2月市議会 反対討論

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◯12番(杉本 護君) それでは、私は、日本共産党静岡市議団を代表して、上程された議案のうち、議案第30号令和2年度静岡市一般会計予算以下16件の議案に対する反対の討論を行います。
 初めに、新型コロナウイルス対策について、一言述べさせていただきます。
 WHOがパンデミックと表明をし、国内外で感染者が増え、国民は不安な日々を送っています。世界経済は重大な危機に直面し、国内では消費税増税に新型コロナウイルスの打撃が加わり、深刻な不況に陥りつつあります。政府は、休職補償や無担保・無利子の緊急融資などを打ち出していますが、規模、スピードともに不十分であります。
 日本共産党は、3月12日、国民生活の緊急防衛、家計・中小企業への強力な支援をと題した緊急経済提言を発表し、生活できる所得補償、消費税5%への減税、災害時に行う国保料の減免、大企業の内部留保の活用など大胆な経済政策を取ることを政府に強く求めました。
 本市も感染防止に全力を挙げていますが、より積極的な検査体制が望まれます。また、新たな経済対策として、県と協調し、実質無利子・無保証料の県融資にしたことは大変積極的であり、早急に全事業者に伝えることが必要です。また、あらゆる相談に対応するワンストップの相談窓口を設置し、市民の不安解消への対応をお願いいたします。
 次に、国政は地方政治に大きく関わります。安倍政権の政治姿勢、新年度の国家予算案の特徴について、我が党の見解を述べておきます。
 安倍首相は、2015年に憲法違反の安保法制、いわゆる戦争法を強行して以来、民主主義、立憲主義を破壊し、森友加計疑惑、桜を見る会、東京高検検事長の定年延長問題など国政の私物化は目に余るものがあります。
 このような安倍政権の2020年度の国家予算案は、一言で言えば、消費税増税で深刻な打撃を受けている国民の暮らしや営業には目もくれず、大企業優遇と大軍拡を推し進める最悪な予算案と言えます。
 消費税増税で景気が大きく落ち込む中社会保障費の自然増を抑制し、75歳以上の医療費の窓口負担の増加、介護保険の本人負担の引上げ、基礎年金給付の減少などまさに国民いじめの政策が進行しています。
 一方、大企業への数々の優遇税制、軍事費は5兆3,133億円に達し、国内全国で過去最高です。
こうした国の悪政の下で、本市の新年度予算は、市民の暮らしを守る防波堤となっているかどうかが問われているんです。
 田辺市長は、施政方針で、市民の安心・安全の確保と地域経済の活性化の両立を図るとした上で、地域経済を好循環させる公共投資を重視して、普通建設事業費を約395億円計上したとしています。
 今後、歴史文化施設や海洋文化施設、新清水庁舎などの建設、市民文化会館の改修が予定され、アリーナ構想も打ち出されています。
 その一方で、財政運営は厳しい現況にあり、中期見通しは、経済成長2020年度2.1%、以後、毎年1.5%と見込んだ下で、財源不足を来年度50億円、その後も各年70億円以上の不足と見ています。
 今、景気が落ち込んでいる中、経済成長の中期見通しは危うさを増しています。さらに、経常収支比率の見込みは95%を超え続け、財政硬直化が進む下で、さらに公共投資を増やすことは健全な財政運営とは言えません。
 田辺市長は、3次総最大の目標として、本市の人口70万人維持を掲げていましたが、今年の施政方針では、人口維持は一言も触れていません。人口が減っていくことに目を背けるのは、市民一人一人の暮らしから目を背けることではないでしょうか。これでは、誰ひとり取り残さないとするSDGsを声高に掲げても、その真剣さが問われます。
 さらに、市長の政治姿勢です。清水庁舎の移転問題で、現在、住民投票実現のための署名活動が取り組まれていますが、これは田辺市長が反対を主張する住民の皆さんとの話合いを拒み続けたためです。十分な話合いをせずに進めていくことは傲慢であり、リーダーシップではありません。
 もう1点、消費税の認識です。
 我が党の内田議員が総括質問で、消費税に対する認識をただしたところ、公平な税金との考えを示しました。消費税は逆進性のある税金であることは、国でさえ認めており、この税金が公平な税金との認識では市民の暮らしの厳しさが分かるはずがありません。
 以上の点を踏まえて、令和2年度一般会計予算をはじめとした議案に対する反対の理由を述べていきます。
 まず、議案第30号一般会計予算についてです。
 マイナンバーの制度に関して、マイキーID設定支援事業などがあります。これは、マイナンバーカードを活用したキャッシュバック制度を行うものですが、技術的にはマイナンバーカードを使わなくてもできる制度であり、カードの普及を図るところに真の狙いがあります。マイナンバー制度は、監視社会に道を開くもので、メリットは乏しく、個人情報の漏えいに多くの国民が不安を抱いています。このような制度はやめるべきです。
 各調査事業として、リニア中央新幹線開業後のまちづくりに係る研究事業の予算があります。リニアは、南アルプスのトンネル工事による水流出、残土の処理、自然破壊など問題が山積して、リニア開業ありきの予算など認められません。
