離婚後共同親権制度の採用及び共同養育面会交流支援等に必要な法整備を求める意見書に反対討論

 日本共産党市議団を代表いたしまして、発議第3号離婚後共同親権制度の採用及び共同養育・面会交流支援等に必要な法整備を求める意見書に反対の討論を行います。
 意見書案では、親権の取得を優位に進めるため、配偶者の同意を得ずに一方的に子供を連れ去り、別居し、強制的に監護している状態をつくり出したり、面会交流を拒否したりする等とか、幼稚園、こども園、学校などから入学式や卒業式、運動会など、別居親の参加が拒まれるというような表現があります。そういう現状を述べているわけでありますけれども、こういう現状というのは、親の一方が理不尽で不公平な立場に置かれている、そういう認識は、これは私も同じように思っているわけであります。そういう点では、法整備は必要だと、今後。その点は一致しているわけであります。
 ただし、これは、親子の関係から言えば、この親の立場からの見方であり、子供の立場から見た場合、親の一方的な判断が子供の望む方向になっているか、権利侵害につながるおそれがないかの見極め、これもしていかなければならないと考えるわけであります。
 民法第818条というのがあります。子は、父母の親権に服する、こういう条文であります。つまり、子供は親に服従するものなんだと、これがこの818条の表現であるわけですね。この親権という言葉自体に、親が子を思いどおりにする権利、こういうこの意味合いが含まれているというふうに言っていいと思います。
 これは、戦前の明治民法下での戸主が家族を支配していた時代の名残と。結局、この条文について、戦後、民法の改正ということがあったときに、これがそのまま残ってしまったという経緯があるわけであります。
 子供の人権を全面的に保障している国連の児童権利条約、先ほども出ておりますけれども、この精神にも、結局この818条というのは相反するというふうに言えるわけであります。
 したがいまして、私は、このような親権の概念、戦前のこういう名残であるこの親権と、この概念を前提にして共同親権を論ずるということが果たしていいんだろうか、疑問に思います。
 政府の家族法研究会というのがあります。この親権の用語そのものについて検討を進めるとの見解が示されておりまして、その定義や用語の見直しが必要だという点では、多くの研究者が一致しているわけであります。
 共同親権制度の採用については、以下述べるように、子供の権利の侵害につながる危険性があり、一方の親の同意を得ずに子供を連れ去り云々だとか、幼稚園、こども園、学校などからも親権の有無に関わらず参加を拒否される、先ほど言いましたような状況があるということでありますけれども、しかし、これが共同親権ということによって解決するか。幼稚園、こども園、学校が、今度は場所を変えてのトラブルの場になるという危険性もあるわけであります。
 現状で、離婚後共同親権を導入すれば、子供を連れ去られた親は、子供への面会交流は確かにやりやすくなるかもしれません。しかし、DV加害者は、それを理由に離婚後も子供への支配を継続しやすくなって、子供の権利への重大な侵害を引き起こす、そういう危険もあるわけであります。
 面会交流や養育費の支払い、DV問題などは、そういう意味で早急な改善が必要であることは、提案者とも私は一致するわけであります。しかし、これは親権制度とは関係なく、現行制度の下でもまだ十分改善できる余地があるというふうに言えるのではないかと思います。
 面会交流については、子供の意思が尊重される仕組みが確立されておらず、子供自身が拒否したにもかかわらず面会交流を強要される例もあると。先ほどからの話と重複するわけですけれども、問題が生じたときの鍵を握る、今、家庭裁判所がこれを行っているわけでありますけれども、この体制が残念ながらまだ脆弱という状況があって、この家庭裁判所の強化、量、質、両面からの強化も必要だということが言えると思います。
 養育費の支払いという点でありますけれども、これは別居の親に課せられる生活保持義務ということが言えると思います。日本の母子家庭では、養育費の取決めは離婚時に43%しかない。実際受け取っているのは、そのうちまた24%に低下するということであります。これは2016年の厚労省の調査でありますが、ヨーロッパ諸国で行われております国による養育費の立替え払い制度、あるいは養育費取立ての援助制度というようなものも実はあるわけでありますけれども、これは先ほどの松谷議員からの話にもありましたが、そういう制度をこれから整備していくということも必要であります。
 ちょうどタイミングよくと言いますか、中日新聞で特集が出たわけでありますけれども、この中で、大阪経済法科大学の小川教授が言っております。支援体制が不十分で子供の意思を汲み取る仕組みもない日本で、離婚後の共同親権を導入したら、深刻な被害が続くのではないか。そして、海外の経験を学んで共同親権制度の導入は、現状では控えるべきということで警告を発しております。
 現状についての問題点は共有しておりますけれども、私はまだ、この議会の中でも議論は始まった、今回始まったという状況じゃないかというふうに思うんですね。ですから、今日、私は反対討論という形で今述べておりますけれども、十分な議論が行われていない現状からすれば、ぜひ問題提起というような受け止めもしていただければというふうに思います。親権の規定を根本、抜本的に見直して、子供の権利を保障する親と社会の責任、責務を明確にした法改正を求めて、私の討論といたします。