氾濫被害、これは記憶に新しいところですが、後の検証記事等を見てみますと、河道の掘削は計画的に行われていた。しかし、堤防の決壊区域では、計画が後回しになっていたところのようであります。
 1つの事例として、国の管理河川である一級河川安倍川についても、堆積土砂の増大、そこに流れ込む市管理河川との合流部においては、土砂の堆積により流れの停滞が見られます。地域住民からは、豪雨時の氾濫を心配する声がたくさん寄せられております。
 流域に降った雨をくまなく集水し安全に流下させる、このためには、土砂の堆積や樹木の繁茂で流れが妨げられないよう適切に維持管理されなければなりません。国の管理河川だけでなく県の管理河川の影響を受ける河川やその他の小河川においても同様に、本川管理者との連携を図るとともに、日頃から堆積土砂の撤去などの速やかな対応を進め、健全な河川の状態を保つよう維持管理に努める必要があると考えております。
 そこで、市が管理する河川において、堆積土砂の撤去等はどのような対応をされているのか、お伺いいたします。
 次に、洪水ハザードマップについて伺います。
 ハザードマップ、それは、その地域に暮らす人たちが気象情報によって、時にどのように避難したらいいのか、これを分かりやすく平面上に書き表したツールでもあります。
 防災・減災の話題となれば、必ずと言っていいほどハザードマップが取上げられますが、本市には洪水、土砂災害ハザードマップと内水ハザードマップの2系統があります。その点で見てみても、市民にしてみれば、洪水も内水も同じ氾濫危険との認識でしょう。
 気候変動により、降雨量の変化率1.1倍、洪水流量1.2倍となった場合に、これらハザードマップの更新が必要になるのではないでしょうか。また、今のマップが想定最大規模の洪水、浸水、高潮などに対応して最悪の状況を考えるというのはもちろん必要なことですけれども、どのような状況のときにどのような被害が起こり得るのか、どのように避難すべきかを明らかにすることも必要ではないでしょうか。
 洪水ハザードマップの整備状況はどのようになっているのか、伺います。
 続いて、大項目の2、学校施設の環境整備について伺います。
 快適な教育環境の整備について。
 まず、学校は子供たちが安心して学び、人格形成をしていく大切な場であり、同時に大規模災害時には地域の避難所として被災した住民のよりどころとなる施設でもあります。
 学校施設を指定避難所として指定していることから、その環境を整えることは喫緊の課題でもあります。普通教室へのエアコン設置、これは完了したことから、今後特別教室や体育館への空調設置を求めるものであります。
 猛暑時であっても、仮に避難が長期化したとしても、住民が健康を保ち生活できることは、災害復興、復旧にとって欠かせません。
 普通教室のエアコン使用は、夏、6月から9月で、室温28度以上のとき設定を28度、冬、12月から3月で、室温が17度以下のとき設定を18度と聞きました。
 温度管理や使用時間帯など、おおむね全国的統一基準ではないかと推察しますけれども、コロナ感染症対策で窓を開けての換気が行われていて、期待どおりの温度設定も難しいのではないかと推察します。
 1~2階はともかく、最上階は屋上の輻射熱で設定値に届かないとの声も聞きます。こうした階では柔軟な運用をしていくことも含めて、これまでの施策の検証も大事であります。
 そこで、伺います。
 小中学校の普通教室で空調設備の設置が完了していますが、稼働後の子供たちの健康状況及び空調設備設置の効果はどうだったか、お伺いしたいと思います。
 以上、1回目とします。

◯建設局長(海野 強君)
 流域治水の取組状況、雨水貯留浸透施設の整備状況、堆積土砂の対応の3つの質問についてお答えします。
 1つ目の市の管理河川における流域治水の取組状況についてですが、市内を流れる主要河川である、国が管理する一級河川安倍川や県が管理する二級河川巴川においては、議員御発言のとおり、既に流域治水プロジェクトが策定されております。
 このプロジェクトにおける市の取組は、雨水の流出を抑制し、河川の負担を軽減させる雨水貯留浸透施設などの整備について検討、実施していくこととしております。
 また、市の管理する二級河川浜川においては、流域治水を着実に進めるよう、浜川水系流域治水プロジェクトの策定を進めており、県と市が一体となった静岡地域流域治水協議会において対策内容や関係者の役割及び実施スケジュールなどを諮り、令和3年度中に完了する見込みです。
 2つ目の雨水貯留浸透施設の公園や学校施設等への整備状況についてですが、まず、雨水貯留浸透施設とは、雨水を直接地下に浸透させるものや、地表や地下に一時的に貯留し、河川や下水道への放流を遅らせることによって、雨水流出のピーク量を減らすものでございます。
 本市における雨水貯留浸透施設の整備状況は、現在までに巴川流域の総合治水対策や静岡市浸水対策推進プランなどの取組により、主に学校のグラウンドなど地表面に雨水をためる構造になる表面貯留施設の整備が行われてきております。
 現在整備された施設数は、公園に80施設、学校に57施設、その他、遊水地などに52施設、合わせて189施設において整備が完了しております。
 3つ目の市が管理する河川の堆積土砂の撤去等への対応についてですが、現在、本市では、総数2,173、総延長約1,500キロメートルに及ぶ河川と、これ以外にも数多くの水路を管理しております。
 これらの施設における堆積土砂や支障木の除去について、限られた予算の中、緊急性や必要性などから優先順位を決め、地元と調整を行いながら、順次業務を進めております。
 その中でも、国、県が管理する河川に合流し、影響を受けやすい重要河川は、年2回の定期的な河川パトロールを実施し、経年変化を含めた河川状況の把握を行い、必要に応じて堆積土砂等の除去を実施しております。
 また、安倍川などの本川の土砂堆積に起因し、市管理河川に流れの停滞などが確認された際は、その原因となる堆積土砂の除去などについて、本川管理者に対応を要望しております。
 今後も、水災害から市民の皆さんの生命と財産を守るべく、健全な河川の維持管理に努めてまいります。