 新清水庁舎整備事業ですが、庁舎と駐車場建設、民間施設の誘致と3施設一体の計画が見直され、庁舎、駐車場のみの入札となり、まちににぎわいをつくるという当初の計画は破綻をしています。そもそも、津波浸水想定区域に新しく清水庁舎を建設することに市民の合意は得られていません。いま一度立ち止まるべきです。
 アリーナ誘致関係調査事業についてですが、市の財政負担、費用対効果など十分な検証がされたとは思えません。誘致ありきで進めるべきではありません。
 海洋文化施設整備事業は、建設費が100億円、管理運営費に約140億円の大型事業です。PFI方式で15年間の入館料を約70億円と見込み、運営費赤字分の約70億円は初めから市が負担する総額約170億円の事業です。その上、ロスシェアとして、最大10億円余の負担もあり得ることが明らかになりました。
 市は、公共投資を呼び水に経済の活性化を図るとしていますが、大型箱物建設は将来に負担を残します。今、新型コロナウイルスの問題で、市の観光、産業計画も大きく狂っています。インバウンド、海外依存の産業戦略の危うさを感じています。
 そこで、清水の活性化に市が170億円投資するこの海洋文化施設は、本当に必要なのか。市民の暮らしを支える予算は確保できるのか。いま一度考える必要があることから、この予算に反対をいたします。
 小中一貫教育の推進事業は、2022年度に全校一斉に静岡型小中一貫教育を始める準備予算です。この事業は、アセットマネジメントによる小中一貫校の考えから始まっていると思います。9年制にして、子供たちは1つの目標を9年間で目指すことになり、モデル校で準備を進めていますが、1つの小学校から3つの中学校に進学する矛盾には答えていません。また、なぜ6・3制では駄目なのか、その合理的な理由がはっきりしていません。こうした中で、2022年度に一斉に小中一貫教育を始めるなど認められません。
 国直轄道路事業負担金ですが、道路は国道・県道・市道とそれぞれ管理すべきところが定められており、国が直轄で管理すべき道路に市民の税金を使うべきではありません。
 自衛官募集事務と国民保護計画についてです。
 安倍政権は憲法9条改憲を狙い、アメリカ軍と一体となって戦争する体制づくりが進められています。そうした下で、自衛官募集など市は取り組むべきではありません。
 議案第36号と第63号は、国保料値上げに関するものです。高過ぎる国保料に悲鳴が上がり、引下げを求めた請願署名も出されました。国保料は、構造的な問題で高くなっていることは市も認めています。
 今年度決算後、基金は約43億円残る見込みで、引下げの財源は基金だけでも十分にあります。さらに、市長の決断があれば、子供の均等割などの減免にペナルティーなしで一般会計からの繰入れも可能です。新型コロナウイルス感染は、まさに災害です。思い切った減免措置こそ必要であり、値上げには反対します。
 議案第45号と91号は、水道料金の値上げです。水は命の源であり、SDGsも安い水の提供を求めています。水道管の更新に費用がかかるということですが、水道事業の計画性にも問題があり、市民にそのツケを転嫁することは許されません。企業会計であっても、強い公共性のあるものは一般会計からの繰入れも認められています。市民の暮らしと命に関わる水道料金の値上げは認められません。
 議案第47号は、下水道受益者負担金で、都市計画税との二重課税であり、やめるべきです。
 議案第54号は、中央卸売市場業務の規制緩和となっています。今回の条例改正では、卸売業者が市場を通さずに販売することや仲卸業者などが卸売業者以外からの仕入れを条例として認め、歯止めをなくしています。これが進めば、市場の本来の役割が崩壊し、小売業者の経営に打撃を与え、ひいては市民や消費者が暮らしづらいまちになっていくことが懸念され、認められません。
 議案第56号は、静岡市職員定数の削減です。今でも職員数が足りず、現場は疲弊しています。例えば、虐待など相談対応件数が増えている児童相談所の職員配置は、国の目指す基準に達していません。子供たちを育てる教職員は多忙を極め、しっかりと見てあげる余裕がありません。職員の増員こそ必要で、削減など到底認められません。
 議案第65号、第66号、第71号、第72号、第75号、第84号、第85号は、スポーツやレジャー、コミュニティ施設の利用料値上げです。一部には高齢者向けの減額料金という改善もありますが、全体として引上げとなり、認められません。
 議案第81号は、霊柩車の使用料値上げです。市斎場使用料の有料化に続く負担増であり、認めることはできません。
 以上、各議案に対する反対理由を述べてきましたが、全体として、大型箱物建設を推進する下で、市民の暮らしを支える予算が確保できるのか、懸念されるものとなっています。
 今、安倍政権の下で、市民の暮らしが脅かされています。そうした下で、市民の暮らしを守るのが市の責務です。
 田辺市長は、地方自治法第1条の2に定める地方公共団体の基本的役割である住民の福祉の増進の意味をいま一度しっかりとかみしめていただきたいと思います。そして、そうした市政運営に立ち返ることを強く求めます。
 日本共産党市議団は、住民の暮らし第一に国の悪政とも戦い、そして、よりよい市政実現のために今後とも奮闘する決意を申し上げ、反対の討論といたします。