住民投票条例案否決後の対応について-清水のまちづくりを新たな発想で市民の知恵を集結してすすめます-

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 8月臨時議会では、直接請求による新清水庁舎建設の是非を問う住民投票条例案が否決されました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大により地方自治体を取り巻く情勢は大きく変化しています。
これまでの延長で大型事業を進めていくことは客観的にも困難になっています。
 このような事態のもとで、清水のまちづくりをどう進めるのかが改めて問われています。
日本共産党市議団の現段階での考え方は以下のとおりです。
 

3大事業の一時凍結はコロナ禍での当然の処置
 田辺静岡市長は、6月議会において五大構想の目玉とも言うべき歴史文化施設(事業費65億円)、
海洋文化施設(事業費240億円)、清水庁舎の移転建設(事業費95億円)の三大事業の一時凍
結を表明、その理由として①コロナ対策を優先②自然災害への財政対策③民間投資の消極性をあげ
ました。併せてすべての市事業について聖域なく見直しを行い徹底した費用捻出を指示しました。
このことは、コロナ禍で経済成長の大失速とそれに伴う財源見通しの大幅な下方修正のなかでは当
然の処置です。
 20年度当初予算編成時の市財政中期見通しでは、経済成長率1.5%を前提としつつ向う3年間
の財源不足を毎年度70億円程度と試算していました 。2019年10月の消費税増税は経済成長
を低下させ、加えて年明け後の新型コロナ感染拡大は計り知れない影響を与えています。もともと
1.5%成長率自体が政府の示す希望的観測数値を前提としたものであり、実態とかけ離れたもので
す。経済成長率の大幅落ち込みが示されているなかで、今後の歳入不足額の大幅な拡大は避けるこ
とができません。

田辺市長は、本年9月市議会において3事業についての見直しとリスタートの方向を出すと表明し
ていますが、一時凍結表明時に市長が示した3つの理由は今後当分変化する情勢にはありません。
3事業の趣旨や経緯はそれぞれに異なり一律に論ずることは適切ではありませんが、事業各々の再
スタートについてはその可否を含め慎重に検討する必要があります。

清水庁舎の移転について、推進の方向を打ち出す理由はどこにも見当たらない
 新清水庁舎建設の是非を問う住民投票条例案は市議会で否決されましたが、これにより庁舎移転が
改めて是認されたとみなすのは早計です。9月市議会では、庁舎移転予算の白紙化が提案されています。
移転・建設に様々な問題点があることは住民投票をめぐる議論を通し明らかになりました。また、現在
は、新型コロナに国・地方を挙げて全力を傾注すべき事態になり、とりわけ不要不急事業の見直しが求
められています。庁舎の移転が不急であることは確かです。



コロナ後の清水のまちづくりを新たな発想で知恵を結集してすすめます
 清水のまちが「海」と「港」と共に発展してきたことは論を待ちません。このことが、
清水のまちづくりのキーワードになることは市民の共通項です。しかし、市長が掲げる
海洋文化都市は、一口に言うと大型ハコモノとインバウンドによる人寄せです。コロナ
による大型クルーズ船の寄港見通しが立たなくなった現状は、これまでの発想による施
策が通用しなくなったことの象徴であり、まちづくりの基本的考え方は根本的に見直さ
なければなりません。
 まちの活性化はその地域が持っている自然資産、歴史資産、文化遺産、海洋資産、産業
資産などあらゆる資産の活用を考えることが必要です。清水にはそのための資産は豊富に
存在しています。今こそ、市長自身のモットーである「ないものねだりよりあるもの磨き」
を本気になって追求することが求められています。
 そのためには、専門家と市民の協力による総力結集しかないと考えます。具体的には、
「まちの活性化をめざす地域資産活用検討会(仮称)」を設置し、商工業団体、文化・
歴史関係団体、観光団体、自然保護団体、海洋関係団体など関係者に協力を求めるととも
に、市民にも参加を募り、行政と一体となって検討を進めることを提案します。

 9月市議会に市は、昨年度の議会で可決した新清水庁舎整備事業の債務負担行為(将来
の財政負担を約束する行為)94億3,900万円について事業再開の見通しがたたないこと
から、全額白紙化を提案することが明らかになりました。
 事業の困難性を市自らが認めることであり、9月議会での大きな焦点のひとつになりま
す。