最低賃金の引き上げと中小企業支援の拡充に関する意見書採択に関する請願

請願第1号
最低賃金の引き上げと中小企業支援の拡充に関する意見書採択に関する請願


請願者  静岡県労働組合評議会 議長 菊池 仁
     静岡県評・パート臨時労組連絡会 代表幹事 鈴木 洋子
     静岡地区労働組合連合会 議長 松川 功
紹介議員 内田隆典 市川 正 寺尾 昭 
    (令和4年2月4日紹介を取消し) 杉本 護

 新型コロナウイルス感染症が広がり始め2年が経ちます。収束の兆しが見えないなか、
日本経済はさらに追い打ちをかけ、特に中小零細企業は深刻な状況に直面しています。
コロナ禍においてエッセンシャルワーカーである労働者の多くが最低賃金近傍の低賃金
で働いています。なかでも失業や労働時間削減に追い込まれているのが、パート・派遣・
アルバイトなどの非正規雇用労働者やフリーランスで働く労働者です。そもそも貯蓄もで
きない賃金で働いていた者にとっては労働時間の削減は生活破綻に陥らざるを得ないのが
実態です。
2020年は、政府の方針で中央最低賃金審議会が目安額を提示せず引き上げなしに、 2021
年は過去最高額の28円の目安額のもと、静岡地方最低賃金審議会は引き上げ額「 28円」の
答申で913円になりました。その月額は14万円強にしかならず、年収でも約170万円ほどで
す。また、神奈川県との差は「127円」のまま最賃額の差は縮まることはありませんでした。
単純に1日8時間働いて日額1,016円、月額2万円以上であり、年収では24万円以上の差が
あることから、この格差が県内の人口流出や地域経済にも大きな影響を与えていると言え
るでしょう。
私たちが行った最低生計費試算調査によれば、働いて普通の生活をするうえで必要な最
低生計費には地域による大きな差が認められず、生計費原則からも地域間格差のある現在
の都道府県ごとの最低賃金制度は改善を図る必要があります。
また、私たちは昨年秋に静岡県労働研究所とともに、静岡県の最賃が 1,500円に引きあ
がった場合の経済効果試算調査を行いました。その結果、時給 1,500円未満で働く人は静岡
県内で2人に1人(約82万人)で、県内家計消費の増加額3,600億円、県内の経済波及効果
である県内生産誘発額は3,200億円に上るとともに国と地方の税収増は370億円になること
がわかりました。
 これらのことからも地域経済活性化のためにも最低賃金を引き上げることは、日本経済
の回復に大きな影響を与えることは明白です。同時に中小零細企業への支援策も重要と考
えます。社会保険料などの減免や政府による助成や融資増額や賃上げをした中小零細企業
への直接補助等の施策が必要であることから、貴議会におかれましても、最低賃金を引き
上げ、実効ある中小企業支援を国に対して求める意見書を提出していただくよう請願いた
します。

[請願項目]
1 政府は、最低賃金の大幅引き上げを図ること
2 政府は、最低賃金の地域間格差是正を図ること
3 政府は、最低賃金の引き上げができ、経営が継続できるように、中小企業への支援
策等として税や社会保険料の減免を図ること

最低賃金の引き上げと中小企業支援の拡充に関する意見書 (案)
新型コロナウイルス感染症の収束の目途がたたず、特に中小零細企業を中心に極めて
厳しい状況にある。また、コロナ禍でライフラインを支え続けている労働者の多くは最低
賃金近傍で働く非正規労働者が多く占めており、景気悪化により労働時間削減や失業に追
い込まれ厳しい状況にある。この難局を乗り越えるには、賃金の引き上げが不可欠であり、
GDPの6割を占める国民の消費購買力を引き上げることが重要である。そして、格差と
貧困を縮小するためにも最低賃金引き上げと地域間格差をなくすことがこれまで以上に求
められると考える。
2021年の地域別最低賃金改定は過去最高の28円の引き上げにもかかわらず、加重平均930
円にとどまり、最高の東京都は1041円であるのに対し、静岡県は913円、最も低い地域は820
円となっており、地域間格差は最大で221円のままである。このままでは地方の労働力が都
市部へ流出の要因ともなっている。最低賃金の格差は地域の労働力不足や地域経済の疲弊
につながり自治体の税収減少にも影響することから、最低賃金改定の際には、これ以上地
域格差を拡大させないことが重要である。
併せて労働者の生活と労働力の確保、消費購買力を確保しつつ地域経 済と中小企業を支
える循環型地域経済の確立によって、誰もが安心して暮らせる社会を作ることが必要であ
ると考える。
よって、国におかれましても、最低賃金の引き上げと地域間格差是正と中小企業支援の
拡充のため、次の施策を実施するよう強く求める。
1 政府は、最低賃金の大幅引き上げを図ること
2 政府は、最低賃金の地域間格差是正を図ること
3 政府は、最低賃金の引き上げができ、経営が継続できるように、中小企業への支援
策等として税や社会保険料の減免を図ること
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和4年 月 日
静岡市議会
衆議員議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣 

杉本まもる議員が 賛成討論を行いました。

 「最低賃金の引き上げと中小企業支援の拡充に関する意見書採択に関する請願」は、静岡県労働組合評議会、静岡県評・パート臨時労組連絡会、静岡地区労働組合連合会の3団体から提出され、日本共産党市議会議員のみが紹介議員になったものです。
 この請願は、中小企業の支援策と一体となった最低賃金の大幅引き上げと最低賃金の地域間格差の是正を国に求めるものです。
 静岡県の最低賃金は時給913円で、年収では約170万円にしかならず、静岡県労働研究所が試算した一人暮らしの最低生計費年間約300万円と比べてはるかに低くなっています。最低賃金を大幅に引き上げ、地域間格差をなくしていくことは、日本の健全な経済成長を促し、ワーキングプアをなくして、市民のみなさんの人間らしい暮らしを実現する確かな力となります。
 そして、最低賃金の引き上げにあたっては、中小企業への支援の抜本的強化を国の責任で行うべきと指摘し、請願の賛成討論としました。

請願の賛否は以下のとおりでした。
請願1号
    自民党  ×
    創成静岡 ×
    公明党   ×
    志政会  ×
    共産党 〇
    緑の党  〇
    街づくり ×