◯危機管理統括監(梶山 知君)
 洪水ハザードマップの整備状況についてですが、本市では、平成27年の水防法改正により、従来の想定をはるかに超える最大規模の降雨に対応した洪水浸水想定区域図に基づき、指定されている10河川の洪水ハザードマップを整備しております。
 また、令和3年の水防法改正により、円滑、迅速な避難確保等を図る必要のある河川が指定対象に追加されたことから、現在、河川管理者が新たな河川の洪水浸水想定区域図の作成に着手しているところです。
 本市としては、この洪水浸水想定区域図が作成され次第、区域図に基づく洪水ハザードマップを速やかに作成し、市民の皆さんに向けた災害リスクの周知に取り組んでまいります。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 小中学校の普通教室に空調設備を設置した効果等についてですが、小中学校の空調設備については、令和2年度中に全ての学校の普通教室に設置が完了しました。
 令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症対策のため、窓を開け、換気を取りながらの運転となりましたが、普通教室内で熱中症により体調を崩した児童生徒はいないとの報告を受けております。
 また、児童生徒からも勉強に集中できるといった声があり、教育環境の向上に大きな効果を上げることができました。

◯市川 正
 では、2回目の質問に移ります。
 まず、流域治水について改めてお伺いしますが、流域治水プロジェクトにおいて、雨水流出抑制対策を検討、実施していくとのお答えでございました。
 市では、これまで浸水対策推進プランにより基幹施設対策、雨水流出抑制対策、超過降雨──予定よりも多く降った雨ですね、超過降雨への対応の3つの対策を進め、一定の効果を得たとしています。
 しかし、さきの流域治水関連法により、流域治水の考え方が示され、今後は本市においても雨水流出抑制の取組を加速して、将来を見据えた浸水対策を進めていくことが求められます。
 したがって、特に流域治水プロジェクトを実施していく中で、市の役割として雨水流出抑制対策──雨水をためる対策に力を入れるべきと考えます。
 そこで、市は流域治水における雨水流出抑制対策をどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。
 次に、雨水貯留浸透施設について、改めてお伺いします。
 これまでに多くの公共施設で雨水貯留浸透施設の整備が完了しているとお答えいただきました。都市部には多くの学校や公園などの公共施設が立地していることから、公共施設への雨水貯留浸透施設の整備は流域治水の取組として効果的であると考えております。
 加えて、今後の気候変動による雨の降り方の変化等を踏まえますと、過去に河川改修や下水道整備などの浸水対策を講じてきた地区を含めて、これまで以上に対策を進めていくべきではないでしょうか。
 そこで、市の雨水貯留浸透施設の整備は今後どのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。
 次に、学校施設の環境整備の中の学校体育館への空調設備整備についてお伺いいたします。
 先ほど普通教室の検証結果を伺いました。それなりの効果が認められるとの結果でありました。毎年のように市民や教職員から学校体育館にもエアコンを設置してほしいという要望が出されております。これは、昨今の猛暑などを鑑みますと、子供たちの命に関わり、保護者や教職員をはじめ、全市民的な、緊急で切実な要望でもございます。
 こうした声を受け、近隣自治体では、名古屋市や岐阜市が授業や部活動時の熱中症対策や避難所の環境改善を図るため、令和5年度までに体育館への空調設備整備を進めています。
 私は、学校体育館への空調設備の設置は、子供たちの健康を守り、教育環境を整えることを第一としつつも、地域防災、被災の際の避難所整備の重点課題として検討し、早い時期に設置完了することが必要と考えております。
 伺います。小中学校体育館での空調設備の設置状況及び子供たちの健康状況はどうか。また、指定都市における学校体育館への空調設備の設置状況はどのようか、お伺いいたします。
 以上、2回目です。

◯建設局長(海野 強君)
 流域治水における雨水流出抑制対策と雨水貯留浸透施設の今後の整備の2つの質問についてお答えします。
 1つ目の市は流域治水における雨水流出抑制対策をどのように進めていくのかについてですが、従来から浸水被害が多い地域を対象に、本市では雨水流出抑制対策を巴川流域地区、下川原地区、登呂地区の3つの地域を重点地区として進めております。
 近年の気候変動による雨水流出量の増加へ対応するよう、市中心部を流れる安倍川や巴川の流域などで流域治水プロジェクトが策定されており、浜川流域においてもプロジェクトの策定を進めていることから、今後、雨水流出抑制対策をこれらの流域へも展開していき、より一層の流域治水を推進してまいります。
 2つ目の市の雨水貯留浸透施設の整備は、今後どのように進めていくのかについてですが、今後は、流域治水プロジェクトを実施するエリアにおいて、地域住民や関係機関などからプロジェクトに対する理解と協力を得ながら、雨水貯留浸透施設の整備可能な箇所の調査、選定を進めてまいります。
 令和4年度は二級河川浜川の流域治水プロジェクトの策定に合わせ、中島小学校のグラウンドに雨水を地表面にためる雨水貯留浸透施設を整備し、巴川流域の北才光寺公園においても、地下空間を利用して、公園周辺に降った雨水もためることのできる雨水貯留浸透施設を整備します。
 引き続き、水災害から市民の皆さんの命と財産を守るべく流域治水に取り組んでまいります。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 小中学校体育館への空調設備設置状況等についてですが、本市の小中学校の体育館では、現時点において空調設備を設置しておらず、気候が厳しい時期の授業や行事などについては、空調設備が設置された教室を活用しているところです。
 子供たちの健康状況については、令和3年度、体育館において熱中症により体調を崩した児童生徒の報告は3件となっております。これらは連続した運動や換気不足などが一因であると捉えており、対策としまして、小まめな水分補給や暑さ指数測定装置の配置、送風機の導入などにより、改めて熱中症対策の徹底を図っているところです。
 次に、指定都市における小中学校体育館への空調設備の設置状況ですが、本市を含め20市中15市で設置事例がなく、設置している5市においても一部の学校のみに設置されている状況であり、指定都市における全体数4,271校のうち設置校は144校で3%余りとなっております。
 

◯市川 正
 それでは、3回目は要望・意見とさせていただきます。
 新年度になれば、すぐ梅雨の時期にもなります。昨年の熱海、伊豆山で発生した土石流被害は、人ごとでは済まされない大きな衝撃でした。
 こうした各地で繰り返される豪雨による過酷な被害を目の当たりにして、防災・減災対策に強い意識で取り組むことを求めます。
 中でも、市内の各地で浸水常襲地とも言える箇所も見られます。こうした地域の被害を抑制するためにも雨水貯留浸透施設の効果的な整備を進めるべきだと考えております。
 また、災害の際、指定避難所となる学校体育館への空調設備を急いで整備することを求めます。
 21年度の静岡市の夏場の月別最高気温を見てみますと、6月が29.6度、7月36.3度、8月35.4度、9月は33.5度となっております。これは気象庁発表分でありますから、炎天下のグラウンド上、あるいは直射日光にさらされた学校屋上の環境下では、もっと過酷だったのではないかと思われます。
 本市の場合、教育関係者や保護者からの要望も踏まえて、全教室への設置は完了しておりますけれども、子供たちの学びの環境はよくなってきました。しかし、特別教室や体育館へは未設置であります。
 市の取組状況についていろいろとお聞きしたところですが、子供たちの命を守ることと避難所としての環境を改善する、この両サイドの視点が欠けているように私は感じたところでございます。
 子供たちの命を守るためにも、何としても学校体育館への空調設置を求めたいところですが、なかなか視点として縦割り行政による負の面があって、教育と危機管理などでは壁を越えて住民目線での行政運営を要望しておきたいと思います。
 学校の体育館は、屋内運動場として炎天を避ける真夏の体育授業に欠かせない、同時に災害のときには地域の避難所も兼ねることから、学習環境を整え、命を守る地域のよりどころとして、これまでの震災や災害の教訓からもエアコンの設置は喫緊の課題であります。
 市内体育館は、避難所として使われることから、夏場の環境整備として21年ですかね、省エネ型のウインパネルエアコンというのが清見潟体育館だとか長田体育館にも設置されました。
 こうしたエアコン設置費用は、学校体育館の場合、約4,000万円から6,000万円ほどかかると言われています。総務省の支援制度、緊急防災・減災事業債を活用できて、実質的な地方負担は30%ということですので、学校体育館1つにつき1,200万円から1,800万円でつけられるということで、自治体財政にとっても大変有利な制度となっています。
 本市としても、教育と防災の両面から命を守るという明確な方針の下に早急な整備計画を策定されるよう改めて要望して質問を終わります。ありがとうございました。